(8793:東証1部) NECキャピタルソリューション 短中期的にはリサ事業や海外事業の伸長が大きなカギ握る

2017/07/26

NECcapital

今回のポイント
・NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社。ファイナンス・リースを中心とした賃貸・割賦事業が売上の約8割を占める。顧客の半数が官公庁・自治体というNECとの関係をベースとした安定した事業基盤、ICTと金融の融合などが大きな特長・強み。事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV経営を目指す。・17/3期の売上高は、前期比6.5%増の2,157億円。リサ事業における販売用不動産の売却やヘルスケア関連の売却により増収。リサ事業、グローバル事業や太陽光ビジネスなどにおける売上総利益の増加により、販管費増を吸収し、営業利益は同23.7%増加の60億円、経常利益も同8.4%増加の65億円となった。計画に対して売上、利益共に上回った。

・18/3期の売上高は前期比7.3%減の2,000億円の予想。前期にヘルスケア関連の売却があったため前期比では減収。営業利益は同24.5%増の75億円を見込む。配当は前期と同じ44円/株の予定。予想配当性向は27.1%。

・『ビジョン実現に向けた「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」の期間』と位置付けた3年間の新中期計画2017を策定した。最終年度2020年3月期の経常利益85億円、当期純利益45億円、ROA1.0%を目指す。

・成長性という点では主力のリースビジネスの事業環境は決して明るいものではなく、それを織り込んで同社に限らず他社もPER、PBRの評価は芳しいものではない。そうした中で、安定した顧客基盤を活かしながら、多様なソリューション提供力を収益性向上、利益成長に繋げることができるかが同社の大きな課題となる。CSV関連の新事業は現時点ではまだ長期的な視点で見るべきであろう。その意味で、短中期的には収益性の高いリサ事業や海外事業の伸長が大きなカギを握ると思われる。

会社概要

NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社。ファイナンス・リースを中心とした賃貸・割賦事業が売上の約8割を占める。顧客の半数が官公庁・自治体というNECとの関係をベースとした安定した事業基盤、ICTと金融の融合などが大きな特長・強み。事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV経営を目指す。

従業員全員が企業理念に基づくそれぞれのミッション、バリュー、ビジョンを明確に捉え、顧客の信頼に足るベストパートナーを目指している。

また、同社では以下のようなグループビジョンを2013年10月に制定した。
今後10年間にわたり、グループで共有して目指す方向性であり、ありたい姿を文言化したもの。
同社を取り巻く外部環境及び内部環境は絶えず変化する事が予想されるが、どんな変化に対しても事業展開がぶれないよう、同社の拠り所とするものである。

このグループビジョンでは、事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV(Creating Shared Value)の概念に基づく経営を目指すという方向性を打ち出した。

近年、企業が永続的に存在するためには、より豊かな社会の創造に貢献する社会価値を創造することが求められるようになっており、同社もCSV経営という考えを中心に据えて、10年後のありたい姿を明確にし、持続的な成長を目指していきたいと考えている。

同社はこれまでもCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を強く意識した事業展開を行ってきた。
リース事業が循環型産業であることにいち早く着目し、リース満了品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)処理や環境に配慮した機器をリースする「エコリース」の拡販に取り組んできたのはその一例。
また同社が得意とする官公庁向けのビジネスでは、社会インフラ構築そのものの支援をしている。
このような素地を足掛かりに、CSRから一歩進んで、事業そのものを通した社会価値の向上に貢献していきたいと考えている。

【1-3 市場環境など】
◎リースの仕組み

同社の売上の大半を占める「リース取引」の仕組みは以下のとおり。

プレーヤーは以下の3者。

日本では、リース会計基準により、リース取引は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つに区分される。

<ファイナンス・リース>

以下の2要件を満たすリースを指す。
① リース期間の中途での解約が禁止されている。(中途解約禁止)

② 物件金額と付随費用(賃貸人の調達金利、税金、保険、手数料など)合計が、リース料で概ね全額(90%以上)回収されること(フルペイアウト)。つまりリース料総額は「物件金額+付随費用」となる。

