(2146:JASDAQ) UTグループ 人材の動員力に加えソリューション提案に成果

2017/03/29

UTG

今回のポイント
・17/3期3Q(累計)は前年同期比28.6%の増収、同45.7%の営業増益。旺盛な人材需要に月間750名の採用体制で応えた結果、過去最高を更新中の技術職社員数が13,079人と前年同期末比26.5%増加した。人材の動員力に加え、労働法制・コンプライアンス対応を含むソリューション提案の成果もあり、優良案件の取り込みが進み売上総利益率が向上。一方、スケールメリットで販管費率が低下した。・上方修正された通期予想は前期比24.9%の増収、同25.9%の営業増益。受注と採用が順調に進む中、3Qに前倒しでスタートした案件もあり、売上高を15.0%上方修正。売上の上振れに加え、利益率が高いエンジニア派遣事業の順調な拡大を踏まえて、営業利益(22.5%上方修正)以下の各利益も上方修正した。株主還元については総還元性向30%を目途に実施していく。「PEGレシオ(後述)による株価水準の判断をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断する」としている。

・社員のキャリアコンサルを強化すると共に、企業の構造改革等に対応したソリューションに力を入れていく。キャリアコンサルはキャリアアップを支援するもので、生産性向上と離職率の低下につながるため、派遣先企業からも評価される。企業の構造改革の支援は、昨今の転籍がらみの案件が増えている事を踏まえてのもので、ソリューション部門として独立させ、専門部隊が様々な人材ソリューションを提供していく。「同一労働・同一賃金」の理念への対応等でもソリューションを求める声は多いと言う。

会社概要

顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みとする製造派遣・請負を事業基盤に、エンジニア(設計及び建設技術者)派遣を育成中。M&Aへの積極的な対応も含めて、既存事業の強化と新規分野への展開で人材業界における日本を代表するリーダー企業となる事を目指している。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社が担う。

【コーポレートブランディングの刷新】

創業21年目を迎えた2015年を新たな創業の年と位置づけて社名変更を行い、新たなビジョンを策定すると共にブランドマークを刷新した。

・古くは法隆寺等の建造物から、現代では道具や印刷用紙にも用いられる「白銀比」 により構成
・UTグループの個々とチームワークとその結束を体現し、更に、社員や事業が成長するデザインとして採用
・緑は、成長するキャリア、イキイキとした働き方、社員に安心と安定した職場を提供する姿を表す
・黒は、当社のサービス品質を担保する姿勢を表す
新コーポレートメッセージ 「Upward Together」

・「はたらくカで、イキイキをつくる。」をミッションに、お客様と協力しながら共にビジネスを成長させるという、UTグループの社会的使命を表明するメツセージ。
・自分の能力の限界を解き放ち、チームで挑戦する事により更に能力やスキルを高めていくという姿勢を表している。

【事業内容】

事業は製造派遣事業とエンジニア派遣事業に分かれ、16/3期の売上構成比は製造派遣事業87.1%(15/3期91.2%)、エンジニア派遣事業12.9%(同8.8%)。製造派遣事業の業種別売上構成比は、半導体・電子部品分野50.6%(同47.3%)、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)20.0%(同21.0%)、自動車関連分野15.7%(同15.7%)、住宅分野5.9%(同7.5%)、その他7.8%(同8.5%)。一方、エンジニア派遣事業は、更に設計開発技術者派遣6.1%(同5.7%)、建設技術者派遣3.8%(同3.1%)、及び2015年3月に子会社化したUTシステム(株)を主体とするソフトウェア開発技術者派遣3.0%に分かれる。

製造派遣事業

10/3期には91%を超えていた半導体・電子部品分野の構成比が、近年、大きく低下しているが、この間、同分野向けの売上自体は増えている。パナソニック バッテリーエンジニアリング(現UTパベック)の子会社化や自動車関連分野の開拓により、環境・エネルギー分野と自動車関連分野の売上を大きく伸ばす事で、半導体・電子部品分野は売上を増やしつつ構成比を半減させた。中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。

製造派遣分野の主な取引先
半導体・電子分野 パナソニックグループ、ソニーグループ、ロームグループ、東芝グループ、浜松ホトニクスグループ
自動車関連分野 トヨタ自動車グループ、アイシン精機グループ、オムロングループ、三菱自動車グループ
環境・エネルギー分野 パナソニックグループ、日立製作所グループ、ジーエス・ユアサグループ
住宅関連 LIXILグループ、YKKAP
エンジニア(設計技術者、建設技術者、ソフトウエア開発技術者)派遣事業

設計技術者を中心に、建設技術者、及びソフトウェア開発技術者の派遣を行っている。未経験者を採用・育成しての派遣を基本とし、製造業派遣社員のエンジニアへのグループ内職種転換制度「One UT」(収入増につながるため年間100人規模で職種転換が行われている)や、入社予定者も対象とするエンジニア育成施設「UT Advanced Career Center」が整備されている。折からのエンジニア不足を背景に未経験者の需要も強く、同社は未経験者の育成体制が評価され好調な受注が続いている。

