(2428:東証1部) ウェルネット 通期予想に対する進捗順調 必要投資の実行に懸念

2017/04/26

wellnet

今回のポイント
・17年6月期第2四半期の売上高は前年同期比5.1%増収の53億円。非対面決済市場が引き続き拡大している。営業利益は同27.5%減少の7億98百万円。大口取引先の取引条件の見直し等による原価率の上昇で粗利額が減少したことに加え、システム開発と運用を担う札幌事業所における設備投資、人材のレベルアップを目的とした体制整備、「バスIT化プロジェクト」におけるユーザー向けスマホアプリ「バスもり!コンシェルジュ」のプロモーション活動など販管費が増加した。コストコントロールを進めたこともあり、計画に対しては売上、営業利益ともほぼオンラインだった。東京国税局から受領した2015年4月27日付の更正通知に関し、国税不服審判所に審査請求を行っていたが、2016年9月8日付の裁決通知により、還付金を受領することとなったため、営業外収益に過年度消費税88百万円を計上するとともに、偶発損失引当金39百万円を戻入れた。・17年6月期通期業績予想に変更は無い。引き続き非対面決済市場が拡大し増収となるが、「バスIT化プロジェクト」におけるユーザー向けスマホアプリ「バスもり!コンシェルジュ」のプロモーションを積極的に展開するため減益を予想している。配当は2016年7月に実施した株式分割考慮後で配当性向を50%以上とし、1株当たりの配当金が50円に満たない場合でも、10円/株増配の50円/株を予定。

・第2四半期まではほぼ計画通りの決算で着地し、通期予想に対する進捗も売上高で5割にやや足りないものの、営業利益は5割を超え、順調に推移しているようだ。ただ、上期の販管費実績は計画の8割程度であり、必要な投資が十分実行できているのかがやや気になるところである。第3四半期、第4四半期の業績推移とともに、バスIT化プロジェクトの進捗を注目したい。

会社概要

消費者が商品やサービスを購入した際の電子決済スキームを販売事業者に提供。
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、商品やサービスを購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」を提供することを基本コンセプトに事業を展開。
主力サービスであるマルチペイメントサービスは、国内大手航空会社、大手高速バス会社、大手通販会社等豊富な導入実績を誇る。創業以来、常にチャレンジを続ける企業DNAも大きな特徴。

【沿革】

北海道のガス、燃料販売会社の(株)一高たかはしの、新規事業開発をミッションとした子会社として誕生。
当時すでにコンビニエンスストアの店頭での公共料金の支払い取り扱いは始まっていたが、これが通信販売に拡大するとの動きを捉えて事業化に着手した。
請求書の印刷・発送から収納情報の処理まで一貫運用する「請求書発行代行サービス」、コンビニエンスストアの店頭で24時間365日支払が可能な「コンビニ収納代行サービス」を開発。販売事業者にとって多額の開発コスト不要なパッケージソフトを無償で配布したことにより、同社システムは急速に普及した。
続いて、紙の請求書を使用せずリアルタイムで電子請求・電子決済を同社1社との接続で実現できる、現在の中心システムを開発。利便性及び様々な収納機関と接続するための開発や契約が不要な点が評価され、航空会社、バス会社等による導入が進み、業績は順調に拡大。2004年JASDAQに上場した。
その後も、Amazon、ヤフーショッピング、ヤフオク!、LCC(格安航空会社)といった大手企業への「マルチペイメントサービス」提供が進んでいる他、数多くの実績を誇る電子チケットサービスの提供等にも注力している。

【市場環境】

経済産業省の「平成27年度我が国情報経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2016年6月14日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(BtoC)の市場規模は2015年で13.8兆円と前年に比べ7.6%の増加となった。2010年から2015年までのCAGR(年平均成長率)は12.1%となっている。

また、EC化率(商取引のうちどの程度がインターネットを通じて行われているか)は物販系分野4.75%とまだまだ小さいものの、着実に上昇している。

【事業内容】

「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、サービスや商品を購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、同社の直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする快適な「直売プラットフォーム」を提供している。

