(6250:東証1部) やまびこ 2017年3月期第3四半期業績レポート

2017/03/01

yamabiko

今回のポイント
・小型屋外作業機械(刈払機、チェンソーなど)、農業用管理機械(防除機、畦草刈機、など)、一般産業用機械(発電機、溶接機など)の3事業における各種製品の開発・製造・販売をグローバルに展開。海外売上比率は約60%。小型屋外作業機械では国内首位、米州上位と高いシェアを有する。独自の生産技術、豊富なラインアップ、充実したテクニカルサポート体制等が強み。・17/3期3Qの売上高は前年同期比1.7%減の863億円。国内は総じて好調。海外も販売数量を伸ばしたが、円高の影響により減収となった。営業利益は同28.0%増の70億円。増収効果に加え、販売量の拡大による粗利率の改善、在庫に係る未実現利益の減少が寄与した。営業利益は第3四半期の過去最高となった。リコール発生により製品保証引当金繰入額5億円を、また厚生年金基金解散損失引当金繰入額33億円を特別損失に計上したことなどから、四半期純利益は同50.6%減の22億円となった。

・通期業績予想の上方修正(売上高、営業利益、経常利益)を行った。売上高は前期比微減の1,115億円、営業利益は同10.0%増の74億円。第2四半期決算発表時に今後の為替レートの前提を「1ドル=100円、1ユーロ=115円」に変更したが、足下の傾向をふまえ、「1ドル=113円、1ユーロ=120円」と想定を変更したことに加え、生産量の増加に伴い原価率が改善していることなどがその理由。一方、年金基金解散への対応に関わる費用を特別損失として計上したことなどにより当期純利益は前回予想を大幅に下回る見込みとなった。配当予想は25.00円/株で変更は無い。予想配当性向は49.2%。

・対前年同期比で減収となったが、為替の影響が大きく、実態は国内外ともに総じて堅調のようだ。通期の着地も為替次第の部分があることは否めないが、順調な進捗であり大きな下振れリスクは考えにくいだろう。北米、欧州でのOPE好調の要因として各種拡販施策や新製品投入効果を会社側は挙げているが、その詳細や今後の進め方などについても次回のレポートでは紹介してみたい。

会社概要

小型屋外作業機械(刈払機、チェンソーなど)、農業用管理機械(防除機、畦草刈機など)、一般産業用機械(発電機、溶接機など)の3事業における各種製品の開発・製造・販売をグローバルに展開。海外売上比率は約60%。小型屋外作業機械では国内首位、米州上位と高いシェアを有する。独自の生産技術、豊富なラインアップ、充実したテクニカルサポート体制等が強み。

【1-1 沿革】

同社は、国内で農業機械、グローバルで小型屋外作業機械を扱っていた株式会社共立(東・名・阪一部上場)と、グローバルで小型屋外作業機械及び一般産業用機械を扱っていた新ダイワ工業株式会社(東証2部上場)の2社が2008年12月に設立した共同持株会社「株式会社やまびこ」が、2009年10月に両社を吸収合併して事業会社化した会社である。

株式会社共立は、1947年、東京で創立された株式会社共立農機を前身とし、農業機械事業において「国産初のスピードスプレーヤ(農薬散布機)」、小型屋外作業機械事業において「国内初の背負動力刈払機」、「世界初の手持ち式パワーブロワ」を開発するなど、両事業におけるリーディング企業であった。また、創業時より小型屋外作業機械のエンジン自社開発に注力し、合併前の2008年のエンジン累計生産台数は4,000万台に上っていた。

一方新ダイワ工業株式会社は1952年、広島で創業した浅本精機製作所が前身。小型屋外作業機械事業において「国産初の電動チェンソー」を開発したほか、一般産業用機械事業においてエンジン発電機、エンジン溶接機などを製造販売。また、世界初の混合燃料使用の4サイクルエンジンを開発するなど、高い技術開発力を特長としていた。
1990年代後半に入り温室効果ガスを要因とする地球温暖化問題への関心が高まるとともに、欧米、特にアメリカでエンジンの排出ガス規制が強化され、新基準をクリアするための研究開発費が増大。これに対応できない中堅・小型企業を対象として小型屋外作業機械市場において2000年代に入りグローバル規模での業界再編が急速に進行した。加えて、新興国企業による安値攻勢や顧客ニーズの多様化などにより、事業環境は一段と不透明なものとなっていた。