2017年3月期第3四半期決算
前年同期比28.6%の増収、同45.7%の営業増益

有効求人倍率の上昇が続く中、大規模案件が増加しており、引き続き事業環境は良好。月間750名の採用体制と労働法制・コンプライアンス対応を含むソリューション提案により、大型で単価等の条件も良い案件の取り込みが進んだ。このため、売上総利益率が20.0%と0.3ポイント改善。一方、販管費率はスケールメリットで0.4ポイント低下し、営業利益率が6.0%と0.7ポイント改善した。同社が重視している経営指標であるEBITDAは26億87百万円と前年同期の17億95百万円に対して49.7%増加した。

セグメント別では、製造派遣事業、エンジニア派遣事業共に収益性の改善を伴って売上が増加。エンジニア派遣事業の構成比が売上・利益の両面で高まった。

第3四半期末の技術職社員数は前年同期末に比べて2,736名(26.5%)増の13,079名。9月末現在、3,032名のバックオーダー数を抱えている(前年同期末の1,390人に対して118.1%増)。月間1,000名の採用体制の確立に向けた取り組みを進めていく考え。

尚、第3四半期累計期間(9ヶ月間)の技術職社員純増数は2,153名(前年同期の純増1,044名に対して106.2%増)したが、これは前期通期の純増数1,627名を上回る。

製造派遣事業

動員力と労働法制・コンプライアンス対応力に対する派遣先企業の要求水準が高まっており、大手派遣会社優位の受注環境が続いている。同社は、スマートフォン、車載用電子部品、自動車関連を中心にした旺盛な人材需要に対して、月間750名の採用体制と労働法制・コンプライアンス対応力で応え、第3四半期末の技術職社員数が11,792名と前年同期末比25.0%増加した。

分野別では、全ての分野で売上が増加した。半導体・電子部品分野は売上が前年同期比16.2%増加したものの、売上構成比は49.7%と5ポイント低下。自動車関連分野は正社員から派遣社員へのシフトが進行中である事もあり、売上が前年同期比51.8%増と大きく伸び、売上構成比も上昇した。テスラモーター向けの電池が中心の環境・エネルギー分野も同24.8%増加した。

エンジニア派遣事業

エンジニア不足が深刻化しており、派遣会社にとっては大きなビジネスチャンスであり、エンジニアを確保できた派遣会社が売上を伸ばす事ができる。同社は、社内キャリアパス制度「One UT」による120名(来18/3期は200名を計画)と300名程度の新卒採用でエンジニアの増員が順調。エンジニア不足を背景に未経験者の需要が多く、同社は未経験者の育成体制が評価され受注を伸ばしている。第3四半期末の技術職社員数は1,287名と前年同期末(909名)と比べて41.6%増加した。

設計技術者(機械設計)、建設技術者、ソフトウェア開発技術者の3分野の売上をバランス良く伸ばし、早期に連結売上高の1/3程度の事業規模に拡大させたい考え。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて28億72百万円増の200億12百万円。業容拡大で売上債と未払費用が増加した他、良好なキャッシュ・フローと利益計上で現預金と純資産も増加した。自己資本比率24.7%(前年同期末23.9%)。

2017年3月期業績予想
上方修正された通期予想は前期比24.9%の増収、同25.9%の営業増益

受注と採用が順調に進む中、第3四半期に前倒しでスタートした案件もあり、売上高を前期比24.9%増の550億円と15.0%上方修正。利益面では、売上の上振れに加え、利益率が高いエンジニア派遣事業の順調な拡大を踏まえて、営業利益を同25.9%増の31億円と22.5%上方修正し、経常利益以下の利益にも反映させた。

(2)18/3期にかけての取り組み  -社員に対するキャリアコンサルの強化と企業の構造改革の支援-

社員に対するキャリアコンサルを強化すると共に、企業の構造改革や「同一労働・同一賃金」の理念に対応したソリューションに力を入れていく。

社員のキャリアコンサル強化

キャリアコンサルは、キャリア選択と職業訓練に主眼が置かれ、社員のキャリアアップを支援するもの。同社には独自の基準であるジョブ・グレードがあり、キャリアを選択し職業訓練によって知識と技能を高める事で、より高いジョブ・グレードに進む事ができる。そして、その先にはキャリアパス制度「One UT」がある(エンジニアに転じれば、45%程度の年収アップにつながると言う)。こうした取り組みは、生産性の向上や離職率の低下にもつながるため派遣先企業からも高く評価される。現在は各現場責任者が、営業、採用、労務管理、社員のキャリア形成支援等、必要な全ての業務を主体的に行っているが、来期以降、現場業務のバックアップ組織を新設し、現場責任者は社員のキャリアコンサルに専念する体制に改める。エンジニアの育成に特化した施設も含め、既にキャリアアップに必要な訓練施設を開設済みで、今後、施設の拡充と共に、e ラーニングの導入や外部教育機関との提携も模索していく。

