(3407:東証1部) 旭化成 2016年3月期業績レポート

2016/09/28

asahikasei

今回のポイント
・2016年3月期の売上高は、ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、前期比2.3%減の1兆9,409億円となり、営業利益は、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、前期比4.6%増の1,652億円となった。営業利益は3期連続で過去最高を更新した。海外売上高は、「ヘルスケア」セグメントを中心に前期比1.0%増の6,797億円となり、売上高に占める海外売上高の割合は、前期より1.1ポイント上昇し35.0%となった。・2017年3月期の売上高は前期比1.6%減の1兆9,100億円、営業利益は前期比12.2%減の1,450億円となる見通し(2015年5月発表の予想)。円高に加え、退職給付費用の増加や、薬価・保険償還価格の改定、前期に買収したポリポア社ののれん償却等の影響がある。2017年3月期より従来の4セグメントが3セグメントへと変更されたが、全セグメントで減収・減益の予想。配当は前期と同額の20円/株を計画。予想配当性向は30.4%。

・新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」では、「成長・収益性の追求」、「新事業の創出」、「グローバル展開の加速」の3つの基本戦略の下、2026年3月期売上高3兆円を見据え、2019年3月期売上高2.2兆円、営業利益1,800億円を目指す。

・沿革でも触れたように、同社は環境変化に向き合い新たな事業に果敢に挑戦し成長を遂げてきた。社会や環境の問題に対し製品やサービスの提供を通じて解決策を示し、変化し続けてきたことこそが、同社の強みであると言えよう。2017年3月期は減収・減益となる見込みだが、中長期の視点で、高い成長を見込むヘルスケア関連事業や、総合力で新たな価値創造を目指す自動車関連事業などを中心に新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の進捗に注目していきたい。

会社概要

「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3領域で事業を展開する総合化学メーカー。時代の変化に応じて様々な製品群を生み出し成長を継続。多様なコア技術をベースに、数多くの世界シェアNo.1製品を有する。
2016年3月末現在、持株会社である旭化成株式会社を中心に、251の関係会社でグループを形成している。

【沿革】

同社の創業は1922年の旭絹織株式会社設立に遡る。創業者である野口遵氏は、日本の「電気化学工業の父」とも称され、水力発電事業に関わると同時に、その電力を利用し、当時著しい発展を遂げていた電気化学工業の世界最先端技術を日本に取り入れて事業化に着手した。1923年には、イタリアから導入した技術をもとに、宮崎県延岡市で日本初のアンモニア化学合成に成功。アンモニアを利用し、同社の代名詞の一つとも言えるキュプラ繊維「ベンベルグ」(1931年生産開始)をはじめ、化学肥料やレーヨン繊維、火薬など様々な製品を生産し、業容を急速に拡大していった。なお、同社の会社としての設立は、1931年の延岡アンモニア絹絲株式会社設立とされている。
第二次世界大戦で大きな打撃を受けたものの、高度経済成長の下、1957年にはポリスチレン樹脂の生産開始により合成樹脂事業へ、1959年にはアクリル繊維「カシミロン」の生産開始により合成繊維事業へ進出した。1960年には食品包装材「サランラップ」を発売し、その後、ナイロン繊維、合成ゴム、建材という新規事業を手掛ける一方で、自社で基礎原料から石化製品を生産するために、1968年に岡山県倉敷市で石油化学コンビナート(水島コンビナート)の建設に着手した。
1970年代の石油ショックにより石油化学工業は深刻な打撃を受け、同社も影響を避ける事は出来なかったが、この時点で次世代の事業分野である住宅、医薬・医療、エレクトロニクスなどの多角化に向けた基盤構築は着実に進んでいた。ALC(軽量気泡コンクリート)「へーベル」を使用した「へーベルハウス」を1972年に発売し住宅事業に本格進出したほか、中空糸型人工腎臓や抗生物質原料の生産を開始するなど医薬・医療事業の育成も積極的に進めた。1980年代には磁気センサのホール素子や、LSIの生産開始などによりエレクトロニクス事業に進出した。
しかしこうした多角化の拡大は、1990年代のバブル経済崩壊に伴う日本経済の低迷により転換期を迎える。経済停滞が続く中、同社は経営の強化のため思い切った「選択と集中」へと舵を切り、食品事業の譲渡や繊維事業の一部撤退などを実行する一方で、強い事業をより強化し「選び抜かれた多角化」の実現を進めた。また、2000年以降はアジアを中心に多くの海外拠点を設立し、グローバル経営の基盤を築いた。
事業の選択と集中に一定の目途がつくと、同社は再び経営戦略方針を成長の追求へと転換した。注目すべきは、成長領域における大型M&Aを含む積極的な投資姿勢である。2012年に救命救急医療機器メーカーの米国ゾール・メディカル社を買収しクリティカルケア(救命救急医療事業)に本格参入すると、さらに2015年には、バッテリーセパレータの世界的企業である米国ポリポア社を買収した。このように同社は、高い成長を志向しながら、新たな時代のニーズに対応し現在も変化を続けている。