そうした中、激化する競争を勝ち抜くためには一段と企業体力を強化する必要があるとの判断から、両社は将来的な経営統合を前提として2007年5月に業務・資本提携契約を締結。
開発、生産、物流、販売、管理を始めとした全ての事業における効率化と拡充を目指して2008年12月共同持株会社、株式会社やまびこを設立し、2009年10月、株式会社やまびこが両社を吸収合併し事業会社化した。

社名「やまびこ」は、山の神「山彦」を由来としており、「人と自然と未来をつなぐ」を経営理念とし、自然と環境の育成・整備への貢献を掲げる同社の姿勢を表している。

【1-2 経営理念など】

やまびこグループの理念は「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」という3つの要素で構成されている。
「エッセンス」は、「存在意義」と「行動指針」を凝縮した、やまびこグループとして目指すべき企業の姿・企業活動の本質を表現したもの。
「存在意義」は、やまびこグループが社会の中で担うべき役割と責任を宣言し、約束するもの。
「行動指針」は、やまびこグループの社員一人ひとりが業務に臨むべき姿勢をまとめたもの。

これに加えて、行動指針を補完し、具体的な対応方法を示した14項目からなる行動指針細目を制定し、企業理念に則った事業活動が行われるように努めている。
永尾社長はこれら「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」を念頭に置いたメッセージを日頃から様々な機会を捉えて発信している。また各部門・部署ごとに実際の行動に結び付けるよう日々取り組んでいる。

≪永尾 慶昭社長プロフィール≫

永尾 慶昭社長は1953年2月生まれの64歳。子供の頃からプラモデルなど「モノ作り」が大好きだった永尾社長は、中学に入ると所謂「アメ車」を始めとした自動車に大きな関心を持ち始め、大学院ではエンジンを研究する「燃焼工学」を専攻。1978年4月に(株)共立に入社した。
入社後は研究部に配属。自ら関心のある課題を見つけて自由に取組むという社風もあり、チェンソーを中心に様々なエンジンの研究、開発に携わった。また、研究室内で研究に没頭するのではなく、山へ出かけユーザーである樵(きこり)の方々からの製品評価や要望などをきめ細かく汲み取る事にも力を注いだという。

ほぼ技術畑を一貫して歩んできた後、2006年2月に米国の子会社エコー・インコーポレイテッドの代表取締役に就任。米国における排出ガス規制の状況とその対応、そうした中でユーザーの満足度をどうすれば高められるかに注力。また共立、新ダイワ工業の合併時には現地販売ルートの整理をスピーディーかつドラスティックに進めるなど、ご自身でも「仕事の幅が広がる重要なステップであった。」と振り返る。
やまびこ設立後、取締役兼執行役員産業機械本部長として、新ダイワ工業の本社所在地である広島で統合後のスムーズな一体化にも注力。2011年6月、(株)やまびこの代表取締役社長に就任した。

【1-3 市場環境】

小型屋外作業機械市場についての明確な統計は存在していないが、米国を始めとする北米市場が最大市場とされ、ついで欧州地域が続いており、日本は100万台という統計がある。
同社の収益動向に影響を与える関連指標としては、海外市場においては「住宅着工件数」、「穀物価格」、「原油価格」等、国内市場においては「米価」等が挙げられる。

小型屋外作業機械でグローバルに展開するメーカーとしては、欧州(ドイツ・スウェーデン)に2社存在すると会社側では認識している。

【1-4 事業内容】
1.セグメント

小型屋外作業機械事業、農業用管理機械事業、一般産業用機械事業の3事業を展開している。また、この3事業で供給している機械のアクセサリー、部品の製造・販売も行っている。
(報告セグメントは、「小型屋外作業機械・農業用管理機械」、「一般産業用機械」、「その他」の3セグメント。但し、売上高については、小型屋外作業機械事業、農業用管理機械事業、一般産業用機械事業、その他の4つを開示している。)

『小型屋外作業機械事業』

「手で持つ」または「背負って」使用する小型エンジンを搭載した山林・緑地管理用などの機械の製造・販売を行っている。
主要製品は、チェンソー、刈払機、パワーブロワ、ヘッジトリマーなど。

