(6890:JASDAQ) フェローテックホールディングス 業績を伸ばしつつ事業構造改革が進む

2017/09/13

ferrotec

今回のポイント
・18/3期1Qは前年同期比20.8%の増収、同38.5%の営業増益。半導体微細化投資・有機ELパネル投資による製造装置需要の増加や高水準の半導体生産が追い風となり半導体等装置関連事業の売上が同29.7%増と伸びた他、サーモモジュールを中心に電子デバイス事業の売上も5.4%増加。量産効果による半導体等装置関連事業の利益率改善と前期ほど為替の影響を受けなかった電子デバイス事業の利益率改善で販管費の増加を吸収した。・上期及び通期の利益予想を上方修正した。通期で前期比12.4%の増収、同44.4%の営業増益が見込まれる。半導体等装置関連事業の売上構成比が期初予想の前提よりも良化する事と量産効果による利益率改善が修正の理由。下期は半導体8インチウエーハやセラミックスの新工場稼働に伴う減価償却費の増加を吸収して一段の利益率改善が見込まれる。配当は上期末10円、期末10円の年20円を予定している。

・太陽電池用シリコン結晶製造装置の技術を活かした半導体8インチウエーハ事業や石英坩堝の半導体向けへのシフト等、業績を伸ばしつつ、事業構造改革が進んでいる。半導体8インチウエーハ事業では、この7月に銀川工場が竣工し、年末15万枚体制(月産)の確立を目指している。現在、中国では半導体産業の育成が国策(「Made in China計画」)として進められており、世界の半導体メーカーが中国展開を加速しているが、中国のウエーハ自給率は5%に過ぎず材料(ウェーハ)面での対応が遅れていると言う。

会社概要

消耗品を含めた半導体・FPD製造装置部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。傘下に子会社等41社を擁する(連結子会社32社、持分法適用非連結子会社1社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社1社、非連結子会社2社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。

【経営理念と行動規範】
 経営理念

顧客に満足を
地球にやさしさを
社会に夢と活力を

行動規範

私たちは、グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。

フェローテックグループは、新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。

フェローテックグループは、地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。

フェローテックグループは、コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地球社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動に当たり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。

【事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウェーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ43.7%(16/3期45.2%)、17.1%(同19.2%)、25.4%(同26.6%)、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他13.8%(同9.0%)。

半導体等装置関連事業

半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、この他、シリコンウエーハ加工や製造装置洗浄(中国でシェア50%)等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。

主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。

一方、石英製品、セラミックス製品、及びCVD-SiC製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。太陽電池の製造プロセスで使われる石英製品である石英坩堝(太陽電池関連事業に区分)でも高いシェアを有し、この技術を活かして半導体向け高純度坩堝を育成中である。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラッミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。

CVD-SiC(※)製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。

この他、6インチのディスクリート半導体向けが中心の小口径ウエーハ加工(インゴットのスライス)も月産30万枚規模に達しており、小口径ウエーハの加工分野で一定の存在感を有する。

電子デバイス事業

事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。この他、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の収益も含まれている。

太陽電池関連事業

2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及び太陽電池用シリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池用シリコン製品(シリコンインゴットとウエーハ)の受託生産や、インゴットの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。消耗品である坩堝については、多様なラインナップを揃えると共にカスタマイズにも対応し、高い市場シェアを有する。

同社は1980年9月に設立され、磁性流体・応用製品(CPシール・真空シール)の製造・販売を開始した。ハードディスクドライブのシールとして使われたCPシールや真空装置のシールとして使われる真空シールをけん引役に事業基盤を固めた。1990年以降は、海外展開を積極化し、91年に米国マサチューセッツ州に法人を設立、その後、92年中国杭州、95年中国上海、97年シンガポール、と相次いで海外現地法人を設立。この間、中国でサーモモジュール・モジュールの製造・販売を開始(92年)した他、半導体関連事業向け石英製品の製造・販売を開始(98年)。99年には元親会社の米フェローフルイディクス社を買収して北米・欧州へ展開した。
2000年以降は、02年に部品加工から組立までの一貫した生産技術を活かしてシリコンウエーハ加工や工作機械等の受託事業を開始(上海工場)。05年には太陽電池関連事業を開始し、インゴット、結晶製造装置、坩堝の製造・販売を本格化。更に08年にはセラミックス製品の製造・開発も開始する等で、新たな収益基盤を確立した。
そして、今、中国、アジア、北米、ロシアを含む欧州、と世界4極での事業体制の整備も進み、売上高1,000億円企業を目指す第4の成長期を迎えている。