ユーザーには、事務管理の省力化、コスト削減、多額の初期費用が不要など様々なメリットが生じる。

ファイナンス・リース取引は、さらに、「所有権移転外ファイナンス・リース」と「所有権移転ファイナンス・リース」に区分される。
「所有権移転ファイナンス・リース」は譲渡条件付きリース、購入選択権付リース、特別仕様物件のリースの3つで、限定的。
「所有権移転外ファイナンス・リース」は、「所有権移転ファイナンス・リース」以外のファイナンス・リースで、ファイナンス・リースの大部分は「所有権移転外ファイナンス・リース」となる。

<オペレーティング・リース>

ファイナンス・リース以外のリースのこと。
つまり、上の2要件のうち両方、もしくはいずれかを満たさないリース。
通常は「②フルぺイアウト」の要件を満たさない仕組みのリースである。
将来価値が見込まれる機器や設備に関し、その価値をあらかじめ見込んだリーススキーム。

オペレーティング・リースを行う場合は、まずリース終了時点におけるリース物件の中古物件価値(残存価額)を見積もり、物件金額から残存価額を差し引いた金額をベースにしてリース料を設定する。
残存価額は、ユーザーがオペレーティング・リース取引を希望する物件について、リース会社が「中古市場の有無や動向」、「経済情勢」、「同一物件の過去の実績」、「ユーザーの使用状況」などから将来の市場価値を予測して設定する。
このため、オペレーティング・リースにおけるリース料総額は、物件金額よりも小さく、ファイナンス・リースと比べて安くなる。

同社が扱うのは主として「ファイナンス・リース」だが、一部航空機、船舶、建物などを対象としたオペレーティング・リースも取り扱っている。

◎市場動向・規模

公益社団法人リース事業協会の統計によれば、2016年度のリース取扱高は約5兆円。
2008年4月に導入された新リース会計基準(※)及び同年9月に発生したリーマンショックの影響により、取扱高は大きく減少した。
ただ、中堅・中小企業には新リース基準が適用されないこと、前述の様なオフバランス以外のファイナンス・リースのメリットは依然魅力的であることから、近年は5兆円近辺で推移している。

一方、リース会社間の競争に加えて、マイナス金利政策の導入で事業環境が悪化している地方金融機関が、リース会社の取引先を含めたこれまでは融資対象としていなかった先に対しても貸出を積極化させており、競争は激化している。
サービスの多様性、高付加価値化など、差別化要因の確立がリース会社各社に求められている。

(※)新リース会計基準:2008年4月の導入。それまでは、所有権移転外ファイナンス・リース取引は所有権の移転が無いことから賃貸借処理(オフバランス)が認められていたが、新基準では原則廃止となり、 売買処理(オンバランス)が原則となった。原則としてリース開始時に貸借対照表に「リース資産」、「リース債務」を計上。また、リース資産に係わる減価償却費とリース債務に係わる利息相当額を、それぞれ損益計算書に計上する。
適用対象会社は、金融商品取引法が適用される上場会社並びにその子会社及び関連会社または、会社法上の大会社 (資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社)。
中小企業は、従来通り、賃貸借処理(オフバランス)を継続できる。資本金5億円未満かつ負債総額200億円未満の株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社または合同会社は、新リース会計基準の適用を受けず、従来通りの賃貸借処理(オフバランス)が認められている。

多くのリース会社が、PBR1倍割れの状況にある。同社においても、後述の「中期計画2017」における収益性の向上に加え、投資家に対する認知度の向上、特徴や強みおよび競争優位性といった点の理解促進が不可欠である。

【1-4 事業内容】
1.事業セグメント

事業セグメントは賃貸・割賦事業、ファイナンス事業、リサ事業、その他の事業の計4つ。

◎賃貸・割賦事業

リース事業および割賦販売事業を行っている。

ファイナンス・リース以外には、保守契約をセットしたスキームである「メンテナンス・リース」、オフバランスが可能な「オペレーティング・リース」、ICT機器を対象とした解約自由の残価設定型オペレーティングリースである「Nレンタル」サービスなど、様々なサービスを提供している。

オペレーティングリースは通常、経年による価値低下が緩やかでリース契約期間満了後もある程度の価格で売却可能な飛行機や船舶といった資産が対象となり、陳腐化の速いPC等ICT機器は対象とし難いが、同社の「Nレンタルリース」は、ICT機器を再生することで価値を高めてこの課題をクリアし、世界の中古市場へ販売している。

