(3194:東証1部) キリン堂ホールディングス 2017年2月期第3四半期業績レポート

2017/02/08

Kirindo

今回のポイント
・17/2期第3四半期累計(連結)の売上高は前年同期比2.7%増の864億58百万円。既存店売上高はほぼ前年同水準で新店が寄与した。相対的に利益率の高い季節商材の伸び悩み、薬価および調剤報酬改定の影響に加え、中国越境ECの環境変化で粗利率は同0.3P低下。売上総利益は同1.6%増加したものの、人件費や施設費など新店の一時的経費が増加したため増収で吸収しきれず、営業利益は同42.9%減の6億54百万円。販管費は計画内でコントロールできたが、上半期の売上未達が響き、営業利益も未達となった。

・通期連結業績予想(2016年10月6日付発表)に変更は無い。売上高は前期比2.6%増の1,158億円を計画。既存店売上高予想は同0.4%の減収だが、新店が寄与する。営業利益は同45.3%減の9億30百万円の計画。増収ではあるが、ドラッグストアおよび調剤薬局の出店店舗数増に伴う人件費等の費用増、調剤事業の診療報酬改定等の影響、中国越境ECの減収に伴う利益減で2ケタ減益予想。配当は前期と同じく年間25.00円/株の予定。予想配当性向は128.7%。

・第3四半期累計では増収・減益であったが、会計期間(9月-11月)では、前年同期比2.9%増収、同13.7%営業増益となっている。また、本文中で触れたように、既存店動向も、9月-11月は同0.1%増収と堅調だ。上半期の不振が尾を引き、通期での増収増益達成は難しいと思われるが、どれだけ上積みできるかに期待したい。

会社概要

関西圏を地盤としてドラッグストア・保険調剤薬局を運営する(株)キリン堂を中心とした持株会社。
医薬品等の卸売事業や医療・介護コンサルティング等も手掛ける子会社も有する。ドラッグストア事業では、近畿2府5県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を中心に、香川、徳島、石川、及び関東1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)においてドミナント戦略を進めており(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに、地域内でのシェアを向上させ競争優位に立つ戦略)、国内グループ店舗数は341店舗(FC1店舗を含む)。
連結子会社は、下記全9社。連結の従業員数は1,739名。(いずれも2016年11月30日現在)

【同業他社比較】

ドラッグストアを中心業態とする上場企業は、以下の14社が挙げられる。(売上規模順)

PER(予)・PBR(実)は1月26日終値ベース、単位は倍。 サツドラHDはサッポロドラッグストアーの完全親会社として2016年8月に設立されたため、増収率・増益率は記載なし。前期実績BPSも無いためPBRは計算不可。クスリのアオキHDはクスリのアオキの完全親会社として設立されたため同様。

(株)キリン堂ホールディングスは、売上高11位、時価総額13位と前回レポートとほぼ同じ。
PBRはカワチ薬品と共に1倍割れとなっているが、PERを見ると割安感があるとは言い難い。まずは早急な業績回復が望まれる。

同社の直近3年間の平均ROEは6.8%。第1次中期経営計画最終年度に当たる今期のROE目標は11%以上から8%以上に引き下げられたが、今期期初予想の下方修正(2016年10月6日付発表)により達成は厳しくなった。2017年4月に公表予定の第2次中期経営計画にて、ROEの新たな目標値開示を待ちたい。

2017年2月期第3四半期決算概要
新店寄与で増収も経費増を吸収できず減益

売上高は前年同期比2.7%増の864億58百万円。既存店売上高はほぼ前年同水準で新店が寄与した。相対的に利益率の高い季節商材の伸び悩み、薬価および調剤報酬改定の影響に加え、中国越境ECの環境変化で粗利率は同0.3P低下。売上総利益は同1.6%増加したものの、人件費や施設費など新店の一時的経費が増加したため増収で吸収しきれず、営業利益は同42.9%減の6億54百万円。
販管費は計画内でコントロールできたが、上半期の売上未達が響き、営業利益も未達となった。

◎出退店状況

2017年2月期第3四半期(累計)の出店は20店舗、退店は13店舗で、2016年11月末の国内グループ店舗数はFC1店舗を含む341店舗となった。第4四半期(12月-2月)の出店は7、退店は1で、通期では27店舗出店、14店舗退店を計画している。
現在、新店企画部による「新店の早期立ち上げ」、新業態開発部が担当する「都市型フォーマットの確立」に取り組んでおり、これまでにオフィス立地(2店舗)、ターミナル立地(1店舗)、繁華街立地(1店舗)などを出店している。

