(3675:東証マザーズ) クロス・マーケティンググループ 先行投資に積極 営業利益は増加

2017/03/08

CrossMarketingGroup

今回のポイント
・16/12期は前期比7.5%の増収、同6.9%の経常増益。創業以来の13期連続増収となり、営業利益及び経常利益は2期連続で過去最高を更新した。また、ミクシィ・リサーチ(現(株)ショッパーズアイ)社の子会社化で覆面調査サービスなどサービスラインナップを拡充すると共に10万人の自社パネルを獲得した他、新規事業のプロモーションサービスも本格化した。・17/12期予想は前期比8.6%の増収、同9.1%の経常増益予想。売上高は前期比8.6%増の173億50百万円。メディカルリサーチやショッパーリサーチ等、新しいリサーチビジネス領域の拡大とグローバル連携強化でリサーチ事業の売上が同9.0%増加する他、システム開発・保守の堅調な推移とエンジニア派遣の拡大でITソリューション事業の売上も同12.1%増加。プロモーションも伸びる。人材投資を中心に先行投資を続けるものの、売上の増加で吸収して営業利益が同4.3%増加する見込み。

・国内リサーチ市場は安定成長が続く中で、中小の淘汰と、同社、インテージ、マクロミルの大手3社の寡占化が進みつつあると言う。実際、同社の国内リサーチ事業も拡大が続いている。また、海外リサーチ事業や新規事業も順調だ。17/12期の業績予想は若干保守的な印象だが、創業以来の14期連続増収と3期連続の営業利益及び経常利益の最高益更新が見込まれ、中期経営計画がスタートする前の14/12期と比べると、売上高が2.1倍、経常利益が2.6倍に拡大する見込み。

会社概要

企業理念に「事業創造」を掲げ、国内最大規模を誇る190万人超のアンケートモニターを有するネットリサーチを核に、オフラインリサーチ等、マーケティングリサーチに関する事業全般を展開。総合マーケティンググループを志向し、モバイル向けを中心に、ITソリューション、マーケティング、プロモーションにも力を入れており、国内外での積極的なM&Aで事業を拡大させている。グループは、持ち株会社である同社の他、国内外の連結子会社29社、関連会社(持分法適用会社)5社の計34社。

【事業概要とグループ企業】

事業は、リサーチ事業、モバイル向けのWeb サイトやアプリの企画・開発・運用を手掛けるITソリューション事業、及びWebマーケティング事業やプロモーション事業のその他に分かれる。リサーチ事業、ITソリューション事業、Webマーケティング事業、プロモーション事業を連動させる事で、総合マーケティングサービスをワンストップで提供できる体制を整えている。

リサーチ事業

調査会社、広告代理店、コンサルティング会社、及び一般事業会社を顧客とし、国内では、(株)クロス・マーケティング、(株)リサーチ・アンド・ディベロプメント、(株)ユーティル、(株)メディリードが事業を展開している。

リサーチサービスでは、調査企画内容に沿ってアンケートプログラムを開発し、インターネット上でアンケートを回収するネットリサーチサービスや、会場に調査協力者を集めてアンケート回収やインタビューを行うCLT調査等の定量調査及び座談会形式で調査協力者にインタビューを行うフォーカスグループインタビュー等の定性調査を行うオフラインリサーチサービスを提供しており、リサーチの結果は収集・分析され、各種分析レポートにまとめられて納品される。
ネットリサーチのアンケート回答者は事前にアンケートに承諾した登録モニターの中から抽出されるが、登録モニターの基本属性管理やメンテナンス等、登録モニターとの窓口業務は持分法適用会社である(株)リサーチパネルが行っている。

一方、海外リサーチ事業は、Kadence International、Markelytics Solutions(インド及びシンガポール)、Medical World Panel Asia Pte. Ltd.、Cross Marketing Asia Pte. Ltd.等の海外子会社が、海外の一般事業会社から直接受注し、外注先企業やアンケートモニター管理会社を活用してサービスを提供している(案件によっては、Union Panels Pte. Ltd.を通して外注先企業やアンケートモニター管理会社に業務を委託する)。

主要国内子会社と会社概要
(株)クロス・マーケティング マーケティングリサーチに関するサービスの提供
(株)リサーチ・アンド・
ディベロプメント
マーケティングリサーチの企画設計、実施及びコンサルテーション
(株)メディリード ヘルスケア・メディカル領域のマーケティングリサーチ事業
(株)ユーティル 顧客行動分析と業務コンサルティングを提供。 生活者インサイトを読み解く専門性を持つ
エンバイロセルジャパン(株) 顧客行動分析と業務コンサルティング
(株)ショッパーズアイ 覆面調査により消費者の視点からサービス水準を評価
(株)リサーチパネル アンケートのモニター管理、リサーチに関するサービスの提供
主要海外子会社と会社概要