このようにどのようなタイプのリースであってもリースされた製品は必ず返却されることから、同社ではリースは資源循環型社会に貢献するサービスであると捉え、リース満了品のうち再販可能なICT製品をリユース中心に3R処理し、資源循環型社会づくりにつなげている。

割賦販売はユーザーの設備投資における資金ニーズや設備所有ニーズに対して、ユーザーに代わって同社が設備を購入し、ユーザーへ割賦販売する事業。購入代金や金利等は分割で回収する。

近年は、取り扱う営業資産の多様化を進めており、太陽光パネル等の再生可能エネルギー関連設備、建物、航空機、船舶等にも取り組んでいる。

◎ファイナンス事業

主に「企業向け貸付」や「ファクタリング」から構成される。
企業向け貸付は、主に「各種債権流動化プログラムの提供」や「設備投資向けストラクチャードファイナンスの提供」等を行う事業。
ファクタリングは売掛金の早期回収を実現し、企業の資金調達負担を軽減するサービスである。
これらのサービスは新規の顧客を主力のリース事業に結び付けるためのきっかけづくりとしての役割も担っている。
この他、有価証券の投資業務等も行っている。

◎リサ事業

金融サービスの多様化を目的に2010年12月に連結子会社とした株式会社リサ・パートナーズが展開する事業。
顧客企業の抱える経営課題に対し、資金面で支援する「投融資」と、金融・不動産を軸に専門的見地から助言する「アドバイザリー」の両面から、解決策を提供している。
事業成長支援、資本効率改善、債権の健全化、不動産の有効活用など、幅広い課題にワンストップで対応できるのは、各専門分野のプロフェッショナルが多数在籍している同社ならではの強みである。

中でも同社が得意としているのが、170を超える地域金融機関とのネットワークを活かした地域企業の活性化支援。
その強みを活かして2014年3月には、日本政策投資銀行、地域経済活性化支援機構と共に「観光活性化マザーファンド」を設立している。
このファンドは全国各地の観光産業の活性化を目的とし、宿泊、飲食、観光物産品の製造・販売、地方交通等、観光関連の事業を幅広く投資対象としている。同ファンドを通じて、国内各地で、地域ごとの豊かな観光資源を活かした経済活性化に貢献することで、観光大国としての日本経済の成長に寄与していきたいと考えている。

◎その他の事業

ストラクチャードファイナンスの組成手数料等の様々な手数料収入が計上される他、賃貸事業において同社が保有するリース満了・中途解約物件を売却する中古品売買、保守料の回収、顧客の債権管理に関する業務効率化やアウトソーシングニーズに対し同社が業務を代行するサービスなどがある。
CSV観点の新しいニーズの開拓と事業化を推進する中で新たに取り組むこととなった太陽光発電事業、PFI事業、ヘルスケア事業の手数料もこのセグメントに含まれる。

(ICT関連事業)

ICTのライフサイクルである導入、利用、廃棄まですべての領域で顧客のICT資産の運用・管理の最適化をBPO(Business Process Outsourcing)型クラウドサービスで支援している。
また契約満了後のICT機器は、子会社のキャピテック&リブートテクノロジーサービス株式会社によって再生し、海外を含む独自のルートで中古販売している。

(PFI事業)

PFI(Private Finance Initiative)は、民間資金を活用した社会資本整備、つまり民間の資金、経営能力及び技術能力を活用して公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う官民連携事業。
一般的にはプロジェクト・ファイナンスによる資金調達の組成が必要となるため、専門スタッフが事業に最適なストラクチャーを構築し、低利な資金調達の支援、官公庁への提案書作成等、事業者側に立ったサービス提供を行っている。

(ヘルスケア事業)

投資家から募った資金をヘルスケア施設に特化して投資する不動産投資信託証券「ヘルスケア REIT」を中心に展開している。

(再生エネルギー関連事業)

