(7191:東証マザーズ) イントラスト 売上 経常利益ともに社内計画上回る着地

2017/08/29

entrust

今回のポイント
・18/3期1Q(4-6月)は前年同期比10.1%の増収、同41.1%の経常増益。C&O(コンサル&オペレーション)事業やDoc-on事業の増加に加え、前期にサービスを開始した保険デスクも加えたソリューションサービスが増収をけん引。売上が増加する中、貸倒引当金及び保証履行引当金繰入額を含む営業費用の発生が抑制された事で経常利益率が26.7%と5.9ポイント改善した。売上が2.5%、経常利益が25.7%、それぞれ社内計画を上回る着地。

・業績予想に変更はなく、通期で前期比6.6%の増収、同8.5%の経常増益予想。主要クライアントの利用サービスの変更で保証サービスの減収が続くものの、ソリューションサービスの売上増で吸収。原価率の改善や引当金の減少で収益性が一段と向上する見込み。配当は、1株当たり上期末4円、期末4円の年8円を予定(記念配当2円を落として、普通配当を2円増配)。

・家賃債務保証の利用率(付帯率)は未だ60%程度にとどまり、更なる利用率の向上が期待できる。しかも、保証サービス、ソリューションサービス共にストックビジネスであるため、当面の同社の業績拡大に疑問を挟む余地はない。ただ、同社は総合保証サービス会社として、様々な分野での保証業務の展開を志向しており、家賃債務保証のみにとどまる考えはない。この一環として、現在、医療費用保証と介護費用保証の育成に取り組んでいる。医療や介護の分野でパイオニアとしての実績を示す事ができれば、改めて潜在成長力が評価されるだろうし、総合保証サービス会社として評価を高める事もできるだろう。

会社概要

総合保証サービス会社として、賃貸住宅における家賃債務保証を中心に、病院における医療費用保証、介護施設における介護費用保証等、連帯保証人の代替商品として各種保証商品を幅広く展開。保証から派生したサービス商品(ソリューションサービス)の提供にも力を入れており、保証を通じた社会への貢献を目指している。本社を東京に置き、秋田市、富山市、名古屋市、大阪市、岡山市、及び福岡市に拠点を有する。社名のイントラストは、「責任・任務を信頼して任せる、金銭を預ける、仕事等を人に委ねる」という意味を持つ英語の“Entrust”に基づくもの。「総合保証サービス会社として、あらゆる分野においてお客様から全面的な信頼を得て業務をお預かりすることで、ご満足いただけるサービスを提供できる企業を目指す」と言う思いが込められている。

尚、2017年3月末現在、東証1部に上場する(株)プレステージ・インターナショナル(4290)のグループ会社であるPrestige International(S) Pte Ltd.(シンガポール)が発行済株式数の62.54%を保有している。

【経営理念】

クライアント企業に三つの価値(喜び、安心、信頼)を提供する事を経営姿勢として掲げ、五原則(感動、挑戦、自覚、品格、活躍)に従って会社運営を行っている。また、会社の成長と社員の幸せがリンクしている会社を目指しており、「社員全員がそれを実感できるのであれば、会社は必ず成長する」との考えの下、日々の仕事において、三つのモットー(明るく、楽しく、真剣に)を尊重している。

【沿革】

2006年3月、賃貸不動産の連帯保証人代行システムの構築を目的に(株)イントラストとして事業をスタート。2007年10月には、大和ハウスグループの賃貸住宅管理会社である大和リビング(株)と業務提携し、同社専用の連帯保証人代行システム「D-Support」の販売を開始した。
2010年2月にプレステージ・インターショナルグループ入りし、同年10月に大手信販会社との業務提携の下、連帯保証人代行システムに家賃決済クレジットサービスを組み込んだ保証商品「Ce-Trust」の販売を開始(2012年3月に後継商品「Ce-TrustⅡ」を投入)。同年12月には(株)三菱総合研究所の協力を得て審査システムを開発し内製化。2011年6月から2014年5月にかけて、秋田、名古屋、大阪、福岡、富山、岡山へと拠点展開を進めた。
2014年6月には新たな保証商品の開発を目的に三井住友海上火災保険(株)と業務提携。同年8月に介護費用保証商品「太陽」の販売を、2015年5月に医療費用保証商品「虹」の販売を、それぞれ開始。この間の2014年10月には、ソリューションサービスにおいて、SMS(ショートメッセージサービス)を活用した「Doc-on事業」を開始。2016年12月に東証マザーズに株式を上場した。

