(3189:JASDAQ) ANAP 売上は計画未達も損失幅縮小

2017/04/26

ANAP

今回のポイント
・17/8期第2四半期の売上高は前年同期比7.4%減の32億28百万円。インターネット販売は引き続き好調だったが、店舗販売事業における店舗リストラクチャリングによる退店の影響で減収となった。前期から進めてきた再生プロジェクト(販売オペレーション再構築)の効果で粗利率は2.8ポイント改善。店舗リストラにより店舗経費も圧縮されたこともあり、販管費は同9.9%減少。こうした結果、営業損失、経常損失、四半期純損失は前年同期から圧縮された。期初計画に対して売上は未達だったものの、利益は上回った。・上期実績は計画を上回ったが業績予想に変更は無い。売上高は前期比ほぼ変わらずの70億95百万円ながらも、店舗リストラ効果、インターネット販売事業への経営資源集中などで下期より黒字転換へ。配当は無配を継続予定。新しい経営メソッドを導入し、商品の企画から販売までの機能を向上させ、業務効率を上げるとともに、インターネット販売事業に経営資源を集中させる。

・売上は計画未達だったものの、損失幅は縮小し計画も上回り、再生プロジェクトは着実に進行しているようだ。また、引き続き第2四半期のインターネット販売事業売上高構成比は目標である60%近くで順調に推移し、卸売販売サイト「Tokyo Fashion Wholesale」をオープンするなど、リストラクチャリングを進めながらも新たな取り組みに踏み出した同社の今後を注目したい。

会社概要

10~20代の女性を主要顧客層とし、「ANAP」ブランドを中心としたカジュアルファッションを提供。常にお客様目線を大切にし、おしゃれを楽しみたい女性のニーズに応えるため、欲しいものが手頃な価格でいつでも手に入る、ファッションを「オンタイム」で楽しめる「現在(いま)」を提案することを企業理念として掲げている。「ブランド認知度の高さ」、「オンラインショッピングサイトの販売力」も大きな強み。大手ショッピングモールを中心とした店舗販売と、自社サイト「ANAPオンラインショップ」を通じたインターネット販売が収益の柱。

1992年、現 取締役会長の中島 篤三氏が「株式会社エイ・エヌアートプランニング」を設立し、小売業をベースとしたマーケット・イン型企業として店舗を展開。個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品を展開する「ANAP」は、ファッションに敏感な10代~20代の女性から高い支持を得る。
一方、当初より同社専務取締役であった現 代表取締役社長の家髙 利康氏が運営する「株式会社ヤタカ・インコーポレーテッド」は、製造・卸によるプロダクト・アウト型企業として自社ブランドを展開していたが、フランチャイズとして「ANAP」ブランドの販売にも参画し、フランチャイズ11店舗を出店。両社は緊密な協力関係を構築していった。
両氏ともにファッション業界を取り巻く時代の変化を感じる中、お互いの強みを融合させることにより強力なシナジー効果を追求することができ、それが今まで以上に顧客目線を重視した経営に繋がると判断し、2006年8月、両社は合併。翌2007年、社名を現在の「株式会社ANAP」に変更した。

「ANAP」をメインブランドとしながら、コンセプトの異なる多種多彩なサブブランドを展開して、幅広い顧客ニーズをとらえると共に、原宿、渋谷など首都圏を起点としつつ、イオンモールなど大型ショッピングモールへの出店も進めて全国へ店舗を展開。
2002年1月には独自の自社ブランド販売サイト「ANAPオンラインショップ」を開設するなど、業界の中でもインターネット販売にいち早く着手し、2013年9月には、(株)スタートトゥデイ(東証1部、3092)が運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始。2013年11月、東京証券取引所JASDAQ市場に上場した。

【企業理念など】

企業理念として以下のコンセプトを掲げている。

【市場環境】

同社の主要顧客層は10代~20代の女性。同社の調べによれば、アパレル業界においては市場全体の約6割強を占める婦人服市場に属している。
また、婦人服の販売チャネルでは、百貨店が下降傾向にあるのに対し、専門店、ネット販売等が上昇傾向にあり、今後もインターネットを通じた販売の比率(EC化率)も上昇が予想されている。

