(6184:東証マザーズ) 鎌倉新書 2017年1月期第1四半期業績レポート

2016/07/27

Kamakura

今回のポイント
・17/1期1Q(2-4月)は前年同期比12.4%の増収、同3.4%の営業増益。収益性・効率性重視で臨んだ書籍他(セミナー等を含む)の売上が減少したものの、Webサービス売上が同23%増と伸びた。墓(11%増)、葬祭(52%増)、仏壇(42%増)のいずれも紹介数が大きく伸び、成約率も改善。利益面では、2Q及び3Qの需要取り込みに向けた広告宣伝費の投下や人員増強等で営業費用が14%程度増加したものの、売上の増加で吸収した。

・通期予想に変更はなく、前期比14.6%の増収、同41.8%の営業増益。書籍他の売上が同13.8%減少するものの、墓、葬祭、仏壇の全てが順調に伸び、Webサービス売上が同22.2%増加する。いずれも紹介数の高い伸びを見込んでおり、成約率の改善も進む。売上高の10%程度を目処に広告宣伝費を積極的に投下していく考えで、人件費等の増加も見込まれるが、増収効果と書籍他の収益性改善で吸収。株式公開費用等がなくなるため、営業外損益も改善する見込み。

・1Qは、墓20%増、葬祭69%増、仏壇28%増、といずれも紹介者数が大きく伸びた。母数が小さい事もあるのだろうが、死亡者数の増加率は、せいぜい年率2%程度だろうから、同社の成長は死亡者数の増加では語れない。サイト訴求力の向上に加え、相談対応・コンサルの質的向上が背景にあるようだ。また、ライフエンディングサービス関連の商品・サービスの購入に際して、ネット利用率は未だ1.3%にとどまると言う。1Qの営業利益は広告宣伝費や人件費の増加で3.4%の増加にとどまったが、サイトの質的向上や相談対応・コンサルの質的向上には質を伴った人員増強が必要であり、認知度の向上に向けた積極的なマーケティング活動が必要な事は明らかである。

会社概要

「人と人とのつながりのお手伝い」をコンセプトに、ライフエンディング市場にフォーカスした事業展開を進めている。ライフエンディング市場とは、死別後に備えた事前準備から、葬儀、仏壇、墓、更には遺族の生活の再構築に関わる市場の事。葬儀社・斎場・火葬場検索サイト「いい葬儀」、霊園・墓地・墓検索サイト「いいお墓」、及び仏壇・仏具店検索サイト「いい仏壇」等のポータルサイト運営を中心に、日本初で唯一の供養業界を網羅したビジネス誌である月刊「仏事」やライフエンディングに関連する書籍の制作・販売を手掛けている。

【企業理念】

企業理念は、“私たちは、人と人とのつながりに「ありがとう」を感じる場面のお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献します”。
「親切」と「ありがとう」の交換は、豊かな社会を形成する土台である、との考えの下、人生の様々な局面で「ありがとう」を感じる瞬間を社会の中に増やしていく事、そのために鎌倉新書は存在していきたい、としている。

【事業内容】

事業は、マッチングプラットフォームとなるポータルサイト運営を中心としたライフエンディングサービス事業と、ライフエンディングに関わる書籍の企画・制作・賑売を行うライフエンディング関連書籍出版事業に分かれる。16/1期の売上構成比は、ライフエンディングサービス事業79.1%、ライフエンディング関連書籍出版事業20.9%。

ライフエンディングサービス事業

終活から葬儀、仏壇、墓、遺産相続といったライフエンディング全域をカバーするポータルサイト群を通してサービスや商品の情報を発信すると共に、お客様センターで問合せや相談に応じる事で、サイト利用者の意思決定をサポートしている。一方、ポータルサイトに掲載される葬儀社、仏壇仏具店、石材店、寺院霊園等の事業者に対しては、販売支援サービスの提供や掘り起こした見込み客の紹介を行う。サイト利用者には無料でサービスを提供し、紹介した見込み客と事業者との間で契約がまとまった時に成約報酬を受け取る(成約金額の10~15%程度)。16/1期の売上の内訳は、墓63.6%、葬祭25.7%、仏壇10.7%。

同業者としては、葬儀サービスでは、流通大手イオングループのイオンライフ(株)、「小さなお葬式」や「葬儀本.com」等を展開する(株)ユニクエスト・オンライン等があり、墓では、「もしもドットネット」を運営する首都圏石材協同組合、メモリアルアートの大野屋、(株)日本仏事ネット等を挙げる事ができる。

KPI(重視する経営指標) 成約報酬 = 紹介数 × 成約率 × 販売単価 × 手数料率

成約報酬の拡大に向け、同社は紹介数の増加と成約率の向上に取り組んでおり、その結果としてのシェア拡大を手数料率の引き上げにつなげていきたい考え。紹介数の増加には、コンテンツの充実、導線の改良、デザインの改良、広告等の活用がポイントであり、成約率の向上には、サイトユーザーとのコミュニケーション強化や事業者との連携強化が必要となる。

ライフエンディング関連書籍出版事業

供養業界の事業者に向けたビジネス情報誌である月間「仏事」(年間購読料:税込み16,200円)等、葬儀や墓・仏壇等、供養に関連する様々な出版物を発行している。出版社としての知名度や信頼感、業界ネットワーク、コンテンツ生成力がインターネットサービスにも活かされている。売上や利益では測れない、シナジーを有する事業である。

【社会的背景と鎌倉新書の役割】

核家族化が進み、前の世代からの慣習や知議等の引き継ぎが減っているため、消費者は、ライフエンディング全般に、「誰に頼めばいいかわからない」、「どうすべきかわからない」、「選ぶ基準がわからない」、「費用が適正化どうかわらない」といった悩みを抱えており、インターネットで情報検索するケースが増えている。