CSV経営の一つとして、SPC(特定目的会社)を通した太陽光発電事業の他、地域新電力会社の運営、電力の買い取り及び販売を行っている。
2015年10月には、「エネルギーの地産地消」というコンセプトの下、浜松市や株式会社NTTファシリティーズ、浜松市内の金融機関や民間企業と共に地域新電力会社「株式会社浜松新電力」を設立した。
浜松新電力は、市内の太陽光発電事業者等から電力を買い取り、小中学校をはじめとした市内の公共機関を中心に電力を販売している。地域産のエネルギーを地域内で消費することで、外部からの供給に頼らない電力の安定確保が実現でき、加えて、電力供給に関わる資金や資源を市内で循環させることで、地域経済の活性化にもつなげていく。

2.海外展開

現在、香港、シンガポール、マレーシア、タイにに現地法人を設立し、海外展開を進めている。
通常海外拠点設立に際しては、相当の準備と期間が必要になるが、同社はNECの海外戦略に呼応し、既にNECがサービスを展開し注力しているマーケットに対し、金融面のサポートをするという形をとりリスクの低減を図っている。
現地企業への対応、アジアへの進出を図る日本企業の支援等も含め、事業を拡大していく考えだ。

【1-5 特長と強み】
①NECとの関係をベースとした安定した事業基盤

NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社である同社は、設立以来NECと顧客基盤を共有してきたことから、顧客の5割以上を占める官公庁大企業を中心とした安定した顧客基盤を有している。
また、契約実行高の3分の2近くがNECやNEC系販社からのものとなっている。NEC製品については、メンテナンスリースやベンダーファイナンスプログラム等、NECの製品・サービスと組み合わせたメーカー系ならではのリースも提供している。

NECとは戦略的なパートナーシップの構築を推進している。
NECが顧客に行うシステム等の提案活動に際し、同社はその上流工程から参加し、販売方法について検討を行い、「チームNEC」として提案活動を行っている。
NECは競合先との差別化を図った提案ができ、同社は他の金融サービス会社と競合することなく商談を進めることができ、両社ともメリットを享受している。

リース契約は平均5年程度という長期間にわたり、顧客と取引をするビジネス。
メーカーが機器を販売した後も、同社と顧客の取引は続いており、新たな顧客の課題を知ることもでき、こうした顧客との関係から、同社からNECに新規のビジネスチャンスを紹介することもある。

②「ICT」と「金融」の融合

様々な種類の設備についてリースを提供している同社だが、中でもNECの販売促進のための金融会社として歩んできた経緯から、ICT製品のリースの取扱割合が7割と高くなっている。
こうしたバックボーンを背景に、多くのリース会社の中で同社の存在を特徴づけているキーワードが『「ICT」と「金融」の融合』だ。

「ICT」と「金融」が融合した同社ならではのサービスの代表例が「PITマネージドサービス」。
利用に際して各種の設定や管理が必要となるPCを始め様々なデバイスやソフトウェアなどICT資産の「調達、展開から運用管理・資産処分」に至るまでのライフサイクルを管理する各種サービスをワンストップで提供するBPO型クラウドサービスである。

パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末等のマルチデバイスに柔軟に対応し、NECに限らず複数のメーカーを取り扱い、顧客の状況に合わせたベストな提案を行っている。
また、最新の技術・サービスを取り入れたクラウドサービスにより、トータルコストの削減とクオリティ維持に貢献している。
加えて、サービスデスクを運営し、コンプライアンスやセキュリティを考慮した各種サービスを提供して顧客のバックオフィス機能の業務を代行する。

NECとの戦略的な連携という強固な事業基盤の上で、ICTに関する豊富な知見を武器に、幅広い金融ソリューションを提供しているのがNECキャピタルソリューション株式会社である。

③CSV経営

同社を特徴づけるもう一つのキーワードがCSV経営だ。
2013年10月、自社の存在意義を明確にし、持続的成長を追求するためには決してぶれることの無い指針が必要と考え、採り入れた。

前述の様にCSVは、事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するという考え方。
2011年、「競争戦略論」で有名なマイケル・ポーター教授が、ハーバード・ビジネス・レビューで提唱した。
社会に対する責任や活動としてはCSRが有名だが、CSRが、コンプライアンス(法令順守)や、環境マネジメント、フィランソロピー(社会貢献的活動)など本業の周辺における活動であるのに対して、CSVは、本業、事業そのものでの戦略的展開が重視される。