報告セグメントは「決済・認証事業」の単一セグメント。前々期まで、「マルチペイメント」、「オンラインビジネス」、「電子認証」と、サービス別に分類して売上を開示していたが、「決済」をコアとしその周辺サービスの拡充を進めている中、サービス別の公表が投資家をミスリードする可能性もあること等から、サービス別の売上開示も行っていない。
以下では同社が手掛けている主要サービスを紹介する。

≪マルチペイメントサービス≫

紙の請求書を使わず、リアルタイムの電子請求・電子決済を同社1社との接続で行うことができる。
事業者は、コンビニ、銀行、郵便局など様々な収納機関と接続するための開発や契約を個別に行う必要が無い。

(特長)

事業者は、購入者・利用者の決済物件確定後にウェルネットにデータを提供するだけ。購入者・利用者への支払方法の案内はウェルネットが担当する。
請求のペーパーレス化、収納情報のリアルタイム取得が可能なため、間際でも利用可能。
購入内容(金額)に変更があった場合でも、最新の金額による決済が可能。
情報授受用モジュールはウェルネットが無償提供するため、システム接続が容易。
最新の決済システムの開発、対応はウェルネットが行うので、都度のシステム開発が不要。
2000年7月から稼動開始し、国内主要航空会社の全て、主要高速バス会社、その他大手通信販売などが利用。
運用センターは24時間有人監視体制を敷いており、365日・24時間の決済サービスを提供。。
ペーパーレス決済では国内最大級のインフラ網を構築している。
≪送金サービス≫
①ネットDE受取(送金)サービス

キャンセルに伴う返金など、販売事業者から消費者への振込を、インターネットを利用して、より効率的に行うサービス。
消費者は販売事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力する。

(特長)

消費者が入力した情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われるため、販売事業者自らが口座確認を行う必要が無く、事務負担が軽減される。
返金処理の当日対応が可能なため、販売事業者にとっては顧客満足度向上につながる。
販売事業者は返金システムの開発が不要。
口座情報を保持する必要もないため、個人情報保護に関するリスクを低減できる。
②コンビニ現金受取(送金)サービス

「ネットDE受取サービス」同様、販売事業者から消費者へキャンセルに伴う返金などを行うサービスだが、「ネットDE受取サービス」と異なり、銀行口座が不要。
ローソンの店頭KIOSK端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とIDを入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。

(特長)

販売事業者は消費者の口座情報を持つリスクを回避できる。
郵便振替や銀行振込の手数料が発生しないことから、コスト削減が可能。
口座情報の誤りによる差し戻しなども発生せず、スムーズに返金を受け取ることができる。
≪Billingサービス≫
①コンビニ収納代行サービス

同社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと同社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービス。
コンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票付請求書は、同社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」を使用することで、販売事業者自身が自ら簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込も「コンペイ君」で行うことができる。
収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化される。
現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用されている。

(特長)

全国のコンビニエンスストア14チェーン。2016年6月時点)で24時間365日支払可能なので、郵便局・銀行の営業時間を気にする必要が無い。
パッケージソフトウェア「コンペイ君」を無償で提供するため、販売事業者はわずかな期間で運用開始可能。
自社で払込取扱票を印字でき、収納データもバーコードの数字だけなので顧客情報漏洩の心配が無い。
②請求書発行代行サービス

同社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書)の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込まで、トータルに請求書発行・収納業務をサポートする。
特に物流を伴わないサービス等(ガス料金、各種会費)の代金収納に利用されている。
また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」)も提供している。

≪バスIT化ソリューション「バスもり!®」≫

同社は2001年3月、都市間高速バスの予約済みチケットを24時間コンビニで購入できるサービスを日本で初めて実用化し、以降100社を超えるバス事業者と契約、数百路線のバスチケット発券を行っている。また、電子チケット領域においては航空券用ケータイチケットを皮切りに、たとえば札幌ドームなどでチケット発券・認証の実績とノウハウを積み重ねてきた。
これらノウハウの集大成ともいえるのが「バスIT化プロジェクト」である。

バス事業者・利用者双方の利便性を飛躍的に高めることができる革新的なサービスで、バス利用者は、安心・確実に目的地までのバス便を検索・予約できる一方、バス事業者も、効率的な在庫管理をリアルタイムで行い、販売機会の増大と確実な決済を行う事が出来る。

