(4793:JASDAQ) 富士通ビー・エス・シー 不採算プロジェクトの削減により大幅増益

2017/06/07

FujitsuBSC

今回のポイント
・17/3期は前期比0.7%の増収。売上面は、社会基盤・ネットワークシステム、産業・流通システム、金融・公共システムのインテグレーションサービスで前期を下回ったものの、エンベデッドシステムやソリューションサービスの増加でカバーした。利益面は、経常利益が13億72百万円と前期比大幅に増加した。人件費などのコスト増と基盤強化のための戦略投資などによる費用の増加が影響したものの、不採算抑制の効果と増収効果や原価率改善の効果などが寄与した。・18/3期の会社計画は、前期比2.9%の増収、同5.7%の経常増益。売上面は、インテグレーションサービスをはじめ、エンベデットシステムやソリューションサービスなどすべての事業区分で増加する計画。利益面は、社内ICT(情報通信技術)の刷新など事業構造改革のコストを見込んでいる。配当は前期と同額である1株当たり年27円を予定(上期末13.5円、期末13.5円)。

・同社の17/3期決算は、不採算プロジェクトの削減などにより、前期比大幅な増益となった。これは、16/3期の下期より実施した商談段階・受注時点を含めたアシュアランスの拡充や意識行動改革の成果である。残念ながら同社は、過去数年間不採算損失の計上を繰り返してきた。前期の不採算抑制のための施策が定着し、18/3期においても不採算損失額を低水準に抑制できるのか、今後の不採算損失額の動向が注目される。

会社概要

通信キャリア向けの顧客管理システムや基幹システム、民間事業者向け等の業務システム、中央官庁向け各種システム、携帯端末や自動車エンジン制御分野等でのエンベデッドシステム(組込みシステム)、更には、データセンター運営やモバイルを中心にしたセキュリティシステム等、多面的に事業を展開。1963年11月に日産リース株式会社を設立、1975年6月に富士通が資本参加の後、1986年3月に株式会社富士通ビー・エス・シーに社名を変更した。その後、1992年7月に中国子会社である北京思元軟件有限公司(Beijing Brain Cell Software Co., Ltd. 略称:BCL)を北京に設立、2000年10月に日本証券業協会に店頭登録(現・東京証券取引所JASDAQ市場上場)した。更に、2009年7月にニコングループとの合弁により、株式会社ニコンイメージングシステムズ設立、2015年10月にBizService Center伊万里を開設した。
親会社である富士通(6702)の持株比率は17年3月末で56.4%。富士通グループ向けの売上高は全体の約7割を占めている。

【事業内容】

17/3期通期の売上高構成比

社会基盤・ネットワークシステム

大手通信キャリアや情報メディア、エネルギー事業者向けに、企業情報システムや顧客管理システム、ビリング(課金)システムといった各種システムを提供。

産業・流通システム

製造業、建設、流通、運輸などの民間事業会社や医療機関向けに、生産管理システム、販売管理システム、勘定系システム、基盤構築等、さまざまな分野のソフトウェアを提供。PLMソリューションや医療・製薬ソリューション、ERPソリューション等も手掛け、近年ではスマートフォンを活用したソリューションにも力を入れている。

金融・公共システム

中央官庁や自治体等の公的機関向けに、人事・給与システムの構築や運用支援等、銀行や証券会社等の金融機関向けに営業支援システム、インフラ構築、運用支援等のシステムやサービスを提供している。

エンベデッドシステム

カメラ、カーエレクトロニクス、モバイル機器といった各種システム機器に組込まれた機能をコントロールするエンベデッド(組込み)システムについて、企画支援から設計・開発、評価・検証に至るまで、一貫したサービスを各種機器メーカーへ提供している。デジタルカメラ向けでは、09年7月に設立したニコングループとの合弁会社が寄与している。また、近年車載システムや医療分野向けに注力している。

ソリューションサービス

データセンターを活用したアウトソーシングサービスをはじめ、コンサルティング、ネットワーク構築、システムの運用支援・保守といった各種ソフトウェアサービスや、IT分野を広くサポートする技術スタッフの人材派遣サービスを提供している。またスマートデバイスのMDM製品「FENCE-Mobile RemoteManager」、スマートフォン利用業務構築ツール「WebUnity-Plus」等のスマートデバイス向けソリューションも提供している。

