(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 2016年9月期上期業績レポート

2016/06/22

Eguardian

今回のポイント
・16/9期上期は前期比29.5%の増収、同79.2%の経常増益。ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、人材派遣等の全ての業務で売上が増加。特にゲームサポート(同55.5%増)、アド・プロセス(同26.0%増)の売上の伸びが大きかった。売上増と稼働率向上による売上総利益率の改善で販管費の増加を吸収。営業利益が同99.7%増とほぼ倍増した。・上方修正された通期予想は前期比17.4%の増収、同14.3%の経常増益。ゲームサポートの既存取引先の件数増加等による上期売上の上振れ分を一部反映し、売上高が前期比17.4%増の35億44百万円と期初予想を6.0%上回る見込み。利益面では、稼働率の向上で原価率が想定以上に改善し、売上の上振れと相まって営業利益が同22.6%増の4億02百万円と期初予想を14.9%上回る見込み。配当は未定。7月1日付けで1:2の株式分割を予定。

・特定の顧客に依存せず、安定収益・安定成長を実現できる基盤が整った事に加え、デバッグとのシナジーもあり、ゲームサポートが伸びている。アド・プロセスでは、運用型広告の広がりに伴いメディアオペレーション業務全般の委託が増加している事が、運用から検証、レポートまでワンストップでの対応力を有する同社の追い風になっている。一方、ソーシャルサポートでは、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する動きが広がりつつあり、今後の成長ドライバーとして期待される。

会社概要

ソーシャルWEBサービス(SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマース等の双方向のコミュニケーションが介在する全てのインターネットメディア)の健全な運営や活性化に寄与するべく、メディアの監視やカスタマーサービス、更には広告審査業務や広告枠管理等のアド・プロセスサービスを提供している。実際のサービスは、厳格に設定された基準の下、厳選されたオペレーターによる高品質な目視による監視と投稿監視システム「E-Trident」等を駆使したシステムによる監視のハイブリッドで提供されており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントに目を光らせている。

【連結子会社5社を含め東京・大阪・宮崎・宮城・熊本の5都市に9拠点を展開(24時間365日の監視センターは7拠点)】

グループは、同社の他、ローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)、人材派遣・紹介サービスのリンクスタイル(株)、デバッグ業務等を手掛けるトラネル(株)、及び2015年4月に子会社化した脆弱性診断サービスのHASHコンサルティング(株)、2016年2月に新設したコンプライアンス調査等を手掛けるリアル・レピュテーション・リサーチ(株)の6社。

【事業区分と成長戦略】

事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの3業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

ソーシャルサポート  15/9期売上高13億79百万円(売上構成比45.7%)

ソーシャルネットワークサービス(SNS)やEC等のソーシャルメディアに対して、投稿監視やCS(ヘルプデスク等)に加え、多言語対応、運用、分析等の関連サービスを提供。人による目視監視(ヒューマンリソース)と、投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」(14/9期第4四半期にリリース)といったITシステムの活用による高付加価値化と幅広いニーズの取り込みに力を入れている。

人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」

既にサービスを提供している投稿監視システム「E-Trident」は言語の監視を行うシステムだが、近年、動画や静止画のWEBでの利用が一般化しており、これらの投稿に対する監視の必要性が高まっている。人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」は、こうしたニーズに応えたもので、東京大学との共同開発の成果である。同研究室の画像認識や追加学習機能等の技術と同社の投稿監視に係る膨大なデータベースを融合する事で低コストかつ高品質なシステムを実現した。このシステムをベースにビッグデータ解析や児童ポルノ取り締まり等、サイト毎に最適なフィルタリングシステムを構築する事ができる。

ゲームサポート  15/9期売上高10億88百万円(売上構成比36.1%)

ソーシャルゲームの運営に不可欠な監視、CS、アクティブサポートに加え、多言語対応等のサービスも提供している。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕によるシェアアップと新たなサービスの育成で多様化するニーズを取り込んでいく考え。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕で順調に売上を伸ばしており、新たなサービスの育成では、14年10月1日付けでデバッグ(プログラムの「バグ」と呼ばれる「誤り」を探し、取り除く事)業務を手掛ける戦略子会社トラネル(株)を設立した。脆弱性診断サービスを提供する連結子会社HASHコンサルティング(株)や資本業務提携先である日本マルチメディアサービス(株)との連携も含めて事業拡大を図る考え。

アド・プロセス  15/9期売上高4億13百万円(売上構成比13.7%)

広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、及び広告ライティング等のサービスを手掛けており、広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発とのセット販売等で競合他社との差別化に成功している。また、ネット広告市場の成長に合わせた新商材の開発や顧客へ常駐し業務を実施する常駐型案件の獲得にも注力している。