沿革にあるように、同社の歴史は時代の変遷を先取り、的確に対応してきた成長の歴史とも言える。
創業以来一貫して、世界の人びとに貢献すべく、チャレンジを続け独創的な製品の開発を続けてきた。

多角化によって成長してきた背景には、「グループバリュー」に掲げられている「誠実」、「挑戦」、「創造」という価値観が、同社の多岐にわたる様々な事業において共有され、浸透していることが大きな要因として挙げられよう。
携わる事業は異なっていても、従業員が「誠実に挑戦して創造する」という同じ思いを持って目標の達成に向かっているからこそ、一体感が保たれ企業全体としての成長に繋がっていると同社では考えている。

【事業内容】

2017年3月期より、従来の4セグメントを「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3セグメントに変更するとともに、旭化成せんい株式会社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成イーマテリアルズ株式会社の3事業会社を旭化成株式会社が吸収合併し、事業持株会社制へと移行。3セグメントで合計7つの事業を展開している。

前期実績を新セグメントで組み替えた売上高、営業利益の構成比は以下の通り。

*2017年3月期は、2016年5月発表の予想。尚、2016年3月期第2四半期より、2015年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了したポリポア社の業績をマテリアルセグメントに含めて開示している。

日本企業が一般的に目指すべき水準と言われている8%を上回っている。
決算短信の経営方針「2.目標とする経営指標」において、資本効率指標として「ROE」を挙げている。

【特徴と強み】
①時代のニーズを取り込む創造力

沿革で触れたように、日本の工業の近代化が進展する中で日本で初めてアンモニア合成を手掛け、そこから様々な製品を世の中に送り出した同社は、1950~1960年代には合成繊維・石油化学事業を、1970年~1980年代には住宅、ヘルスケア、エレクトロニクスなどの事業を拡大し、時代の変遷に的確に対応し、新たなニーズに応えながら事業内容、売上構成を変化させてきた。

一貫して顧客あるいは人々の要求・需要は何かという大きなトレンドを捉えて、それに果敢に挑戦し、「昨日までなかった」製品を生み出してきた創造力は、同社を同社たるものとする最も大きな強み・特長である。

②世界をリードする独創的な製品群

グループ・スローガン「昨日まで世界になかったものを。」に代表されるように、同社は常に今までには無かった新たな価値を世の中に提供する事で高い評価を受けてきた。
下記を例とする世界No.1製品を多数有している。

また、下記のような主力製品の更なる拡大にも注力している。

③多様な「コア技術」と多様な人財

多岐にわたるフィールドで様々な独創的な製品を生み出し続ける事を可能にしているのが、同社が保有する多様な「コア技術」と多様な人財である。

例えば、膜・ろ過技術は水処理用ろ過膜、中空糸型透析器(ダイアライザー)、リチウムイオン二次電池用セパレータなどの製品化に繋がっている。

また、多角化された事業を展開する同社には様々なバックグラウンドを持つ人財が多数在籍している。
こうした人財が積極的に交流することで、各分野における知見・知識・技術の融合が進み、高付加価値の新規事業が創出されている。

④強固な財務内容

ポリポア社買収のために有利子負債を増加させたため、2016年3月期末のD/Eレシオは0.43と2015年3月期末の0.25から上昇したが、比較的低位で安定している。こうした財務状態を反映し、株式会社日本格付研究所による格付けでは「AA」という高い評価を受けている。