CSVは、CSRより一歩進んで、社会的価値の実現を通じて企業価値、事業価値や競争力を向上させる新しい動きとして理解されはじめている。

取り組み事例①:「環境・復興支援シンジケートローン」

「環境・復興支援シンジケートローン」は、環境に配慮した事業を指向する企業の支援や、東日本大震災の被災地の復興支援を目的とするもので、日本政策投資銀行(DBJ)との連携により、全国の金融機関の協力を得てシンジケートローンを組成し、その趣旨に沿った案件に資金を活用している。
2012年に組成を開始し、2013年10月には第15回グリーン購入大賞における最高賞の「大賞・環境大臣賞(協働プロジェクト部門)」を受賞するなど、高く評価されている。

取り組み事例②:「次世代自動車用充電インフラ整備プロジェクト」

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)等、環境にやさしい次世代自動車の普及拡大に不可欠な充電スタンド等のインフラを整備するためにNECグループで「次世代自動車用充電インフラ整備プロジェクト」を推進している。
顧客となる大型商業施設や公共施設等、大規模導入が可能な施設を運用する企業・自治体への提案を行うこのプロジェクトにおいて同社はファイナンス関係を担当。充電器等の導入にリースを活用するとともに、政府からの補助金を活用することで、導入時の初期投資を限りなくゼロに抑える仕組みを提案した。
首都圏を中心とした複数の施設で運用が始まっている。

CSV経営は、全社員が自分の部署において何をなすべきかを話し合ったほか、社長が支店を含めた全部門と議論するなど理解、浸透を図った結果しっかりと定着しているが、新中期計画2017の策定を契機に改めてリマインド、ブラッシュアップを図る考えだ。

一定規模のリース資産を保有する必要があるため業態的に総資産回転率の上昇はなかなか難しいだろうが、マージンの向上によるROEの上昇が課題となる。

【1-7 株主還元について】

主力の事業であるリースは、契約期間が長く、定期的にリース料を受領するビジネスモデルであるため、ベースとなる収益は安定的な推移となっている。こうした事業の特性から、配当方針も安定配当を第一としている。
また、株主優待制度を設けており、3月末現在の株主を対象に年に一度実施している。
1年以上保有すると株主優待品がランクアップする仕組みとなっている。

2017年3月期決算概要
増収・増益。計画達成。

売上高は、前期比6.5%増の2,157億円。リサ事業における販売用不動産の売却やヘルスケア関連の売却により増収。
リサ事業、グローバル事業や太陽光ビジネスなどにおける売上総利益の増加により、販管費増を吸収し、営業利益は同23.7%増加の60億円、経常利益も同8.4%増加の65億円となった。計画に対して売上、利益共上回った。

*賃貸・割賦事業

増収・減益。
業界全体のリース取扱高については前年比1.3%の減少で、同社の主力である情報通信機器のリース取扱高は同2.6%の減少と市場環境は低調だったが、増収を確保。
貸倒引当金繰入額の計上等により、営業利益は減少した。
業種別の契約実行高は、官公庁領域は復調したが、民需領域における前年の大型案件計上や期ズレの影響が大きく、前年比減少し全体では、前年比16.4%減。
成約高についても、官公庁領域が前年比増加となったが、民需領域での落ち込みが影響し、前年比減少し、全体では、同1.6%減となった。

*ファイナンス事業

減収微増益
減収だったが、貸倒引当金繰入額の減少等により、営業利益は前年レベルを確保した。
契約形態別の契約実行高は、個別ファクタリングと企業融資が前年比増加。海外事業の実績も寄与し、ファイナンス事業全体では前年比16.0%の増加。
業種別では、製造業及び不動産業等が前年比増加となり、民需全体で同25.0%増加した。

*リサ事業

増収増益
(アセットビジネス)
前年に大型案件があったため減収だったが、営業投資有価証券の売却等により増益だった。

(不動産)
既存不動産の売却に伴い増収・増益となった。

(アドバイザリー)
M&A関連の手数料収入増により増収・増益となった。

リース債権及びリース投資資産は減少したが、現預金、営業貸付金、投資有価証券の増加などにより資産合計は前期末比315億円増加の8,604億円。
長短有利子負債の増加により負債は同237億円増加の7,516億円となった。利益剰余金の増加により純資産は同77億円増加の1,088億円。
自己資本比率は前期末と変らず、9.2%。