バスユーザー向け「地図上でバス路線を表示、チケットを買うことができるスマートフォンアプリ(商品名:バスもり!ナビ)を大幅に進化させたスマートフォンアプリ(商品名:バスもり!コンシュルジュ)と、タブレット端末を利用したバス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス(商品名:バスもり!MONTA)」の2つのシステムで構成されている。

【バスユーザー向け「都市間高速バスを便利にする高速バス検索・予約・購入・乗車スマートフォンアプリ(商品名:バスもり!コンシュルジュ)】

高速乗車券において従来は各バス会社が運営するWebサイト上にて予約購入、または電話予約での申込みが一般的だったが、サービスを利用することで、乗車したいルートの高速バス乗車券を簡単な操作だけで、乗車直前まで予約・購入(一部路線では座席指定可能)・変更・払戻ができるようになった。
チケットもコンビニ発券に加え、スマホ画面に表示される電子チケットが加わり、24時間いつでもどこでも手元のスマホでチケット購入できるため、ユーザーの利便性は飛躍的に向上した。
最新の高速バスに関するニュースや。支払期限が近い予約はプッシュ通知を受け取ることができるほか、バス乗り場までの経路案内が可能である。
電子チケットの認証方法については、既に提供を開始している車載用タブレット端末「バスもり!MONTA」に加え、「認証端末」がない場合には「電子もぎり」で認証できる機能を「バスもり!コンシェルジュ」に加えることで(2016年12月予定)ほとんどのバス路線に対応できるようになるため「電子チケット」の対象路線も拡大する。

【バス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス:バスもり!MONTA】

モバイルデータ通信によるリアルタイム在庫管理を実現した「バスもり!MONTA」は以下のような機能が特長で、運転手の負荷を軽減し、販売機会の極大化をもたらす。

① 電子座席表:現在運行しているバスの予約状況、空席状況が把握できる。
② 乗車券販売:決済が済んでないユーザーが乗車した場合 乗車区間の料金を表示できる。
③ 乗車券確認・認証:ユーザーの乗車券を認証し オンライン処理を行い、予約情報を更新する。

「バスもり!®」導入によりユーザー、バス会社はそれぞれ以下のようなメリットを受けることができる。

2016年10月2日から東京FMをキーステーションとするJFN38局でバスもり!コンシェルジュのプロモーションを目的としたFM番組「BUSTALGIA(バスタルジア)」の放送を開始した。この番組は観光地というよりは、余り知られていない場所にスポットを当てて、バスで行く街とポエムで紹介、聴取者に「バスに乗ってその場所に行ってみたい」と思ってもらうことを目指す。

≪「SUPER SUB」サービス≫

チケット発行・決済・認証をワンストップで提供するオンラインチケットソリューション。
個別開発やサーバーのつなぎ込といった複雑なステップが不要なため、企業のみならず一般個人も主催者登録が可能。
航空会社、バス会社といった既存の大口事業者に加え、低コストで効率的に利用事業者数を増大させることを狙い、2012年6月に提供を開始した。

(特長)

イベント等の主催者は、開催期間、会場、チケット単価など基本的情報を同社が提供する登録画面に入力するだけで、簡単にイベント受付、チケット受付・販売ページを作成することができる。(現在はPCサイトのみ)
同画面のリンクを自分のイベントページに設置するだけでチケット販売を開始できる。
参加申込者はPC、スマートフォン、携帯電話からチケットを購入できる。
チケット種類は電子チケット、コンビニで発券する紙チケット双方が利用でき、発券されたチケットにはQRコードが付き、専用のアプリで入場認証を行う。確実に認証でき、スムーズなイベント運営をサポートする。紙チケットだけを利用することもでき、その場合認証アプリは不要。
マルチペイメントサービス同様、豊富な決済手段を提供している。
申込から導入、チケット発売までおおよそ3週間程度と短期間で稼動させることができる。
初期費用、月額基本料は無料。コストはチケット発行手数料の5%のみで、運用コストは格安。
常設施設の入場券のみならず、期間限定イベント、ライブ、講演会・セミナー、地域イベント、有料パーティー、同窓会など、10~5,000人規模のイベントに適している。

