(4634:東証1部) 東洋インキSCホールディングス インド、トルコ、ブラジルなど拡販

2017/07/05

toyoink

今回のポイント
・国内印刷インキ首位。インキ製造の原材料である顔料や樹脂の加工技術を活かし、液晶用カラーフィルター材料、電磁波シールドフィルムなど多角的に製品を展開。国内外67社の連結子会社、10社の持分法適用関連会社でグループを構成。世界24か国で事業を展開している。「中期経営計画SCC-Ⅲ」において「スペシャリティケミカルメーカーからサイエンスカンパニーへの変革」を標榜。新製品の開発と海外展開の加速による成長を目指している。・17/3期の売上高は前期比5.2%減の2,684億円。インド、トルコ、ブラジルなどでの拡販、メディカル市場での伸長があったが、円高の影響がマイナス155億円と大きかったほか、オフセット印刷材料・機器やグラビア溶剤などリセール品が低迷し、不採算製品の整理や販売価格の見直しも行ったため減収となった。営業利益は同4.1%増の192億円。為替変動、販売価格の下落、高機能製品の減少はあったが、原材料価格低下、海外市場での拡販による販売数量増効果などでカバーした。利益率も改善した。

・今期より決算期を12月に変更し、9カ月決算となるため前期比は参考値となるが、堅調な業績推移を見込んでいる。売上高は前期比2.7%増の2,350億円の予想。全てのセグメントで増収を見込んでいる。営業利益は同5.0%増の166億円。利益についても全セグメントで増益となる。配当は前期と同水準16.00円/株を予定。予想配当性向は46.7%。為替は1USD=100円、1EURO=115円、1RMB=16円の前提。中期経営計画「SCC-Ⅲ」の総仕上げと行うとともに、次期中期経営計画に向けた準備期間として次のステップアップにチャレンジする年と位置付けている。

・売上高は前期比減収で計画未達ではあったが、利益はほぼ計画通りで増益となった。期中の進捗はスローであったので健闘した前期決算だったと言えよう。株価も下押しすることなくTOPIXも上回り堅調な展開が続いているが、同業他社からは一歩出遅れた展開となっている。環境の大きな変化もあり、残念ながら「SCC-Ⅲ」の目標数字には大きく届かない結果となってしまったが、次の長期構想「SIC27」での巻き返し、飛躍を期待したい。既存事業においては種蒔きが実を結びつつある海外

会社概要

国内印刷インキ首位。インキ製造の原材料である顔料や樹脂加工技術を活かし、液晶用カラーフィルター材料、電磁波シールドフィルムなど多角的に製品を展開。国内外67社の連結子会社、10社の持分法適用関連会社でグループを構成。世界24か国で事業を展開している。「中期経営計画SCC-III」において「スペシャリティケミカルメーカーからサイエンスカンパニーへの変革」を標榜。新製品の開発と海外展開の加速による成長を目指している。

【沿革】

1896年(明治29年)、創業者 小林鎌太郎が東京日本橋で個人経営の「小林インキ店」を開業したのが始まり。1907年(明治40年)に東洋インキ製造株式会社に改組。明治期に入り、読売新聞(1874年創刊)、朝日新聞(1879年創刊)を始めとした多数の新聞や雑誌が創刊されたほか、富国強兵の下、教育水準向上のための教科書の制作を始めとした政府関係の印刷物も増加し印刷用インキの需要は急拡大していった。
当初は輸入品が中心であったが、良質な国産インキへの転換が国策として推し進められる中、高い技術力を持った同社は、民間印刷会社に加え、大蔵省印刷局を始めとした政府機関への納入も拡大し、輸出も増加した。また、原材料の顔料・樹脂から印刷用インキまでの一貫製造にもいち早く取り組んだこと、創業時から、印刷会社最大手の1社となった凸版印刷株式会社との関係が深かったことなども成長の背景として挙げられる。関東大震災、太平洋戦争といった困難な時期を切り抜け、戦後高度経済成長期に再び急成長を遂げ、1961年(昭和36年)東証2部上場を経て、1967年(昭和42年)、東証1部に上場した。
印刷インキにとどまらず、顔料、樹脂など原材料の生産・加工で培った多様な技術を活かし、液晶フィルム部材など他分野に事業領域を拡大している。グループ力の拡大とさらなる成長のため2011年(平成23年)持株会社制度に移行し、社名を東洋インキSCホールディングス株式会社とした。