一方、事業者は、「集客やセールスのコストがかかり過ぎる」(仏壇の製造販売を手掛ける上場企業の15/3期は、売上総利益率が63.5%と高かったが、販管費率も58.1%と高く、営業利益率は5.4%にとどまった)、「信頼感をもたれていない」といった悩みを抱えている。このため、10~15%程度の成功報酬で顧客開拓できる鎌倉新書のポータルサイト活用は魅力的であり、信頼感と言う点では、業界誌の発行体として30年以上の実績を有する同社が仲介する意義は大きい

東京圏人口を中心に三大都市圏人口の割合が上昇しており、三大都市圏以外の人口の割合が低下している。こうした人口動態も、慣習や知議等の前の世代からの引き継ぎがなされない要因の一つとなっている。

2017年1月期第1四半期決算
前年同期比12.4%の増収、同3.4%の営業増益

売上高は前年同期比12.4%増の2億95百万円。収益性・効率性重視で臨んだ書籍他(セミナー等を含む)の売上が44百万円と前年同期の59百万円から減少したものの、ポータルサイトを介した、墓、葬祭、仏壇の売上が順調に伸び、手数料収入(Webサービス売上)が前年同期の2億04百万円から2億51百万円へ同23%増加した。
Webサービス売上の内訳は、墓が同11%増の1億55百万円(前年同期1億39百万円)、葬祭が同52%増の69百万円(同46百万円)、仏壇が同42%増の26百万円(同19百万円)。

営業利益は同3.4%増の48百万円。第2四半期及び第3四半期の需要取り込みに向けた広告宣伝費の投下や、人員増強に伴う人件費の増加等で営業費用が2億47百万円と14%程度増加したものの、売上の増加で吸収。為替差損2百万円の計上等で経常利益がわずかに減少したものの、実効税率の低下で四半期純利益は28百万円と同6.5%増加した。

尚、広告宣伝費及び人件費の増加による営業費用の増加は当初の予算通りであり、順調に伸びた売上高と共に営業利益も予算通りの着地。為替差損を計上した影響で経常利益が2百万円、四半期純利益が1百万円予算を下回った。

注.1 墓の成約率は紹介から3か月以内の成約率(日程の都合上計測未完了の紹介がある)。
注.2 仏壇の成約率は紹介から60日以内の成約率(日程の都合上計測未完了の紹介がある)。
墓   売上高1億55百万円(前年同期比11%増)

低単価商品の構成比が上昇したため手数料単価が2%低下したものの、紹介数が順調に伸び、成約率も上昇した。

葬祭  売上高69百万円(前年同期比52%増)

紹介数が同69%増と大きく伸びる中、成約率も0.4ポイント改善。葬儀の小型化が進む中で、単価を大幅に引き上げる事ができた。

仏壇  売上高26百万円(前年同期比42%増)

紹介数が同28%増と伸びる中、成約率が34%と大幅に改善。手数料単価は前年同期と同額を維持した。

法人税等の支払により、第1四半期末の総資産は8億20百万円と前期末に比べて48百万円減少した。自己資本比率79.4%(前期末71.7%)。

2017年1月期業績予想
前期比14.6%の増収、同41.8%の営業増益

売上高は前期比14.6%増の13億15百万円。収益性の改善に取り組む書籍他の売上が2億06百万円と同13.8%減少するものの、墓、葬祭、仏壇の全てが順調に伸び、Webサービス売上が11億08百万円と同22.2%増加。いずれも紹介数の高い伸びが見込まれ、成約率の改善も進む。
営業利益は同41.8%増の3億20百万円。売上高の10%程度を目処に広告宣伝費を積極的に投下していく考えで、人件費等の増加も見込まれるが、増収効果と書籍他の収益性改善で吸収する。株式公開費用等がなくなり営業外損益の改善も見込まれる。

Topics

4月1日に看取り特化の総合情報サイト「看取り.com」をリリースすると共に、終末期を見据えた方の実用ガイド「看取りハンドブック」を発行した。
2025年には40万人が看取り難民になると言われている。「看取り.com」では在宅療養診療所に関する情報や経験者インタビュー等を掲載し、看取りに際しての家族のサポートを目的とした情報発信に取り組んでいく考え。また、「看取りハンドブック」は、看取り前後の諸手続きや葬儀・墓等についてわかりやすく図解しており、好評との事。

また、5月には、2010年にリリースした「いい葬儀」の累計相談件数が20万を超えた他、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺からの依頼を受けて、日蓮宗総本山の軌跡をまとめた書籍「七面山」の改訂版を発行した(約20年ぶりの改版)。

今後の注目点
第1四半期は、墓20%増、葬祭69%増、仏壇28%増、といずれも紹介者数が大きく伸びた。母数が小さい事もあるのだろうが、死亡者数の増加率は、せいぜい年率2%程度だろうから、同社の成長は死亡者数の増加では語れない。導線の改良やサイト構成の手直し等による訴求力の向上に加え、相談対応やコンサルの質的向上が背景にあるようだ(同社のポータルサイトは、相談対応やコンサルが必要になるため、単なる価格比較サイトと異なる)。
また、核家族化が進み、前の世代からの慣習や知議等の引き継ぎが減っているため、消費者は、ライフエンディング全般にインターネットで情報検索するケースが増えているが、ライフエンディングサービス関連の商品・サービスの購入に際して、ネットの利用率は未だ1.3%にとどまると言う。
1Qの営業利益は広告宣伝費や人件費の増加で3.4%の増加にとどまったが、サイトの質的向上や相談対応・コンサルの質的向上には質を伴った人員増強が必要であり、認知度の向上に向けた積極的なマーケティング活動が必要な事は明らかである。
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