(8130:東証1部,名証1部) サンゲツ 続的な企業価値創造を目指し新中計を策定

2017/06/21

sangetsu

今回のポイント
・17/3期の売上高は前期比1.2%増の1,356億円。3セグメント共に増収だった。インテリア事業においてカーペット、カーペットタイル、フロアタイルなどの床材が好調だった。売上総利益は同1.5%増と増収率を上回ったが、物流設備の統廃合、事務所設備の改修、ショールームの新設、BPO移行費用、M&A関連費用などを始めとした販管費の増加を吸収できず、営業利益は同16.9%減少の75億円。ウェーブロックホールディングスの持分法による投資利益が計上されたため経常利益は同11.6%減少の83億円。投資有価証券売却益、退職給付制度終了益を特別利益に計上したため、当期純利益は同2.8%増の65億円となった。配当は期初予想より2.5円増配し、年間52.5円/株とした。配当性向は53.8%。・18/3期の売上高は前期比15.0%、203億円増の1,560億円を予想。国内は新築住宅着工は微減を見込むが、非住宅分野での壁装、床材の営業活動を強化し、見本帳の新企画や新商品投入効果による増収を目指し、インテリア事業は2.7%の増。また、今期より海外売上167.5億円を計上する。粗利益はKoroseal社の買収による70億円を含む89億円増加し、粗利率も1.8%上昇するが、販管費が、Koroseal社の増分、のれん償却、政策的経費増などにより、営業利益は同0.4%増の76億円にとどまる。配当は中間、期末とも27.5円の合計55円/株を予定。予想配当性向は67.0%。

・将来の事業環境の変化を見据え、「Next Stage Plan G」で達成したさまざまな成果を活かしつつ、未実現の施策と新たな施策を着実に実行することにより、持続的なサンゲツグループの企業価値創造を目指すために中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」を策定した。

・中期経営計画(2014-2016)「Next Stage Plan G」の最終年度となった17年3月期は、売上は目標未達となったが、第4四半期の売上、利益は過去2年を上回っており、今後の伸長、新中計目標の「売上高 1,650~1,750億円」に繋がるものと期待したい。ただ、前中計においてROICは14年3月期の8.6%から7.2%へ低下し、ROEは4.5%から6.0%に上昇したもののレバレッジの上昇によるところが大きく、収益性、効率性の向上は引き続き取り組むべき重要な課題である。新中計での具体的な取り組み、進捗を注目したい。

会社概要

壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。グループ企業に、エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、照明器具の企画、設計、製造、販売を行う「山田照明株式会社」、中国での事業展開の拠点「山月堂(上海)装飾有限公司」、米国の非住宅向けを中心とした壁装材製造販売会社「Koroseal Interior Products Holdings,Inc.」、施工能力の強化を通じて更なる受注獲得を目指す「フェアトーン株式会社」、カーテン専門の販売会社「株式会社サンゲツヴォーヌ」の6社を有する。

【沿革】

1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。

【企業理念】

新たなステージに臨む同社では、変革のチャレンジを進める上で、2016年4月、新ブランド理念を含めた企業理念を再構築した。

以下の、「社是」、「企業使命」、「サンゲツ三則」に新しい「ブランド理念」を合わせ、企業理念としている。

<社是>
誠実

<企業使命>
インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します。

<サンゲツ三則>
創造的デザイン・信頼される品質・適正な市場価格

<ブランド理念>
ブランドステートメント「Joy of Design」を掲げ、ブランドパーパスとして「私たちは、新しい空間を創りだす人々にデザインするよろこびを提供します。」と謳っている。

インテリア商品の作り手と使い手、同社に関連する全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合うことを目指す考えだ。

【市場環境】
◎概観

同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。

一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。
同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数は低水準で推移しているのに対し、同社売上高は過去最高を連続して更新している。

これは、民間住宅以外に、非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。

国土交通省発表の建設投資の推移によれば、民間住宅投資に比べ、民間非住宅建築投資の金額は民間住宅投資よりも小さいものの、直近では10兆円を回復し2000年レベルを超えている