長年をかけて蓄積してきたノウハウや顧客ニーズにきめ細かく対応する高い開発力をベースに、高性能・高耐久・高品質エンジンを産み出し続けている。

(ガソリンエンジンの仕組み)

小型屋外作業機械のチェンソーや刈払機などの動力には主に2ストロークガソリンエンジンが用いられている。
後述するように、同社のエンジン開発能力の高さは最も重要な特長・強みの1つとなっている。
ガソリンエンジンの仕組みおよびエンジンの種類による特長を知っておくことは同社事業を理解する上でも有用なので以下簡単に解説する。

ガソリンエンジンとは、基本的に以下の4つのステップを経てガソリンが燃焼する力でピストンを押し下げて動力を発生させるもの。

ピストンの往復運動は、クランクシャフトと呼ばれる部品によって回転運動に変換され、自動車の車軸やチェンソーの回転軸を回転させる。

この4つのステップ「1周期」をピストンの往復運動何回で完結するかによって、ガソリンエンジンは2ストローク・エンジンと4ストローク・エンジンの2つに概ね大別される。

「2ストローク・エンジン」

2つのストロークで1周期を完結させる。すなわち、「ピストン1往復、クランクシャフト1回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「吸入」と「圧縮」を行う。
2回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「膨張」によりピストンが下降し、その後半で「排気」を行う。

「4ストローク・エンジン」

4つのストロークで1周期を完結させる。「ピストン2往復、クランクシャフト2回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「吸入」を行う。
2回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「圧縮」を行う。
3回目のストローク(ピストンの下降):「膨張」によりピストンが急速に押し下げられる。
4回目のストローク(ピストンの上昇):燃焼済のガスが「排気」される。

4ストローク・エンジンは、吸気と排気をコントロールしやすいといったメリットがある反面、吸・排気バルブをシリンダーヘッド部に設置するため、シリンダーの胴体に設置されるポートから吸・排気を行う2ストロークに比べ構造が複雑になる。また、そのため重量も重くなる。

これに対し、2ストローク・エンジンは、混合気の吹き抜けやピストン運動を円滑にするために用いられるエンジンオイルが燃料と一緒に燃焼する割合が4ストローク・エンジンに比べると多いため、排気ガス中に有害物質が多くなるといった面があるものの、構造がシンプルで部品数も少ないため小型・軽量化が可能で、同じ理由からオーバーホールも容易といったメリットがあり、小型屋外作業機械には2ストローク・エンジンが最適である。

『農業用管理機械事業』

国内向けに農薬散布のための機械である防除機械、北米向け農作物収穫機械などの製造・販売を行っている。
主要製品は、防除機(スピードスプレーヤ、乗用管理機、動力噴霧機)、畦草刈機、大豆収穫機など。
2014年11月に、業務用ロボット芝刈機を開発、製造、販売するベルギーのベンチャー企業「ベルロボティクス社」を買収した。

共立が長年にわたって蓄積してきた送風技術、噴霧技術、ポンプ技術、機器の軽量化や小型化等が同事業における技術的な強みである。

『一般産業用機械事業』

建設・土木・鉄工用機械の製造・販売を行っている。
主要製品は発電機、溶接機、投光機、切断機、高圧洗浄機など。

新ダイワ工業が創業時から蓄積してきたAC(交流)モータ開発技術を進化、発展させた発電体設計技術や、電子制御技術、防音技術などが同事業における技術的な強みである。

『その他』

各種機械用のアクセサリーやアフターサービス用部品の製造・販売を行っている。
5ページのグラフにあるように収益性は最も高い。

2.ブランド

2社の統合によって設立された同社だが、両社製品は長年にわたり日本およびグローバルで認知されているため、ブランド名はそのまま、KIORITZ 、Shindaiwa 、ECHO の3ブランドを展開している。
更なるブランド価値の向上を目指し、積極的なマーケティング投資、新しい販売ルートの開拓を進めている。

3.開発体制
各事業では以下のような重点課題を設定し、開発に取り組んでいる。

排出ガス規制は今後もさらに厳しくなることが予想されるため、最重点課題である。
この他、電子制御分野において制御技術の研究を進めている。

4.生産体制

国内3事業所(横須賀、盛岡、広島)と4社の生産関連子会社を、海外では、アメリカ、ベルギー、中国、ベトナムに合計7社の生産関連子会社を有している。

5.販売ルート&販売方法

世界90か国以上、約2万8千店舗に同社製品は供給されている。
全売上高の6割以上が海外売上となっている。

<国内市場>

7社の販売子会社が販売代理店、全農(全国農業協同組合連合会)、ホームセンター、建設機械レンタル会社等に販売し、エンドユーザーである農林業家、建設・土木・鉄工業者、緑地管理業者などに供給される。