【経営理念など】

企業グループとしてのブランドの原点を示すとともに、グループの社員各人が常に心に留め、企業人として相応しく行動するための規範として、経営哲学・経営理念・行動指針の三部からなる「東洋インキグループ経営理念」を、1993年4月に制定した。
2014年4月には、行動指針に新たに「株主の満足度向上」を追加。すべてのステークホルダーの満足度向上を目指してゆく。

この理念体系は理念カード(クレド)として全社員が常に携帯し、毎週部単位で行われる5分間ミーティングで読み合わせ、ディスカッションを行うなどして繰り返し確認し、より深い理解、実践を図っている。
また、海外も含めたグループ企業一体化のためにグローバル社内報を発行しているが、そのトップページには必ず「東洋インキグループ経営理念」を掲載。上記クレドも、「日・英」版に加え、「中・英」版もあり、経営理念の全世界的な共有・浸透に注力している。

【市場環境】
◎概要
(市場動向)

日本の印刷産業の生産金額はデジタル化の進展、活字離れ等の要因を背景に、新聞、雑誌など出版印刷を中心に減少傾向にある。
一方で、ポスター、カタログ、チラシ、POPなど商業印刷は底堅く、食品・医薬品などの包装紙、プラスチック容器に使われる包装印刷は2004年から2016年までのCAGR(年平均成長率)は+2.4%と堅調に拡大している。

一方、海外、特に新興国では、紙を対象物とした印刷(オフセット印刷)、食品パッケージなど主にフィルムを対象物とした印刷(グラビア印刷・フレキソ印刷)、共に今後の成長が予想されており、同社もその需要取り込みに注力している。
印刷機のイノベーションが進む中、クオリティーの向上に伴いローカルインキでは対応しきれない部分も多く、優れた日本製インキ需要は今後も高まることが予想されるという事だ。

(印刷会社と印刷インキ会社)

経済産業省「平成26年工業統計表・産業編」によれば、2014年の印刷・同関連業の事業所数は全国で25,843だが、うち98.5%にあたる25,446事業所は従業員数100人未満の中小企業である。

同社の顧客である印刷会社は印刷インキを購入して印刷を行うが、単純に印刷インキと紙をセットして機械を動かせば印刷できるというものではない。印刷会社が直面する「初めての紙を使用する際のインキの選択」、「特別な色を出す」、「今まで以上の高級感を出す」といったニーズや、印刷効率の向上や環境対策といった課題に対し、印刷インキ会社は顧客ニーズに合致した新製品の紹介や、様々なアドバイスを印刷会社に提供している。
国内約26,000社のうち、殆どの印刷会社は、こうしたソリューション無しにはスムーズに業務を進める事は難しく、印刷産業において印刷インキ会社は極めて重要な役割を担っている。
このため顧客である印刷会社は同社との直接取引を求めており、その結果、同社国内売上の8割近くが顧客への直接販売となっている。こうした顧客との強固な関係性は同社の大きな特徴となっている。

◎同業他社

インキ事業を展開する主な上場企業は同社を含め6社。
(4631)DICは世界規模でトップ企業であるのに対し、同社は国内インキ首位で、各品目別でもほとんどが1位か2位となっている。グローバルベースでは3位にランキングされている。(2位は欧州企業)
(4633)サカタインクスは同社の第2位株主で、主に物流面での相互補完を図り2000年に資本業務提携契約を締結している。

【事業内容】
◎「印刷インキ」について

同社の主要製品のひとつである印刷インキについて、「原材料」、「種類と用途」などを以下にまとめてみた。

この3つの原材料を混ぜ合わせて各種インキを製造する際に高度な分散技術が必要となる。
また、同社は創業以来これら原材料の製造を手掛ける過程で、様々な用途開発を進めて事業領域を拡大してきた。