◎既存店の状況

2017年2月期第3四半期(累計)の既存店売上高は、前年同期比0.0%減と横ばいだった。客単価は同0.9%上昇したが、天候不順もあり来店客数は同0.9%減少した。ただ、第3四半期(9月-11月)は0.1%増収、客数は0.2%減、客単価0.3%増と、足下は堅調である。
前期に引き続きポイントカード会員の拡大(既存店118万人、全店127万人)とカードを利用した会員向け販促の推進、集客強化を第一に売場改装(23店舗)を進めたほか、購買頻度の高いハウスホールド商品や食品を軸とした集客対策、HBC商品のカウンセリング販売やPB商品の販売強化に取り組んだ。

◎PB商品売上高動向

全体の粗利率向上につなげるため、相対的に粗利率の高いPB商品の構成比率上昇に取り組んでいる。
今期は、成分強化や規格増量などリニューアルの推進、スーパーフードや新素材の採用ならびに新規メーカーとのタイアップなど潜在需要を開拓するPB商品へのチャレンジなど、PB商品の育成と開発に注力している。
2017年2月期第3四半期(累計)の新規開発SKU数は180SKUで、うちHBC商品は89SKUとなっている。
小売事業の商品売上高全体に占めるPB商品の比率(PB比率)は前通期で10.3%と初めて2桁に乗せたが、今第3四半期も10.6%(前年同期比0.5P上昇)と計画通り順調に進捗している。今通期目標は11.0%。

雑貨等の構成比および粗利率が上昇し利益に貢献したが、季節商材の販売の伸び悩み等から、相対的に粗利率の高いHBC商品の売上構成比が下がったほか、薬価・調剤報酬改定の影響により、調剤部門の粗利率が低下したことから、全体の粗利率は前年同期に比べ0.2P低下した。
また、国越境ECの環境変化により、「その他」に含まれる海外通販が減収となった。

販管費は計画内でコントロールできたが、主に新店の一時的な経費負担増(人件費、施設費)により、前年同期に比べ増加した。

◎調剤事業について

薬剤師の確保は難しい状況が続いているが、新規開局(併設含む)は期初計画7店舗(上期4店舗、下期3店舗)に対し第3四半期累計で8店舗開局と、順調に進んでいる。2016年11月末の処方せん取扱店舗数は62店舗となった。

処方せん応需枚数は前年同期比4.0%増となり、売上高は1.8%増加したが、薬価・調剤報酬改定の影響により、粗利率が低下したことに加え、新店増に伴う薬剤師人件費増などのコストも増加し、利益ベースでは厳しい結果となった。

基準調剤加算店舗割合(加算ありの店舗構成比)は改定前の85.5%から3.3%へ、ジェネリック医薬品調剤体制加算店舗割合(加算ありの店舗構成比)は52.7%から36.0%へ減少した。
調剤技術料加算獲得のためには、「かかりつけ薬剤師の育成」、「在宅対応店舗の増加」が課題となる。
在宅対応に関しては、2016年11月末現在、処方せん取扱店舗62店舗中22店舗で対応している。現在約150名の薬剤師に対しeラーニングを利用して教育研修を実施し、結果が出るまでにはもう少し時間がかかると見ている。

現預金、たな卸資産等の増加により流動資産は前期末比25億41百万円増加。固定資産は有形固定資産の増加で同9億35百万円増加し、資産合計は同34億76百万円増加の486億89百万円となった。
一方、仕入債務、電子記録債務の増加などの結果、負債合計は同37億98百万円増加の364億15百万円となった。
純資産は利益剰余金の減少などにより122億74百万円。この結果、自己資本比率は前期末より2.6P低下の25.0%となった。

2017年2月期業績予想
増収予想なるも経費をカバーできず2ケタ減益。

売上高は前期比2.6%増の1,158億円を計画。既存店売上高予想は同0.4%の減収だが、新店が寄与する。
営業利益は同45.3%減の9億30百万円の計画。増収ではあるが、ドラッグストアおよび調剤の出店店舗数増に伴う人件費等の費用増、調剤事業の診療報酬改定等の影響、中国越境ECの減収に伴う利益減で2ケタ減益予想。
配当は前期と同じく年間25.00円/株の予定。予想配当性向は128.7%。

今後の注目点
第3四半期累計では増収・減益であったが、会計期間(9月-11月)では、前年同期比2.9%増収、同13.7%営業増益となっている。また、本文中で触れたように、既存店動向も、9月-11月は同0.1%増収と堅調だ。
上期の不振が尾を引き、通期での増収増益達成は難しいと思われるが、どれだけ上積みを進めることができるかに期待したい。
<参考1:第1次中期経営計画>