その他  15/9期売上高1億37百万円(売上構成比4.5%)

新規事業として、人財分野とサイバーセキュリティ分野での事業育成に取り組んでいる。人財分野では、リンクスタイル(株)がイー・ガーディアンに代わり人財を採用・育成し、グループ内企業に人財を供給すると共に、顧客先常駐(派遣型)ニーズにも応えている。一方、サイバーセキュリティ分野は、2015年4月に子会社化したHASHコンサルティング(株)が、WEBアプリケーション脆弱性診断を中心に、セキュリティコンサルティング、顧問サービス、講演・教育等を手掛けている。イー・ガーディアン(株)が手掛ける監視、サポート、デバッグといったサービスとセットで提供する事でサイトの安心安全を総合的に提供していく考え。

【今後の展望】

HASHコンサルティング(株)の子会社化とトラネル(株)の設立により、WEBアプリケーションについて、開発・設計から運用・風評調査まで一貫してサービスを提供する体制が整備された。今後は、事業領域を広げ、総合ネットセキュリティ会社として変貌を遂げる事で事業を拡大させていく考え。

【沿革】

1997年11月、コンテンツプロバイダー(株)ホットポットとして創業し、無料レンタル掲示板事業やレンタルサーバー事業を開始した。1998年5月に株式会社に改組し、同年7月に携帯電話向けコンテンツ配信事業を開始。現在の収益基盤である投稿監視事業は自社コンテンツの品質管理の一環として行っていた監視業務が発展したもので、コンテンツプロバイダーに対してサイトの健全運営を望む通信キャリアの要請が需要拡大の背景にあった。

2003年4月には掲示板投稿監視事業として営業を本格化し、2005年10月にはイー・ガーディアン(株)に商号を変更すると共にコンテンツ配信部門を会社分割して(株)エディア(東京都千代田区)に承継。サイト管理や運営支援のアウトソーシングサービスに経営資源を集中させる事で業容を拡大し、2010年12月に東証マザーズ市場に株式を上場した。

2012年6月にローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)を子会社化。以後、グループとしての業容拡大を推進し、2014年9月に人材派遣・紹介サービスを手掛ける(株)パワーブレインを子会社化し(2015年5月にリンクスタイル(株)に商号変更)、2014年10月には社内で手掛けていたデバッグ業務の強化拡大を目的にトラネル(株)を会社分割により設立。2015年4月には脆弱性診断サービスを提供するHASHコンサルティング(株)を子会社化し、2016年2月にはコンプライアンス調査等を手掛けるリアル・レピュテーション・リサーチ(株)を新設した。

2016年9月期上期決算
前期比29.5%の増収、同79.2%の経常増益

売上高は前期比29.5%増の18億18百万円。ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、人材派遣等の全ての業務で売上が増加。特にゲームサポート(同55.5%増)、アド・プロセス(同26.0%増)の売上の伸びが大きかった。営業利益は同99.7%増の2億38百万円。売上の増加と稼働率の向上による売上総利益率の改善で販管費の増加を吸収した。支払手数料(6百万円)の計上で営業外費用が、減損損失(15百万円)の計上で特別損失がそれぞれ増加したが、最終利益は同88.6%増の1億42百万円を確保した。

第2四半期(1-3月)は、ゲームサポートが前年同期比54.6%増の3億94百万円と大きく伸びた他、アド・プロセスも1億29百万円と同24.2%増加した。利益面では、前年同期は55百万円だった営業利益が1億円に拡大した。季節性で増減はあるものの、売上・利益共に右肩上がりのトレンドにある。

上期末の総資産は前期末に比べて1億33百万円増の19億76百万円。業容拡大と継続的なキャッシュ及び利益の積み上げで、現預金、売掛金、純資産等が増加した。自己資本比率は72.8%(前期末71.6%)。

(4)トピックス
海外BPO事業の進捗 (株)TMJと提携し、フィリピンでサービスの提供を開始

ベネッセグループの(株)TMJ(東京都新宿区、代表取締役社長 丸山英毅)と戦略的パートナーシップを締結。フィリピンにおいて当社社員が現地スタッフを直接教育し、これまでに培ってきたカスタマーサポート、脆弱性診断、デバッグ、投稿監視等のノウハウを活かしてメディア運用をサポートしていく。特にフィリピンはサイバーセキュリティ事業の重要拠点との位置づけである。第2四半期にTMJフィリピンで現地スタッフの採用を開始した。