◎事業セグメント

「色材・機能材関連事業」、「ポリマー・塗加工関連事業」、「印刷・情報関連事業」、「パッケージ関連事業」の4セグメントで構成されている。
このうち、「印刷・情報関連事業」は主に紙への印刷に使用する平版用インキ(オフセットインキ等)、「パッケージ関連事業」は食品包装などフィルムへの印刷に使用するグラビアインキやフレキソインキなど、「色材・機能材関連事業」は印刷インキの原料でもある顔料をコア素材とし展開した製品、「ポリマー・塗加工関連事業」はこれもインキの主原料である樹脂とその設計技術から展開した事業である。

印刷インキの主たる原材料である有機顔料を母体として、色材技術、有機化学合成技術、高度な分散技術との融合によって様々な分野で使用される材料を提供している。中でもインキや塗料の製造で蓄積された技術の結集によるナノレベルの分散加工技術から、さらに機能を高めた液晶カラーフィルタ材料を生み出した。
さらに分散加工技術は、有機顔料だけではなくCNT(カーボンナノチューブ)などの無機素材にも展開され、二次電池材料など新たなエネルギー分野への事業拡大にも繋がっている。

中核素材の機能性樹脂にさまざまな機能を付与した製品を開発している。長年にわたって培われた独自技術を用いて新たな機能を創造し、エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケア関連などの分野において、新たな需要の開拓、市場の創造を目指している。

グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの、パッケージ向け印刷用インキおよび機器を取り扱っている。
食品包装などの分野では消費者の安心・安全のためにインキの水性化など環境に配慮した製品開発にも注力している。

創業以来の中心セグメント。紙への印刷に使用する印刷インキが中心製品。
印刷インキの提供だけに留まらず、機械・機器の販売、印刷工程の効率化サポート、カラーマネジメントやカラーユニバーサルデザインに関する支援やツールの提供なども行っている。

◎海外展開

大きな成長を期待し難い国内市場では高付加価値製品による収益性向上を進める一方、今後成長が期待できる海外市場の開拓に製造、販売両面で積極的に取組んでいる。
海外生産体制は前中期経営計画中にほぼ完成し、原料調達、生産共に現地で行っている。
2017年3月末現在、約50の海外連結対象子会社、51ヶ所の工場を有し、世界23か国で事業を展開している。

マージンがやや改善したものの、総資産回転率が低下し、ROEは前期とほぼ変わらずであった。
一般的に日本企業が目標とすべきと言われている8%へ達するために一段の収益性および効率性の改善が望まれる。

【特徴と強み】
①高い技術力

前述の様に、同社は印刷インキの原材料である顔料や樹脂も自社で生産を続けてきた。こうした技術力が高品質な印刷インキ生産のベースとなっているのはもちろんのこと、液晶用カラーフィルター材料や接着剤・粘着剤など、事業領域や製品の拡大に繋がっている。

②優れた課題解決能力

同社が印刷インキ国内首位の地位を築いている大きな背景の一つが印刷会社に対する高い課題解決能力だ。
印刷インキの製造・供給のみでなく、版作り、画像など「印刷」に関連する要素全般に関して古くから研究を続けており、これが顧客に対する技術提案力やサービス力、ひいては顧客満足度の向上に繋がっている。

③環境に対する取り組み

同社では、CO2の削減とともに、Non-VOCインキや水性インキ、UVインキなどの環境調和型インキにもいち早く取り組んできた。新興国においても環境規制は一段と強化されており、ニーズは拡大している。また化学物質管理への取り組みや他社に先駆けたスイス条例対応製品のラインナップ化など安全・安心への取り組みも進んでいる。

④経営戦略の独自性

M&Aについては、同社がもつ技術力を新しい市場に展開するうえで、シナジー効果が期待できる場合には選択肢のひとつとして考えている。また、輸送マイレージの削減、現地品の利用など、効率性向上と社会的貢献の両面から海外市場における「地産地消」のポリシーを印刷インキ業界ではいち早く打ちたてて実践してきた。

2017年3月期決算概要
減収も利益率改善等で営業増益

売上高は前期比5.2%減の2,684億円。インド、トルコ、ブラジルなどでの拡販(+79億円)、メディカル市場での伸長(+7億円)があったが、円高の影響がマイナス155億円と大きかったほか、オフセット印刷材料・機器やグラビア溶剤などリセール品が低迷(-30億円)、不採算製品の整理や販売価格の見直しも行ったため減収となった。
営業利益は同4.1%増の192億円。為替変動(-11億円)、販売価格の下落(-9億円)、高機能製品の減少(-2億円)、はあったが、原材料価格低下(+31億円)、海外市場での拡販による販売数量増効果(+3億円)などでカバーした。利益率も改善した。