2016年3月期決算概要
石化製品の市況下落などで減収も、住宅・クリティカルケアが好調で営業増益

2016年3月期の売上高は、ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、前期比2.3%減の1兆9,409億円となり、営業利益は、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、前期比4.6%増の1,652億円となった。営業利益は3期連続で過去最高を更新した。海外売上高は、「ヘルスケア」セグメントを中心に前期比1.0%増の6,797億円となり、売上高に占める海外売上高の割合は、前期より1.1ポイント上昇し35.0%となった。

<ケミカル・繊維>

ケミカル事業の石油化学系事業では、各製品において原油安、ナフサ安の影響を受け原燃料価格が下落したが、アクリロニトリルを中心に製品市況も悪化した。高機能ポリマー系事業では、原燃料価格の下落により交易条件が改善したことに加え、エンジニアリング樹脂や省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴムの販売が堅調に推移した。高付加価値系事業では、イオン交換膜を中心に円安の効果を受け、「サランラップ」の販売量も増加した。
繊維事業では、各製品において原燃料価格の下落や円安の効果を受けたことに加え、カーシート向けなどの人工皮革「ラムース」やポリウレタン弾性繊維「ロイカ」などの販売量が増加した。

<住宅・建材>

住宅事業の建築請負部門では、集合住宅「へーベルメゾン」の引渡戸数が増加し、販売促進費などの販管費が減少した。また、不動産部門では、賃貸管理事業が順調に推移し、リフォーム部門では改装・設備工事を中心に受注が増加した。
建材事業では、基礎事業の販売量が減少したが、原燃料価格の下落に加え、フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」の販売が堅調に推移した。

<エレクトロニクス>

電子部品系事業では、円安の効果に加え、スマートフォン向けでオーディオデバイスやカメラモジュール用電子部品の販売が順調に推移したが、電子コンパスの販売量が減少した。
電子材料系事業では、汎用エポキシ樹脂の生産・販売を終了したが、円安の効果に加え、リチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア」の販売が堅調に推移した。
ポリポア社の業績を同セグメントに含めて開示しているが、買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産の償却などの営業利益への影響は98億円となった。

<ヘルスケア>

医薬事業では、骨粗しょう症治療剤「テリボン」や血液凝固阻止剤「リコモジュリン」の販売が堅調に推移したが、後発医薬品の影響を受けた排尿障害改善剤「フリバス」などの販売量が減少した。
医療事業では、透析関連製品やウイルス除去フィルター「プラノバ」の販売量が増加した。
クリティカルケア事業では、営業活動強化に伴う販管費が増加したが、着用型自動除細動器「ライフベスト」の販売が引き続き順調に拡大し、その他の除細動器も堅調に推移した。

総資産が1,972億円増加し、2兆2,117億円となった。増加の主要因はポリポア社買収に伴う影響であり、当買収に伴い、総資産が3,267億円、のれんの計上も含めた無形固定資産が2,405億円、有利子負債が2,944億円、それぞれ増加した。
その他の包括利益累計額は1,045億円減少し、992億円となった。主な要因は、在外子会社等の財務諸表の換算手続きにおいて発生する為替換算調整勘定の減少や、マイナス金利による割引率変更からくる退職給付に係る調整累計額の減少等である。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,464億円や減価償却費938億円の収入があったことから、2,162億円のキャッシュ・インとなった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ポリポア社の株式取得が主な要因で2,853億円のキャッシュ・アウトとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達などで1,014億円のキャッシュ・インとなった。

2017年3月期業績見通し
減収・減益

円高などの影響により、売上高は前期比1.6%減少の1兆9,100億円、営業利益は同12.2%減の1,450億円の予想。2017年3月期よりセグメントが変更となるが、前期実績を新セグメントと同様の区分に組替えて比較した場合、全セグメントで減収・減益となる。
配当は前期と同額の20円/株の予定。予想配当性向は30.4%。