一方、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2017年4月26日発表)によれば、民間非住宅建設投資の対前年度伸び率は、2014年度(見込み)9.4%増、2015年度5.6%増(見込み)と好調であったのに対し、以降は2016年度(見込み)0.6%増、2017年度(見通し)1.2%減とスローダウンするとの予想である。
着工床面積も16年度(見通し)は事務所が12.1%増と好調なものの、店舗は8.8%減、17年度(見通し)は、事務所、店舗ともに0.0%と横這いが予想されている。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、民間非住宅市場は堅調な市場推移が続くとの見方が中心だが、足下は不透明感が増している。

◎同業他社

インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の3社が上げられる。

売上高営業利益率は同社がトップ。PBRが1倍を上回っているのも同社のみとなっている。

【事業内容】

壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業、照明事業も展開している。

商品数は約13,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約5,000点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で30~40%程度だが、同業他社では35~40%以下という事だ。商品を入れ替えるのは、容易ではない。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、効率と鮮度のバランスを取ることができるのは、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積によるものだろう。

◎営業体制

名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、53か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として9か所のショールームを有している。

最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。

そのため、同社では見本帳、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、法人営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約450名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(名古屋を中心とした中部地域の一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。

◎物流体制

全国13か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。
東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.14%(約70点程度)となっている。当該地区での欠品であり、周辺の物流センターから即座にカバーする事で、納期待ちを依頼する事はレアケースである。
内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。
仕入先は約100社と広範囲に亘っている。

②「エクステリア事業」
(2017年3月期 売上高 14,778百万円、営業利益 402百万円)

2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。

③「照明事業」
(2017年3月期 売上高 4,205百万円、営業利益 23百万円)

2008年に子会社化した山田照明株式会社がダウンライト、Zライトなどの一般照明器具を国内外で販売している。

新中期経営計画では2019年度(2020年3月期)の定量目標をROE 8~10%としている。
自己資本の削減に加え、収益性向上のための取り組みが欠かせない。

【特徴と強み】
①安定した収益を生み出すビジネスモデル

同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数13,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来赤字決算を行ったことが無い。

②「創る」・「提案する」・「届ける」
「創る」

同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。昭和40年に初のオリジナル壁紙を発売。
昭和48年に制定以降、現在も守り続けられているサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。
同社で様々なデザインをベースに約25名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。
商品ラインアップは他社には例を見ない約13,000点。また2~3年ごとに定期的に改訂する約30種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。

「提案する」

同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ3分の1に当たる約450名で、業界最大である。
全国63拠点で前述のような、提案営業を展開している。9か所のショールームには約45名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが約40名おり、その提案力も業界最高水準となっている。

「届ける」

先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。
ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。
通常、壁紙は1ロール50m。30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。

2017年3月期決算概要
微増収・減益

売上高は前期比1.2%増の1,356億円。3セグメント共に増収だったが、インテリア事業においてカーペット、フロアタイルなどの床材が好調だった。売上総利益は同1.5%増と増収率を上回ったが、物流設備の統廃合、事務所設備の改修、ショールームの新設、BPO(Business Process Outsourcing)移行費用、M&A関連費用などを始めとした販管費の増加を吸収できず、営業利益は同16.9%減少の75億円となった。ウェーブロックホールディングスの持分法による投資利益3.2億円が計上されたため経常利益は同11.6%減少の83億円。投資有価証券売却益8億円、退職給付制度終了益1億円を特別利益に計上したため、当期純利益は同2.8%増の65億円となった。配当は期初予想より2.5円増配し、年間52.5円/株とした。配当性向は53.8%。

①インテリア事業

増収、減益だった。
<壁装材>
前期比横ばい。
壁装事業では、新設住宅着工戸数は賃貸住宅を中心に堅調に推移したものの、新築戸建て住宅の伸び悩みから量産壁紙の販売比率が高まり、大きな収益増にはつながらなかった。一方、非住宅分野においては、商業施設やホテル分野のリニューアル需要に応えるべく、非居住施設向けの不燃認定壁紙を収録した新見本帳「FAITH」を発刊、営業活動強化の布石とした。