販売店や代理店と協力しながら展示会を各地で実施し、実演や試乗などを通じて販売に繋げている。
また、販売店と同行してエンドユーザーを訪問。ユーザーのニーズを汲み取ったうえで製品開発に活かしている。

<北米市場>

子会社エコー・インコーポレイテッドグループがホームデポ(※)や代理店に販売し、エンドユーザーである緑地管理業者、ホームオーナー、農林業家、建設・土木業者などに供給される。

※ホームデポ(The Home Depot)
世界最大の住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン。1978年設立。2015年の売上高885億ドル(約9.7兆円)、純利益70億ドル(約7,700億円)。米国、カナダ、メキシコに2,274店舗を有する。NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場。(同社WEBSITEより抜粋)

ホームデポでは、GOOD、BETTER、BESTの区分で品質ごとに分類されており、高品質なBESTとして製品を供給しているのは同社のみである。これが、同社製品が北米市場で高く評価されている証左の一つとなっている。

中南米市場においては子会社エコー・インコーポレイテッドが各国代理店に販売し、その後販売店を通じてエンドユーザーに供給される。
欧州・アジア・その他地域では、やまびこが各国代理店に販売している。

海外の販売店では、ブランド別に製品を展示しており、エンドユーザーのニーズを聞きながら販売員が対面販売を行っている。
またホームセンターでは、各機種群別・価格別に製品が展示されており、エンドユーザーはニーズや予算、CM等で得たイメージを基に購入する。

【1-5 特長と強み】
①独自の生産技術力・一貫生産能力

同社最大の特長・強みは「独自の生産技術力・一貫生産能力」である。
中心事業である小型屋外作業機械に搭載される2ストローク・エンジンに関しては、開発、材料となるアルミの調達、鋳造、部品製造、加工、組立てまで全て自社で一貫して生産する体制をとっているが、世界的に見ても他に例がないという。なお、農業用管理機械事業と一般産業用機械事業の製品も動力源はエンジンであるが、主に外部調達をしている。

また、様々な課題を鉄めっき、放電加工などの自社独自技術で解決し、製品の品質向上や生産能力向上に結び付けている。
具体的には下記のような技術を確立している。

<具体例①:鉄めっき>

めっきとは金属などの材料の表面に金属の薄膜を被覆した表面処理のこと。エンジン製造においては、ピストンとの摩擦による摩耗防止のためシリンダー内部にめっきを施す必要がある。
従来は耐久性やコストからクロムめっきが一般的であったが、環境への悪影響、生産効率の低さといった問題点から、他の材料によるめっき加工が求められてきた。

同社では、環境負荷低減の観点などから1978年より「鉄めっき」に取り組んでいる。
当初日産能力は数百個であったが生産性向上、めっき精度の向上、環境負荷削減などを進めた結果、現在では仕上げ加工が不要で環境負荷を大幅に削減した鉄めっき技術を確立することが出来、日産能力も数千個と大幅に拡大させることができた。
現在鉄めっき関連特許を保有している。

<具体例②:放電加工>

前述の様に、2ストローク・エンジンは、部品数が少なく構造も4ストローク・エンジンに比べシンプルであるため、「手で持つ」、「背負う」小型屋外作業機械には最適であるが、混合ガスの一部が排気されるという側面があり、世界的に強化が進む排出ガス規制に対応するためには、混合ガスの流れをコントロールして効率よく燃焼させることが課題であった。
そのためには、シリンダー内面形状を変更(混合ガス通路とシリンダー内面の間に壁を設ける)する必要があり、生産方法の検討が必要となった。

ダイカスト鋳造(※)により「壁」を形成する事は可能だったが、その壁に混合ガスを燃焼室に導くための横穴を開ける必要があり、ダイカスト鋳造では横穴を開ける事は出来ず、また狭い箇所であるため切削加工も困難であった。