<マテリアル>

繊維事業では、スパンボンド不織布などの不織布事業で販売量増加を見込むものの、円高の影響を受ける見通し。
ケミカル事業では、省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴムなどで販売量の増加を見込むものの、各事業において円高の影響を受けることに加え、スチレンモノマーの販売量が減少し、高機能ポリマー系事業を中心に交易条件が悪化する見通し。
エレクトロニクス事業では、オーディオデバイスやカメラモジュール向け電子部品、セパレータなどの販売量が増加し、2016年3月期第2四半期に連結したポリポア社の業績が通年でフルに寄与するものの、円高の影響や買収に伴うのれん償却費などが増加する見通し。

<住宅>

住宅事業では、建築請負部門において引渡棟数が減少することに加え、分譲マンションの販売量が減少し、広告宣伝費などの販管費が増加する見通し。
建材事業では、フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」の販売量の増加を見込んでいるものの、基礎事業での販売量が減少する見通し。

<ヘルスケア>

医薬事業では、薬価改定の影響に加え、排尿障害改善剤「フリバス」が後発医薬品の影響を受ける見通し。
医療事業では、ウイルス除去フィルター「プラノバ」を中心に販売量が堅調に推移することを見込むものの、円高や償還価格改定の影響を受ける見通し。
クリティカルケア事業では、営業活動強化に伴う販管費が増加するものの、着用型自動除細動器「ライフベスト」を中心に引き続き業績が拡大する見通し。

新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」

同社は今期をスタートとする3年間の新中期経営計画を策定した。

①前中期経営計画「For Tomorrow 2015」(2011-2015)の振り返り

売上、利益ともにほぼ計画通り進捗した。中計開始直前の年である2011年度と最終年の2015年度を比較すると、売上高は1兆5,559億円から1兆9,409億円へ、営業利益は1,229億円から1,652億円へ、営業利益率は7.9%から8.5%へと伸びている。また、海外売上高比率も29%から36%へと伸びている。年間配当は11円/株から20円/株へと、増配を実施してきた。

(投資)
5年間累計で約1兆円の投資を行った。(既存事業で約5,400憶円、M&Aなどの非連続成長で約4,600億円)
既存事業の方では、シンガポールにおけるS-SBR(省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴム)増設など。非連続成長では、ゾール・メディカル社(約1,800億円)、ポリポア社(約2,600億円)という大型買収を行った。

②新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」について
◎「Cs for Tomorrow 2018」の意味

「Cs」は、将来に向けて多様な「C」で飛躍の基盤を固めていくという意味。
1つ目の「C」は、グループスローガン「Creating for Tomorrow」のC。「昨日まで世界になかったもの」をつくり上げていく。
2つ目は、結合(Connect)の「C」。4月に組織変更を行い、グループを横断して人財と事業を結合していく体制とした。また、そういった内部の結合のみならず、外部、地域、技術など様々な結合により、新たな成長へのステージに向かう。
3つ目は、従業員が信頼回復に向けて実践していく、コンプライアンス(Compliance)、コミュニケーション(Communication)、チャレンジ(Challenge)の「C」。

◎基本的な考え方

「クリーンな環境エネルギー社会」「健康・快適で安心な長寿社会」の実現に貢献していくことをコンセプトに、「成長・収益性の追求」「新事業の創出」「グローバル展開の加速」を基本戦略としている。2025年度に「収益性の高い付加価値型事業の集合体」となることを目指し、本中計期間は飛躍の基盤づくりを行う3年間と位置付け。

◎事業・人財の結束(Connect)に向けた体制再編

事業・人財の結束を目指し、2016年4月に「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3事業領域制・事業持株会社制へ移行した。
旭化成株式会社は純粋持株会社だったが、マテリアル領域の一部の事業会社(旭化成せんい株式会社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成イーマテリアルズ株式会社)を取り込み、事業持株会社となった。純粋持株会社制を採用した2003年度以降の13年間は、「遠心力」を働かせて各事業会社の自主自立経営を推進してきたが、これからの3年間は「求心力」を高めて、グループでの団結・総合力を強くしていく。

2019年3月期には1株当たりの当期純利益は80円近くまで高め、還元性向は現行の30%を35%に向上させることを目標としている。また、ROEは9%を目指す。

◎基本戦略
1.成長・収益性の追求

新たな経営体制の下、各領域の役割を追求し、グループとして価値を提供し、社会に貢献していく。
マテリアル領域の役割は「収益力の向上」、住宅領域は「安定継続成長」、ヘルスケア領域は「高成長」を掲げている。