民需領域における取扱が伸長したことに加え、グローバル事業の展開に伴い営業貸付金融資残高が増加した。
ファンドビジネスの進捗によりリサ事業の残高も増加した。

◎資金調達状況

資金原価率(資金原価 ÷ 有利子負債平残)は前年比0.03ポイント減の0.68%。
長期借入のCPシフト、調達スプレッドの削減等、各種施策により減少した。
有利子負債合計に占めるCP、社債、債権流動化の構成比である直接調達比率は、CP残高増加により前期末の27.0%から33.9%へ上昇した。

営業貸付金の増加があったが、販売用不動産およびリース債権及びリース投資資産の減少により営業CFのマイナス幅は縮小した。
投資有価証券の取得による支出額の減少などにより投資CFのマイナス幅およびフリーCFのマイナス幅は縮小した。CPの増加などにより、財務CFのプラス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。

2018年3月期業績予想
減収増益を予想

売上高は前期比7.3%減の2,000億円の予想。前期にヘルスケア関連の大型不動産売却があったため前期比では減収。
営業利益は同24.5%増の75億円を見込む。
配当は前期と同じ44円/株の予定。予想配当性向は27.1%。

中期計画2017概要

同社は事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、企業と社会双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指し、グループビジョンに掲げている。
このビジョンに基づき、CSV経営実現に向けた10年間のロードマップを三段階に分割しており、第一段階である「中期計画 2014」が終了したことに伴い、「中期計画 2017」を策定した。

(1)中期計画2014の振り返り

「コア領域の基盤再構築とビジョン実現に向けた仕掛けの構築」をテーマとした「中期計画2014」は、異次元の金融緩和による競合激化を受け、従来型のリース・ファイナンスが伸び悩み、数値面では当初計画を下回る結果となった。ただ、各事業領域の収益拡大や新たな収益源の確保が進み、2016年度における見直し後の計画値は達成することができた。

また、各種施策が着実に進捗し、コア領域の基盤再構築及び新事業の仕掛け構築についても一定の成果を得る事が出来たと考えている。

(2)新中期計画2017概要

この3年間を『ビジョン実現に向けた「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」の期間』と位置付けている。

①事業戦略
<コア領域の完成>

各種付随収益が期待できるリースにこだわった事業を展開すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力や社内外とのシナジー創出に注力しながら、強みを活かした同社らしい「サービス」の確立に取り組む。

<新事業の立ち上げ>

地域活性化や労働人口減少等の社会課題解決に対する事業への取り組みを推進する。

以下の5領域で事業戦略を展開する。

<経営基盤強化戦略>

事業戦略を支える経営基盤を強化する。

収益性向上を図りつつ成果を刈り取り、着実に増益を達成する。

今関社長に聞く

新社長に就任した今関 智雄社長に、自らのミッション、同社の強み、今後の成長戦略、投資家へのメッセージなどを伺った。

Q:「社長ご就任にあたり、ご自身のミッションは何であるとお考えですか?」
A:「確実に第2ステップを積み上げ、ビジョン実現の確度を更に高めるのが私に課せられた役割だと考えています。」

当社は2013年10月、ありたい姿を示すグループビジョン「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を制定しました。
その実現に向け、3段階で進んで行くのですが、最初のステップがこの2017年3月期で終了した「中期計画2014」でした。しっかりと仕掛けづくりができた第1ステップを受けて確実に第2ステップを積み上げ、ビジョン実現の確度を更に高めるのが私に課せられた役割だと考えています。

Q:「社長がお考えになる御社の強み、特長は何でしょうか?」
A:「安定した顧客基盤、NECの信頼感、迅速な意思決定や行動力、多様な金融ソリューションの提供等が当社の強み、特長です。」

主に4つ挙げることができます。

まず一つは、安定した顧客基盤です。
当社はNECの汎用大型コンピュータ、いわゆるメインフレーム等NEC製品のリース取扱いからスタートしました。
NECは特に官公庁や自治体などに強く、当社もそのため官公庁、自治体のお客様を沢山持つことができました。
NECとの緊密な関係から生まれた安定した顧客基盤は当社の優れた資産となっています。