【事業概要】

総合保証サービスの単一セグメントの下、保証サービスとソリューションサービスを手掛けている。保証サービスは、同社が連帯保証人(保証委託契約)として契約に係る各種費用の滞納リスクをカバーすると共に、不動産管理会社や債権者等に対して、申込審査、督促回収、法対応ネットワークの整備、債権管理等、関連するサービスを提供する。一方、ソリューションサービスは、連帯保証はせず、関連サービスのみを提供する。このため、保証サービスは賃借人からの保証料と不動産管理会社や債権者等からの手数料が主な収入となり、ソリューションサービスは手数料が主な収入となる。

17/3期の売上構成比は、保証サービス57%、ソリューションサービス43%。尚、主要クライアントである大和リビング(株)が連帯保証人不要制度を導入したため、同社向けサービスが保証サービスからソリューションサービスへ移行している。このため、保証サービスの売上構成比が低下傾向にある一方、ソリューションサービスの売上構成比が上昇傾向にある。

保証サービス

保証サービスは、主力の家賃債務保証と、育成中の医療費用保証及び介護費用保証に分かれる。賃貸住宅の家賃債務保証の付帯率は未だ60%程度に過ぎず、大きな市場が残っている。家賃債務保証では、賃貸不動産の賃貸借契約において、同社が賃借人の連帯保証人となり、賃料等の滞納リスクを引き受ける。一方、医療費用保証では、医療費用保証商品「虹」を提供しており、医療機関の入院手続きにおいて、同社が連帯保証人となり、入院費用自己負担分等の支払いに係る滞納リスクを引き受ける。また、介護費用保証では介護費用保証商品「太陽」を提供しており、介護施設の入居契約において同社が連帯保証人となり、介護施設の利用料等の滞納リスクを引き受ける。

家賃債務保証及び介護費用保証では保証委託契約時及び保証委託契約更新時に対価を受け取り、対価は保証期間内の月数に応じて按分され売上計上される。医療費用保証では保証委託契約時に対価を受け取り一括して売上計上される。また、家賃債務保証では、引き受け前の審査と滞納発生時の回収(コンプライアンス重視)によりリスクを最小限に抑え、収益の安定化を実現している。一方、介護費用保証及び医療費用保証においては、損害保険会社と保険契約を締結し、滞納リスクをヘッジしている。

イントラストの強み

同社の保証サービスの特徴は、カスタマイズ、新商品開発、コンプライアンスの徹底、の3点。家賃債務保証では、申込審査、督促回収、法対応ネットワークの整備、債権管理等のサービスをワンパッケージ化して提供しているが、画一的な商品パッケージは存在せず、クライアント(通常は不動産管理会社)毎に保証商品をカスタマイズして提供している(業務負担の軽減を念頭に、業務フローについてもカスタマイズされている)。新商品開発では、「家賃決済クレジットサービス付商品」、医療費用保証商品「虹」、介護費用保証商品「太陽」、或いは「Doc-on事業」(後述)等、家賃債務保証で培ったノウハウを他の保証分野やソリューションサービスに活かし、継続的に新商品を投入している。一方、督促・回収においては、弁護士の指導のもと不動産管理会社と業務フローを共有し、コールセンターによる督促から現地対応に至るまでコンプライアンスを徹底している。長期滞納では、パートナーシップを提携した専門の弁護士が全国をカバーし、適法な手続きに則り対応している。

