(9616:東証1部) 共立メンテナンス 前年比増収と共に利益率も上昇

2017/03/08

Kyoritsu

今回のポイント
・17/3期3Q累計は前年同期比1.4%増収、15.6%経常増益。寮事業の期初稼働率は、前年比1.0ポイント増の98.3%と好調なスタート。営業利益率上昇にも貢献した。ホテル事業においては、ドーミーイン事業、リゾート事業共に高稼働、高客室単価にて推移した。その他の事業ではデベロップメント事業において大幅な増収となった。・通期予想に修正はなく、17/3期は売上高が前期比2.2%の増の1,380億円、経常利益は同12.5%増の110億円を計画する。寮事業の期初高稼働に加え、ホテル事業においても、国内旅行者数の増加、訪日外国人数が過去最高を更新するなど追い風が続く。配当は年52円(うち上期26円)を予定している。3/31を基準日として1株につき2株の割合をもって株式分割する。

・アジアからの団体顧客をメインターゲットとするホテルオペレーターの中には稼働率上昇に一服感が見え始めたとの報道もある中、同社ドーミーインのインバウンドは個人旅行客が中心であり、引き続き高稼働・高単価を維持している。

・なお、ホテルセグメントにおける3Q期間損益の伸びが緩やかな要因は、ドーミーインのリニューアル工事に伴う営業休止影響及び工事費用計上によるものであり、増益基調に変化はない。

会社概要

“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(16/3期)は次の通りである。

【沿革】

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部上場となった。

新中期経営計画「共立フルアクセル・プラン」:16/3期~18/3期の3ヶ年計画

15年5月に新たな中期計画として、「共立フルアクセル・プラン」を策定した。

経営環境
・異次元緩和による低金利及び円安の継続
・建築費の高止まり
「日本再興戦略」改訂2014
・観光資源の活用/インバウンド促進
・大学改革/グローバル化
・法人税率の段階的な引き下げ
・コーポレートガバナンスコードの策定
将来のイベント
・2019年10月消費増税(8%→10%)(計画策定時は2017年4月予定)
・2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催

その上で「共立フルアクセル・プラン」において2018年3月期に目指す目標は以下の通り

基本方針として
1. お客様のニーズに応えるべく、開発投資を集中的かつ積極的に加速
2. 価値と価格のバランス適正化による収益力の強化
を掲げている

開発室数は寮・ドミールで4,930室、ドーミーインが2,794室、リゾートホテルは641室。

ホテル事業の客室単価については、過去3年間(13/3~15/3期)の平均でドーミーインは5.3%の上昇、リゾートホテルでは6.1%の上昇率であったが、16/3期からの3年間の計画はそれぞれ2.7%、2.3%の上昇を見込んでいる。16/3期の実績はドーミーインが14.4%と大幅に上回った。リゾートホテルは1.8%上昇。

開発計画が前倒しで進捗、来期には新たな中期計画へ

開発投資は16/3期157億円、17/3期予想262億円と2年で419億円に達する見通し。中期計画で見込んだ440億円は今17/3期に概ね到達する。また、来18/3期は既に110億円の投資が確定しており、大幅に上回ることが確実な情勢。経常利益についても上期の状況から1年前倒しで達成の目処が立った。
こういったことから、来期に新たな中期計画を立てる見通しとなっている。

2017年3月期第3四半期決算
前年同期比1.4%の増収、同15.6%の経常増益

売上高は前年同期比1.4%増の1,011億12百万円。寮事業における期初稼働率は、前年比1.0ポイント増の98.3%と堅調なスタートとなった。高稼働を背景に営業利益率も大きく伸びた。ホテル事業においては、ドーミーイン事業、リゾート事業共に高稼働、高客室単価にて推移した。その他の事業ではデベロップメント事業において大幅な増収となった。売上総利益率は2.1ポイントの大幅な上昇、販管費率は1.1ポイント上昇し、営業利益率は1.0ポイント上昇した。この結果、営業利益は前年同期比12.8%増の96億85百万円、支払利息が減少したこと等により経常利益は同15.6%増の93億34百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同11.3%増の58億円47百万円となった。

営業利益率は前年同期比1.0ポイント上昇の9.6%。創業以来、主力として安定成長を続ける寮事業が大幅な増益となり利益率も2.1ポイント上昇した。成長著しいホテル事業だが、相次ぐ新規オープンの負担に伴い利益率では踊り場となった。その他の事業は改善した。

寮事業

売上高は前年同期比3.2%増の332億51百万円、営業利益は同19.2%増の50億51百万円。期初稼働率は98.3%と前年を1.0ポイント上回る水準での好調なスタート。12月末現在の稼働契約者数は前年同期比863名増の32,515名となった。学生寮事業は提携大学の増加や、海外からの留学生の増加もあり堅調に推移した。社員寮事業においては、新入社員の増加や、新たに寮制度を導入する企業が増加したことにより、大幅に契約者数が増加した。尚、4月に発生した熊本地震の影響は軽微なものにとどまり、九州エリアでも増収増益となっている。
営業利益率においても前年同期比2.1ポイント増の15.2%と大幅に上昇した。