二つ目はNECの信頼感です。
当社では独自商流と呼ぶ、NEC商流とは別の見込み客の開拓に力を入れています。
独自商流の新規見込み先にアプローチする場合、まず話を聞いてもらうことでさえも難しいのが一般的でしょうが、「NEC」の3文字を冠した当社の場合、そうした見込み先であってもファーストコンタクトを比較的容易に頂くことが可能です。
NECのグループ会社であるという信頼感は大きなメリットとなっています。

三つ目は迅速な意思決定や行動力です。
売上規模で言えば上場しているリース会社の中では下位に位置する当社ですが、小回りが効く、スピード感がある、臨機応変な対応が可能など、迅速な意思決定や行動力という当社ならではのアドバンテージを活かして、お客様に付加価値をご提供しています。

四つ目は多様な金融ソリューションの提供能力です。
2013年に掲げたグループビジョン実現に向け、具体的には航空機、船舶、建物や、太陽光発電装置を中心としたエネルギー関連など多様なアセットの積み上げを進めています。
また、リースにとどまらず、融資、不動産、M&Aアドバイザリーなど多様な金融ソリューションを提供できるのも当社ならではの差別化要因の一つであると是非知っていただきたいと思います。

また、多様な金融ソリューションの提供を可能にしている要因の一つとして、当社の企業風土が挙げられます。
幅広い金融サービスを提供するために、銀行、証券会社、商社など様々なキャリアの人材を中途採用で確保していますが、こうした多様な人材を受け入れ、全員で一つの目標に向かっていくという当社の企業風土、企業文化が多様な金融ソリューションの提供に繋がっています。
加えて多様性という意味では、リサ・パートナーズを子会社化したことの意味も極めて大きいと考えています。

Q:「続いてありたい姿に向けた取り組みについて伺います。前期で終了した中期計画2014を振り返ってください。」
A:「残念ながら当初の利益目標は未達となってしまいましたが、着実に様々な成果を残し今後のための仕掛け作りを行う事ができた3年間でした。」

計画策定当初には想定していなかったマイナス金利の導入により利ザヤが大きく縮小したため、残念ながら当初の利益目標は未達となってしまいました。一方で、実に様々な成果を残し今後のための仕掛け作りを行う事ができた3年間でした。

一つ目の成果は、事業基盤をさらに強固なものとすることができた点です。
リース、企業融資などの営業資産を着実に積み上げ、それに伴い様々なノウハウの蓄積を進めました。またリサ事業も安定的に利益を稼ぎ出せるようになりました。

次に、NECとの連携を強化および再構築できたことも大きな進展でした。
2008年の新リース会計基準導入でリース資産のオフバランスが認められなくなり、大企業はリースを選択するインセンティブを大きく低下させました。
NECの顧客は大企業が中心であるため当社もその影響は避けられず、事業拡大のために独自商流への営業に力を入れた結果、民需領域におけるNECとの共調がややスローダウンしてしまいました。
これを反省し、再度NECとの連携を強化すべきと考えていたところ、2013年に同社が「社会インフラ整備」を重要事業ドメインとして取り上げ、インフラ整備におけるファイナンス機能の必要性を再認識したことに歩調を合わせ、当社から積極的な各種提案を行っていきました。
こうした取り組みの結果、2017年4月には、NECが建設を行う香港とグアムを結ぶ光海底ケーブルプロジェクト向けシンジケートローンをリードアレンジャーとして組成することができました。これは当社にとって海外プロジェクト向けシンジケートローン組成の第1号案件であり、事業の幅を広げる大きな一歩となりました。
これまでの海外インフラ整備は、ODA(Official Development Assistance、政府開発援助)が中心でしたが、現在では民間資金が中心となりつつあり、今後も活躍の場は大きく広がるものと考えています。

また、当社が標榜しているCSV経営に繋がる仕掛け作りが進んだ点も大変心強く思っています。
当社ではCSV経営の実現を目指すに当たり、注力領域として「エネルギー」、「ヘルスケア」、「観光」、「農業」という4つを挙げていますが、株式会社浜松新電力の立上げ、秋田県における農地所有適格法人設立による農業ビジネスへの参入、山形県におけるDMC(※)への出資など各領域で実績を上げることができました。