<床材>
堅調。
床材事業では、インバウンド需要を背景とした宿泊施設のリニューアル市場も引き続き堅調に推移し、カーペットタイルや特注デザインカーペットが大きく伸長。また賃貸住宅への住宅向け塩ビ床タイルの拡販に努めた。

<ファブリック>
減収。
ファブリック事業では、医療施設やホテルなど、コントラクト市場向けのカーテン見本帳を発刊し、非住宅分野での営業活動を強化した。また椅子生地総合見本帳を発刊し、家具メーカーやコントラクト市場での採用を獲得すべく活動を強化したが、住宅分野におけるオーダーカーテン需要の縮小が影響した。

②エクステリア事業

売上は前年並みだったが、利益は2桁増となった。
株式会社サングリーンが担うエクステリア事業は、他社との競争が激化する中、営業管理体制の再構築と施工力強化、またサンゲツとの営業活動におけるシナジー効果も表れた。

③照明事業

増収。黒字転換となった。
山田照明株式会社が担う照明事業においては、省エネ光源としてLED照明の急速な普及が進む一方、汎用価格帯での価格競争が激しさを増す中で、非住宅分野ならびに首都圏市場を重点戦略市場と位置付け、デベロッパーや設計事務所への営業活動に注力。この結果、大型オフィスビルやホテル、商業施設といったコントラクト案件の採用が順調に進み黒字経営となった。

2016年11月に米国Koroseal社を子会社化したことを主因に資産、負債とも増加した。
流動資産は前期末に比べ73億円増加。固定資産は同171億円増加した結果、資産合計は同244億円増加し1,637億円となった。
流動負債は同98億円増加。M&Aに伴う買収資金をシンジケートローンで調達し長期借入金が129億円増加したため固定負債は142億円増加し、負債合計は同241億円増加の548億円となった。
純資産はほぼ変わらず、1,088億円となった。自己資本比率は前期末に比べ11.4%低下し、66.5%となった。

CCC改善策により運転資金は改善したが法人税等の支払額の増加などで営業CFのプラス幅は縮小。
米国Koroseal社子会社化に伴う株式取得による支出や、前期あった投資有価証券の償還による収入が減少し投資CF、フリーCFはマイナスに転じた。長期借入による収入により財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

2018年3月期業績見通し
2桁増収も、営業利益は横這い。

売上高は前期比15.0%、203億円増の1,560億円を予想。新築住宅着工は微減を見込む。非住宅分野での壁装、床材の営業活動を強化し、見本帳の新企画や新商品投入効果による増収を目指す。増収分のうちインテリア事業に関してはフェアトーン株式会社の連結開始を含め30億円強、海外事業に関しては2016年11月に買収したKoroseal社の損益連結開始と増収により167億円を見込んでいる。
粗利益はKoroseal社の買収による70億円を含む89億円増加し、粗利率も1.8%上昇するが、販管費が、Koroseal社の増分54億円を始め、のれん償却6億円増、政策的経費増など合計88億円増加するため、営業利益は同0.4%増の76億円にとどまる。
配当は中間、期末とも27.5円の合計55円/株を予定。予想配当性向は67.0%。

中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」

2019年度(2020年3月期)を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」を発表した。

1.前中計「NEXT Stage Plan G」の振り返り

2014年からを「第三の創業」と位置付け、従来の創業家を中心とした経営体制から脱皮し、社員が経営を担う真の上場企業として発展することを目指して中期経営計画(2014-2016)「Next Stage Plan G」を策定の上、将来の成長に向けた事業基盤の整備と事業戦略の再構築のためのさまざまな施策を実行してきた。

定量目標である2017年3月期 売上高1,400億円は未達成となったものの、当期純利益63億円は2016年3月期に一年前倒しで達成することができた。
また、期初に掲げていた目標や施策のうち、最も重要な目標の一つであった「社員の主役意識の向上」を始め、販管費管理の厳格化、輸送の効率化、営業前線の強化、関係会社の業績改善・拡大などは、未実現もしくは不十分であったが、総体的には「将来の成長に向けた仕込み」を着実に実行した3年間であったと会社側は考えている。