同社のROEは一般的に日本企業が目標とすべきと言われている8%を上回っている。レバレッジが2倍を上回っており(自己資本比率は前期38.2%)、これが要因と見られるかもしれないが、同社の場合、収納代行預り金が現預金と流動負債に両建で計上されているためであり、これを考慮すると財務は極めて安定しており、高ROEの主要因はその高い売上高純利益率である。

【特徴と強み】
①豊富な導入実績&強固な顧客基盤

同社のマルチペイメントサービスは、導入時の開発費および収納機関との個別契約が不要というハードルの低さが評価され、下記の様に業界を代表するリーディングカンパニーに導入されている。
特にリアルタイム性が求められる航空会社、バス会社からの評価の高さは同社にとって大きな財産となっている。
この強固な顧客基盤は同社を支える重要な「見えざる資産」と評価できるだろう。

②常にチャレンジを続ける企業DNA

E-Billingサービス、Billingサービス、各種送金サービス、ケータイチケットサービスなど、同社の開発した様々なシステムはほぼ全てが日本で初めて実用化されたものとなっており、加えて同システムの優秀さは、上記実績が証明している。
同社は大企業の系列であるわけではなく、ヒト・モノ・カネといった経営資源が決して豊富な状態でスタートした訳ではない。
にもかかわらず電子決済の分野で「デファクトスタンダード」とも言える地位を確立することができた大きな要因の一つには、同社が創業時から生まれ持つ、「常にチャレンジを続ける」という企業DNAがあるのだろう。

宮澤社長は、ビジネスの意味、醍醐味を「自分の可能性を信じ続け、自分があったら便利だなと思う仕組みを自らリスクをとって開発し、すぐに提供できる具体的な形として提供する事」と考えている。
また、インタビューの中でも、「自社でなければできないものを世の中に送り出す事こそが同社の存在意義であり、それが無ければ企業として存在する意味が無い」と述べていた。

社員数は100名弱と小さな所帯ではあるが、後述する「ウェルネットアレテー」に代表される理念、心得をしっかりと掲げていることも企業DNA継承のカギとなっていると思われる。

2017年6月期第2四半期決算概要
増収・減益

売上高は前年同期比5.1%増収の53億円。非対面決済市場が引き続き拡大している。
営業利益は同27.5%減少の7億98百万円。大口取引先の取引条件の見直し等による原価率の上昇で粗利額が減少したことに加え、システム開発と運用を担う札幌事業所における設備投資、人材のレベルアップを目的とした体制整備、「バスIT化プロジェクト」におけるユーザー向けスマホアプリ「バスもり!コンシェルジュ」のプロモーション活動など販管費が増加した。
コストコントロールを進めたこともあり、計画に対しては売上、営業利益ともほぼオンラインだった。

東京国税局から受領した2015年4月27日付の更正通知に関し、国税不服審判所に審査請求を行っていたが、2016年9月8日付の裁決通知により、還付金を受領することとなったため、営業外収益に過年度消費税88百万円を計上するとともに、偶発損失引当金39百万円を戻し入れた。

現預金の増加で、流動資産は前期末に比べ21億円の増加。現預金には流動負債に計上されている回収代行業務に係る収納代行預り金(翌月には事業者へ送金される。)119億円が含まれている。投資その他の資産の減少で固定資産は同1億円減少し、総資産は同20億円増加の231億円となった。
一方負債面では、収納代行預り金の増加などで流動負債が同21億円増加し、負債合計も同20億円増加した。
自己株式が同1億円減少したが、利益剰余金が1億円減少し、純資産はほぼ変わらず84億円。
この結果、自己資本比率は前期末の40.0%から3.7%低下し36.3%となった。
(ただし、上記収納代行預り金を資産、負債から控除して計算すると、75.0%となる。)

収納代行預り金が増加したこと等から営業CFのプラス幅は拡大した。
有価証券の償還による収入増などで投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのプラス幅も拡大した。前年同期にあった自己株式の取得が無く、財務CFのマイナス幅は縮小した。
キャッシュポジションは上昇した。

(3)トピックス
◎「ネットDE受取サービス」が、クラウンジュエルの『ZOZOTOWNブランド古着買取サービス』に採用

2016年10月、「ネットDE受取サービス」が、株式会社クラウンジュエル(代表取締役社長:宮澤 高浩、本社:東京都渋谷区)が提供する「ZOZOTOWNブランド古着買取サービス」利用者への買取金額支払手段に採用された。