ソリューションサービス

ソリューションサービスは、C&O(コンサル&オペレーション)事業とDoc-on事業と保険デスクに分かれる。C&O事業は、保証サービス(家賃債務保証)で培ったノウハウを受託サービスとして提供するもので、入居申込受付業務、審査業務、契約管理、未入金案内業務、訪問調査、法的対応支援、債権管理といった賃貸不動産の入居者等を対象としたサービスをフルラインもしくは個別に不動産管理会社等に提供。スコアリングモデルに基づく独自の審査システムや自社コールセンター等、各種関連業務を柔軟に提供できる体制が整備されている。また、問題が発生した際の迅速な解決に必要な弁護士法対応ネットワークも確立している。

一方、Doc-on事業は、SMS(ショートメッセージサービス)、クレジットカード決済サービス、コールセンターサービス(SMSリスト管理、メッセージ作成、配信量管理、受電対応、入金確認、レポート管理等のコールセンターサポートといった各種のサービスをトータルで提供)をパッケージにしたサービス。
強みとして、①国内大手SMS通信事業者の通信網を利用した「高い安全性」、②紙媒体の郵送案内と比較した場合のコンタクトに要するコスト削減、及び③葉書及びインターネットメールのコンタクト手法と比較した場合の高い開封率、の3点を挙げる事ができる。

保険デスクは、賃貸住宅の入居者向けに火災保険の募集、付保管理に係る業務を総合的に支援するサービス。火災保険のご案内、コールセンターによるお問合せの受付対応、火災保険の締結、契約後の異動等に係る事務、不動産管理会社への報告までトータルで提供する。専門的な知識・ノウハウに、専用システム、オペレーション体制も万全に整備されている。

2013年3月からの過去4年間の保有契約数の伸びは年率24.1%。契約の大半は売上が契約期間に応じて按分計上されるため、契約の都度、将来に計上される売上が積み上がっていく(売上がストックされていく)。このため、同社はある程度先まで、高い精度で売上を読む事ができる。17/3期は売上の過半(54%)がストックされていた売上の中から計上された。

【業績推移】

保証サービスにおける家賃債務保証の拡大に伴い、15/3期にかけて売上が順調に増加してきたが、16/3期は主要クライアントである大和リビングが連帯保証不要制度を導入し、利用するサービスを保証サービスからソリューションサービスへ切り替えたため売上高が減少した。一方、利益面では、家賃債務保証における回収力の安定化と利益率の高いソリューションサービス(保証サービスにおいて必要となる再保証料や貸倒引当金等が不要)の売上増で利益率が大幅に改善した。
また、上記のグラフには反映できないが、同社の売上は新規契約に伴う新規売上と既存契約の更新・ランニング売上(ストック売上)に分かれ、年々、ストック売上の比率が上昇している(利益成長と共に収益基盤の強化も進んでいる)。

2018年3月期第1四半期決算
前年同期比10.1%の増収、同41.1%の経常増益

売上高は前年同期比10.1%増の7億21百万円。売上の内訳は、保証サービスが3億81百万円、ソリューションサービスが3億39百万円。保証サービスは新たに住友不動産(株)で導入が決定する等、新規開拓が順調。ソリューションサービスはC&O事業やDoc-on事業の増加に加え、前期にサービスを開始した保険デスク(入居者への保険販売)も寄与した。

利益面では、売上の増加に加え、貸倒引当金及び保証履行引当金繰入額を含む費用の発生が抑制された事で経常利益が1億92百万円と同41.1%増加した。

法人税等の納付や配当金支払いで第1四半期末の総資産は30億62百万円と前期末に比べて1億06百万円減少した。無借金経営で、200%超が理想とされる流動比率は317.6%(前期末284.9%)、100%以下であれば良好とされる固定比率は9.9%、自己資本比率68.4%(前期末65.0%)と高水準を維持している。