2.新事業の創出

多様性を活かした自社の技術・事業の組合せで価値を創出していく。同社の強みは、多彩な技術と多角的な事業を持っていること。多様なビジネスモデルとコア技術、様々な知見を持つ人財を結合することで価値を創出する。
また、グループの総合力を発揮して、同社ならではの新事業の創出を目指す。

3.グローバル展開の加速

日本は、研究開発、新事業の創出のベースとなる地域であり、マザー工場としての技術向上を図る。
北米は、先進国で突出して人口の増えている成長市場であり、自動車・ヘルスケア関連事業の拡大と、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を活用した先端技術の獲得を図る。
成熟市場の欧州は、環境関連等の規格・規制が先行して発信されるマーケットでもある。自動車・ヘルスケア関連事業におけるマーケティング機能を強化していく。
前中計で製造拠点の設立・増強を推進したアジアについては、製造拠点としての競争力を一層強化すると同時に、新興国の成長市場における需要拡大を取り込んでいく。

1.マテリアル領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>

①高機能製品分野を拡大し収益力向上を目指す。
②バッテリーセパレータ事業でNo.1のポジションを強固にする。
③総合力で素材新市場を開拓する。

<本中計期間における事業方針>

この3年間では、既存事業の強化による収益力の向上とともに、領域内の横断的な取組みを進め、将来に向けた施策を実行していく。10年後に向けては、国内市場に焦点を絞った石油化学事業・消費財事業、安定的に成長している繊維事業で収益基盤をしっかり固めながら、自動車、電池関連、ヘルスケア関連の新素材で事業拡大を図り、膜関連事業も強化していく。

2.住宅領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>

①既存事業のシェア拡大による安定収益確保
②新機軸となる「中層」、「シニア」、「海外」への展開の推進
③他領域との連携による同社ならではの付加価値創出

<本中計期間における事業方針>

新中計では主要事業の安定収益確保と、不動産、リフォーム、高性能断熱材等の事業を伸ばして、安定成長を図る。2016年3月期の売上高6,324億円を、2026年3月期には1兆円に伸ばす。その原動力となるのが不動産、リフォーム、そして新たな事業展開として海外、シニアと考えている。

3.ヘルスケア領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>

①海外売上高を拡大させ、グループ営業利益の3分の1を創出
②医薬事業:「リコモジュリン(血液凝固阻止剤)」を成長ドライバーとするグローバル展開の推進
③医療事業:ゾール・メディカル社を中心にしたグローバル・プラットフォームの更なる活用・強化を通じた成長

<本中計期間における事業方針>

新中計では国内事業の収益強化を進めながら、マテリアル、住宅に続く第3の柱にするためのグローバルな事業基盤強化を図る。
売上高は、2016年3月期3,000億円弱から、2026年3月期には6,000億円まで倍増させ、特に海外売上高比率を高めていく。ヘルスケア領域は、米国を中心にした海外マーケットの成長可能性が高く、そこでの拡大を目指す。

◎財務・資本戦略

新中計における財務・資本戦略については、将来の成長を見据えた戦略を実行し、企業価値を向上させながら、株主還元を行う。

営業キャッシュ・フローは、3年間累計で約6,000~7,000億円の計画。既存事業の優位性を強化し、各領域で新たな付加価値を創出していく。
総投資額は、3年間累計で約7,000億円の計画。既存事業の拡大・維持に加え、M&A等も積極的に進める。
2019年3月期に還元性向35%を目標とする。安定配当且つ継続的な増配に加えて、自己株取得も機動的に行う計画。
資金調達は、D/Eレシオ0.5程度の維持を目安に、借入による調達を原則とする。
今後の注目点
沿革でも触れたように、同社は環境変化に向き合い新たな事業に果敢に挑戦し成長を遂げてきた。社会や環境の問題に対し製品やサービスの提供を通じて解決策を示し、変化し続けてきたことこそが、同社の強みであるといえよう。2017年3月期は減収・減益となる見込みだが、中長期の視点で、高い成長を見込むヘルスケア関連事業や、総合力で新たな価値創造を目指す自動車関連事業などを中心に新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の進捗に注目していきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月29日に提出している。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up