(サービスの概要)
事業者にとっては従来手作業で対応していた振込の運用が効率化され、利用者から提示された口座番号などに間違いがある場合に発生していた、「組み戻し」対応業務を回避できる。
また、利用者にとっても金融機関の営業時間内であれば、原則即時に振込がおこなわれるため、買取申込みから最短で当日に口座に振り込まれ、利便性が向上する。

◎JRバスグループが「スマホチケット」を導入

2016年12月より、高速バス予約・購入・乗車スマートフォンアプリ「バスもり!コンシェルジュ」が、JRバスグループの高速バス予約サイト「高速バスネット」に対応し、JRバスに「スマホチケット」で乗車できるようになった。

(サービスの概要)
従来高速バスは、紙のチケットが一般的であったが、スマホチケットを提示するだけで乗車ができ、スマホチケットに表示されているQRコードを利用して、各バス会社で利用されている車載タブレット端末での認証も可能となっている。3月現在、「バスもり!コンシェルジュ」対応済み144路線のうち、85路線で利用可能となっている。

◎JR西日本・JR九州のインターネット列車予約サービスで「マルチペイメントサービス」、「送金サービス」を提供開始

西日本旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社が提供するインターネット列車予約サービスにおいて、「マルチペイメントサービス」、「送金サービス」を、2017年春より提供開始することとなった。
これにより、全国の主要コンビニエンスストア、金融機関での支払いが可能となるとともに、現金購入時の払戻しの手続きもインターネット列車予約サービスから直接行う事が可能となる。
今回のサービス導入は、JR旅客鉄道各社においても初の試みとなる。

(サービスの概要)
「マルチペイメントサービス」導入により、JR西日本・JR九州のインターネット列車予約サービスで提供している新幹線および特急列車等の「JR西日本J-WESTネット会員」、「JR九州Web会員」は従来のクレジットカードに加え、全国のコンビニエンスストアや金融機関での支払いが可能になる。支払い完了後は、JR西日本・JR九州の指定席券売機等からきっぷを受け取ることができる。
また、「送金サービス」の導入により、インターネット列車予約サービスにおいてキャンセルを行う際、銀行振込やコンビニエンスストアでの払い戻しをユーザーが選択することで迅速な返金が可能となることに加え、鉄道会社の窓口業務の負担も軽減する。

2017年6月期業績見通し
業績予想に変更無し。増収もプロモーション費用など投資先行で減益

業績予想に変更は無い。引き続き非対面決済市場が拡大し増収となるが、「バスIT化プロジェクト」におけるユーザー向けスマホアプリ「バスもり!コンシェルジュ」のプロモーションを積極的に展開するため減益を予想している。
配当は2016年7月に実施した株式分割考慮後で配当性向を50%以上とし、1株当たりの配当金が50円に満たない場合でも、10円/株増配の50円/株を予定。

宮澤社長に聞く
Q「バスIT化プロジェクトの進捗状況はいかがでしょうか?」
A「バスもり!コンシェルジュのプロモーションに注力中。採用路線は着実に拡大している。」

このビジネスの成否はいかに多くのユーザーに「バスもり!コンシェルジュ」のスマホアプリをダウンロードして貰えるかにかかっている。そのためにアプリ及び当社認知度の向上のためのプロモーションに注力している。

2016年10月にはFM番組「BUSTALGIA」の放送が始まった。バスから始まる様々な物語をその土地の情報を交えながらお届けする番組で、「バスもり!コンシェルジュ」取扱路線を中心に取り上げていく。
また、12月からはバスタ新宿前オーロラビジョンでCMを放映、各バス会社のターミナルや営業所、路線バスでのポスター設置、リーフレット差し込みなど様々な活動を展開している。
今後は、中国訪日客の利便性向上のため、今年春には銀聯やアリペイへの対応を始めるなどインバウンド向け対応も拡大するほか、秋までには電子もぎりチケット対応も開始する予定だ。