持株会社体制への移行に伴い改めて企業理念や今後のビジョンを明確にすると共に、今後の成長を目指して3ヵ年の「第1次中期経営計画(2015-2017)」を策定した。この2年間、計画目標値の達成に向けて取り組んできたが、事業環境の変化や前期業績を総合的に勘案した上で、最終年度となる2017年2月期の数値計画および施策の定量目標数値の見直しを行っている。

Ⅰ.キリン堂グループの基本方針

基本方針に大きな変更は無い。
『地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーン』の確立を目指し、関西地区における小商圏フォーマットでのドミナント深耕を進める。

具体的には、地域のお客様との関係性を深化させるため、「楽・美・健・快」のコンセプトに沿った顧客第一主義の魅力ある店づくりを進める。
そのため、同社が掲げる主要コンセプトである「未病対策」をテーマにした健康や美容に関する専門性を高めると共に、利便性の向上にも努める。
さらに、将来的には、調剤事業を中心とした地域包括医療体制の構築も大きな目標とする。

当面は、国内営業基盤の強化に軸足を置き、キリン堂の主力展開地域である「関西地区」における「量」と「質」両面でのシェア追求に邁進する。
「量」は、出店やM&A等による地域シェアのアップ、「質」は、子会社各社の専門性をフルに発揮させ、地域の生活者に「健康の総合サービス」的な役割、「楽・美・健・快」の提供ができる体制を構築する。
また、持株会社体制への移行を契機に、意思決定のスピードアップなどを図り、グループシナジーの発揮による企業価値向上を通じた持続的成長の実現を目指す。

ⅠⅠ.基本テーマ

同社はM&Aや提携によるスピード重視の事業展開により「2020年2月期 関西地区のドミナント化による連結売上高1,500億円、500店舗体制の実現」を目指している。今回の第1次中期経営計画はその通過点との位置づけで、持続的成長に向けた国内営業基盤の強化が主要命題であり、その実現のために「①収益力の改善」、「②経営効率向上と徹底したコストコントロール」、「③新規出店による売上高成長」の3つの基本テーマを設定している。

①収益力の改善

高利益率のPB商品の育成と開発の推進を進める。
「健康寿命の延伸」をテーマに掲げ、未病対策に加えアンチエイジングのための商品を開発し需要を創造・増進する。
推進体制としては、2014年6月、キリン堂の商品本部内にPB商品の開発および調達を専門的に手掛ける部署を設置した。また、販売プラン策定と教育を実施する部門も新設している。
なお、PB比率は前々期9.6%、前期10.3%と着実に上昇している。一方、中計策定時、PB化を積極的に進める方針であった食品については、お客さまニーズ等を勘案し、NB商品中心での対応に切り替えたことから、2017年2月期の目標は11%に修正。

②経営効率の向上と徹底したコストコントロール

具体的には以下の3点を進める。

*効率的な人員配置
現在、アシスタントスタッフ(パートやアルバイト)の主な業務は、品出し・陳列などであるが、今後はカウンセリング販売にも加わってもらうなど、業務範囲を拡張していく。
また正社員に関しても適正な人数による効率的な配置を進める。

*経費削減の推進

*不採算店舗のスクラップ&ビルド

新店出店期のずれによるコスト負担増、増収に伴う変動費増(EC拡大による荷造運賃、ポイント購入費用など)、クレジット使用率アップによる支払手数料増などから、2017年2月期の連結販管費率は25.9%を目標としている。

③新規出店による売上高成長

3年間でドラッグストア45店舗、処方せん取扱店舗(既存店への併設を含む)11店舗の新規出店を計画。新店出店期のずれはあるものの、3年間の出店計画数は達成できる見通しだ。
ドラッグストアに関しては、引き続き関西地区での出店を進めると共に、新店の早期黒字化を図る。このために2014年6月、「新店企画部」を設置。オープン前のマーケット調査から、オープン時の品揃えやプロモーションの企画・実行などを行い、新店の来店客数増のための様々な仕掛けや取り組みを行っていく。
さらに、2016年3月に設置した「新業態開発部」では、従来の郊外型店舗とは異なる都市型店舗の立ち上げ・フォーマット確立にも取り組んでいく。
処方せん取扱店舗については、薬剤師の採用および育成が最重要テーマとなる。

<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年9月30日に提出している。

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