ホテル事業

売上高は前年同期比13.1%の456億34百万円、営業利益は同10.5%増の63億1百万円。
ドーミーイン事業では今期に「天然温泉 天都の湯 ドーミーイン網走」、「global cabin 五反田」、「天然温泉 富山 剱の湯 御宿 野乃」、「天然温泉 善光の湯 ドーミーイン長野」、「伝馬の湯 ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町」、「天然温泉 花風の湯 御宿 野乃 なんば」の6棟がオープンした。既存の事業所においても堅調な国内のリピーターやインバウンド需要の増加が続伸したことにより、前年同期を上回る高稼働、高客室単価で推移した。また、8月に営業を再開した「天然温泉 六花の湯 ドーミーイン熊本」においては、熊本地震発生前以上の稼働率にて好調に推移した。
リゾート事業では、今期に「鳴子温泉 湯元 吉祥」がオープンした。前期に噴火警戒レベル引き上げによる影響を受けた箱根地区の事業所が、例年並みの稼働率にまで回復したほか、全体的に年末の稼働率が特に好調であったこともあり、前年同期を上回る高稼働、高客室単価にて推移した。また、コスト面においては、個別稼働状況に応じた人員配置をするなど、コスト管理を徹底した。

その他の事業

その他の事業(寮・ホテル事業以外の合計)売上高は前年同期比22.3%増の404億58百万円、営業利益は同36.3%増の7億43百万円。営業利益率は前年同期比0.2ポイント上昇し1.8%となった。

内訳として、総合ビルマネジメント事業は売上高112億43百万円(前年同期比10.6%増)、営業利益2億67百万円(同4.6%増)。建物管理や建設工事の案件増加に伴い増収増益となった。
フーズ事業は売上高48億62百万円(前年同期比15.3%増)、営業利益18百万円(同7.0%増)。ホテルレストラン受託事業の案件増加により増収増益となった。
デベロップメント事業は売上高159億60百万円(前年同期比60.8%増)、営業利益7億8百万円(同91.5%増)。ホテル開発の受注増加に伴い大幅な増収増益となった。
その他事業(報告セグメントには含まれない事業であるシニアライフ、PKP等)は売上高83億90百万円(前年同期比4.4%減)、営業損失2億51万円(前年同期は98百万円の損失)と損失幅が拡大した。

17/3期3Q末の総資産は前期末比25億46百万円増の1,639億49百万円となった。主な要因は建設仮勘定の増加などによるもの。
負債は同23億83百万円減の1,010億44百万円となった。主な要因は、長期借入金の減少などによるもの。
純資産は同49億30百万円増の629億5百万円となった。主な要因は、利益剰余金の増加などによるもの。
自己資本比率は38.4%となり、前期末比2.5ポイント増加した。

2017年3月期業績予想
前期比2.2%の増収、同12.5%の経常増益予想

通期予想に修正はなく、17/3期は売上高が前期比2.2%増の1,380億円、経常利益は同12.5%増の110億円を計画する。
期初稼働率が前年比1.0ポイント増の98.3%と好調なスタートとなった寮事業においては、進学率の上昇、海外からの留学生の増加、寮制度を導入する企業の増加などニーズが高まっている。ホテル事業においても、国内旅行者数の増加、訪日外国人数が過去最高を更新するなど追い風が続いている。「大学箱根駅伝」への協賛や各種IRイベントへの出展等により、企業認知の向上も進めている。配当は年52円(うち上期26円)を予定している。
また、2017年3月31日を基準日として1株につき2株の割合をもっての株式分割を発表した。
加えて株主優待では配布基準を変更すると共に、長期保有株主優待制度が新設された。

今後の注目点
着実な業績の進捗を実感。インバウンド需要のピークアウトがささやかれているが、これはあくまで中国からの訪日客を中心とした高額消費の落ち込みによるものである。同社ドーミーインのインバウンド顧客は特定の国に集中しておらず、また国内顧客もビジネス客・レジャー客をバランスよく取り込んでおり、安定した高稼働を維持している。
来期を見据えると、寮事業での期初稼働率は今期初比プラス0.2ポイントの98.5%を見込んでいる。ホテル事業においては、ドーミーイン、リゾート共に今期を上回る施設数の開業を控えている。留学生の増加やインバウンドの増加等、同社の主力事業を取り巻く追い風の環境が見込まれる中、新たな中期計画に期待したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス・コード適用後の直近のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2016年7月27日。

<基本的な考え方>
当社は、創業以来顧客第一を経営理念として、ライフステージの様々な場面でのサービスの提供を通じて広く社会の発展に寄与することを経営方針としております。また、永続的発展と長期的な株主利益の最大化を目指すため、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠と考え、経営の意思決定の迅速化、経営の監督機能の強化、説明責任の重視・徹底、迅速かつ適切な情報開示等を行っており、透明性、健全性等を確保することが重要な経営課題であると認識しております。
また、当社は会社法に基づく機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しており、これらの機関のほかに、経営情報会議、コンプライアンス委員会、グループ経営情報交換会を設置しております。

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
同社は各原則すべてを実施している

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