☆色材・機能材関連事業

前期比減収・減益。計画に対しては売上、利益とも未達。

<化成品>

減収減益。
顔料は印刷分野用途が低調だったが、生産工程の改善と品種統合の寄与により増益。
CFペーストは需要低迷から減益。

<表示材料>

減収減益。
パネルの大型化と国内の好調から後半回復したが減益にとどまった。
新規グリーンレジストは一部採用が始まり、来期から期待。

<着色剤>

減収増益。
CNTコンパウンド、意匠性ポリマーアロイなど機能性製品が実績を上げた

☆ポリマー・塗加工関連事業

前期比減収・増益。計画に対しては売上高は未達だったが、利益は上回った。

<塗工材料>

減収減益。
機能性フィルムは、新製品投入が遅れた。
テープ関連は、工業材用途が韓国、台湾で好調だった。

<接着剤>

減収増益。
ディスプレイ用途では、新規採用が進み好調。
工業用途は北米で好調だった。
・ホットメルト:はパッケージ用途で高いシェアを占めている。

<塗料樹脂>

減収増益。
製缶塗料は国内外で販売が好調だった。
樹脂は高付加価値品が販売を伸ばした。

<ヘルスケア>

2016年7月より貼付型医薬品の事業運営を開始した。

☆パッケージ関連事業

前期比減収・増益。計画に対しては売上、利益共に未達だった。

<国内>

減収減益。
パッケージ市場は堅調だったが、出版市場は低調だった。異業種からフィルムフレキソへの新規参入が続いている。

<海外>

減収増益。
アジア・中国の技術センターが軌道にのり、、ミドルグレードインキの拡販が進んだ。
トルコではM&Aによるビジネスが拡大した。台湾・中国で水性グラビアやフレキソが実績を出し始めた。

☆印刷・情報関連事業

前期比減収・増益。計画に対しては売上、利益共に未達だった。

<国内>

減収増益。
オフセット輪転機・枚葉・新聞の各市場は需要縮小により数量、売上が減少したが、生産体制変更や原料コスト削減等のコストダウン施策により増益を確保した。
UVは、枚葉からUVへの切替えが進み需要が拡大、省電力ニーズを取り込み売上が拡大した。

<海外>

減収減益。
枚葉はインドやブラジルでの拡販が進む一方、欧米では市場の縮小が進んでいる。
UV-LEDは世界的な拡大が進み好調だった。

売上債権、たな卸資産減などで流動資産は前期末に比べ21億円減少。固定資産は有形固定資産、投資その他の資産が増加し同67億円増加。資産合計は同46億円増加の3,652億円となった。
短期借入金が増加した一方長期借入金が減少し、負債合計は同3億円減少の1,455億円。
純資産は利益剰余金が増加しで同50億円増加の2,196億円となった。
この結果、自己資本比率は前期末の57.7%から0.7ポイント上昇し、58.4%となった。

税金等調整前当期純利益の減少などで営業CFのプラス幅は縮小。
有価証券および投資有価証券の取得による支出の減少や前期あった子会社株式の取得により支出がなくなり、投資CFのマイナス幅は縮小した。この結果フリーCFのプラス幅は拡大した。
自己株式の取得増加で財務CFのマイナス幅は拡大した。キャッシュポジションは上昇した。

(4)トピックス
◎サカタインクス株式会社と業務提携を推進および資本提携を継続

2017年2月20日、サカタインクス株式会社との業務提携推進および資本提携継続について決議した。

(提携の理由及び内容)
同社とサカタインクス株式会社は、1999年に業務提携を開始以来、生産・ロジスティックス・デジタル関連事業・国際事業の各分野での協業を検討・推進を行ってきたが、提携発効後18年が経過し、業界を取り巻く環境も大きく変化している。
このような中、今後想定される市場環境の変化を見据え、事業基盤の強化のためコストダウンを図ることに主眼を置き、以下の分野での提携を推進していくことを両社で合意した。