こうしたことから、同社では後述するように、インターネット販売の売上構成比の拡大を目指して様々な取り組みを進めている。

【事業内容】

メインブランド「ANAP」を中心に、リーズナブルにおしゃれを楽しみたいという、多様なニーズをとらえるため、幅広い年齢層から支持されている全国ブランド、定番もの、流行もの、個性的アイテムまでコンセプトの異なるサブブランドを数多く展開している。豊富なアイテム数とリーズナブルな価格設定が特長となっている。
近年は新しい年齢層のKIDSやGIRLに注力しながら、アクセサリーやバック、小物類についてもブランドとして扱っている。2017年2月末現在、ANAPを始めとした17の主要ブランドを展開。これを店舗、インターネット、卸の3形態で販売している。

(1)インターネット販売事業
「2016年8月期 売上高 3,641百万円(売上構成比 51.4%)、セグメント利益 689百万円」

業界に先駆けて2002年1月より「ANAPオンラインショップ」としてANAPブランドのショッピングサイトの運営を開始した。2017年2月末の会員数は86.0万人。
常時1万アイテム以上の自社商品を品揃えしながら、ANAPカラーを全面に押し出したPOPなデザインのサイトで、ターゲットとする年代層が興味を持つ音楽や映画等の海外エンターテイメント情報を提供している。
ファッション雑誌を見ているかのような感覚や、ウィンドウショッピングを楽しんでいるかのような感覚になれることを意識して、掲載商品をコーディネートし、顧客が自ら着用した姿をイメージしやすくするといったサイト作りに力を入れている。

同サイトはいわゆるセレクト型のインターネットショッピングサイトとは異なり、システムに詳しい家髙社長自らが深く関わり自社開発したシステムによって構築されたサイトである点が大きな特徴となっている。
受注管理、売上管理、在庫管理、購入分析などを自社で一元的に管理している他、自社開発であるため、新たな機能の追加や従来機能の改善が容易であるというメリットがある。例えば、オンラインショップ担当スタッフが発案した顧客に楽しんでもらうためのアイディアや、顧客からのリクエスト等を即座にサイト上に反映して表現することができる。同社の商品戦略を機動的に実現する重要な仕組みとなっている。

同サイトにアクセスしてみると、例えば、「期間限定の均一セール」、「会員限定の送料無料キャンペーン」といったイベントが行われていることが分かるが、その内容は随時、極論すればアクセスの度に異なっており、その動的コンテンツのためにユーザーにとって魅力的なWebsiteとなっている。
こうした仕組みも自社開発したシステムによる自動プログラミングで実行されているため、極めて効率的にキャンペーンを展開することが出来るようになっている。

また、消費者のユーザビリティーを常に考慮し、使用デバイスとしてもPC、携帯を経ていち早くスマートフォン、タブレットへの対応も進めてきた。スマートフォンではデータ量の大きい画像への対応が必須だが、クラウドの利用などでこの課題をクリア。この結果、スマホ・タブレット受注割合は2016年8月期で88.6%と極めて高い。

同社では中期的な経営目標として「インターネット販売事業の売上構成比50%超」を掲げてきたが、想定以上のスピードで構成比は上昇しており、前期より「60%以上」を目標としている。

そのためには自社サイトのみでなく様々なサイトに多くのアイテムを出品する必要があるとの考えから、2013年9月には、(株)スタートトゥデイが運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始した。同様な理由で、卸売販売としてネット通販大手「Amazon」にも出店している。
加えて、2014年5月28日からは、クルーズ株式会社が運営するファストファッションサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」における販売を開始している。

(2)店舗販売事業
「2016年8月期 売上高 3,058百万円(売上構成比 43.2%)、セグメント利益 146百万円」

「ANAP」とそのサブブランド等からなるANAPブランドの主要な販売チャネルとして原宿や渋谷等に位置する路面の旗艦店舗、各地のファッションビルおよび郊外に位置する大型ショッピングモールへの出店など、全国に46店舗を展開している。(路面店 7、ファッションビル 4、ショッピングモール 35。2017年2月末現在)

「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」として重視すると同時に、「市場動向、流行、顧客ニーズを掴むためのアンテナ」、「インターネット販売への導線」として位置づけている。

(3)卸売販売事業
「2016年8月期 売上高 305百万円(売上構成比 4.3%)、セグメント利益 -0.5百万円」

全国のセレクトショップ向けに卸売販売を行っている。「ANAP」の各ブランドは他社バイヤーに対しセレクト商品を納品し、「Factor =」、「AULI」のブランドについては展示会受注によって商品を納品している。

