(3667:東証1部) enish 2016年12月期第3四半期業績レポート

2016/11/09

enish

今回のポイント
・2016/12期3Q(7-9月)は売上高12億76百万円(2Q比3.2%増)、営業損失96百万円(2Qは1億17百万円の損失)。人気漫画「鋼の錬金術師」とのコラボが好調だったこともあり「12オーディンズ」のダウンロード(DL)が150万DLを達成する等、ネイティブアプリが増収をけん引。売上原価、販管費共に低水準で安定しており、営業損失が2Qの1億17百万円から96百万円に減少した。3Q累計では、売上高37億85百万円(前年同期比9.7%減)、営業損失2億55百万円(前年同期は7億93百万円の損失)。・当面の目標は「4Qの営業黒字確保」。ブラウザアプリの売上を維持しつつ、ネイティブアプリの売上を伸ばす事でトップラインの引き上げを図ると共に、引き続きコストコントロールに取り組む。ただ、KPIを勘案した広告宣伝活動や新規タイトル・成長分野への投資は機動的に実施していく考え。尚、「ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い半期及び通期の業績予想数値を算出することが困難となっている」として、業績予想の開示を見合わせている。

・3Q(7-9月)は、収益の改善に加え、「ブラウザアプリの運営強化」、「ネイティブアプリの成長」、「IPタイトルの運営強化」といった課題への取り組みでも一定の成果をあげており、四半期ベースでの営業黒字確保に向けて前進した。損益分岐点が下がり利益の出やすい体質になっている事から4Q決算に期待したい。

会社概要

レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。Link with Funというスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げており、社名の「enish(エニッシュ)」は、人と人との縁(えん、えにし)に由来している。
14年3月には実質的創業者である安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考え。

尚、ネイティブゲーム(アプリ)とは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザゲーム(アプリ)はダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも無料で楽しむ事ができるが、ゲームを進める上で有効なアイテム等を購入した場合、課金が発生する。ブラウザゲームでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。

【事業内容】

事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザアプリを収益基盤にネイティブアプリを育成している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等を購入すると課金が発生する。ブラウザアプリの場合、ユーザーへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。

リリース後の「運営」が事業成否のポイントとなるソーシャルゲーム

ソーシャルゲームは、①ゲームを通してプレイヤー同士がコミュニケーションを図る、②基本的には無料でゲームを進めながらアイテム等で課金、③原則無料のためスマートフォンさえあれば気軽に遊べる、④ゲームにゴールがない、⑤リリース後ゲーム進行に合わせて新機能の追加実装、⑥キャラクターやアイテムを追加して運営していくスタイル、といった特徴を有し、パッケージで提供されるゲームと異なり、「リリース」よりもリリース後の「運営」が事業成否のポイントとなる。

「運営」とはゲーム内イベントの運営であり、そのゲームの育成対象となるアイテムやキャラクター等を獲得できる収集イベント、キャラクターを成長させるための育成イベント(育成専用のアイテムの配布等を実施)、及び育成したアイテムやキャラの力を試す活用イベントの3つ。中でも、他のユーザーとの戦いや協力でゲームが進行し、リアルタイムでのランキング表示もある活用イベントは、ユーザの注目度も高く、最も売上が大きくなる。

【主要タイトル】

IPタイトルの投入(安定した集客の見込めるIPタイトルの開発推進)、ネイティブアプリの成長、ブラウザアプリの運営強化(タイトルの選択と集中及び収益性の維持)の3点をメインテーマとした事業展開を進めている。

「12オーディンズ」は、世界を滅ぼしかけた魔龍の爪あとが残るウルザールを舞台に、プレイヤーは「約束の地」を求めて旅立つ。個性豊かなキャラクターとの出会い、交錯する思いと人間模様、徐々に明らかになっていくストーリー。ジョブシステムと多彩な装備やスキルを駆使した戦略性と共に、派手なエフェクトと3Dで表現される爽快なリアルタイムバトルを堪能できます。

2016年12月期第3四半期決算
ネイティブアプリが増収をけん引。売上原価、販管費共に低水準で安定し営業損益が改善

売上高は第2四半期(4-6月)比3.2%増の12億76百万円。人気漫画「鋼の錬金術師」とのコラボが好調だったこともあり「12オーディンズ」のダウンロード(DL)が150万DLを達成する等、ネイティブアプリが増収をけん引。ブラウザアプリは減収となったものの、新イベント・各種コラボレーションの実施や配信先の拡大等、きめ細かな運用に取り組んだ結果、想定通りに推移した。