そこで同社では、ダイカスト鋳造の特長を活かしながら切削加工できない形状を加工するために「放電加工(※)」を採用することとした。
放電加工は複雑な形状も加工が可能である一方、加工時間が長く電極消耗が多いなどコスト面での課題があった。
同社は量産化に向け加工条件の研究、特殊電極形状の設計などに取り組み、加工時間の短縮、省人化、電極の低コスト化、能率向上など量産化に成功した。
放電加工関連特許保有件数は3件であり、他社には真似のできない同社独自技術を確立した。

(※)ダイカスト鋳造
金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式のことで、薄肉化、低コストを可能にする。(※)放電加工
電極と非加工物との間に短い周期で繰り返される放電によって、非加工物表面の一部を除去する機械加工の方法。極めて硬い鋼鉄などに複雑な輪郭を切り出すことができる。

同社はこれらの技術を始めとした「高度なモノ作り力」によって、排出ガス規制対応以外にも、軽量化、高耐久性、更なるコスト削減など様々なニーズに対応し、「排出ガス規制対応・軽量化・高耐久性2ストローク・エンジン」の開発・量産に成功している。
これらの課題に対応できず市場から退出を余儀なくされた企業も世界的に多数ある中で、同社はトップクラスのメーカーとして更なる成長を続けている。

②各事業固有の研究・開発力

環境問題の対応力は高く、同社エンジンに対する米国EPA(Environmental Protection Agency、環境保護庁)によるエンジン認証数は世界でもトップクラスとなっている。
また、小型屋外作業機械に限らず、農業用管理機械、一般産業用機械においても固有の研究開発力を有している。
共立、新ダイワ工業それぞれが長い年月を経て培った技術力をベースに、更に磨きをかけている。

③豊富なラインアップ・販売ネットワークの拡大

様々な顧客ニーズに対応し、3事業それぞれにおいて豊富なラインアップを有している。
また、現在世界90カ国以上、約2万8千店舗に同社製品が供給されている。
2社の合併によって、ラインアップおよび販売ネットワークは更に拡充された。

④充実したテクニカルサポート体制

製品に対する信頼性を高め、代理店や販売店との関係をより強固なものとするためにテクニカルサポート体制の充実にも注力している。
2013年4月から2016年3月の3年間に、17か国で128回に及ぶサービススクールを実施した。

⑤高い製品シェア

上記①から④の特長・強みを総合的に発揮してグローバルで高い競争力を実現しており、小型屋外作業機械事業では最大市場の北米で上位、日本においては30%以上のシェアを持つNo.1企業である。

売上高当期純利益率およびレバレッジの低下によりROEは低下傾向にあるが、2桁を超えている。
来期以降にかけてチャレンジ目標である「営業利益率7%」を達成できればROEの更なる上昇が見込まれる。

2017年3月期第3四半期決算概要
減収・営業増益

売上高は前年同期比1.7%減の863億円。国内はOPE、農機とも各種拡販策が奏功し総じて好調。産機は前期並みだった。海外は、OPEが北米の景気拡大や拡販策、西欧の新製品効果や中国の販路開拓などにより販売数量を伸ばしたが、円高の影響により減収となった。
営業利益は同28.0%増の70億円。増収効果に加え、販売量の拡大による粗利率の改善、未実現利益の減少が寄与した。営業利益は第3四半期の過去最高となった。
経常利益は同21.6%増の69億円。前年同期の為替差益1億円が為替差損2億円に転じたが増益。
リコール発生により製品保証引当金繰入額5億円を、また後述のように厚生年金基金解散損失引当金繰入額33億円を特別損失に計上したことなどから、四半期純利益は同50.6%減の22億円となった。

◎小型屋外作業機械

売上高は前年同期比1.3%減の501億円。
国内は、前年同期に大きく伸長したチェンソーに反動が見られたが、主力の刈払機がホームセンタールートで好調を維持したことに加え、軽量化と操作性向上を図った新製品効果などにより増収となった。
米州は、主力の北米市場が順調な経済や天候を背景に、刈払機やパワーブロワなどが販売数量を伸ばした一方、経済が低迷する中南米の落ち込みや円高の影響により減収となった。
米州以外の海外は、欧州は刈払機の新製品効果や代理店に対するプロモーションの積極展開などにより伸長したほか、中国市場における販路開拓の成果などもあって円高にもかかわらず増収となった。

