(6914:東証1部) オプテックス 2016年12月期第3四半期業績レポート

2016/11/24

optex

今回のポイント
・16/12期 3Qの売上高は前年同期比2.3%増の211億36百万円。既存事業が為替の影響で減収だったが、シーシーエス(株)およびガーダソフトビジョン子会社化が寄与し増収となった。営業利益は同4.0%減の22億50百万円。増収効果、原価率の改善はあったが、新規連結子会社追加に伴う販管費増で減益となった。四半期ベースでは前期比、前年同期比とも増収増益だった。

・7月22日付で修正した通期見通しからの変更は無い。売上高は前期比3.2%増の320億円。子会社化したシーシーエスおよびカーダソフトビジョン社の売上高(下期分)約51億円が寄与する。営業利益は同4.4%増の33億円。経常利益は同10.0%減の29億円。低調に推移した既存事業の活性化、マシンビジョン照明事業の強化が課題と認識している。配当は5円/株増配の45円/株を予定。予想配当性向は42.6%。

・増収とはなったがシーシーエスおよびガーダソフトビジョンの寄与2,094百万円を除くと、前年同期比では10.2%の減収となった。為替の影響1,285百万円を加味してもほぼ横ばいとなり、既存事業に力強さが欠けている点が気になるところだ。株価は8月末に付けた年初来安値から2割ほど上昇しているが、持続的な戻しに繋がるには、やはり既存事業の実質ベースでの伸長が欠かせないだろう。次回のレポートは持株会社へ移行した後の2月となるが、短期的には第4四半期業績動向を、中長期的には成長に向けた新体制の経営戦略を注目したい。

会社概要

赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛ける。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)、工業用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)等の有力子会社を有する。
ファイバーセンシス社及びレイテック社とは、それぞれの強みを融合した大型重要施設向けソリューション(施設への侵入警戒システム)を展開している。また、国内及びEUに強みを持つオプテックス(株)、北米を中心とした米州や中近東等に強みを持つファイバーセンシス社、更には英国及びEUでの売上が大半を占めるレイテック社と、事業エリアの面でも補完関係にあり、更にオプテックス(株)による両社製品の国内、アジア、アフリカ、南米への展開等、グループ企業の製品を活かした事業展開でも実績を上げつつある。

【事業内容】

事業は、防犯関連や自動ドア関連等のセンシング事業、産業機器用センサを手掛けるFA事業、工業用LED照明装置及びシステムを提供するマシンビジョン照明事業、中国工場で展開する電子機器受託生産サービス(EMS)の生産受託事業、及び客数情報システム・画像処理関連の開発・販売、スポーツクラブ運営その他に分かれる。

【センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムが強み】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

【沿革】

1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。また2016年5月には工業用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日より持株会社体制へ移行の予定。

同社の15/12期のROEは8.7%で前期とほぼ同水準だった。決算短信では、目標とする経営指標の1つにROEを掲げ、「10%以上」を目標として掲げている。更なるROEの改善には、株主還元の拡充を含めて潤沢なキャッシュを有効活用すると同時に、固定費削減を中心とした利益体質強化が必要となる。

【グループの主要企業】
オプテックス(株) センシング技術を利用した製品及びシステムの開発・販売
国内
オプテックス・エフエー(株) 光電センサ、産業用画像検査、計測装置の開発、製造、販売
シーシーエス(株) 画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売
ジックオプテックス(株) 汎用型光電センサの開発。独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社
技研トラステム(株) 客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売
(株)ジーニック 画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売
オーパルオプテックス(株) 社員の福利厚生施設も兼ねた会員制アウトドアスポーツクラブ
海外
FIBER SENSYS INC.(米国) 光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売
FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国) 遠隔画像監視による警備会社
RAYTEC LIMITED.(英国) 監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売
Gardasoft Vision Limited(英国) マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売
2016年12月期第3四半期決算概要
M&A効果により増収も為替、販管費増で減益。

売上高は前年同期比2.3%増の211億36百万円。既存事業(防犯、自動ドア)が為替の影響(1,285百万円のマイナス)で減収だったが、シーシーエス(株)およびガーダソフトビジョン子会社化が寄与(2社で2,094百万円のプラス)し増収となった。
営業利益は同4.0%減の22億50百万円。増収効果、原価率の改善はあったが、新規連結子会社追加に伴う販管費増で減益となった。四半期ベースでは前期比、前年同期比とも増収増益だった。