Kadence International Business Research Pte. Ltd. (シンガポール)

英国、米国及びアジアでマーケティングリサーチ事業を展開する企業グループ

Markelytics Solutions India Private Limited (インド)、
Markelytics Solutions Asia Pte. Ltd. (シンガポール)

インド・シンガポールを拠点に欧米メインのクライアントを持つマーケティングリサーチ会社

Medical World Panel Asia Pte. Ltd. (シンガポール)

疾病毎の医療従事者・患者専用モニターの管理・運営

Jupiter MR Solutions Co., Ltd. (タイ王国)

タイ王国及びその他アジア地域を中心としたリサーチ事業

Cross Marketing Asia Pte. Ltd. (シンガポール)

東南アジア市場全域におけるマーケティングリサーチに関するサービスの提供

Union Panels Pte. Ltd. (シンガポール)

グローバルオンラインリサーチの「One Stop Shop」

尚、2014年11月に子会社化したKadence International Business Research Pte. Ltd.の株式取得金額は約1,399万USドル~約2,899万US ドルと幅がある。2014年11月の契約時に約1,399万USドル(18億円)を支払い、議決権の100%を取得し、2015年~2017年の3年間に達成した業績に応じて、上限を1,500万USドルとする追加の株式取得対価を支払う契約となっている。

ITソリューション事業

(株)クロス・コミュニケーションが、スマートフォン等、モバイル向けの、Web サイト、アプリ、システムに関する、マーケティング、企画から、開発、運用、プロモーションに至るまで、サービスに必要なあらゆる機能をワンストップで提供している。この他、(株)クロス・ジェイ・テックがシステム開発やエンジニアリングサービスを手掛けている他、(株)クロス・プロップワークスがグループ内のデータ加工・処理業務等のアウトソーシングサービスを提供している。

その他事業

WEBマーケティング事業は持分法適用会社(株)UNCOVER TRUTHの事業領域で、WEBサイトを訪れたユーザーの動きをヒートマップと動画で可視化するサイト内分析ツール「「USERDIVE」を活用したWEB及びスマートフォンサイトのUI・UX分析と改善コンサルティングを行っている。一方、プロモーション事業は、(株)ディーアンドエムが消費者データを活用したマーケティングサービスを提供している。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
2016年12月期決算
前期比7.5%の増収、同6.9%の経常増益

売上高は前期比7.5%増の159億69百万円。国内を中心にリサーチ事業の売上が同3.6%増加した他、システム開発・保守の好調と15/12期第3四半期に子会社化した(株)クロス・ジェイ・テックの通期寄与でITソリューション事業の売上も同11.9%増加。新規事業(プロモーション事業)の順調な立ち上がりで、その他の事業の売上が同2.7倍に拡大した。

利益面では、国内リサーチ事業やITソリューション事業における人員(リサーチャーやエンジニア等)の増加で売上原価が同10.4%増加したものの、売上の増加で吸収して売上総利益が同3.5%増加。保守的な経費運用で販管費を小幅な伸びにとどめ、営業利益が13億42百万円と同8.9%増加した。持分法投資損失の増加(11百万円→77百万円)で営業外損益が悪化した他、Kadence Vietnamの減損損失38百万円を特別損失に計上したものの、連結子会社だった(株)UNCOVER TRUTHの第3者割当増資に伴う持分変動利益1億58百万円を特別利益に計上した事で当期純利益は8億37百万円と同49.8%増加した。

期初予想との比較では、主に新興国での苦戦等による海外リサーチ事業の下振れで売上が予想を下回ったが、体制見直しによる海外リサーチ事業の売上総利益の上振れと保守的な経費運用による販管費の下振れで営業利益が期初予想を上回った。
期末の対USドルレートは116.49円と前期末(120.61円)に比べて円高が進んだが、前提(114.91円)よりも円安で着地した。

