(9445:東証2部) フォーバルテレコム

2016/09/14

forvaltel

今回のポイント
・16/3期は前期比14.4%の増収、同20.8%の経常増益。売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、前期からの好調が継続しているドキュメント・ソリューション事業においても増加した。利益面では、契約獲得に伴う先行コストが増加したもののIP&Mobileソリューション事業の利益率改善が大きく寄与した。・17/3期の会社計画は、前期比7.5%の増収、同4.1%の経常増益の期初予想から変更なし。ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット関連やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、iSmartひかり(光コラボレーションモデル)・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の拡大を図る。配当も16/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円の予想を据え置き。

・この数年販売奨励金の増加は、売上総利益を増加させる一方で、販管費の増加(前払費用の償却費増加)をもたらし、営業利益の伸びを抑制してきた。しかし、17/3期以降、こうした前払費用の償却負担の増加のピークアウトとともに、同社の売上高営業利益率と営業利益の増益率が高まるものと期待される。上昇傾向が続いている売上高販管費率が、今後どのタイミングにて前年同期比で低下に転じるのか注目される。

会社概要

中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(16/3期はフォーバルの連結売上高の26.0%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社。

【事業内容と企業グループ】

同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率25%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。

主要なサービスの概要
(1)IP&Mobileソリューション
AmaVo

新たに提供を開始したサービスであり、iSmartひかり(同社NTT光コラボ回線)専用の法人向け電話サービス。同社が新たに開始したIP電話の「新しいあたりまえ」。AmazingVoIP(驚くべきVoIPサービス)の頭文字をとってネーミングされた。

i-Smartひかり

NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。

iSmart接続-Fひかり

iSmart接続-Fひかりは、法人向けに提供している高品質なインターネット接続サービスを、個人でも利用しやすいように、サービス価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
(サービスプラン)

メールアドレス10個、1GBのホームページ、スパムフィルタ、メール転送などがずっと無料なのが特徴。

(2)セキュリティコンサルティング
プライバシーマーク(Pマーク)や各種ISOのコンサルティング

認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを実施。

(3)ペーパレスソリューション
おまか請求

請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。

ワンビリングサービス

複数サービスの請求書をひとつにまとめて請求するサービス。請求書が何通も届くことなく、1請求書にまとめて請求される。請求書を一本化することで、各社からの請求書の煩雑さの解消や事務処理の簡素化が図られるなど、業務効率が向上する。

2017年3月期第1四半期決算
前年同期比14.4%の増収、同20.8%の経常増益

売上高は前年同期比14.4%増の36億76百万円。売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した。また、前期より好調が継続しているドキュメント・ソリューション事業で増加した。一方、保険業法の改正の影響を受けたコンサルティング事業は減少した。
営業利益は同28.0%増の1億92百万円。保険業法改正に対応するコストが増加したコンサルティング事業において減少したものの、受注の好調が継続しているドキュメント・ソリューション事業で増加した他、新サービスのiSmartひかり及びAmaVoの契約獲得が順調に推移したIP&Mobileソリューション事業においても増加した。IP&Mobileソリューション事業において収益性の高いネット系のストック収益(「iSmart接続」)の売上が増加したことに加え、売上の増加により通話系のストック収益の収益性も改善したことから、売上総利益率が31.3%と前年同期比0.9ポイント上昇した。一方、ISPサービスの獲得に伴う営業費用(販売コミッションの償却費)の増加や光コラボ関連の業務委託費の増加などにより、売上高対販管費比率は、26.1%と同0.3ポイント上昇した。また、営業外費用で貸倒引当金繰入額18百万円を計上したことなどにより経常利益は同20.8%増の1億86百万円と営業利益の増益率を下回った。その他、特別損益の大きな計上はなかった。

連結の売上総利益は1億73百万円増加し、売上総利益率も0.9ポイント上昇。個別ベースの売上総利益は、ネット系他のストック収益の拡大に加え、新サービスの契約獲得により通話系サービスにかかる課金収入も大幅に増加したことが寄与し、全体として1億68百万円増加した。また、ドキュメント・ソリューション事業で増加したものの、保険業法改正に対応するコストが増加したコンサルティング事業で減少したことから子会社の売上総利益は、4百万円の増加にとどまった。

販管費は、IP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(「iSmart接続」)の獲得に伴う販売コミッションの償却費の増加や光コラボ関連などの業務委託費の増加などにより前年同期比1億31百万円増加した。近年先行投資で増加していた人件費は前年同期比で若干減少した。

IP&Mobileソリューション事業 売上高26億2百万円(前年同期比21.4%増)、セグメント利益50百万円(同3,376.4%増)

主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。新サービスの提供(iSmartひかりとAmaVo)や収益性の高いISPを主体とするネット系ストック収益(iSmart接続)が増加したことから増収、増益となった。

ドキュメント・ソリューション事業 売上高5億10百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益1億9百万円(同13.6%増)

主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。前期からの受注の好調が継続していることに加え、コスト削減に努めたことにより増収、増益となった。

コンサルティング事業 売上高5億63百万円(前年同期比2.3%減)、セグメント利益37百万円(同34.8%減)

主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。(株)保険ステーションにおいて、保険業法改正の影響を受けたことにより減収、減益となった。

16/6月末の総資産は、16/3期末比2億33百円減の65億69百万円。資産サイドでは現預金、売上債権等が、負債・純資産サイドでは、仕入債務、未払法人税等が主な減少要因。16/6月末の自己資本比率は、30.7%と16/3期末の29.8%から若干上昇した。