① 物流分野における一層の効率化
② 生産分野における相互補完
③ BCP対策に基づく緊急時における国内外拠点での生産補完

また、業務提携の実効性を高めるとともに長期的なパートナーシップの構築に向け、現状相互に保有している株式のうち8割にあたる普通株式について継続保有していくことに関しても合意した。

※ 2016年12月31日現在の保有株式数
東洋インキSCホールディングスが保有するサカタインクスの普通株式数:10,536千株(発行済株式総数の16.83%)サカタインクスが保有する東洋インキSCホールディングスの普通株式数:14,595千株(発行済株式総数の 4.82%)

◎買収防衛策を更新

2017年6月29日開催予定の第179回定時株主総会で、有効期間が同定時株主総会までとなっている大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)更新の承認議案(一部見直しを含む)を提出することを、2017年5月12日開催の取締役会で決議した。

2008年6月27日開催の第170回定時株主総会において、特定の株主又は株主グループによって同社株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策を導入し、その後、2011年6月29日開催の第173回定時株主総会及び2014年6月27日開催の第176回定時株主総会において、株主の承認を得て現在継続している。
同社は社会・経済情勢の変化、買収防衛策に関する議論の進展等も踏まえ、同社グループの企業価値及び株主共同の利益を維持・向上するための方策としての買収防衛策の継続の是非や内容について検討を行ってきたうえでの決議となる。

2017年12月期業績見通し
増収・増益

今期より決算期を12月に変更し、9カ月決算となるため前期比は参考値となるが、堅調な業績推移を見込んでいる。
売上高は前期比2.7%増の2,350億円の予想。全てのセグメントで増収を見込んでいる。
営業利益は同5.0%増の166億円。利益についても全セグメントで増益となる。
配当は前期と同水準16.00円/株を予定。予想配当性向は46.7%。
為替は1USD=100円、1EURO=115円、1RMB=16円の前提。

中期経営計画「SCC-III」の総仕上げと行うとともに、次期中期経営計画に向けた準備期間として次のステップアップにチャレンジする年と位置付けている。

☆ポリマー・塗加工関連事業

「新製品・新市場:エレクトロニクス・オプト、新エネルギー市場、環境対応」、「グローバル拡大」、「新事業:メディカルサイエンス事業参入」の3つを成長戦略の柱に、以下の重点目標を掲げている。

(3)長期構想 SIC27

同社は、目指す姿である「SCC(Science Company Change)2017」に向けて、2009年3月期からから3回の中期経営計画を進め、2017年3月期までの最終ステップ「SCC-III」を推進してきた。

環境対応や世界の各地域のニーズにマッチした新製品の開発や拡販を進めるとともに、エネルギー関連やヘルスケアなどの新しい事業領域への進出を図ったが、国内印刷市場の需要低迷や液晶関連材料市場の競争激化のなか、次なる収益の柱となる事業の確立までには至らなかった。
一方、グローバル展開においては、インドやトルコ、ブラジル、中国内陸部など、将来性の高い市場への進出や拡充を図り、事業地域の拡張とネットワークの強化を進めることができた。

これを受け、2017年12月期を仕上げの期としたうえで、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、2018年12月期を初年度として、その実現に向けた活動を推進する。

「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行し、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指す。
また、これまでのドメイン(ライフサイエンス、コミュニケーションサイエンス、サスティナビリティサイエンスの3つの事業領域)の枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力する。

次期中期経営計画「SIC-Ⅰ」の想定売上規模は3,500億円としている。詳細は確定後報告する考えだ。

今後の注目点

売上高は前期比減収で計画未達ではあったが、利益はほぼ計画通りで増益となった。期中の進捗はスローであったので健闘した前期決算だったと言えよう。株価も下押しすることなくTOPIXも上回り堅調な展開が続いているが、同業他社からは一歩出遅れた展開となっている。
環境の大きな変化もあり、残念ながら「SCC-III」の目標数字には大きく届かない結果となってしまったが、次の長期構想「SIC27」での巻き返し、飛躍を期待したい。既存事業においては種蒔きが実を結びつつある海外展開、新規事業では3ドメインからいくつ新たな柱を構築できるかがポイントとなろう。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

コーポレートガバナンス報告書を2016年7月5日に更新している。

株式会社インベストメントブリッジ
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