2017年8月期第2四半期決算概要
店舗リストラで減収も再生プロジェクト効果により粗利率改善。損失幅縮小。計画も上回る。

売上高は前年同期比7.4%減の32億28百万円。インターネット販売は引き続き好調だったが、店舗販売事業における店舗リストラクチャリングによる退店の影響で減収となった。
前期から進めてきた再生プロジェクト(販売オペレーション再構築)の効果で粗利率は2.8ポイント改善。店舗リストラにより店舗経費も圧縮されたこともあり、販管費は同9.9%減少。
こうした結果、営業損失、経常損失、四半期純損失は前年同期から圧縮された。
期初計画に対して売上は未達だったものの、利益は上回った。

◎インターネット販売事業

自社サイトに加え、他社サイト「ZOZOTOWN」、「SHOPLIST.com by CROOZ」も順調に推移し、増収増益となった。
売上高構成比の目標を60%としている。

◎店舗販売事業

前期末から6店舗退店し、2017年2月末の店舗数は46店舗となった。退店により減収となったが、粗利率改善に加え経費圧縮により損失幅は縮小した。

◎卸売販売事業

カジュアルファッション市場の低迷による既存取引先への販売が減少し減収・減益となった。

現預金、売上債権、在庫が減少し、流動資産は前期末から3億54百万円減少。固定資産は退店に伴う敷金及び保証金の減少等で同44百万円減少し、資産合計は同3億99百万円減少し26億58百万円となった。
長短借入金の減少で、負債合計は同4億3百万円減少し、14億27百万円となった。
利益剰余金は減少したが、新株予約権の行使による株式の発行で資本金、資本剰余金が増加し純資産はほぼ変わらず。
この結果、自己資本比率は46.3%と、前期末より6.2%上昇した。

仕入債務の減少等で営業CFのプラス幅は縮小。前年同期にあった有形固定資産の売却による収入が無くなり投資CFはマイナスに転じた。フリーCFは、幅は縮小したが黒字を維持している。
新株予約権の行使による株式の発行による収入により財務CFのマイナス幅は縮小。
キャッシュポジションはほぼ変わらず。

(4)トピックス
◎新サービス:卸売販売サイト「Tokyo Fashion Wholesale」をオープン

これまでに蓄積してきたインターネット販売サイトの販売実績やノウハウを活かし、卸売営業部門の強化(全国の小売店直接訪問による時間及び経費削減)と在庫効率向上のために、新サービスとして卸売販売サイト「Tokyo Fashion Wholesale」(TFW)の運営を開始することとした。2017年4月下旬オープンの予定。

同サイトでは同社商品のみならず、他社メーカー商品の取扱いも行う計画である。
これにより、積極的に販路拡大を見込むメーカーや、在庫処理に苦慮しているメーカー等、様々な卸売販売ニーズに対応することができることに加え、様々なメーカー品をいつでも欲しい時に仕入れたい全国の小売店、NET SHOPにとっても利便性は大きく向上するものと同社は考えている。

2017年8月期業績予想
業績予想に変更無し。増収・黒字転換へ。

上期実績は計画を上回ったが業績予想に変更は無い。
売上高は前期比ほぼ変わらずの70億95百万円ながらも、店舗リストラ効果、インターネット販売事業への経営資源集中などで下期より黒字転換へ。配当は無配を継続予定。

(2)今後の取り組み

以下のような経営方針を掲げている。

店舗販売に関しては、「自社ビジネスの原点は店舗にある」との考えから店舗の立て直し・再成長化に取り組む。
卸売販売においては、EC卸売販売を強化する。ライバルが少ないカテゴリーであるKIDS、GIRLを中心に推進する。
また急速な拡大が続いている「越境EC」についてもどこで展開するかを含め事業化を検討している。

今後の注目点
売上は計画未達だったものの、損失幅は縮小し計画も上回り、再生プロジェクトは着実に進行しているようだ。
また、引き続き第2四半期のインターネット販売事業売上高構成比は目標である60%近くで順調に推移し、卸売販売サイト「Tokyo Fashion Wholesale」をオープンするなど、リストラクチャリングを進めながらも新たな取り組みに踏み出した同社の今後を注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社はコーポレートガバナンス報告書を2016年12月5日に更新している。
また、JASDAQ上場企業として、「当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則に則り、実施しております。」と記している。

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