尚、(株)TMJはベネッセコーポレーション「進研ゼミ」のインハウスセンターとしてスタートし、現在、コールセンターサービスとバックオフィスサービスを二本柱としている。2015年8月に設立した中国・上海及びフィリピン・マニラの100%出資子会社を通して、日系企業向けに各種BPOのオフショアサービスを提供している。

システム販売の強化  人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」を顧客コンテンツ上でリリース

全国で300店舗以上を展開する大手メガネブランドのECサイトやキャンペーンサイトの「次世代のメガネレコメンド方法」に「ROKA SOLUTION」が採用された。学習プロセスに利用する教師データに顔認証を応用する事で、“店舗レベルのおもてなし”をECサイト上で実現するもので、この機能により、ECサイト上でも、顔に似合うメガネをリアル店舗のように〝その場〟で提案する事が可能になった。ディープラーニングを特徴とする「ROKA SOLUTION」ならでは、のサービスである。

2016年9月期業績予想と成長戦略
上方修正された通期予想は前期比17.4%の増収、同14.3%の経常増益

ゲームサポートの好調を踏まえ、業績予想を上方修正した。ゲームサポートの既存取引先の件数増加等による上期売上の上振れ分を一部反映し、売上高が前期比17.4%増の35億44百万円と期初予想を6.0%上回る見込み。利益面では、稼働率の向上で原価率が想定以上に改善し、売上の上振れと相まって、営業利益が同22.6%増の4億02百万円と期初予想を14.9%上回る見込み。

配当は未定。7月1日付けで1株を2株に分割する予定。

熊本地震の影響

2016年4月に発生した熊本地震では、人的被害はなかったものの、熊本センター(熊本県熊本市)の建物が被災した。大きな被害ではなかったが、安全面を考慮して同センターの稼動を停止している。東京、立川、大阪、宮崎(宮崎センターは通常通り稼動中)等、他センターへ業務移管する事で対応しており、今期業績への影響については軽微なようだ。

(2)成長戦略
ソーシャルサポート

調査会社によると、2017年にかけて、日本国内のSNS利用者は増加を続け、利用率の上昇も続く見込み。同社は投稿監視システム「E-Trident」と人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」を両輪に、市場の拡大や変化に合わせて各種サービスを提供していく。

従来、来店や問い合わせ等で得た情報を基に、商品やサービスに対する消費者の反応や評価等の情報を得ていたが、WEBコンシェルジュはSNS、Facebook、Twitter等で情報を収集する。
テレマーケィング・アウトソーシングに関する調査によると、コールセンターの市場規模は7,900億円強。同社にとって、ソーシャルリスニング等で、その一部を取り込むだけでも、業績へのインパクトは大きい。
ゲームサポート

成長が続くスマートフォンゲーム市場において、優良顧客の獲得と既存顧客のフォローを継続すると共に、デバッグ事業の強化・拡大に取り組んでいく。このため、新設した熊本センター(熊本地震で現在は稼働を停止中)は、デバッグ事業を手掛けるトラネル(株)との協業センターとしての機能をもたせた。同センターは、カスタマーサポートとデバックのシームレスな対応による顧客満足度の向上に加え、繁閑に合わせて人財を融通し合うメリット(マルチスキル化)も期待できる。早期の復旧が待たれるところだ。

アド・プロセス

スマートフォン向けを中心にネット広告市場の拡大が続いており、また、昨今、運用型広告の広がりに伴い、メディアオペレーション業務全般を委託する動きが顕著である。同社は、運用から検証、レポートまでワンストップでの対応力を強みに、リスティング等の運用型広告の需要を取り込んでいく。

その他

国内初のブロックチェーン業界団体「ブロックチェーン推進協会」(略称:BCCC)に発起メンバーとして参画した。BCCCは日本国内におけるブロックチェーン技術の普及啓発、研究開発推進、関連投資の促進、更には海外のブロックチェーン団体との連携等を目的として、同社を含めた34社の発起メンバーによって設立された(2016年6月13日現在、会員数52社)。

今後の注目点
特定の顧客に依存せず、安定収益・安定成長を実現できる基盤が整った事に加え、デバッグとのシナジーもあり、ゲームサポートが伸びている。アド・プロセスでは、運用型広告の広がりに伴いメディアオペレーション業務全般の委託が増加している事が、運用から検証、レポートまでワンストップでの対応力を有する同社の追い風になっている。一方、ソーシャルサポートでは、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する動きが広がりつつあり、今後の成長ドライバーとして期待されている。例えば、テレビCMやキャンペーン等の効果検証をソーシャルメディア上での会話や行動等のデータを基にリアルタイムで行う等の試みが、これに当たる。同社は、投稿監視システム「E-Trident」と人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」を両輪に、こうしたトレンドをとらえて事業拡大につなげていく考えだ。
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