2017年3月期業績予想
前期比7.5%の増収、同4.1%の経常増益

第1四半期終了段階で、期初の業績予想から変更なし。
売上高は前期比7.5%増の148億80百万円の会社計画。売上高は、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット関連やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、iSmartひかり(光コラボレーションモデル)・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の拡大を図る計画。
営業利益は、同3.9%増の6億70百万円の計画。利益面は、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業で増加するものの、前期の大口受注の反動減によりドキュメント・ソリューション事業において、更に、保険業法改正に対応するコストの増加によりコンサルティング事業においても減少する保守的な計画。収益性の高い各種ストック収益の拡大が見込まれるものの、販売コミッションの増加や子会社の収益性の悪化を織り込み、売上高営業利益率は4.5%と前期比0.2ポイント低下する計画となっている。
配当も、16/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円の期初の予定を据え置き。

(2)17/3期の戦略

重点的に、下記提供サービスの拡大を推進する。

①AmaVoの拡大
「iSmartひかり」専用の法人向け電話サービスで電話基本料など固定費を削減できる。
②iSmartひかりの拡大
NTT東日本・西日本が提供する光コラボモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。
③iSmart接続の拡大
法人向けの高品質なインターネット接続サービスを個人ユーザー向けに価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
④おまか請求の拡大
WEB請求・明細の発行や請求・回収業務の受託。委託元専用のWEBサイトを提供するクラウドサービス。
⑤セキュリティ本舗の拡大
PマークやISMSなど、各種ISOの認証取得・更新のコンサルティング。
(3)iSmartでんきのサービス開始

同社は今後電力・ガス自由化に対応した事業へ参入する。第一弾として、法人向けに2016年4月26日より東電の低圧電力向けの顧客の取り扱いをスタート。5月から中電、関電の低圧電力を、更に7月以降東名阪の高圧電力向けを開始する予定。同社は、小売電力事業者と媒介契約(電力の代理販売契約)を締結する。顧客への販売は親会社であるフォーバルやFISソリューションズなどの代理店が担当し、同社は電気料金の請求・回収をメインに行う事業スキーム。使用量の多い少ないに関わらず毎月一定率で基本料金と使用料金を確実に割引する点で差別化している。当面はプロモーションコストがかからない法人に限定したサービスであるものの、フォーバルやFISソリューションズの豊富な顧客基盤が武器となろう。

今後の注目点
同社の17/3期第1四半期決算は、前年同期比で14.4%の増収、28.0%の営業増益と好調な決算となった。IP&Mobileソリューション事業の成長性が加速してきており、今後の同社の業績拡大を期待させる内容となった。17/3期第1四半期の単体の通話系ストック収益は、新サービスiSmartひかり及びAmaVoの契約獲得が寄与し、売上高が前年同期比21.1%増加し、売上高総利益も同38.8%増加した。加えて、単体のネット系ストック収益は、新規契約獲得のための積極的な販売奨励金の支払いが奏功し、売上高が前年同期比32.1%増加し、売上高総利益も同37.3%増加した。近年減収傾向にあった単体の通話系ストック収益が業績拡大の成長ドライバーに転じてきたことは驚きである。積極的な販売奨励金の支払いによる契約者の獲得を通じて、ストック収益の積み上げを図る同社の戦略の成果であり、マネジメント能力の高さを証明した決算になったと思われる。同社では、iSmart接続における新規契約獲得のための販売奨励金を前払費用に計上し、3年間で償却を行う会計処理をとっている。17/3期は現行の会計処理を実施してから、4年目となるため、今後前払費用の償却負担の増加が鈍化してくる可能性が高い。この数年販売奨励金の増加は、売上総利益を増加させる一方で、販管費の増加(前払費用の償却費増加)をもたらし、営業利益の伸びを抑制してきた。しかし、17/3期以降、こうした前払費用の償却負担の増加のピークアウトとともに、同社の売上高営業利益率と営業利益の増益率が高まるものと期待される。上昇傾向が続いている売上高販管費率が、今後どのタイミングにて前年同期比で低下に転じるのか注目される。
また、保険業法改正の影響などにより一時的に減収、減益となったコンサルティング事業であるが、(株)保険ステーションの体制整備は概ね完了した。再度成長力を取り戻せるのか、(株)保険ステーションの今後の成長戦略にも注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス・コード適用以降直近のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2016年6月22日。

<基本的な考え方>
当社では、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置付けております。
定例取締役会を毎月開催するほか、重要案件が生じる都度臨時取締役会を機動的に開催し、迅速かつ的確な経営判断を行っております。
また、企業経営情報の積極的な開示を目的として、適時に当社のホームページにおいて財務情報に限定されないディスクロージャーを行っております。
当社は、監査等委員設置会社形態を採用しており、同形態により十分にガバナンスが機能していると認識しております。

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコード:7項目、そのおもな原則と理由

<その他>
同社は、社是(*1)を基本とし、中期経営計画の策定(未公表)や取締役の選定を行っている。
株主総会は集中日を避けて6月22日に開催。
議決権の電子行使や英文による情報開示、信託銀行名義の実質株主の総会参加は今後の検討項目としている。
社外取締役以外の取締役の選任理由については、次回より実施予定と書かれていたが、28年6月総会の事業報告から実施されており、コーポレート・ガバナンス・コードの各原則についても実施する・しないを会社の状況に応じて適宜検討・更新をしている。

*1 社是 補充原則4-1-2 中期計画達成状況の株主説明を実施しない理由を参照。

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