2018年3月期第1四半期決算
前年同期比20.8%の増収、同38.5%の営業増益

売上高は前年同期比20.8%増の207億93百万円。前年同期の特需の反動で太陽電池関連事業の売上が同5.8%減少したものの、半導体の微細化投資・有機ELパネル投資や、フラッシュメモリの高水準の生産が追い風となり半導体等装置関連事業の売上が同29.7%増と伸びた他、自動車温調シート向けサーモモジュールを中心に電子デバイス事業の売上も5.4%増加した。

利益面では、量産効果による半導体等装置関連事業の利益率改善に加え、前期ほど為替の影響を受けなかった電子デバイス事業の利益率も改善し、売上総利益率が28.8%と0.5ポイント上昇。販管費の増加を吸収して営業利益は22億68百万円と同38.5%増加した。為替差損の減少(5億38百万円→3億36百万円)や税負担率の低下(52.8%→45.0%)で四半期純利益は9億25百万円と同103.9%増加した。

半導体等装置関連事業

売上高100億26百万円(前年同期比29.7%増)、営業利益16億47百万円(同86.7%増)。半導体の微細化投資や新型スマートフォン向け有機ELパネル投資を受けて製造装置に使われる真空シールが増加した他、フラッシュメモリ等の高水準の生産で製造工程で使われる、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品等の消耗品も堅調に推移した。消耗品の中には供給不足が生じている製品もあり、新工場建築や生産ラインの追加投資を進めている。この他、車載機器やセンサー類向けを中心にした6インチ小口径ウエーハの増加でシリコンウエーハ加工の売上も増加した。今後の成長ドライバーとして期待される8インチウエーハについては、この7月に工場が竣工し、評価用サンプルの出荷が始まった。
利益面では、量産効果による利益率改善(11.4%→16.4%)で営業利益が同86.7%増と伸びた。

太陽電池関連事業

売上高43億86百万円(前年同期比5.8%減)、営業損失2億22百万円(前年同期は1億74百万円の営業利益)。売上の大半を占めるシリコン製品や太陽電池セルの需要は旺盛だったが、前年同期の特需の反動によるシリコン製品の売上減少が響いた(前年同期は中国で固定価格買取制度の買取価格の減額に伴う駆け込み需要が発生した)。
利益面では、生産設備の稼働率が低下する中、事業構造改革の取り組みもあり、営業損失となった。具体的には、太陽電池用シリコン結晶製造装置の技術を活かした半導体8インチウエーハ事業(半導体等装置関連事業)を育成中である他、石英坩堝について、太陽電池向けの供給を続けつつ、半導体向けへのシフトを進めている。

電子デバイス事業

売上高32億23百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益8億04百万円(同34.1%増)。サーモモジュールは、北米で自動車温調シート向けが堅調に推移する中、中国で通信機器向けが増加した。北米では、自動車販売台数が前年比減少したものの、温調シートを搭載する高級車の販売は底堅く推移した。また、中国では、移動通信システムの切替に伴い、現地の通信機器メーカーからの受注が増加した。サーモモジュールについては、単品ビジネスからユニット製品(製品・電源・基板等を組立)ビジネスへのシフトを加速させていく。またパワー半導体用基板は、新規顧客の開拓が進み増産体制を整備に追われている。この他、従来からの車載スピーカー向けに加え、スマートフォンのバイブレーション機構での採用が進んだ事で磁性流体も堅調に推移した。

好業績と新株予約権の行使による資金を活用して成長投資を続けており、第1四半期末の総資産は952億32百万円と前期末に比べて31億31百万円増加した。自己資本比率は42.5%(前期末42.6%)。