2018年3月期業績予想
業績予想に変更はなく、通期で前期比6.6%の増収、同8.5%の経常増益予想

売上高は前期比6.6%増の28億91百万円。主要クライアントの利用サービスの変更で保証サービスの売上が減少するものの、契約の積み上げ効果が顕在化してきたソリューションサービスの売上増で吸収する。営業利益は同10.3%増の6億71百万円。売上が増加する中、主要クライアントの利用サービスの変更に伴う管理会社への業務委託手数料の減少や滞納率の改善による貸倒引当金繰入額及び保証履行引当金繰入額の減少が見込まれる。

配当は、1株当たり上期末4円、期末4円の年8円を予定。記念配当2円を落として、普通配当を2円増配する事になる。

※ 主要クライアントの利用サービスの変更について

主要クライアントである大和リビングは、これまで(株)イントラストが提供する保証サービスを利用する事で家賃の滞納リスクをヘッジしていたが、新たなプランとして連帯保証人不要制度を導入し、基本的に賃貸借契約に係る連帯保証人を不要とした。ただ、入居申込受付業務、審査業務、契約管理、未入金案内業務、訪問調査、法的対応支援、債権管理といった賃貸不動産の入居者等を対象としたサービスについてはその専門性や効率、コストの観点から、引き続き(株)イントラストに委託している。この結果、利用するサービスが、保証サービスからソリューションサービスへ変更された。
保証サービスから保証部分を除いた事になるが、これにより、同社は業務委託手数料や引当金等のコスト負担から解放された。加えて、保証サービスは入居者が保証を希望する場合に発生していたが、ソリューションサービスへ変更された事で賃貸借契約の都度、サービスが発生する事になったため対象契約者数が大幅に増加したと言う。

(2)18/3期の取り組み
保証サービス

主要クライアントの利用サービスの変更で家賃債務保証の減少が続くが、この影響を除くと実質増収。入居時の家賃債務保証の付帯率は未だ60%程度にとどまり、引き続き潜在需要の顕在化による市場の拡大が期待できる。大手不動産管理会社との豊富な実績を強みに営業活動を強化していく。
育成中の医療費用保証及び介護費用保証については、認知度の向上に加え、提携先である大手損害保険会社の営業協力もあり、医療機関や介護施設での導入が進む見込み。

尚、概ね65~75歳を対象に賃貸借契約における連帯保証人を同社が引き受ける大和リビング向けの保証商品「D-Support SS(ディーサポート・エスエス)」を開発し、2017年8月1日より、入居希望者への案内を開始した。少子高齢化により高齢者人口が増加する中、高齢者の住宅確保の必要性が高まっており、同社は大和リビングから、賃貸物件における高齢者向けの保証商品の要望を受けていた。「D-Support SS」の導入により、大和リビングが提唱する「高齢者向け賃貸の推進」という社会貢献の一助となると共に、今後拡大する高齢者層の需要を取り込みにつなげていきたい考え。

ソリューションサービス

主要クライアントの利用サービスの変更が追い風になる中、前期に三井ホームエステート(株)やパナホーム不動産(株)等の開拓に成功した保険デスク(入居者への保険販売)や審査モデルのノウハウ(三菱総合研究所と共同特許出願中)を活用したサービスの販売にも力を入れる等、保証から派生してくる様々なニーズを取り込んでいく。

この他、オフィス等のテナントを対象にした事業者向け賃料債務保証商品や、インバウンド旅行者の治療費用の未収金問題に対応したサービス等、市場ニーズを捉えた新商品の開発にも取り組む。

桑原社長に聞く

同社は総合保証サービス会社を志向しているため、家賃債務保証会社と言う先入観で見てしまうと、少しわかり難い面がある。第1四半期決算の発表から数日後、半蔵門にほど近い同社にお邪魔して、桑原社長に同社の特徴・強みや今後の事業展開についてお話を伺った。