米大統領選以降の円安・株高等による景況感の改善で年末にかけてエンドクライアントの予算執行が進んだ。

リサーチ事業

売上高133億72百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益22億56百万円(同5.0%減)。国内リサーチ事業の売上は同10.5%増の92億13百万円。グループ各社の業績が総じて堅調に推移する中、2016年4月に子会社化した(株)ショッパーズアイも寄与した。一方、海外リサーチ事業の売上は同8.9%減の41億60百万円。通貨安の影響を受けた新興国を中心に全般に苦戦が目立ち、Kadenceグループの一部会社の前期決算が進行基準の適用で押し上げられた反動や円高の影響もあった。もっとも、米国の好調に加え、インドネシアも回復する等、明るい材料もあり、2015年10月に設立したCross Marketing(Thailand)や2016年1月に設立したCross Marketing USAも順調に売上を伸ばした。利益面では、前期の利益が進行基準の適用で1億91百万円押し上げられた反動が大きかった。

覆面調査サービスの提供開始

2016年4月にミステリーショッパー・覆面調査に強みを持つミクシィ・リサーチ社を子会社化すると共に、社名を「(株)ショッパーズアイ」に変更した。(株)ショッパーズアイはミステリーショッピングサービスの企画・運営及び各種マーケティングリサーチの企画・運営を手掛け、資本金50百万円。2014年1月4日に設立された。

アメリカ大統領選を予測した新時代のリサーチサービス「RDIT(Random Domain Intercept Technology:アールディット」の提供開始

「RDIT」は、インターネットの一般利用者(非調査パネル)にランダムに調査を呈示(インターネットのトラフィックを反映する形でンダムに抽出する)・回収するリサーチ手法であり、同社の提携先であるカナダのRIWI社が開発し特許を保有する。インターネットを利用する一般の人を対象とする、匿名、謝礼なし、非常に簡単な数問の質問によるマイクロ・サーベイであり、特定の調査サイトをもたず、インターネット上の様々なところ(ドメイン)からランダムに回収する。既存サービスとの違いであり、強みは、既存サービスでは不可能な、①インターネットユーザー全体からランダム性のあるフレッシュ・サンプルによるデータの取得、②世界中の国・地域を指定して同じ条件での調査の実施、及び③インターネット利用者の構成比に合致した分布のデータを自然回収、が可能な事。RIWI社が「RDIT」を用いて投票日までの間デイリートラッキング調査を実施し、アメリカ大統領選を予測した結果、ほとんどのメディア・世論調査が予測出来なかったアメリカ大統領選のトランプ氏勝利を予測したと言う。

ITソリューション事業

売上高19億07百万円(前期比11.9%増)、セグメント利益1億75百万円(同8.8%減)。新規顧客開拓と既存顧客からの開発案件の継続的な受注でシステム開発・保守を手掛ける(株)クロス・コミュニケーションの売上が増加する中、前期第4四半期から連結を開始したエンジニア派遣を手掛ける(株)クロス・ジェイ・テックが寄与した。一方、利益面では、更なる事業拡大に向けた人材投資が先行した。

その他の事業

売上高6億90百万円(前期比172.4%増)、セグメント利益74百万円(前期は56百万円の損失)。WEB/MOBILEマーケティングやUI/UXコンサルティングを手掛ける(株)UNCOVER TRUTHが第三者割当増資により第4四半期から持分法適用会社となったが、2015年4月に設立したプロモーション事業を手掛ける(株)ディーアンドエムは売上が前期比8倍に拡大し、利益が予想を上回った。

(株)UNCOVER TRUTHにおける第三者割当増資の実施

(株)UNCOVER TRUTHが、更なるプロダクト開発や事業体制強化のための人材採用と成長加速に向けた海外展開を念頭に、約4億円の資金調達を行った。割当先は、リードインベスターであるDraper Nexus Venturesの他、日本ベンチャーキャピタル、サイバーエージェント、アコード・ベンチャーズ、みずほキャピタル、ニッセイキャピタル。増資に伴い、(株)クロス・マーケティンググループの出資比率が低下したため、(株)UNCOVER TRUTHは第4四半期末より持分法適用関連会社となった。また、(株)クロス・マーケティンググループは連結決算において、第三者割当増資に伴う持分変動利益158百万円を特別利益に計上した。

期末総資産は前期末とほぼ同水準の99億32百万円。主にKadence社の株式取得のための借入期の返済により、現預金及び短期・長期の借入金が減少した他、償却及び減損処理により無形固定資産(のれん)も減少。一方、純資産や業容拡大で売上債権・仕入債務が増加した。自己資本比率43.8%(前期末37.8%)、投下資本利益率11.6%(前期10.1%)。

税金費用が大幅に増加(2億74百万円→6億76百万円)したものの4億36百万円の営業CFを確保した。一方、投資CFのマイナス幅の拡大は定期預金の払戻しが減少したため。借入期の返済を進めた事で財務CFもマイナスとなった。