【主要製品・サービス】
情報セキュリティソリューション 「FENCE(フェンス)」シリーズ

スマートデバイス、パソコン、サーバ、メールまで、あらゆるシーンで企業の大切な情報を堅固に守る、トータルセキュリティソリューション。

建設業向けERP「CAP21(キャップにじゅういち)」

営業、引き合いから受注契約、施工引渡し回収まで建設業の基幹業務をサポート。会計と工事関連情報が一体となった統合データベースによる情報管理を実現。現場業務の効率化、経営情報を迅速に把握することが可能。

(CAP21の全体構成図)
課金システム「BillingSaver(ビリングセイバー)」

ビジネスシーンに欠かせない「契約・課金・請求」などの業務を、汎用的かつ柔軟に管理できる課金システム。
課金システムBillingSaverは、①課金システムの構築費を大幅に削減し、②独自の課金システムにも柔軟に対応し、③サービス拡張時も低コストで迅速に構築し、④豊富なノウハウとワンストップサービスで⑤最短3ヶ月導入を可能とするソリューション。

2017年3月期通期決算
売上高は前期比2億21百万円の増加、経常利益は前期比12億58百万円の増加

売上高は、前期比2億21百万円増の320億72百万円。社会基盤・ネットワークシステム、産業・流通システム、金融・公共システム等のインテグレーションサービスで前年を下回ったものの、エンベデッドシステムやソリューションサービスで増加した。一方、売上高は、2016年10月25日の修正計画を9億27百万円下回った。
経常利益は、前期比12億58百万円増加の13億72百万円。業績連動賞与等の増加によるコスト増と基盤強化のための戦略投資などによる費用の増加が影響したものの、不採算抑制の効果と増収効果や原価率改善の効果などが寄与した。営業利益は同13億7百万円増加の14億14百万円。売上総利益率が、前期比5.4ポイント改善した一方で、売上高対販管費率は1.4ポイントの上昇にとどまった。また、16/3期に繰延税金資産の取り崩しが発生した反動により、親会社株主に帰属する当期純利益は14億2百万円と、前期比36億50百万の大幅な増加となった。

2015年下期から実施した、商談段階・受注時点でのアシュアランス機能の充実や社員意識改革などの不採算抑制策が、18億64百万円の営業利益の増加要因となった。一方、業績回復に伴う業績連動賞与の増加などにより、コストが4億99百万円増加した。

社会基盤・ネットワークシステム

売上高は前期比6.0%減の94億84百万円となった。
通信キャリア向けは、既存の大型基盤システム案件の縮小や業務系データベースの更改案件延伸により減少した。また、ネットワークソリューションも失注や延伸により減少した。加えて、エネルギー向けも、電力自由化市場の伸び悩みにより減少した。

産業・流通システム

売上高は前期比7.5%減の58億53百万円となった。建設業向けERPパッケージ(CAP21)及び、SAPソリューションは、既存顧客のリプレース案件等により増加した他、製薬向けも治験関連が堅調に推移した。一方、製造業向けSIは、昨年の不採算プロジェクトへの対応に要員を割いたことにより新規受注が減少した。

金融・公共システム

売上高は前期比8.1%減の49億60百万円となった。金融向けは、全銀為替24時間化対応プロジェクト等の新たな案件を受注したものの、数年来継続していた大手金融機関向けの基幹システムの更新案件の収束により減少した。一方、官公庁向けは、人事給与業務のノウハウを元に領域を拡大した。また、共済・保険向けは生保/損保領域の新規顧客からの受注が拡大した。

エンベデッドシステム

売上高は前期比25.7%増の52億68百万円となった。デジタルカメラ向けは、既存顧客において開発機種数の回復による受注が拡大したことに加え、新規顧客からの大型の開発案件を受注した。また、車載機向けは、情報系で大型受注があった他、制御系についてもエンジン制御系を中心に増加した。加えて、医療機器向けも堅調に推移した。

ソリューションサービス

売上高は前期比11.4%増の65億5百万円となった。コンシューマ向けコンテンツ配信システムは、動画配信サービスを中心に開発案件が増加した。また、K5関連(※)は、クラウド(PaaS)開発・(IaaS)インフラ構築/運用サービスが拡大した。その他、セキュリティソリューション(FENCEシリーズ)も順調に拡大した。
※K5(FUJITSU Cloud Service K5): 富士通のノウハウとオープン技術を融合した新しいクラウドサービス

17/3期末の総資産は、前期末比5億82百万円増の232億82百万円。資産サイドは、退職給付に係る資産が主な増加要因。負債・純資産サイドは、親会社株主に帰属する当期純利益の増加に伴う利益剰余金が主な増加要因。自己資本比率は68.7%と同3.7ポイント上昇。引き続き堅固な財務体質を維持している。