◎センシング事業
(防犯関連)

日本 :警備会社向け住宅用屋外警戒センサ販売が伸び悩み減収となった。
AMERICAs :重要施設向け外周警戒センサ販売は堅調に推移したが、為替の影響と北米向け住宅用センサ販売の伸び悩みで減収となった。
EMEA :南欧向け中心に屋外用警戒センサ販売が堅調に推移したが、為替の影響により減収となった。
アジア :アジア・オセアニア向けの警戒用センサ販売が低調に推移した。

(自動ドア関連)

日本 :自動ドア用センサ販売が、店舗向け需要減速の影響を受け横這いとなった。
AMERICAs :大手自動ドアメーカー向けOEM販売が、現地通貨ベースでは堅調だったが為替の影響で減収となった。
EMEA :AMERICAs同様、大手自動ドアメーカー向けOEM販売が、現地通貨ベースでは堅調だったが為替の影響で減収となった。

◎FA事業

日本 :有機EL,太陽光パネル、半導体、二次電池、品質検査用LED照明(電子部品業界向け)、画像センサ,変位計の販売が好調に推移した。
EMEA :汎用センサの販売は低調に推移したものの、変位計の販売が堅調だった。
アジア :中国でのスマートフォン、太陽光パネル業界向けに、変位計の販売が順調に推移した。

◎マシンビジョン照明事業

日本 :テスティングルームの増設、ソリューション提案の取組みにより、受注機会が増加した。
AMERICAs :北米での営業活動により新規案件が増加したものの、製造業で設備投資の先送りがあり売上は低調に推移した。
EMEA :欧州では半導体市場の回復基調により、大手顧客向けの売上が増加した。
アジア :シンガポール、マレーシア、タイで売上が堅調に推移したが、中国は景気減速によりペースダウンした。

◎生産受託事業

受託案件の減少により減収・減益となった。

シーシーエス(株)を子会社化したこと等により現預金、売上債権、たな卸資産の増加で流動資産は32億円の増加。固定資産も同社子会社化により同40億円増加し、資産合計は同73億円増加し、381億63百万円となった。
同様の理由で借入金が増加し負債合計は同57億円増加し110億51百万円。
円高により為替換算調整勘定はマイナスに転じたが、非支配株主持分が増加し、純資産は同15億円増加の271億12百万円。
この結果、自己資本比率は前期末の78.0%から17.6%低下し60.4%となった。

2016年12月期通期業績予想
業績予想の変更無し。

7月22日付で修正した通期見通しからの変更は無い。売上高は前期比3.2%増の320億円。子会社化したシーシーエスおよびカーダソフトビジョン社の売上高(下期分)約51億円が寄与する。営業利益は同4.4%増の33億円。経常利益は同10.0%減の29億円。
低調に推移した既存事業の活性化、マシンビジョン照明事業の強化が課題と認識している。
配当は5円/株増配の45円/株を予定。予想配当性向は42.6%。

今後の注目点
増収とはなったがシーシーエスおよびガーダソフトビジョンの寄与2,094百万円を除くと、前年同期比では10.2%の減収となった。為替の影響1,285百万円を加味してもほぼ横ばいとなり、既存事業に力強さが欠けている点が気になるところだ。
株価は8月末に付けた年初来安値から2割ほど上昇しているが、持続的な戻しに繋がるには、やはり既存事業の実質ベースでの伸長が欠かせないだろう。
次回のレポートは持株会社へ移行した後の2月となるが、短期的には第4四半期業績動向を、中長期的には成長ぬ向けた新体制の経営戦略を注目したい。
<参考1:今後の事業戦略(前回レポートより)>

『「新しい」を生み出す』を経営方針とする同社は、2019年連結売上高500億円を実現するために、「コア事業の拡大推進」はもとより、「新規事業の創出」に注力している。