桑原 豊社長は1958年10月21日生まれ。INA保険会社(現Chubb損害保険(株):世界最大級の損害保険会社チャブ・グループ日本法人)、チューリッヒ保険会社を経て、保険のコンサルタント会社(株)エムファーストを設立して代表取締役に就任された。保険ベンチャーの代表取締役を約6年半務めた後の2006年3月、投資銀行業務を手掛けていた投資銀行と現在(2017年3月末現在)も同社株式1.56%を保有する(株)トリニティジャパンの協力を得て(株)イントラストを設立。資本変更を経てプレステージ・インターナショナルグループへ入り2017年3月末現在、間接保有を含めて同社発行済株式数の11.79%を保有する第2位の株主でもある。
【事業内容・特徴】
Q:「家賃債務保証会社」と言うイメージが強い御社ですが、御社のサービスは保証サービスとソリューションサービスに分かれ、近年はソリューションサービスの方が伸びています。ソリューションサービスは少しわかり難いところがありますが、滞納リスクを取るサービスが保証サービスであり、滞納リスクを取らず、主に家賃債務保証に関連するサービスだけを提供しているのがソリューションサービスと考えて宜しいでしょうか。

A:当社は保証業で創業しました。それも家賃債務保証の一本商品でしたが、保証業を通じて、お客様と議論している中で様々なニーズが出てきました。そのニーズに応えたサービスがソリューションサービスです。リスクを取るのが保証サービスであり、リスクを取らないのがソリューションサービスと言っても間違いではありませんが、保証サービスの中から派生してきたものを商品化して提供しているものを、ソリューションサービスと説明する方が正しいと思います。今の段階では、リスクを取る、取らない、で分けて頂いても間違いではありません。

Q:なるほど。家賃債務保証でスタートされましたが、家賃債務保証はサービスの一つであり、もともと保証業務全般を視野に入れた事業展開を考えていた訳ですね。ところで、保証サービスでは、家賃債務保証に加え、医療費用保証や介護費用保証を育成中ですが、それぞれの保証期間と対価の受け取りは、どのように設定されているのでしょうか。

A:保証期間は、家賃債務保証が入居から退去まで、医療費用保証が入院から退院まで、介護費用保証も入居から退去までです。家賃債務保証は契約時に初回の保証料を頂き、その後、1年毎に更新料を頂きます。会計上の区切りからすると1年毎になりますが、商品としては入居から退去までになります。医療費用保証の保証期間は、入院期間の平均が18日間程度ですから、その範囲になり、保証料は契約時に一括して頂きます。介護費用保証は入居から退去までが対象になりますが、有料老人ホームやグループホーム、介護付き高齢者住宅等、施設のタイプが様々ですから、施設毎に違いはありますが、12カ月等、期間を区切って保証料を頂いています。施設側では、保証サービスの導入により滞納リスクを避ける事ができますから、入居時の費用負担を軽減する等の工夫をされています。
ソリューションサービスでは、こうした保証周りのサービスを、お客様毎にカスタマイズしたサービスと、SMSを利用したサービスを中心にパッケージ化した「Doc-on事業」及び「保険デスク」を提供しています。

Q:大和リビング社向けのサービスが保証サービスからソリューションサービスに移行されています。このため、ソリューションサービスの売上は増えていますが、保証サービスは売上の減少が続いています。保証サービスからソリューションサービスへ移行する動きは、他の取引先にも広がっていくのでしょうか。

A:大和リビング社は特に事業規模が大きい事もあり、特殊なケースです。他の管理会社も、その方向に行く可能性はありますが、それぞれがユニークな方法をお考えになりますから、色々な方向に進んでいくと思います。当社に必要なのは、その中で派生してくる様々なニーズに対応していく事です。

大和リビング社の取引の規模が特に大きいため、保証サービスが減少し、ソリューションが増えていますが、大和リビング社の影響を除くと、保証サービスは二桁成長が続いていますし、ソリューションサービスは大和リビング社の影響を除いても二桁成長です。入居者は平均4年で退去されるので、新規の対象者については4年間保証サービスが減る計算ですが、既に3年が経過していますから、今後は影響が少なくなり、保証サービスとソリューションサービス共に増収と言う形になると考えています。