損益面では、積極的なプロモーション活動に伴い広告宣伝費が同6.3%増加したものの、前期に実施したコスト削減効果に加え、引き続きコントロールに取り組んだ事で、売上原価、販管費共に低水準で安定し、営業損失が第2四半期の1億17百万円から96百万円に減少した(前年同期は1億65百万円の損失)。経常損失は貸倒引当金の繰り入れ(30百万円)で第2四半期を上回ったものの、前年同期の1億71百万円を下回った。

取り組み課題である「ブラウザアプリの運営強化」と「ネイティブアプリの成長」で一定の成果

「ブラウザアプリの運営強化」と「ネイティブアプリの成長」という取り組み課題で一定の成果を上げた他、2016年7月25日に株式会社バンダイナムコエンターテインメントが配信した「仮面ライダーバトルラッシュ」の開発協力を行い、現在は運営強化に注力している。また、AR技術を活用したサービス・ソリューション開発も始動した。

ブラウザアプリの運営強化

「ドラゴンタクティクス」でレアリティ(ランク)や新イベントを追加した他、「ぼくのレストランⅡ」と「ガルショ☆」で森永製菓やサンリオ等と各種コレボレーションを実施した。また、プラットフォーム追加による配信先拡大の一環として、コロプラで「プラチナ☆ガール」の配信を開始した他、運営コストの最適化にも取り組んだ。

ネイティブアプリの成長

8月16日から8月30日に実施した「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」とのコラボレーションの効果もあり、「12オーディンズ」のダウンロード(DL)が2016年9月30日に150万DLを突破した(2ヶ月で50万DL増加)。コラボレーション、新イベント、コンテンツ投入等、更なるアップデートを予定している。
また、「仮面ライダー バトルラッシュ」は、iOS版とAndroid版がリリースされ、リリース3ヶ月で100万ダウンロードを達成した。

ARの取り組み   Kudan(株)と業務提携し、AR技術を活用したサービス開発を開始

8月に、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術カンパニー Kudan(株)(東京都新宿区、代表取締役:大野智弘、以下、Kudan)と業務提携した。Kudanは、ARエンジン「Kudan Engine」の開発・提供を行っており、「Kudan Engine」はマーカレス、SLAMを実装し、即時に画像認識・周囲の環境を追加して認識する拡張認識に対応する等、独自のAR技術を搭載している。
両社は、AR技術のネイティブアプリでの実装に加え、ゲーム領域だけでなく、非ゲームの領域でも、AR技術を活用したサービス、トータルソリューションの開発に取り組んでいく。

尚、AR技術は、眼鏡型ディスプレイ、スマートフォンなど多様なデバイスで、現実空間の物体等に情報を重ねる事で新たな認識を与える技術。VR(Virtual Reality:仮想現実)技術よりも広範な領域で大きく発展していくと期待されている(同社資料より)。

営業損失が前年同期の7億93百万円から2億55百万円に減少

売上高は前年同期比9.7%減の37億85百万円。不採算の5タイトルを譲渡・クローズした影響が大きく減収となったが、年初にリリースしたネイティブアプリ「12オーディンズ」(Android版を2016年1月26日に、iOS版を同年1月28日に、それぞれリリース)が、人気漫画「鋼の錬金術師」とのコラボ効果もあり、順調にダウンロード数を伸ばした。また、「ぼくのレストランⅡ」、「ガルショ☆」、「ドラゴンタクティクス」等のブラウザアプリも、減収ながら想定以上に健闘した。
損益面では、運用・開発両面からのタイトルの絞り込みで労務費や外注費を中心に売上原価が同21.9%減少した事で、前年同期は31百万円にとどまった売上総利益が5億37百万円に増加。「12オーディンズ」のプロモーション強化に伴い広告宣伝費が増加したものの(34百万円→4億09百万円)、人件費(2億01百万円→1億31百万円)、採用費(61百万円→42百万円)、支払手数料(3億51百万円→79百万円)等の主要経費の削減が進み、販管費は7億92百万円と同3.9%減少。この結果、営業損失が前年同期の7億93百万円から2億58百万円に大幅に縮小した。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて1億28百万円減の21億25百万円。新株予約権の行使による資金の調達に加え、営業キャッシュ・フローも改善した事で、借入金の一部を返済したものの、現預金が増加した。自己資本比率78.1%(前期末71.6%)、流動比率382.0%(同301.0%)、固定比率29.8%(同33.7%)。