2.中期経営計画(2017-2019) 「PLG 2019」

将来の事業環境の変化を見据え、「Next Stage Plan G」で達成したさまざまな成果を活かしつつ、未実現の施策と新たな施策を着実に実行することにより、持続的なサンゲツグループの企業価値創造を目指すために策定したのが、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」である。

①事業認識
(内装事業の特性)

多数・多様な顧客に対し、多数・多様な商品を取り揃え、複層的・複合的な市場を対象に、多数・小ロットで取引を行うため効率は決して良くないビジネスであるため、新規参入も少ないため特に同社の様な業界トップ企業にとってはリスクは小さいが、一定のリターンを得るためには規模を確保する事が重要になってくる。

(世界市場)

世界の壁紙市場を概観すると、日本が6.7億m2に対し、中国15.7億m2、ロシア9.5億m2、その他アジア5.3億m2、欧州5.2億m2、米国1.1億m2と同社では推定しており、日本も一定の市場規模を有しているが海外には巨大な市場が存在している。
また同じく同社推定による国別の建設投資金額伸張率予測(2017年から2019年)を見ると、日本の住宅はマイナス予想である一方、非住宅は3-5%の伸び。米国も非住宅は5-7%と堅調な伸びが見込まれているほか、インド、インドネシア、ベトナムはそれぞれ8%、7%、6-7%と高成長が予想されており、中国、シンガポール、タイなども3-5%伸長するとの予想である。

(成長の軌跡と新しい方向性)

1953年から1990年代前半までの成長期における同社は、東海地域からスタートして全国市場を制覇。販売においては代理店をメインとしたBtoBスタイルの限定的なポジショニングであった。
また壁紙、床材に加えファブリックなど多数・多様な商品を取り揃えるトータルインテリアビジネスモデルを展開して企業規模を拡大させてきた。

だが、1990年代後半の安定期に入ると、全国制覇により成長フロンティアが消失したことに加え、市場の多様化や消費者市場の拡大への対応が不十分だったり、総合・トータルであるがゆえに自らが売るのではなく代理店や施工業者への応援営業が中心となったりといった課題が生じてきた。また、国内市場の飽和と共に成長期には多数存在していた国内仕入先が優勝劣敗で絞り込まれるとともに、海外メーカーが巨大化し、仕入の環境にも大きな変化が生まれてきた。

こうした閉塞的な状況を打破するために、2014年からの同社は、地域に関しては「海外を含むより広い市場」へのアプローチを進め、多様化する市場に対応するためにより深さ・幅広さを持ったポジショニングを志向している。
また顧客やユーザーにより高い付加価値を提供するために同社ならではの専門性や総合力を追求してきた。
加えて、国内外の有力メーカーとの積極的なアライアンスにより仕入力を強化してきた。

②中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」概要
◎ビジョン

「社是:誠実」、「ブランド理念:Joy of Design」のもと、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」においては、「多様な商品と機能と高い専門性を持ち、国内外で強固な市場を持つ企業グループ構築をする。」ことを目指していく。

PはPersonal。専門性を持ったプロ人材となる。社外との強い人的関係を結ぶ。
LはLocal。各地域での強固な市場ポジションを確立する。
GはGlobal。商品・デザインのグローバル化。

前中計に引き続き、全てのステークホルダーとの共調を志向しながら資本効率性の向上に注力する。
売上高目標の内訳は、以下の通り。

◎テーマ

基本方針として「、内装材事業(企画・調達・物流・販売)の地理的拡大、機能強化」を掲げ、以下の5つの基本施策を推進する。

(1)成長の為の事業戦略
①安定的かつ基礎的収益源である日本市場において、バリューチェーンでの機能強化・取組領域の拡大により収益の安定的成長を実現

「国内外有力サプライヤーとのアライアンスを通じた材料・原料を含めた商品開発・調達」、「インテリアコーディネーション提案・施工力の強化」、「代理店との連携・協業強化」、「社内営業体制の見直し」などを進める。