構造改革支援ソリューションの展開

昨今、転籍がらみの案件(「インハウスソリューション」案件)が増えている事を踏まえてのもの。ソリューション部門として独立させ、構造改革の専門部隊が顧客ニーズに応じた様々な人材ソリューションを提供していく。第3四半期に前倒しでスタートした案件もその一つで、出向者を含めると200名程度を受け入れたようだ。同社にとって「インハウスソリューション」は、売上につながるだけでなく、採用コストをかけずに優秀な社員を採用できるメリットがある。「インハウスソリューション」案件は、通常、3年程度の派遣契約が保証されるため、その間に、受け入れた社員のキャリアアップを支援し、他の現場でも活躍できる人材に育てていく。

「同一労働・同一賃金」に対応したソリューションの展開

「同一労働・同一賃金」は派遣社員を使う企業にとって悩みの種だ。正社員と派遣社員はもとより、大手企業であれば、1工場で6社程度の派遣会社を使っているため派遣社員間でも格差が生じている(派遣会社毎に雇用条件が異なるため)。このため、派遣会社を1社に絞り込む動きが出始めている。同社にとって、ビジネスチャンスであり、正社員と派遣社員の業務の切り分け、派遣社員のジョブ・グレードの設定、ジョブ・グレードに沿った派遣社員の評価等、生産性向上に向けたコンサルと解決策の提示で差別化を図り受注につなげていく。

※エンジニア育成施設「UT Advanced Career Center」を開設

2017年1月17日に、即戦力となるエンジニアの育成と社員のキャリア形成支援を目的に「UT Advanced Career Center」(以下、UTACC)を東京都品川区東五反田に開設した。「UTACC」は、エンジニア未経験の製造現場で働く社員やエンジニアを志望する求職者はもちろん、新たなスキルの習得やライセンス取得の意欲を持った社員に対して実践的な職業訓練の場を提供する。領域は、設計・開発エンジニア、システムエンジニア、建設エンジニアなど多岐にわたり、研修内容は、マナーやビジネススキルといった基礎研修から、設計基礎、3D CAD、PLC(シーケンサ)、JAVA、プロジェクトマネジメント、測量等。分野毎の専門知識の学習や、実際の現場で使われる機材による実技・実務研修等のプログラムが用意されている。
同社は、単純労働・キャリア未形成・不安定といった派遣労働者のイメージを変え、働く意欲を持った人たちがイキイキと働ける環境の整備に取り組んで行く考え。

(3)株主還元

総還元性向30%を目途に株主還元を実施していく考えで、PEGレシオ(注)による株価水準の判断(PEGレシオ2倍で割高、同1倍で割安)をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断して最適な株主還元を実施していく。
17/3期は、2016年5月13日から6月23日にかけて、自社株買いを実施し、1,669,900株(発行済株式数の4.5%)を749,973,300円で取得した。配当は未定。

(注) PEG レシオ (Price Earnings Growth Ratio) = PER ÷ 年間EPS成長率

今後の注目点
通期予想が上方修正されたが、依然として保守的。第3四半期決算説明会において、「特に懸念材料はなく、第3四半期までのペースを維持していきたい」といった趣旨の説明があった。売上高570~580億円、営業利益34~35億円程度での着地が可能ではないだろうか。
一方、今期末の技術職社員数は14,000名を目標としており、前期末に比べて約3,100名増加する計算だ。3,000名の増加で120~130億円の増収要因になると言うから、来18/3期の売上高は700億円程度がボトムラインとなり、この水準の売上を確保できれば、営業利益は40億円を超えると思われる。これにいくつかの収益押し上げ要因が加わる。具体益には、今期は200名程度を受け入れるインハウスソリューション案件があったが、これを大きく上回る4桁単位の案件が複数の企業から持ち込まれていると言う。また、派遣案件でも1,000名規模のオーダーが増えている他、年商50~100億円規模の派遣会社のM&A案件の持ち込みも増えていると言う。大型案件になるほど、採用コストや現場の管理コストが低下する。中期経営計画における18/3期の計画は売上高840億円、営業利益44億円とチャレンジングではあるが、計画達成を視野に入れた展開が期待できそうだ。
<参考資料 コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書           2016年6月30日更新

同社はコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則を全て実施している。

基本的な考え方

当社は、当社グループの業務の健全かつ適切な運営の確保を行うため、グループ全体の管理を一元的に行います。

1.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、「経営環境変化への対応」の観点から意思決定のスピードアップを図り、変化に柔軟に対応していくこと、「経営の透明性」の観点から経営チェック機能の充実を図ること、「経営の健全性」の観点から法令を遵守し、社会倫理に反することがないようにすることをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針としております。

2.当社グループとしてのコーポレート・ガバナンス

当社は、UTグループの純粋持株会社として、各グループ事業会社の独立性を尊重しながら、UTグループ コンプライアンス・リスク管理委員会等を通して、横断的に管理・調整し、グループ経営管理体制の強化に努めます。

3.監査役制度の採用とコンプライアンス・リスク管理会議の設置

当社は、経営の監視機能を重視して、監査役制度を採用しております。また、社外の弁護士も参加するUTグループ コンプライアンス・リスク管理会議を設置し、コンプライアンスの徹底を図ります。
<実施しない主な原則とその理由>

当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

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