(2146:JASDAQ) UTグループ 2017年3月期第2四半期業績レポート

2016/11/30

utgroup

今回のポイント
・17/3期上期は前年同期比26.3%の増収、同54.7%の営業増益。選別受注が可能な良好な事業環境の中、厳しい採用環境にもかかわらず採用が順調に進み技術職社員数が過去最高を更新。売上高・各段階利益で期初予想を大幅に超過し、EBITDAが17億40百万円(計画15億61百万円)と同55.7%増加した。9月末現在、2,419名のバックオーダーを抱えている(3ヶ月以内に採用が必要な人員で「受注残」と言い換える事ができる)。・通期予想に変更はなく、前期比8.6%の増収、同2.8%の営業増益。受注環境は引き続き良好。現状で具体的な不安材料がある訳ではなく、逆に上振れ余地があるものの、現状では着地点の正確な予想が難しいため一先ず業績予想を据え置いた。総還元性向30%を目途に株主還元を実施していく考えで、PEGレシオ(後述)による株価水準の判断(PEGレシオ2倍で割高、同1倍で割安)をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断して最適な株主還元を実施していく考え。

・大人数による短期・大量生産製品が増え、一度に大量の人材を必要とするケースが増えているため、工場周辺だけでの人材募集・採用では必要な人数を確保できない。このため、製造派遣業界は採用力のある大手の寡占化傾向が強まっている。業界でトップクラスの採用力を有する同社は、強い採用力が営業面での強みになり、営業力が人材を引き付け更に採用力が強化されると言う好循環の中にある。

会社概要

顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みとする製造派遣・請負を事業基盤に、エンジニア(設計及び建設技術者)派遣を育成中。M&Aへの積極的な対応も含めて、既存事業の強化と新規分野への展開で人材業界における日本を代表するリーダー企業となる事を目指している。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社が担う。

【コーポレートブランディングの刷新】

創業21年目を迎えた2015年を新たな創業の年と位置づけて社名変更を行い、新たなビジョンを策定すると共にブランドマークを刷新した。

・古くは法隆寺等の建造物から、現代では道具や印刷用紙にも用いられる「白銀比」 により構成
・UTグループの個々とチームワークとその結束を体現し、更に、社員や事業が成長するデザインとして採用
・緑は、成長するキャリア、イキイキとした働き方、社員に安心と安定した職場を提供する姿を表す
・黒は、当社のサービス品質を担保する姿勢を表す
新コーポレートメッセージ 「Upward Together」

・「はたらくカで、イキイキをつくる。」をミッションに、お客様と協力しながら共にビジネスを成長させるという、UTグループの社会的使命を表明するメツセージ。
・自分の能力の限界を解き放ち、チームで挑戦する事により更に能力やスキルを高めていくという姿勢を表している。

【事業内容】

事業は製造派遣事業とエンジニア派遣事業に分かれ、16/3期の売上構成比は製造派遣事業87.1%(15/3期91.2%)、エンジニア派遣事業12.9%(同8.8%)。製造派遣事業の業種別売上構成比は、半導体・電子部品分野50.6%(同47.3%)、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)20.0%(同21.0%)、自動車関連分野15.7%(同15.7%)、住宅分野5.9%(同7.5%)、その他7.8%(同8.5%)。一方、エンジニア派遣事業は、更に設計開発技術者派遣6.1%(同5.7%)、建設技術者派遣3.8%(同3.1%)、及び2015年3月に子会社化したUTシステム(株)を主体とするソフトウェア開発技術者派遣3.0%に分かれる。

製造派遣事業

10/3期には91%を超えていた半導体・電子部品分野の構成比が、近年、大きく低下しているが、この間、同分野向けの売上自体は増えている。パナソニック バッテリーエンジニアリング(現UTパベック)の子会社化や自動車関連分野の開拓により、環境・エネルギー分野と自動車関連分野の売上を大きく伸ばす事で、半導体・電子部品分野は売上を増やしつつ構成比を半減させた。中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。