Q:この4月に住友不動産(株)が御社の保証サービスを導入しましたが、主だった不動産管理会社は既に開拓してしまったのでしょうか。

A:いえ、まだまだです。管理会社の管理戸数上位は、大東建託グループ、積水ハウスグループ、レオパレス21社、大和リビング社が占めております。このうち直接お付き合いしているのが大和リビング社です。大手の管理会社の中には、自社で保証会社を保持し、外部の保証会社を使うと言う発想がありません。ですから定型的な家賃債務保証にはニーズはないでしょう。ただ、更に効率を良くしていくために、ここの部分だけサービスを使いたい、と言うニーズがあれば、当社には対応できるインフラがあります。

Q:流動性に富み、長期の安定性にも優れた財務内容も御社の特徴ですね。

A:保証サービスでは家賃の収納もサービスに付与するケースがありますが、三井住友フィナンシャルグループのセディナ社に収納代行を委託しています。家賃債務保証は一定の割合での延滞の発生が避けられません。その際、立替払いが必要になります。事業規模が大きくなると立替の総額も大きくなりますが、セディナ社が立替をしますから当社に大きな資金需要は生じません。現在、セディナ社に収納代行して頂いている額は年間150億円程度になります。保証サービスの拡大に伴い発生する資金需要はわずかで、ソリューションサービスが伸びている事もあり、借入金もなく、スリムなバランスシートになっています。

【総合保証サービス会社として高付加価値サービスを追求】
Q:業界や市場動向についてご説明頂けますでしょうか。統計データ等を発表している業界団体のような機関はあるのでしょうか。

A:保証会社そのものの歴史が浅い事もあり、主たる業界団体等はありませんし、認可等の必要もありませんから、統計的なものもありません。ですから、先ほど滞納の話をしましたが、集計の仕方も各社まちまちだと思います。マーケットの大きさであれば、全国の民間賃貸住宅約1,600万戸(公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会)という事になるのでしょうか。最近では、家賃債務保証の付帯率(利用率)が60%弱である事も発表されています。

Q:同業他社では95%前後という回収率を目にしましたが、御社の回収率はどの程度でしょうか。

A:100%まではいきませんが、それに近いところで高止まりしています。取引先は大手の不動産管理会社が中心ですから、客層が良い事もその要因と言えるでしょう。家賃の全国平均は55,000円程度だったと認識していますが、大和リビング社の建物では、65,000~70,000円になります。それだけ可処分所得の高い方が入居される、もしくは厳しい審査を通って入居されると言う事だと思いますから、滞納率が低くなると思います。ただ、回収率は高ければ、高いほどいいと言うものでもありません。回収率が99%を超えるような事になると、少し問題があるかもしれません。回収がきつい、と言う事になりますから。

Q:御社の保証サービスは家賃債務保証だけではありませんが、家賃債務保証を手掛ける上場2社と比べると、御社の営業利益率は群を抜いています。回収率の差が大きいのでしょうか(17/3期:同社22.4%、あんしん保証11.4%、ジェイリース8.2%)。

A:回収率で差が付いている事もあるのでしょうが、基本的に戦略が違うのではないかと思います。拠点数が少ない事からもわかるように(同社7拠点、あんしん保証11拠点、ジェイリース22拠点)、当社には店舗展開して人海戦術で顧客開拓をすると言う考えはありません。ですから効率も良いと思います。当社の取引先は250社くらいですが、上場していない保証会社の取引先は2万社、3万社と謳っている会社もあるようです。当社は250社のうち230社程度と継続的に取引がありますが、2万社、3万社のうち、実際に稼働している取引先は少ないのではないでしょうか。ただ、家賃債務保証会社であれば、それでいいのかも知れません。これまでも、「当社は家賃債務保証会社です」と説明した事はなく、「当社は総合保証サービス会社です。総合保証サービス会社の商品の一つとして家賃債務保証を持っています」と言う伝え方をしています。ですから仕事のやり方も違います。