◎農業用管理機械

売上高は前年同期比3.1%減の139億円。
国内は、スピードスプレーヤが前年同期のディーゼルエンジン排出ガス規制特需の反動により減少したが、その他の大型防除機は好調に推移した。また、より省力化、効率化に資する畦草刈機、モアや高所作業機も好調を維持して増収となった。
一方、海外は、穀物価格低迷の影響により引き続き主力の大型収穫機の販売が減少したことに加え、円高により大幅な減収となった。

◎一般産業用機械

売上高は前年同期比0.8減の71億円。
国内は、建築工事の着工遅れなどにより溶接機が落ち込んだものの、前年同期低迷した投光機が回復したことに加え、発電機もインバータタイプを中心に堅調に推移した。
海外は、資源価格低迷の影響などにより北米や豪州が振るわずに減収となった。

◎その他

売上高は前年同期比2.1%減の150億円。
国内は前年同期並み。海外は、販売数量は伸びたが円高の影響で減収となった。

現預金、売上債権の増加等で流動資産は前期末比8億53百万円増加。投資その他の資産の増加で、固定資産は同8億45百万円増加し、資産合計は同16億97百万円増加の931億37百万円となった。
仕入債務の増加で流動負債は同22億2百万円増加。厚生年金基金解散損失引当金を計上したため固定負債は同16億61百万円増加し、負債合計は同38億64百万円増加の492億21百万円となった。
利益剰余金が増加した一方、円高に伴い為替換算調整勘定がマイナスに転じ純資産は同21億66百万円減少し447億70百万円となった。この結果自己資本比率は前期末より3.1%低下し47.2%となった。
長短借入金残高は同 20億45百万円減少し193億69百万円となった。

税金等調整前四半期純利益の減少、売上債権の増加などで営業CFのプラス幅は縮小。
固定資産の取得による支出の減少で投資CFのマイナス幅は縮小したが、フリーCFはマイナスに転じた。
長期借入金の返済額が減少し財務CFのマイナス幅は縮小。
キャッシュポジションは低下した。

(4)トピックス
◎厚生年金基金解散の対応に伴う特別損失を計上

同社および一部の子会社が加入する「東京金属事業厚生年金基金」は、2017年1月27日開催の代議員会において2017年3月をもって解散することを決議した。
これを受けて、同社は現従業員の解散時点までの加入期間を通算した積立水準を補てんする費用、ならびに受給権者への年金支給を一部継続するための費用を後継制度として設立予定の新基金に拠出することとした。
これに伴い、拠出額の合理的な見積金額33億7百万円を2017年3月期第3四半期決算において特別損失として計上した。

2017年3月期業績予想
業績予想を修正。減収・営業増益。

業績予想の上方修正(売上高、営業利益、経常利益)を行った。
売上高は前期比微減の1,115億円、営業利益は同10.0%増の74億円、経常利益は同10.9%増の71億円。
今後の為替レートの前提を、足下の傾向をふまえ、「1ドル=113円、1ユーロ=120円」と想定を変更したことなどにより売上高が前回予想を上回ったことに加え、生産量の増加に伴い原価率が改善していることなどがその理由。
一方、前述の様に、年金基金解散への対応に関わる費用を特別損失として計上したことなどにより当期純利益は前回予想を大幅に下回る見込みとなった。
配当予想は25.00円/株で変更は無い。予想配当性向は49.2%。

売上高予想に関しては、国内は新製品投入効果などにより増収を見込む。
また、米州は北米のOPEは堅調だが、為替の影響に加え、農機や中南米の不調が続き減収を見込むが、減収幅は前回予想よりも縮小する。
欧州は為替の影響を受けながらも、新製品効果や販売プロモーションの強化が奏功し、期初計画を上回る見込み。
その他海外は、主に中国の販売拡大により増収を見込み、増収幅は前回予想よりも拡大する。

今後の注目点
対前年同期比で減収となったが、為替の影響が大きく、実態は国内外ともに総じて堅調のようだ。
通期の着地も為替次第の部分があることは否めないが、順調な進捗であり大きな下振れリスクは考えにくいだろう。北米、欧州でのOPE好調の要因として各種拡販施策や新製品投入効果を会社側は挙げているが、その詳細や今後の進め方などについても次回のレポートでは紹介してみたい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月30日に提出している。

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