2016年12月期業績予想
【第4四半期の営業黒字確保を目指す】

「ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い半期及び通期の業績予想数値を算出することが困難となっている」として、業績予想の開示を見合わせている。

当面の目標として、「第4四半期の営業黒字確保」を挙げている。目標達成に向け、ブラウザアプリの売上を維持しつつ、ネイティブアプリの売上を伸ばす事でトップライオンの引上げを図ると共に、引き続きコストコントロールに取り組む。ただ、KPIを勘案した広告宣伝活動や新規タイトル・成長分野への投資は機動的に実施していく。
ブラウザアプリでは、機能強化による収益力強化(新規ガチャの導入)、運営強化による集客力強化(イベント実施等)、及び配信先強化(料理の鉄人、プラチナ☆ガール12月にハンゲームへリリース予定)に取り組み、ネイティブアプリでは、ゲームの売上高増加、基本プレイ環境の改善、広告・コラボの連携強化と効率的実施、及び課金システムの多様化に取り組んでいく。

今後の注目点
第3四半期(7-9月)はコラボレーション効果もあり、「12オーディンズ」のダウンロードが伸び、ブラウザアプリの減収をカバーして前四半期比増収となった。コスト面では、前期までの取り組みの成果と継続的なコストコントロールにより、積極的なプロモーション活動にもかかわらず、営業費用は低水準で推移した。「ブラウザアプリの運営強化」、「ネイティブアプリの成長」、「IPタイトルの運営強化」といった課題への取り組みでも一定の成果をあげており、四半期ベースでの営業黒字確保に向けて前進したと言える。損益分岐点が下がり利益の出やすい体質になっている事から第4四半期の決算に期待したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書      2016年3月28日更新
<実施しない主な原則とその理由>
補充原則1-2-4 株主総会の権利行使における環境作りについて

招集通知の英訳版及び議決権電子行使プラットフォームについては、機関投資家や海外投資家等のニーズを踏まえ、今後検討いたします。

原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表

ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、具体的な数値目標を算出することが困難となっているため、決算業績及び事業の概況のタイムリーな開示に努め、具体的な数値目標については開示を見合わせます。

<開示している主な原則>
原則1-4 いわゆる政策保有株式

当社は、ソーシャルゲーム開発に事業を注力するため、当面は、上場株式を保有しない方針であります。なお、今後、政策保有をする場合、中長期的な企業価値向上の観点から、個別に賛否を判断いたします。

原則1-7 関連当事者間の取引

関連当事者取引については、取引条件及びその決定方法の妥当性について取締役会で審議し、意思決定を行う方針であります。
また、取締役会での意思決定後も、経理部門が取引の内容等の事後的なチェックを実施しています。

原則3-1 情報開示の充実

(i)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
当社は、「Link with Fun」というスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げ、ゲームデザイナー、エンジニア及びアートデザイナーが付加価値の高いサービスを生み出す会社であるとともに、グローバルマーケットに立てるクリエーター、スペシャリストを生み出す会社でもあり続けたいという経営の基本方針のもと、ソーシャルアプリを通じて、世界中のユーザーに新たな喜びを提供してまいります。
また、当社が属するソーシャルゲーム業界につきましては、競争環境が激化しております。
このような状況の下、当社といたしましては継続的に良質なゲームタイトルを市場に投入し、多様化するユーザーの嗜好に応える組織体制を整える必要があると考えております。また、今後の規模拡大に伴いコーポレート・ガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。
そのため、重要な経営課題及びその進捗状況については、株主総会や四半期ごとの決算発表その他適時に説明を行うこととしております。また、企業価値拡大に向けた取り組み方針については、随時決算説明会資料等で開示を行っております。詳しくは当社IRページ(http://www.enish.jp/ir/)をご覧ください。

原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針

当社は、株主との建設的な対話を促進するため、経営陣幹部等を中心に様々な機会を通じて株主と対話を持つよう努めております。
また、広くIR活動を行うため、IR担当役員として取締役執行役員管理部長を指定し、IR担当部署として管理本部経営企画を指定するとともに、経理、総務等の関連部門と有機的な連携に努めております。
アナリストや投資家および株主にタイムリーに情報提供するとともに、お問い合わせに迅速かつ適切に対応するよう努める一方で、対話に際してのインサイダー情報の管理を徹底するよう努めております。なお、株主の意見や懸念につきましては、必要に応じて経営陣幹部や取締役会に報告しております。

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