◎ビジネスモデルの変革 ~継続収益獲得へ~

従来の、センサ単品を販売し、売り切るビジネスに加え、システムソリューション、消耗品販売など、継続的に収益が得られるビジネスのウェイトを高めていく。

◎新規事業の創出 :「IoS」サービス

この継続収益を獲得するビジネスモデルの中心と位置付けているのが、「IoS(Internet of Sensing Solution)」サービス。
同社のセンシング技術の強みである、「検出エリア構成」、「センシングアルゴリズム」、「低消費電力」、「耐環境性能」などを活かし、センサをネットワークに接続する事で、「防犯・警備・防災」、「環境モニタリング」、「運転マネジメント」、「ファシリティ/アセットマネジメント」といった顧客企業に、新たな付加価値・ソリューションを提供する。

特に同社の有するセンシングアルゴリズムは、防犯センサ、運転挙動センサ、自動ドアセンサなど各種センサにおいて、必要な情報のみに的確に反応する高い検知能力が大きな強みである。
この強みを活かし、顧客となるシステム運用主体とともに、それぞれの課題に応じたアプリケーション・センサを開発できる点が大きな特徴となっている。

一般的な「IoT」サービスが大量のビッグデータを処理する事を目的としているのに対し、「IoS(Internet of Sensing Solution)」サービスではアプリセンサにより選別された確実な情報源であるスマートデータを抽出してサービスを提供する点が特徴となる。

◎IoSの3つのカテゴリー

同社では、サービス提供形態として以下の3つのカテゴリーを設定している。
「センサ、運用のためのサーバー、運用・サービスの提供」の全てを同社が手掛ける「①完結型ソリューション」運用・サービスの提供を行っている企業と連携する「②アライアンス型ソリューション」
センサ等を販売する「③端末機器販売型」

①完結型ソリューション
代表例として、「リモートモニタリングサービス(クラウド・ビジュアル・ベリフィケーション)」が挙げられる。
これは同社のセンサと、大手ネットワークカメラメーカーのIPカメラによりカーディーラー、建設現場などの各種施設を常時監視し、ネット回線でモニタリングセンターとつないで監視を行うもので、センサ、カメラ、サービス、運用まで全てを同社グループが行う。遠隔監視で実績のある英国子会社Farsight社を用いたこの世界初のパッケージサービスは、2015年9月に英国でリリースされ、今期若しくは来期から実績が出てくるものと期待している。

②アライアンス型ソリューション
代表例として、前回のレポートで紹介した、ソニー損害保険株式会社が2015年2月より販売を開始した日本初の新しいタイプの自動車保険「やさしい運転キャッシュバックサービス」がある。

ユーザー(保険契約者)は、オプテックスの運転挙動センシング技術が採用された運転特性を計測する専用器「ドライブカウンタ」を自分の自動車内に設置し、一定期間運転する。ドライブカウンタは、オプテックス独自の運転挙動測定技術を用いて危ない運転のみを記録する加速度センサが組み込まれている。
ユーザーは期間終了後、ドライブカウンタをソニー損保に郵送。成績が60点以上であれば点数に応じて保険料がユーザーにキャッシュバックされる。

ソニー損保では、こうした保険を普及させるには、「計測器の設置および取扱いが簡単であること」、「機器費用を含めた運用コストが低いこと」、「機器の信頼性が高いこと」が不可欠と考えていたが、オプテックスのドライブカウンタは、高精度のセンシング技術に加え、通信機能を利用するテレマティクス方式ではないためランニングコストもかからないなど、これらの条件をすべて満たしていると、ソニー損保から高く評価され、約4年にわたる実証実験の後、事業化に結び付いた。

また、アライアンス型による水質簡易計測ソリューションの展開も進めている。
現場で採取した水質測定データや利用者や利用状況データなどを、IoSプラットフォーム上で運用・サービス会社がIT管理するもの。またシステムに加えて簡単、迅速に水質計測を行うための試薬の開発も行い2015年4月より販売を開始した。システムの販売に加え、試薬販売による継続的収益の獲得も目指している。環境関連事業として以前から水質計測センサを手掛けていた同社としては、同事業拡大の大きな一歩となると考えている。

③IoS端末機器販売型
様々なセンサーニーズを持つオープンシステムに対応し、近赤外線センサ、遠赤外線センサ、超音波センサ、距離画像センサ、ファイバーセンサ、加速度センサ、レーザーセンサなどを提供する。
端末機器以外はパートナーサイドがシステムを構築する。ただし、センサはサービス・運用までを把握した上でその仕様を最適化して提供する。
従来とは違う相手先が顧客となるため、その後のビジネスの広がりにも期待している。

<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年7月15日に提出している。

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