一方、2016年12月には日本最大のバス会社グループである「JRバスグループ」でスマホチケットでの乗車が可能になるなどバス会社の採用も着実に拡大しており、2017年3月現在で144路線が「バスもり!コンシェルジュ」での乗車に対応している。今期中、300路線を目標としている。
スマホチケットのデファクトスタンダード化を目指し、プロモーションとバス会社への営業を推進する。

Q「大学入試マーケットへの取り組みについてお聞かせください」
A「引き続きインターネット出願への取り組みを進めるとともに、入学手続き向け電子決済の分野にも参入する。」

大学入試におけるインターネット出願の動きが急速に広がっている。
昨年9月に行われた533大学を対象にした調査によれば、2017年の入試においては既にインターネット出願を実施している大学の約54%が紙の願書を廃止してインターネットのみの出願実施に全面移行すると回答している。
いままでデジタル化が遅れていたこの分野で今後は「インターネット出願」が常識になるだろう。

実は当社はこの分野での取り組みが早かったこともあり、高いシェアを有している。
今後も引き続き取り組んでいくが、そこに留まらず、入試後の入学手続き向け電子決済の分野にも注力していく。
つまり、合格発表通知から入学金や授業料納付までをワンストップで行うクラウド型サービスを提供する考えだ。
既に東海大学を始め3大学への導入が決まっており、今後も順次拡大させていく。
特に学生数が多い大学での業務効率化ニーズが大きいので、今後は国立大学へのアプローチも積極化させていく。

今後の注目点
第2四半期まではほぼ計画通りの決算で着地し、通期予想に対する進捗も売上高で5割にやや足りないものの、営業利益は5割を超え、順調に推移しているようだ。ただ、上期の販管費実績は計画の8割程度であり、必要な投資が十分実行できているのかがやや気になるところである。
第3四半期、第4四半期の業績推移とともに、バスIT化プロジェクトの進捗を注目したい。
<参考1:新中期経営5か年計画の概要>
【概要】

非対面決済およびその周辺を事業ドメインとし、その中で確立したノウハウと実績により業績を伸ばしてきたが、非対面決済市場は今後も一定の伸長を見込んでおり、引き続き現状のビジネススキームの維持発展を目指す。
この新中期5か年計画期間中においては、フィンテックの急速な進展、実用化が見込まれ、またIoTの利活用が始まるなど、同社を取り巻く事業環境は今後も大きな変化が見込まれる。同社ではこの変化を新たなビジネスチャンスに変えるための投資を積極的に行い、2019年6月期30億円、最終年度2021年6月期50億円の達成を目指している。

【各種プロジェクト】

A.フィンテックサービス「支払秘書」
現在の同社の収益の柱は「リアルタイムの現金決済」だが、今後は電子マネー・キャッシュレス決済がさらに伸長する可能性が高いとみて、2011年に構想し、その後要件定義・開発を進めてきた電子マネーサービス「支払秘書」を、2017年夏頃を目途にリリースする予定である。

スマートフォンアプリの「支払秘書」はサーバー管理型電子マネーで以下の機能を持っている。

① 提携銀行からリアルタイムに電子マネーをチャージできる。他の収納機関からもチャージ可能。
② 督促自動化機能で、事業者は郵便による督促が不要になる。
③ 「秘書」のリマインド機能により支払の「うっかり忘れ」を防止でき、回収率向上にもつながる。

サービスや商品を提供する事業者サイドから見ると購入と同時に即時決済されるようになるため、販売機会を逃さない。
また今までコスト的に見合わなかったデジタルコンテンツ等の多頻度少額決済にも対応できるようになるとともに、最近ニーズが高まっているワンクリック決済への対応も可能。
更に、後払い決済領域事業者は、従来の紙の請求書から電子請求に替わることにより請求書発行コストを低減する事が可能である。

「支払秘書」の普及については、以下のようなプロモーションを進めし、アプリの普及拡大を強力に推進する。

① 既に同社決済を導入している事業者への訴求
② 提携銀行と共同で営業
③ 月間数百万回に及ぶ決済時に消費者が利用する「(同社提供の)支払い方法案内画面」に新たな決済手段として表示
④ 消費者向けの積極的なプロモーション

