(2435:JASDAQ) シダー 2017年3月期第1四半期業績レポート

2016/11/02

cedar

今回のポイント
・17/3期1Qは前年同期比8.4%増収、経常損失42百万円(前年同期は75百万円の損失)。1Qには有料老人ホーム1施設を新規開設した。在宅サービス事業は利益面で苦戦したものの、施設サービス事業が大幅な増収増益、デイサービス事業も大幅増益となった。営業利益は黒字転換し、経常損失・純損失は縮小した。・通期予想に修正はなく、9.0%増収、経常損失53百万円を見込む。今期中に有料老人ホーム3施設の開設を計画しており、出店に係る多額の初期費用負担に伴い、利益を圧迫する。代表取締役社長に代表取締役専務であった座小田孝安氏が就任し、代表取締役社長であった山崎嘉忠氏は代表取締役会長に就任、新体制がスタートする。

・営業利益は黒字転換、経常損失は縮小、売上高については上期予想8.3%を上回る増収率となっており、順調なスタートといえるだろう。通期では出店に係る費用が利益を圧迫するが、売上の伸びから入居率が着実に伸びていることが分かる。尚、同社は損保ジャパン日本興亜ホールディングスの持分法関連会社で、提携もしている。損保ジャパン日本興亜ホールディングスの介護事業における施策にも注目したい。

会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針としており、総勢600名近くに及ぶ職員資格者を要しており、介護サービス事業者の中では出色。

【沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現社長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

同社の介護事業の考え方

リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

【事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。16/3期の売上構成比は、それぞれ28.2%、64.7%、6.7%。また、16/3期よりその他事業として、要介護要支援認定者などに対し、福祉用具のレンタル及び販売を行っている(16/3期売上比率は0.4%)。
2016年6月30日現在の拠点状況は以下の通り。

デイサービス事業

デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備の施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっておりリハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

専門スタッフによるリハビリテーション

同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

選択できる多彩なサービス

豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等に設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。
16年3月現在の登録者数は要介護登録者が2,857人、要支援登録者が1,045人。要介護登録者を重点的に増加させる方針をとっており、登録者の向上に努め、利用回数の増加を図る。要支援登録者については、時間短縮及び、利用回数の調整を行っている。

施設サービス事業

有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して任せ預ける体制が整っている。

充実のリハビリテーション

「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。

自分好みに部屋をコーディネート

「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。

仲間との楽しいひと時

フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。

美味しく栄養豊富な食事

看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。

季節の催し

季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。

施設サービスでは、1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。3月31日現在の総居室数は2,148室、入居者数は1,930人。

在宅サービス事業

「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。

自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション

医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。

日常生活を支えるホームヘルプサービス

ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。

最適なケアプラン作成

介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

介護職員人材確保と人材育成

介護業界では現在においても人材不足に悩まされているが、今後はさらに深刻化する見通しである。

求人に注力するため、新規採用案も検討中。既に給与の見直しを行ったほか、毎月の奨学金の返済額に応じて手当として支給する「奨学金返済支援」、退職者に対して再雇用を促す「退職者 カムバック制度」、在職職員からの紹介に対して報酬を設ける「職員紹介制度」が予定されている。
人材の育成も積極的に行っている。

資格取得に向けた講習や勉強会を実施している。特に介護福祉士の増員を強化している。年に1回社内にて介護職員初任者研修を実施している。「介護福祉士 国家試験 受験対策講習」及び「介護支援専門委員 国家試験 受験対策講習」がそれぞれ月2回実施されている。前年比で職員数は27名増加したのに対して、職員資格者は59名の増加。職員資格者は着実に増加している。

2016年3月期決算
前年同期比8.4%の増収、経常損失は42百万円に縮小

売上高は前年同期比8.4%増の30億55百万円。有料老人ホーム1施設を新規開設した。すべてのセグメントが増収となったが、特に施設サービス事業が大きく伸びた。前期から加わった福祉用具事業として福祉用具のレンタル及び販売を行うその他事業も寄与した。
営業利益は25百万円(前年同期は9百万円の損失)。在宅サービス事業の損失は増加したものの、デイサービス事業や施設サービス事業が大幅な増益となった。営業外収益に大きな変動はなく、経常損失は前年同期75百万円から42百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益は同28百万円から13百万円にそれぞれ縮小した。

デイサービス事業

売上高は前年同期比2.2%増の8億40百万円、セグメント利益は同44.1%増の96百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めた。

施設サービス事業

売上高は前年同期比11.6%増の20億3百万円、セグメント利益は同31.2%増の1億31百万円。1Qに大阪市に「ラ・ナシカこのはな」を新規開設した。新規及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、施設稼働率の向上に努めた。

在宅サービス事業

売上高は前期比3.2%増の2億4百万円、セグメント損失は16百万円(前年同期は6百万円の損失)。利益率改善のための人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力したが、損失は10百万円増加した。

17/3期1Q末の総資産は前期末比11億42百万円増の174億27百万円。現預金が5億35百万円増加した。負債は前期末比11億55百万円増の164億12百万円。有利子負債が8億31百万円増加した。株主資本は前期末比13百万円減の10億13百万円となった。
自己資本比率は前期末比0.5ポイント減少し5.8%となった。

2017年3月期業績予想
前期比9.0%の増収、53百万円の経常損失予想

通期予想に修正はなく、売上高が前期比9.0%増の127億93百万円、経常損失53百万円(前期は70百万円の利益)を計画する。上期予想も修正はなく、売上高が前年同期比8.3%増の62億30百万円、経常損失42百万円(前年同期は65百万円の損失)を計画する。
デイサービス事業では、利用者のニーズと状態に合わせた適切なサービスを提供することで、利用単価の向上に取組み利益率の改善を図る。施設サービス事業においては、引き続き、既存施設の稼働率の向上を第一に注力する。さらに、コンプライアンスを重視した施設運営と内部管理体制の整備・強化を進めるとともに、社員の教育・研修に注力し、顧客満足度の向上に取り組む。
新規出店については5月に大阪市に「ラ・ナシカ このはな」(72室)、7月に横浜市に「ラ・ナシカ 上大岡」(67室)を開設したほか、10月に神奈川県横須賀市に「ラ・ナシカ よこすか弐番館」(60室)が開設見込み。また、来年4月には北九州市に「ラ・ナシカ こくら(仮称)」(80室)を出店する計画があり、これらの出店に係る初期費用が多額に発生することが予想され、営業利益は、前期比41.5%減の1億96百万円となる見通し。
尚、6月23日付で代表取締役社長に代表取締役専務であった座小田孝安氏が就任し、代表取締役社長であった山崎嘉忠氏は代表取締役会長に就任した。新体制がスタートする。

今後の注目点
営業利益は黒字転換、経常損失は縮小、売上高については上期予想8.3%を上回る増収率となっており、順調なスタートといえるだろう。通期では出店に係る費用が利益を圧迫するが、売上の伸びから入居率が着実に伸びていることが分かる。今後も高い入居率が続けば、費用負担も早めに吸収することができるのではないだろうか。
尚、同社は損保ジャパン日本興亜ホールディングスの持分法関連会社で、提携もしている。その損保ジャパン興亜ホールディングスがワタミの介護事業や有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅・グループホームの運営、居宅サービス事業を行う介護大手のメッセージ(7月にSOMPOケアメッセージに社名変更)を相次いで買収しており、株式市場ではグループ内再編の思惑も出ている。今後は損保ジャパン日本興亜ホールディングスの介護事業における施策にも注目したい。
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