2018年3月期業績予想

上期及び通期の利益予想を上方修正した。通期で前期比12.4%の増収、同44.4%の営業増益が見込まれる。半導体等装置関連事業において、石英製品、セラミックス製品、及びCVD-SiC製品等の売上構成比が期初予想の前提よりも良化する事と量産効果が修正の理由。下期は半導体8インチウエーハやセラミックスの新工場稼働に伴う減価償却費の増加を吸収して一段の利益率改善が見込まれる。為替の影響を受ける経常利益及び当期純利益については、営業利益程の上積みがなかった。

今後の注目点
太陽電池用シリコン結晶製造装置の技術を活かした半導体8インチウエーハ事業や石英坩堝の半導体向けへのシフト等、業績を伸ばしつつ、構造改革が進んでいる。半導体8インチウエーハ事業では、この7月に銀川工場が竣工し、年末15万枚体制(月産)の確立を目指している。現在、中国では半導体産業の育成が国策(「Made in China計画」)として進められており、世界の半導体メーカーが中国展開を加速しているが、中国のウエーハ自給率は5%に過ぎず材料(ウェーハ)面での対が進んでいないと言う。このため同社は積極的に増産投資を進めていく考え。市況と自社の生産効率を確認した上での話だが、当面の目標は30万枚(同)。12インチウエーハの世界需要は580万枚、8インチウエーハは550万枚と言われている。新工場の能力はスペース的には将来45万枚(同)程度に引き上げる事ができるが、それでも世界需要の10%にも満たない計算だ。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年07月14日
基本的な考え方

当社は、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。
当社グループの主な事業内容は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、太陽電池向けシリコン結晶製造装置、太陽電池向けシリコン製品、坩堝・角槽、温調機器等に使用されるサーモモジュールの他、シリコン製品、磁性流体およびその応用製品などの開発、製造、販売であります。
現在の取締役7名の内、社外取締役2名を選任しており、また、経営環境の変化に迅速に対応できるよう取締役の任期は1年としております。月一回の定例取締役会開催に加え、重要案件が生じたときは、機動的にその都度、臨時取締役会を開催しております。
業務執行につきましては、現在、執行役員9名[内、男性8名、女性1名 / 内、取締役4名(内、男性4名)]をそれぞれ担当職務・部門責任者として配置し、業務執行上の役割分担を明確にしております。
当社は、監査役会設置会社であります。監査役会は、現在、監査役3名(内、常勤監査役1名)全員が社外監査役で構成され、企業統治の強化を図っております。
当社は、後藤法律事務所とは法務顧問契約に基づき、業務上必要に応じて法務に関わる助言を受けております。
また、会計監査人である新日本有限責任監査法人とは、監査契約に基づき会計監査を受けており、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場する企業として、開示規定に定める事象がおきた場合は、遅滞なく情報の開示に努めております。

<実施しない主な原則とその理由>

当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

<開示している主な原則>

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、事業協力関係の維持・強化、取引関係の維持・強化、業界情報の収集・交換、安定的な資金調達の維持を目的として、政策保有株式を保有しております。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
関連当事者との取引を行う場合には、取締役会での審議・決議を要することとしており、利害関係を有する取締役は当該議案に対し、決議に参加できないこととしております。関連当事者間の取引につきましては、他の資本関係のない会社と取引する場合と同様の条件による取引を基本とし、取引内容の妥当性について少数株主利益を害することのないよう対応しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、会社の持続的成長及び企業価値の向上を目指し、株主の皆さまとの建設的な対話を促進し、当社の経営方針や経営状況を分かりやすく説明し、株主の皆さまの理解が得られるよう努めてまいります。
株主との建設的な対話に関する方針
(1)株主の皆さまとの対話の統括
IR担当である経営企画担当取締役を株主の皆さまとの対話を統括する経営陣として指定しております。
(2)株主の皆さまとの対話を補助する社内各部門の連携体制
経営企画室及び経理部が連携して、株主の皆さまとの対話を補助しています。
(3)個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
決算説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会、株主総会後に開催する事業説明会、各種印刷物をはじめとする様々な情報伝達手段を活用しております。決算説明会及び事業説明会では、代表取締役が自ら説明を行っております。
(4)対話に際してのインサイダー情報の管理
内部情報管理規程に基づき情報管理を徹底しております。

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