Q:なるほど。「総合保証サービス会社の商品の一つとして家賃債務保証を持っている」という事であれば、家賃債務保証に経営資源を集中している上場2社との比較はあまり意味がないようですね。実際、御社の特徴でもあるソリューションサービスが好調な事も、高い利益率の実現につながっていると思われます。この第1四半期は、営業利益率が当面の目標としていた25%を超えてしまいましたね(26.6%)。

A:そうですね、当社のソリューションサービスに相当するサービスは他社では、あまり聞きません。ただ、営業利益率は通年では25%弱になると思います。第1四半期の営業利益率が高かったのは4月が例年に比べて特に良かったためです。もちろん25%で頭打ちと言う訳ではなく、効率の良い事業をする事で30%程度にまで高める事ができると考えています。そのためには労働集約型のサービスではなく、付加価値の高いサービスを提供する事が必要です。付加価値の高いサービスを提供する事に知恵を使っていきたいと思います。一人当たりの売上や一人当たりの利益とか、パーヘッド(per head)を意識しています。生産性の高い、レバレッジが効いたビジネスをやらせてもらっても、お客様に納得してもらえる、「それが適正利潤だ」と評価して頂ける仕事や商品を模索している毎日です。難しい事ではありますが、そこを目指してやっていきたいと思います。

【今後の展望】
Q:家賃債務保証の利用率は未だ60%程度にとどまっており、今後の利用率の高まりが家賃債務保証の成長要因になる訳ですね。

A:民法が改正されましたし、家賃債務保証商品の存在そのものの認知度も高まってきましたから、利用率は遠からず95%程度にまで上がっていくでしょうね。現在、当社は、年間、約8万件の契約を獲得して、退去される方が4万人くらいですから、年間4万件くらいの純増ペースが続いています。

Q:ただ、残りの40%が、多いか、少ないか、はともかく、いずれ御社の業績も踊り場を迎えてしまいますね。

A:あと3年くらいと考えています。このため、当社は総合保証サービス会社として、医療費用保証や介護費用保証にも力を入れています。青天井でない事はわかっている訳ですから、そこから先の戦略を頭打ちになった時に始めても遅い訳です。いずれ飽和状態になる家賃債務保証の次の商品として、医療と介護を1年半くらい前に始めました。医療も介護も芽が出るのに時間がかかりましたが、ようやく仕込みが終わったところで、これからです。

Q:「仕込みが終わった」とは、具体的にどういう事でしょうか。

A:医療とか介護について、どうやれば販売できるのか、どうすれば数字が上がるのか、試行錯誤しながらやってきましたが、こうすれば売上が上がるだろう、と言う事が少しずつ実感として分かってきました。市場調査と仕込みが、ある程度できたかな、と言ったところ。実際の売上として形になってくるのは、今期後半から来期にかけてです。今でも売上は上がっていますが、開示するのは億単位になってからになるでしょう。来期の中間くらいには、芽が出てきた事をアナウンスできると考えています。

Q:その頃には、新たなセグメントとして開示したいと言う事でしょうか。

A:そうですね。医療のマーケットは大きいですから、そこでのパイオニアとして打って出ている、と数値で示す事ができれば、投資家の皆様からも評価して頂けるのではないでしょうか。

Q:医療、介護の他にも、家賃債務保証で培ったノウハウを活かして、新たな分野に展開していく訳ですね。

A:そうですね。詳しくお話しする事はできませんが、水道料金やガス料金の滞納、塾の月謝の滞納等、滞納は世の中に大量にある訳です。聞くところによると、月間で4000万件の滞納が発生しているそうです。そこでは、当社が家賃債務保証等でやっているように、保証とか、未入金案内ですとか、督促業務を、誰かがやっている訳です。自社で(機能を)持っている会社もあれば、外部に委託している会社もあります。「自社で持っているよりも、あるいは現在の外部委託よりも、こんなに効率良く、コストセーブもできます」とご提案できれば、当社のマーケットになっていきます。どうやって実現していくかを考える必要はありますが、潜在市場の大きさは理解して頂けるでしょう。ですから、当社は総合保証サービス会社なのです。