法人税等の還付額の減少などにより、営業CFのプラスが縮小した。加えて、無形固定資産の取得による支出が増加したことなどから投資CFのマイナスも拡大し、フリーCFのプラスが縮小した。また、短期借入金の減少により財務CFのマイナス額も拡大したものの、期末のキャッシュポジションは上昇した。

2018年3月期業績予想
前期比2.9%の増収、同5.7%の経常増益

18/3期の会社計画は、売上高が前期比2.9%増加の330億円、経常利益が同5.7%増益の14億50百万円。
インテグレーションサービスに加え、エンベデッドシステムやソリューションサービスなどすべての事業区分で増加する計画。
利益面は、社内ICT(情報通信技術)の刷新など事業構造改革のコストを見込んでいる。売上高営業利益率は、0.1ポイント上昇の4.5%の前提。法人税等の支払額の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比大幅に減少する見込み。
配当は前期と同額である1株当たり年27円を予定(上期末13.5円、期末13.5円)。

(2)事業区分別の会社見通し(単体ベース)
社会基盤・ネットワークシステム

売上高は前期比2.4%の増加を計画。通信キャリア向けは横ばいを予想。ネットワークは、MVNO(仮想移動体通信事業者)向けの拡大を予想。エネルギーは配電系商談の拡大を予想している。

産業・流通システム

売上高は前期比7.1%の増加を計画。CAP21は機能改善・体制強化でビジネスの拡大を目指す。製薬(治験)関連は新規格に適合したソリューション化を推進。また、SI開発や運用保守などストック系分野での安定した受注の確保を目指す。

金融・公共システム

売上高は前期比2.8%の増加を計画。金融機関向け要員を前期に新規参画した生保/損保案件にシフトする。また、第7次全銀システム案件の確実な獲得を目指す。更に、官公庁向けはシステム刷新化の領域拡大を推進する計画。

エンベデッドシステム

売上高は前期比0.8%の増加を計画。デジタルカメラ、モバイル機器は縮小が予想されるものの、車載機は情報系/制御系ともに更に拡大する見込み。また、医療機器は重点分野として注力する。

ソリューションサービス

売上高は前期比5.2%の増加を計画。コンテンツ配信システムは引き続き堅調が見込まれる。また、K5、IoT、Fintech関連ビジネスを加速するとともに、FENCEシリーズはリプレース案件の取り込みにより拡大を目指す。

(3)18/3期の取り組み
・ソリューション開発本部の新設

インテグレーションサービスグループ内のソリューション(CRM,ビリング,BI/BA)を集約するとともに、新たなソリューションの創出に注力し業種を超えた取組みを強化する。

・注力分野

「AI」「IoT」など新技術のビジネス化を推進するとともに、DBPFなど富士通グループの方針との同期をはかりクラウド(K5)への取組みを強化する。

・将来に向けたICTの刷新

全社仮想デスクトップ、シンクライアントPC、グローバルコミュニケーション基盤、IDリンクマネージャー、WebOTR等の導入を推進する。

今後の注目点
同社の17/3期決算は、不採算プロジェクトの削減などにより、前期比大幅な増益となった。これは、16/3期の下期より実施した商談段階・受注時点を含めたアシュアランスの拡充や意識行動改革の成果である。有言実行で不採算損失を削減させたマネジメントに対する評価は高い。残念ながら同社は、過去数年間不採算損失の計上を繰り返してきた。前期の不採算抑制のための施策が定着し、18/3期においても不採算損失額を低水準に抑制できるのか、今後の不採算損失額の動向が注目される。一方、17/3期の売上高は、エンベデッドシステムとソリューションサービスで好調に推移したものの、インテグレーションサービスの3事業区分全てで前期を下回る結果となった。18/3期は、インテグレーションサービスの事業区分である社会基盤・ネットワークシステム、産業・流通システム、金融・公共システムの全てで売上高を伸ばす会社計画となっている。前期に不採算プロジェクトの収束に注力したことから新規案件の獲得を抑制せざるを得なかった産業・流通システムは、今期新規案件の獲得により売上が回復するのか、また、社会基盤・ネットワークシステムと金融・公共システムにおいてもリソースシフトなどにより期待通りに新規案件が獲得できるのか、今後のインテグレーションサービスの売上動向が注目される。更に同社は、今期も基盤強化のための戦略投資を継続する。これらは短期的には同社の利益水準を押し下げる効果がある。しかし、将来の事業構造を強固にするために必要なコストと思われる。社内ICTの刷新などの事業構造改革が今後どの様に同社の収益力向上に結び付くのかについても注目していきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2016年7月11日

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しておりますので、本欄に記載すべき事項はありません。」と記述している。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up