特に「エネルギー」、「観光」、「農業」は地域活性化と密接な関係にあります。地方自治体を多く顧客に持ち、又子会社リサ・パートナーズが地域金融機関と太いパイプを持っている当社グループは多くの情報を入手することができるため、より多くの事業機会を創出できる大きなアドバンテージを有しています。
今後は、案件を一つずつ丁寧に仕上げながら、横展開を進めていきたいと考えています。

(※)DMC(Destination Management Company、デスティネーション・マネージメント・カンパニー
観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人。DMO(Destination Management Organization)も同様の機能を担う組織。
官公庁のHPには、「日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。」と記載されている。
Q:「では新中期計画2017のポイントをお話し下さい。」
A:「コア領域の完成においては、幅広いソリューションの組み合わせやスピード感など、当社らしさを十分に発揮させ各テーマに取り組んでいきます。新事業については、仕掛け作りは出来たので、早期の収益化を目指します。」

当社では新中期計画2017を、『「コア領域の完成」とビジョン実現に向けた「新事業立ち上げ」の期間』と位置付けている訳ですが、まずコア領域においては、幅広いソリューションの組み合わせやスピード感など、当社らしさを十分に発揮して、「NECとの戦略的なパートナーシップの確立と深耕」、「独自商流における顧客基盤の拡充」、「高い利益成長の源泉を確保」という各テーマに取り組んでいきます。
その実現のためにはより強固な組織作りも必要だと考えています。

新事業については、仕掛け作りは出来たので、早期の収益化を目指します。
先ほど挙げた4分野は規制緩和も進み大変魅力的な市場ですが、その分参入も多く競争が激しいマーケットです。
スピードと提案力が勝負を決めることとなりますので、こちらでも当社の強みを活かして勝ち残っていきたいと考えています。

数値目標においては収益性の向上が大きな課題であると認識しています。
リースやファイナンスのみではROAの改善は難しいでしょうから、ファンドビジネスや、地方自治体に強いという点を活かしたPFIの収益拡大などが不可欠だと考え、取り組みを強化していきます。

社内では、「掲げたグループビジョンを絶えず意識するように」と常に言っています。
物販などと違いリースは、今日の行動が今日の売上、利益に繋がるものではなく、2年間、3年間あるいは5年間にわたって利益となって帰ってくるビジネスです。
ですので、社員自らが自分および会社の将来をしっかりと意識していないと、現在ただいま何のために仕事しているのか不明確になってしまう恐れがあります。
そうならないようにするには、ビジョンの実現に向けて社員が全員で常に考え、行動することが欠かせません。
そして、これが実現できれば当社はさらに大きな強みを持った企業へと成長できるはずです。
社員にそのための動機付けを行い、意識を高めてもらうための適切な情報提供は、経営者としての大きな役割だと考えています。

Q:「最後に株主や投資家に向けたメッセージをお願いいたします。」
A:「当社は単なるリース会社ではありません。CSV経営実現に向け、その具体的な姿が徐々に見えつつあります。是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います。」

まず、当社は単なるリース会社、金融サービス提供会社ではないという点をご理解ください。
CSV経営の実現によって、様々なソリューションの提供を通じて社会のお役に立ちながら確実に利益を生み出す事を目指している会社であり、その具体的な姿が徐々に見えつつあります。
そうしたチャレンジを続ける当社を、是非中長期の視点で応援していただきたいと思います。

今後の注目点
成長性という点では主力のリースビジネスの事業環境は決して明るいものではなく、それを織り込んで同社に限らず他社もPER、PBRの評価は芳しいものではない。
そうした中で、安定した顧客基盤を活かしながら、多様なソリューション提供力を収益性向上、利益成長に繋げることができるかが同社の大きな課題となる。
CSV関連の新事業は現段階ではまだ長期的な視点で見るべきであろう。
その意味で、短・中期的には収益性の高いリサ事業の伸長が大きなカギを握ると思われる。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年6月30日

<実施しない主な原則とその理由>
「コーポレートガバナンス・コードの各原則について全てを実施しております。」と記載している。

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