②成長力のある海外市場での活動を強化、地理的な展開を拡大するとともに商品面・機能面での拡充を実行

北米(米国・カナダ)、アジア(中国・東南アジア)を重点注力市場と位置付け、各市場でのローカルな物流・営業体制を拡充・強化する。

③デザインのグローバル化、製造メーカーのグローバル化に呼応し、グローバルな商品の企画・調達体制を構築

日本・米国・中国のローカル拠点間の連携を深め、「海外有力メーカーとの国内外での連携」や「ヨーロッパデザイン・和のデザインの共同展開や商品の共同マーケティング」に取り組む。

④地域での事業を担う関係会社・機能を担う関係会社・専門市場を担う関係会社を統合的に経営し、トータルシナジーを生む為の連結経営体制を強化

事業シナジーの最大化や収益管理体制の明確化のために主管部制度を導入するほか、管理部門による横断的なチェック・サポート体制を構築する。
連結経営課を新設し、全体管理や牽制機能を持たせる。
加えて、実効性を上げるために定期的なモニタリングや対話制度も導入する。

⑤次期中期経営計画を睨み業態の転換の試行を重ねる。

現在のグループ各社の経営資源や特長をより一層活用してシナジーを追求するために、業態転換の試行・検討を進める。

(2)人的資源の強化

真のプロフェッショナル育成のために、グループ各社および本体各組織において、①プロ人材の育成、②能力主義の徹底、③ダイバーシティの推進、④働き方改革、⑤健康経営の推進に取り組む。

(3)収益管理体制の強化
①販売管理費の削減と管理の徹底

Chief Cost Controllerを任命する。販管費管理手法を整備する。サンゲツ単体では総人員を縮小する。

②グループ各社へのCCC管理の導入

連結ベースでのデュポン分析によるROEおよびCCCの目標を設定し、進捗をフォローする。

③サンゲツ各事業部・各支社での経営管理指標の明確化と進捗管理

各支社社員数ベースでの売上・総利益目標を設定する。

(4)ESG/CSR方針
①E:環境

☆サンゲツグループの事業全体の環境負荷を把握し、地球温暖化防止や持続可能な資源循環に向けての体制を構築する。
・CO2ゼロエミッションに向けた計画の立案など。

②S:社会

☆グループ各社の多様な従業員の活躍を支援するとともに社会的弱者の就労支援
・女性管理職比率15%以上を達成する。(17年3月期実績 10.6%)
・障がい者雇用率目標3%実現(現在2.3%)、など

☆サプライチェーンにおける社会的責任の推進

☆社員が主体的となった社会貢献活動の拡大
・児童養護福祉施設の内装工事支援(目標 20件以上/年)

③G:ガバナンス

☆コーポレートガバナンスの透明性の維持と向上、コンプライアンスの徹底
・株主、投資家、従業員、取引先などあらゆるステークホルダーとのコミュニケーション向上

(5)資本政策
①資本効率向上に向けた財務方針

資本市場の状況を鑑みつつ、引き続き自己株式取得と安定的増配を行い自己資本を1,050~1,000億円への削減を目指す。(17年3月期 1,088億円)

②中期経営計画期間中の株主還元政策

・3年間トータルの連結総還元性向は100%超とする。
・長期安定的な増配の基本方針に基づき、安定的増配を継続する。
・株式市場の状況に応じて機動的に自己株式を取得する。

以下のような資金調達及び資金配分を計画している。

今後の注目点
中期経営計画(2014-2016)「Next Stage Plan G」の最終年度となった17年3月期は、売上は目標未達だったが、第4四半期の売上、利益は過去2年を上回っており、今後の伸長、新中計目標の「売上高 1,650~1,750億円」に繋がるものと期待したい。
ただ、前中計においてROICは14年3月期の8.6%から7.2%へ低下し、ROEは4.5%から6.0%に上昇したもののレバレッジの上昇によるところが大きく、収益性、効率性の向上は引き続き取り組むべき重要な課題である。
新中計での具体的な取り組み、進捗を注目したい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年3月28日

<実施しない主な原則とその理由>
同社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施している。

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