2017年12月期業績予想
【2017年の方針・施策】

・新しいリサーチビジネス領域の拡大(メディカルリサーチ、ショッパーリサーチ等
・デジタルマーケティング領域への投資(データベース、プロモーション等)
・グローバル連携強化
・人材開発の強化

前期比8.6%の増収、同9.0%の経常増益予想

売上高は前期比8.6%増の173億50百万円。メディカルリサーチやショッパーリサーチ等、新しいリサーチビジネス領域の拡大で国内リサーチ事業の売上が同11.2%増と伸びる他、海外リサーチ事業もグローバル連携強化と米国の好調に加え、会計基準変更の影響が一巡し同4.2%の増収が見込まれる。ITソリューション事業は新規顧客開拓と既存顧客からの継続的な受注でシステム開発・保守が堅調な推移が見込まれる中、エンジニア不足を追い風にエンジニア派遣が伸びる。その他事業は(株)UNCOVER TRUTHの持分法適用会社化で減収が見込まれるものの、プロモーションを手掛ける(株)ディーアンドエムの好調で影響は限定的。

営業利益は同4.8%増の14億円。売上増で国内リサーチ事業を中心に売上総利益の増加が見込まれ、人件費やその他の諸経費(採用費、地代家賃、業務委託費等)の増加による販管費の増加を吸収する。(株)UNCOVER TRUTHの持分法適用会社化による持分法投資損益の改善で経常利益は13億82百万円と同9.1%の増加が見込まれる。最終利益が8億25百万円と同1.4%減少するのは特別利益の計上を見込んでいないため。

為替レートの前提は1USドル=106.80円(前期116.49円)。1円の変動が業績に与える影響は、売上高42百万円、営業利益3百万円と軽微。

中期経営計画のテーマは、企業価値の向上に向けた「事業領域と事業エリアの積極的な拡大 ~アジアNo.1へ向けた土台作りを加速~ 」。下記の方針・施策を掲げ、中期経営計画の達成に取り組んでいる。

・既存事業 :着実な成長と収益基盤の確立
・人材戦略 :大量採用方針から既存社員の育成・底上げへ
・新規事業 :事業育成と領域拡大を推進
・海外展開 :アジア全域におけるネットワーク確立

2年目の16/12期が終了したが、増収・増益基調を継続しており概ね順調。3年間の累計経常利益が中期経営計画の累計経常利益を上回る見込み。上記の方針・施策を継続し、アジアNo.1へ向けて事業を加速させていく考え。

(3)配当方針

同社は、特別損益を控除した利益を基準に配当原資を算定し、これを基にした連結配当性向15%前後を目安に配当を実施していく考え。

16/12期の期末配当金は1株当たり3.0円を予定しており、期初予想の2.5円から0.5円引き上げた(上期末配当と合わせて年5.5円、配当性向12.8%)。配当原資は、当期純利益8億37百万円から特別損益(特別利益1億58百万円、特別損失38百万円)控除後の7億17百万円に対する15%相当額の1億08百万円。期末配等については、この1億08百万円から上期末配当の49百万円を控除した後の59百万円が配当原資となる(59百万円÷19,531千≒3.0円)。

1712期は上期末3.25円、期末3.25円の年6.5円を予定している(予想配当性向15.4%)。

今後の注目点
国内リサーチ市場は安定成長が続く中で、中小の淘汰と、同社、インテージ、マクロミルの大手3社の寡占化が進みつつあると言う。実際、同社の国内リサーチ事業も拡大が続いている。また、海外リサーチ事業や新規事業も順調だ。17/12期の業績予想は若干保守的な印象だが、創業以来の14期連続増収と3期連続の営業利益及び経常利益の最高益更新が見込まれ、中期経営計画がスタートする前の14/12期と比べると、売上高が2.1倍、経常利益が2.6倍に拡大する見込み。継続して成長しているものの、事業領域と事業エリアの拡大という取り組みは未だ途上にあり、「アジアNo.1」と目標も高い。引き続き潜在成長力の顕在化に期待していきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書          2016年4月8日更新
基本的な考え方

当社では、経営の透明性向上とコンプライアンスを徹底した経営を行うため、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制を充実させていくことを基本方針と考えております。コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるためには、企業環境の変化に迅速に対応できる組織体制、および公正で透明性のある株主重視の経営システムを構築し維持していくことが必要であり、そのためにも株主総会、取締役会、監査役会等の一層の機能強化に努めていく所存であります。

同社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施している。

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