B.バスIT化プロジェクト
バスIT化プロジェクトの基幹を担う「バスもり!シリーズ」の開発・投入・プロモーションを積極的に展開する。
前期までに都市間高速バス向け認証用車載端末「バスもり!MONTA」、地図から探してそのままチケット購入できるスマホアプリ「バスもり!ナビ」をリリースしたが、2016年8月には「バスもり!ナビ」を大幅に進化させたスマートフォンアプリ「バスもり!コンシェルジュ」を投入した。

いかに多くの消費者にこのアプリを認知・ダウンロード・利用してもらえるかが収益化に向けた重要な要素となるため、「バスもり!コンシェルジュ」のプロモーションを積極的に展開する。

C.オープンイノベーション
「IoT」、「フィンテック」等、同社の事業領域周辺では大きな変革が起きており、同時に大きなビジネスチャンスが広がっている。
同社ではこのチャンスを取り込むための積極的な施策を行っていく。
具体的には様々な知見・技術を持つ大学・事業体・企業などとの連携を強化し、ビジネスチャンスに的確に対応する。

① ブロックチェーン技術を使った安全かつローコストなプラットフォームの開発・提供を目指し、北海道大学と共同研究をスタートさせた。今後は関係を深化させ具体的な成果物を生み出す。また、ブロックチェーン活用プラットフォーム等社会インフラになり得る成果物が完成した際には、他企業などにもオープンに参画することができる仕組みとすることで、社会貢献の一旦を担っていく。
② ビックデータ活用、イールドマネジメント(※)、路線バスの可視化による需要喚起等、IT利活用によるバス事業および地方創生に資する共同研究を国立情報学研究所と推進する。
③ 決済周辺プラットフォームの開発・整備を行う企業との連携に取り組む。
④ 特に金融サービスにおいては「セキュリティ」と「コストパフォーマンス」の両立が重要課題。その課題解決には相当額の研究開発費を要するため、それらへの投資を目的としたCVC「ウェルネットベンチャーキャピタル」を立ち上げる。
※イールドマネジメント
ホテル、航空会社など(同社の場合はバス運営会社)で単位あたりの収益を最大化する販売戦略。欧米でいちはやく導入され、日本には90年代後半に浸透した。稼働率や乗車率を上げるためだけに客室や運賃の割引率を大きくすれば、イールド(収益)は必然的に低下する。一方で、乏しい需要に対し割引を少なくすると売れ残ることがある。そこで、イールドを最大限確保するために、過去の販売データや需要動向を細かく見ながら販売単価や提供座席数を管理する事が必要となっている。

D.システムの根幹を担う札幌事業所のレベルアップ
前期に発生した大規模障害の反省から、札幌事業所の体制を整備してきたが、今期からは更にダイナミックなレベルアップを目的とした投資を行う。具体策は以下の通り。

①スキルアップ
高い技術力と知見のある会社の支援を得て、札幌事業所社員のスキルを引上げる。
10名以上のスキルの高い同社技術者に札幌事業所に常駐してもらい、本格的な品質管理部門を設立。システム開
発からインフラ設計、運用に至るまで、ウェルネット社員と一つのチームになって実地教育を行ってもらう。

② 体制整備
前期まで札幌事業所の担当取締役は社長が兼任してきたが、高い技術力と知見、および経験を持つ人材を招へいし、執行役員も1名から3名体制に増強する。加えて十分な知見を持つ顧問を付けるなど、確実なレベルアップと「安定運用」を実現させる。

③ クラウド化
従来型のインフラ構築手法では、激しく増加するトラフィックに対応しきれないとの判断の下、今後3年計画で柔軟なスケールアップ・分散処理ができるクラウドに移行する。これにより安定稼働とベストコストパフォーマンスの両立を目指す。

E.正しい企業活動を行う「ガバナンス」
同社は会社の存在意義と社員の行動指針を以下の「ウェルネットアレテー」として定め、実効性のあるガバナンスを目指している。商材が変わっても同社の根幹をなす行動哲学として引き続き社員へ浸透させていく。
(アレテーとはギリシャ語で、「徳」、「優れた者」、「卓越したもの」を意味する。)

<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書

同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年9月27日に提出している。

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
同社ウェブサイトの会社概要「コーポレートガバナンス」で「コーポレートガバナンス・コード当社取組方針」として開示を行っている。

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