製造派遣分野の主な取引先
半導体・電子分野 パナソニックグループ、ソニーグループ、ロームグループ、東芝グループ、浜松ホトニクスグループ
自動車関連分野 トヨタ自動車グループ、アイシン精機グループ、オムロングループ、三菱自動車グループ
環境・エネルギー分野 パナソニックグループ、日立製作所グループ、ジーエス・ユアサグループ
住宅関連 LIXILグループ、YKKAP
エンジニア(設計技術者、建設技術者、ソフトウエア開発技術者)派遣事業

2016年3月末現在のUTグループのエンジニアは904名(2015年3月末702名)。16/3期は「One UT」によるグループ内のキャリアチェンジで、製造派遣事業の社員130名がエンジニア派遣事業へ異動した。また、2016年4月には231名の新卒社員が入社したため、1,100名体制に。下期には新卒社員の稼働が見込まれる。

中期経営計画

法整備が進み、キャリア支援を伴った派遣社員活用の環境が整ってきた事を踏まえて、「日本全土に仕事を作る」と言うビジョンの下、日本全土に良質な職場を作りマーケットを獲得していく事で、5年後の21/3期末までに技術職社員数を29,000名に拡大させ、売上高1,450億円、EBITDA82億円、営業利益100億円を達成したいと考えている。

基本方針

計画達成のための基本方針は、「企業と求職者の双方から選ばれる企業グループになる」事であり、そのためには社員と顧客の双方に価値を提供できなければならない。同社は、社員へ提供する価値を「安定雇用とキャリア形成」と定義し、キーワードは、「安心(職場数、インハウスシェア)」、「つながり(定着率アップ)」、「成長(5年間で社員の年収20%UP)」。「安定雇用とキャリア形成」に取り組む事は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」への貢献にもつながる。一方、顧客へ提供する価値については「労務コストの低減」と定義しており、キーワードは、「マッチング(充足率、シェア)」、「リスクコントロール(提案の質)」、「人材戦略策定支援(提案件数)」。「労務コストの低減」は、「日本の製造業の競争力を向上」にもつながる。

社員へ提供する価値

「安心」については職場の数を増やすと共にインハウスシェアを引き上げる事がポイント。リーマン・ショック時には派遣契約の解約が相次いだが、同社においてはインハウスの高さと解約は反比例の関係にあったと言う。「つながり」は定着率の向上につながる。新卒社員と異なり、横のつながりがない派遣社員は孤立しがちなため、キャリア開発部門が中心となり、アプリの導入による社員間のコミュニケーションの促進等に取り組んでいる。一方、「成長」では、技能研修(保全技能士の資格取得)、マネジメント研修、Job Change(One UT)といったプログラムにより、社員のキャリア形成支援やスキルアップによる年収アップ(5年間で年収を平均20%アップが目標)の機会を提供している。

顧客へ提供する価値

「マッチング」では需要に合わせて採用人数をコミットメントしており、足元では確実な人員の確保が単価アップにもつながっている。また、「リスクコントロール」を念頭に置いた定着率向上や構内でのjob training等の質の向上に向けた提案に加え、正社員を転籍させたうえでの工場運営の請負等、正社員も含めた「人材戦略策定支援」の提案を行っており、インハウスシェアの向上に寄与している。

17/3期の取り組み

今後の成長を見据えた事業基盤の構築に向け、17/3期上期は製造派遣事業のシェア拡大(量的拡大)とエンジニア派遣事業の強化(質的向上)に取り組み、前者では採用と営業が一体となった「コミット受注」により採用数と取引工場数を拡大させる事ができ、後者では領域の拡大と単価の向上で成果を上げた。下期からは、採用、マッチング等の業務のシステム化にも取り組み、コア業務の生産性向上を図っていく考え。

2017年3月期上期決算
旺盛な人材需要に業界トップクラスの採用力で応え営業利益が前期比54.7%増加。EBITDAも17億40百万円と同55.7%増加した

選別受注が可能な良好な事業環境の中、高止まりした有効求人倍率の影響を受ける事なく採用数が順調に進み、上期末の技術職社員数が12,592名と前年同期末に比べて2,734名(27.7%)増加。9月末現在、2,419人のバックオーダー数を抱えている(前年同期の1,158名に対して108.9%増)。好業績は基本的には既存工場の深耕(インハウスシェアの向上)によるもので、同社は先行投資が必要な新規の工場開拓よりも既存工場の振興に軸足を置いているが、この上期は同社の人材動員力や同社社員の離職率の低さが評価され取引工場数が487工場と前期末との比較では31工場増加した(前年同期末に比べて40工場増)。
上記の結果、同社が重視する経営指標の一つであるEBITDAは前年同期の11億17百万円から17億40百万円(計画15億61百万円)へ同55.7%増加した。