Q:なるほど。身近な分野だけでも事業展開の余地が大きい訳ですね。その中の一つとし取り組んでいる医療や介護の分野で実績が出てくると、投資家の皆さんは御社の潜在成長力を実感する事になるのでしょうね。今後の展開に期待したいと思います。最後に、株主や投資家の皆様へのメッセージをお願いします。

A:家賃債務保証は潜在マーケットが顕在化しました。今後も付帯率(利用率)の上昇と共に拡大していくでしょうが、先ほどもお話しましたように青天井ではありません。一方、保証の需要は家賃だけではありません。現在、当社はマーケットが顕在化した家賃債務保証で収益を上げていますが、潜在マーケットの顕在化に経営資源を投じています。当社が参入した2006年頃の家賃債務保証の付帯率は1割でしたが、今では6割です。これと同じ事を医療や介護でやろうとしています。家賃債務保証は総合保証サービス会社である当社の商品の一つです。当社を総合保証サービス会社として理解して頂き、評価して頂ければ、と考えています。

なるほど。現在の収益源を家賃債務保証としている点では上場2社と同じですが、目指しているものや取り組んでいる事が違う。そこを理解して欲しいと言う事ですね。実際、御社はソリューションサービスとして潜在需要を掘り起こして、新たなマーケットを創出しています。(株)インベストメントブリッジとしても、ブリッジサロンやブリッジレポートを通して、IRのお手伝いが出来ればと思います。
第1四半期決算発表後のご多忙中にもかかわらず、御時間を頂き有難うございました。桑原社長と御社の益々のご活躍とご発展をお祈り申し上げます。
今後の注目点
通期の業績予想に対する進捗率は、売上高24.9%、営業利益28.6%、経常利益29.6%、純利益29.0%。それほど極端ではないが、同社の業績が下期偏重である事を考えると、実際は進捗率から受けるイメージ以上に順調なスタートだったと思われる。家賃債務保証の利用率(付帯率)は未だ60%程度にとどまり、更なる利用率の向上が期待できる。しかも、保証サービス、ソリューションサービス共にストックビジネスであるため、当面の同社の業績拡大に疑問を挟む余地はない。ただ、同社は総合保証サービス会社として、様々な分野での保証業務の展開を目指しており、家賃債務保証のみにとどまる考えはない。この一環として、現在、医療費用保証と介護費用保証の育成に取り組んでいる。医療や介護の分野で存在感を示す事ができれば、改めて同社の潜在成長力が評価されるだろうし、総合保証サービス会社として評価を高める事もできるだろう。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年07月19日
基本的な考え方

当社は、「お客様にどれだけ喜んでいただけるか。」「お客様にどれだけ安心していただけるか。」「お客様にどれだけ信頼していただけるか。」を経営姿勢とし、事業拡大を図っていく中で、「コンプライアンスの維持と株主の利益を最大化すること」を重視し、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

<実施しない原則とその理由>
基本原則の全てを実施しております。

支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針

当社の親会社は、上場会社である株式会社プレステージ・インターナショナルであり、少数株主の権利保護については、重要な事項であると認識しております。当社は、独自の経営方針および経営戦略に基づいて、経営活動を展開しており、同社とは基本的な事業分野が異なることから、一定の独立性が確保されていると考えています。なお、親会社である株式会社プレステージ・インターナショナルとの取引等を行う際は、当該取引等が、当社の経営健全性を損なっていないか、合理的判断に照らし合わせて有効であるか、及び取引条件が他の外部取引と比較して著しく相違しないこと等を十分に確認するものとしております。

その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情

当社は、株式会社プレステージ・インターナショナルの連結子会社に該当いたします。2017年3月末時点で、同社は、当社の株式の62.54%を間接的に保有しております。当社は、サービスの提供、業務の委託、役員の兼任など一部の取引関係及び人的関係を有しておりますが、同社との取引関係及び人的関係は限定的であり、当社の経営方針及び事業展開において、当社の独立性を阻害する状況にはありません。

株式会社インベストメントブリッジ
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