尚、上期6か月間の技術職社員純増数は1,666名増加(前年同期の純増559名に対して198%増)したが、これは前期通期の純増数1,627名を上回る。しかも、期初の熊本地震の影響を吸収しての大幅な増加である。

製造派遣事業

スマートフォン、車載機器向け部品、自動車製造関連での旺盛な人材需要に対して営業と一体になった採用体制の構築で応えた結果、技術職社員純増数が1,335名と前年同期(404名増)比230.4%増加した。
分野別では、半導体・電子部品分野が同21.4%増加して売上構成比49.3%、テスラモーター向け電池が中心の環境・エネルギーは一時的な顧客の生産減少で同6.4%減少し15.1%、プリウス関連の部品が中心の自動車関連が同63.0%増と伸びて19.3%等。この他、物流関連等でその他の伸びが大きくなった。未だ半導体・電子部品分野への依存度が高いが、自動車関連部品を伸ばす事で、売上のバランスを良化させていく考え(製造派遣市場は電機大手5社と自動車大手5社に大きく偏った市場であるため、この10社にフォーカスしてシェアアップを図っていく事が製造派遣事業の基本戦略)。

エンジニア派遣事業

この事業は未経験者を採用・育成しての派遣を基本としており、製造業派遣社員のエンジニアへのJob Change(キャリアチェンジ「One UT」)の受け皿としての機能も担っている(Job Changeとは社内での職種転換であり、収入増につながるため年間100人規模に拡大している)。折からのエンジニア不足を背景に未経験者の需要も強く、同社は未経験者の育成体制が評価され好調な受注が続いている。この上期は新卒採用とJob Changeによる未経験者の採用・育成が進み、技術職社員純増数が331名と前年同期(155名増)比113.5%増加し、設計技術者、建設技術者、及びソフトウェア開発技術者全ての分野で売上が増加した。

※ソフトウェア開発技術者派遣事業は、2015年3月に子会社化したUTシステム(株)が主体となっており、設計技術者派遣には、2016年5月に子会社化した、エンジニアリング分野やファクトリーソリューション分野へのエンジニア派遣を手掛ける(株)アテックスが加算されている。また、17/3期第2四半期に集計区分の見直しを行っており、16/3期実績を遡及修正している。

上期末の総資産は前期末に比べて10億70百万円増の182億10百万円。業容拡大で、売上債権、未払費用、未払法人税・消費税等が増加した。自己資本比率は24.1%(前期末23.9%)。

税引き前利益の増加と運転資金の減少で前期は5億43百万円のマイナスだった営業CFが11億93百万円の黒字に改善。フリーCFを自社株買いや長期借入金の返済に充当した。

2017年3月期業績予想
【事業環境とUTグループの優位性】
事業環境

大人数による短期・大量生産製品が増え労働力需要のボラティリティが高まりを見せる中、過去の大規模な希望退職実施により、正社員採用が難しいメーカーが増加している。このため、製造派遣ニーズは引き続き拡大が見込まれる。加えて、法規制等も派遣会社に追い風となっており、改正労働契約法において2018年4月以降の無期労働契約への転換(2013年4月を起点に有期雇用契約が5年を経過した有期雇用社員に無期雇用に転換する権利を付与)を定めた「雇い止め法理」が法定化されたため、企業は契約社員を雇用するリスクが高まった(契約社員から派遣社員へのシフトの流れ)。また、改正労働者派遣法において年間8時間のキャリア形成支援、労働時間管理、及び安定した労働環境の整備が義務付けられた事に加え、電子機器業界の行動規範であるEICC(Electric Industry Code of Conduct)が、企業に、労働者の人権保護、安全衛生、環境保護等を求めており、電子機器業界向け人材サービスを手掛ける派遣会社も同水準の対応を迫られている。このため、小規模・ローカルな派遣事業者には厳しい事業環境となり、派遣事業者の選別が進むとみられている。

UTグループの優位性

同社は正社員派遣を創業以来続け、社員をカスタマーと位置付ける「人」を重視した経営に取り組んでおり、改正労働契約法における「雇い止め法理」の法定化や改正労働者派遣法の影響を受けることはない。また、EICCに見られるように、厳格なコンプライアンス順守への関心の高まりでメーカーによる使用業者の再選定が進む中、同社は国内のAppleサプライヤー(EICC対応への要求が厳しい)の4割と取引実績を有する等、EICC対応も進んでいる。
加えて、有効求人倍率の上昇で派遣会社各社の人材採用コストが上昇する中、同社は各種媒体を駆使した募集ノウハウ及び全国50か所の採用拠点の活用や、発注窓口を一本化することにより広告媒体費用をコントロールしながら、売上の3~4%を募集費に充てることで採用力を強めている。

通期予想に変更はなく、前期比8.6%の増収、同2.8%の営業増益

既に説明した通り、事業環境は同社にとって追い風である。また、現状で具体的な不安材料があるわけではなく、逆に上振れ余地があるものの、現状では着地点の正確な予想が難しいため一先ず業績予想を据え置いた。

(2)株主還元

総還元性向30%を目途に株主還元を実施していく考えで、PEGレシオ(注)による株価水準の判断(PEGレシオ2倍で割高、同1倍で割安)をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断して最適な株主還元を実施していく。
2016年5月13日から6月23日にかけて、自社株買いを実施し、1,669,900株(発行済株式数の4.5%)を749,973,300円で取得した。
配当は未定。

(注) PEG レシオ (Price Earnings Growth Ratio) = PER ÷ 年間EPS成長率

今後の注目点
大人数による短期・大量生産製品が増え、一度に大量の人材を必要とするケースが増えているため、工場周辺だけでの人材募集・採用では必要な人数を確保できない。このため、全国から人を集めてくる必要があり、採用拠点を全国に展開している大手でないと対応が難しく、製造派遣業界は採用力のある大手の寡占化傾向が強まっている(製造派遣市場はトップ5のシェアが15%に満たない)。この結果、業界でトップクラスの採用力を有する同社は、強い採用力が営業面での強みになり、営業力が人材を引き付け更に採用力が強化されると言う好循環の中にある。
また、現在の有効求人倍率はバブル崩壊直前の1.4倍に迫る水準にあり、この影響で募集・採用費が高騰しているが、同社は地方での採用が多いため影響は比較的軽いと言う。コスト面でも比較優位を有するようだ。
尚、同社の試算では、年間1,500名の純増で60億円の増収要因になる。このため、現在の増員ペースを維持すると、今期の技術職社員純増数は3,000名を超えると思われ、120~150億円の増収効果が期待できる。この場合、売上高の着地は会社予想の478億円を大きく上回る560~590億円。上期の収益性を維持できれば、営業利益の着地も予想の25.3億円を大きく上回る33~35億円。仮に33億円とした場合、最終利益は22億円程度と思われ、EPSは62円。現在のPER18.4倍で逆算すると株価は1,140円程度に上昇する余地がある。
<参考資料 コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書           2016年6月30日更新

同社はコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則を全て実施している。

基本的な考え方

当社は、当社グループの業務の健全かつ適切な運営の確保を行うため、グループ全体の管理を一元的に行います。

1.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「経営環境変化への対応」の観点から意思決定のスピードアップを図り、変化に柔軟に対応していくこと、「経営の透明性」の観点から経営チェック機能の充実を図ること、「経営の健全性」の観点から法令を遵守し、社会倫理に反することがないようにすることをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針としております。

2.当社グループとしてのコーポレート・ガバナンス
当社は、UTグループの純粋持株会社として、各グループ事業会社の独立性を尊重しながら、UTグループ コンプライアンス・リスク管理委員会等を通して、横断的に管理・調整し、グループ経営管理体制の強化に努めます。

3.監査役制度の採用とコンプライアンス・リスク管理会議の設置
当社は、経営の監視機能を重視して、監査役制度を採用しております。また、社外の弁護士も参加するUTグループ コンプライアンス・リスク管理会議を設置し、コンプライアンスの徹底を図ります。

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