(4301:東証1部) アミューズ 2016年3月期業績レポート

2016/06/22

Amuse

今回のポイント
・16/3期の営業収入は前期比24.8%増の489億24百万円。福山雅治、サザンオールスターズ等の大型コンサート実施によるイベント収入、会場やオンラインショップで販売するグッズ収入、サザンオールスターズ、PerfumeなどのCDやDVD販売による印税収入(新譜)が好調に推移した。営業利益は同52.5%増の59億83百万円。コストも増加したが増収効果で吸収し、大幅な増益となった。営業収入、各利益は過去最高を更新した。・17/3期の営業収入は前期比9.9%減の441億円を予想。アーティストマネージメント事業において前期ほどの大型コンサート実施を見込んでいない。プレイスマネージメント事業以外は減収の見込み。営業利益は同34.8%減の39億円の予想。プレイスマネージメント事業の損失は縮小するが、他セグメントは減益予想。配当は25.00円/株の予定。2016年4月1日に実施した1:2の株式分割を考慮すると、普通配当で5円の増配。予想配当性向は18.0%。(2016年3月期の配当は分割前で普通配当40円、特別配当20円の合計60円。)

・前期の過去最高業績を受けた今期は、大型イベントが前期と比べて少なくなるため減収減益の見込みだが、トップラインは、それまでの過去最高である2期前(2014年3月期)を上回り、営業利益もほぼ同水準という事で、会社側としては前期が出来過ぎで、ベースとなる売上高及び利益水準は堅調であると考えている。40周年となる2019年3月期に向け、既存事業の一段の強化とともに、新規事業拡大の進捗を注目したい。

会社概要

芸能プロダクション大手。サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティなど人気アーティストを数多く抱えている。グループ全体の事業の核を「コンテンツビジネス」におき、文化を創造する総合エンターテインメント集団として、テレビ番組や映画の企画・制作、海外舞台の招聘等でも豊富な実績を有する。2016年3月末でグループは、同社の他、子会社24社(連結子会社17社)及び関連会社6社から構成される。「既存事業の強化」と「新規市場・新規事業の育成」を成長戦略の基本方針とし、アジアを中心とした海外展開に注力している。

【事業内容】

事業は、コンサート・イベント・舞台等の収入、テレビ・CM出演料、新譜楽曲の印税、ファンクラブ会員収入や商品販売収入等のアーティストマネージメント事業(16/3期売上構成比84.5%)、テレビ番組・映画制作収入、及びビデオ・DVD販売等のメディアビジュアル事業(同4.6%)、及び旧譜楽曲の印税収入や二次使用にかかる収益等のコンテンツ事業(同5.4%)、テーマパークなどの運営やグッズの企画・販売を行うプレイスマネージメント事業(同5.5%)の4セグメントにより構成されている。

ROEは比較的高水準で推移している。今期は減益予想であるが、「予想当期純利益-配当金総額(前期同額)」が自己資本に加わると仮定した場合、ROEは2ケタを維持すると思われる。

2016年3月期決算概要
大型コンサート実施でグッズ販売も好調。増収増益。計画も大きく上回る。

営業収入は前期比24.8%増の489億24百万円。福山雅治、サザンオールスターズ等の大型コンサート実施によるイベント収入、会場やオンラインショップで販売するグッズ収入、サザンオールスターズ、PerfumeなどのCDやDVD販売による印税収入(新譜)が好調に推移した。
営業利益は同52.5%増の59億83百万円。コストも増加したが増収効果で吸収し、大幅な増益となった。
当期純利益以外は修正予想に対しても上回った。
営業収入、各利益は過去最高を更新した。

◎アーティストマネージメント事業

営業収入は前期比35.9%増加の413億49百万円。
福山雅治、サザンオールスターズ、ONE OK ROCK、ポルノグラフィティのコンサートツアーや、舞台・公演の熱海五郎一座「プリティーウーマンの勝手にボディーガード」などによりイベント収入は同49.5%増加。観客動員数は、2015年3月期の約150万人から230万人に増加した。
これに伴いイベントに関連したコンサートグッズ販売や福山雅治ONE OK ROCKのCD、DVD等の商品売上も同33.5%と好調だった。福山雅治、大泉洋、深津絵里、吉高由里子などの出演収入・CM収入は上期減収だったが、通期では前年並みを確保。サザンオールスターズやPerfume、BABYMETALらの新譜の印税収入は同29.4%増と好調だった。
増収要因によりセグメント利益も同74.5%増加の63億30百万円と大幅に増加した。

◎メディアビジュアル事業

営業収入は前期比61.8%減少の22億38百万円。
前年同期にあった邦画実写歴代6位を記録した「永遠の0」、福山雅治主演映画「そして父になる」のような大型作品が減少した。番組制作は増収、映像制作は減収だった。
減収に伴いセグメント利益も同85.7%減の54百万円となった。

◎コンテンツ事業

営業収入は前期比5.7%増加の26億31百万円。セグメント利益は同12.4%増加の9億73百万円となった。
サザンオールスターズ、福山雅治、BEGIN、ポルノグラフィティ、Perfume等による発売後1年以上経過した旧譜楽曲の販売及び旧譜楽曲の二次使用等の収益を計上している。原版印税の増加、福山雅治のベストアルバムの発売などにより増収増益だった。

◎プレイスマネージメント事業

営業収入は前年同期に比べ大幅増加の27億4百万円。
前期から新設のセグメント。「東京ワンピースタワー」の入場料収入、グッズ販売収入により増収となったが、「東京ワンピースタワー」の入場料収入が想定には及ばず低調だったことに加え、2016年3月にシンガポールでオープンしたライブハウス兼クラブ「MILLIAN」のオープン前費用を計上したことなどからセグメント利益は519百万円の損失で損失幅は拡大した。売上、利益共に計画に及ばなかった。

流動資産は、現預金、たな卸資産の増加などで前期末比52億円の増加。固定資産は、投資その他の資産の増加等で同10億円増加し、資産合計は同62億円増加した。一方、仕入債務の増加など流動負債が同31億円増加し、負債合計は同32億円の増加となった。純資産は利益剰余金の増加等で同30億円の増加。この結果、自己資本比率は前期末の65.0%から62.2%へ2.8%低下した。

利益増および営業債権の減少等で営業CFのプラス幅は拡大した。定期預金の預入による支出の拡大などで投資CFのマイナス幅は拡大したが、フリーCFのプラス幅は拡大した。非支配株主からの払込みによる収入の減少などで財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは大幅に上昇した。

2017年3月期業績予想
減収減益

営業収入は前期比9.9%減の441億円を予想。アーティストマネージメント事業において前期ほどの大型コンサート実施を見込んでいない。プレイスマネージメント事業以外は減収の見込み。
営業利益は同34.8%減の39億円の予想。プレイスマネージメント事業の損失は縮小するが、他セグメントは減益予想。
配当は25.00円/株の予定。2016年4月1日に実施した1:2の株式分割を考慮すると、普通配当で5円の増配。予想配当性向は18.0%。(2016年3月期の配当は分割前で普通配当40円、特別配当20円の合計60円。)

今後の成長戦略
(1)中期基本方針

「ライブ市場の成長」、「CDなどパッケージは縮小するものの音楽配信による印税収入は堅調に推移」、「映像パッケージ市場の縮小」、「人口減少の進展」といった外部環境の下、「ポートフォリオの拡充」、「プロダクツの拡充」、「バリューチェーンの内製化」、「新規市場の開拓」の4点に注力する。

(2)既存企業の強化
①ポートフォリオの拡充

スポーツ選手など新たな分野に進出しポートフォリオを拡充する。
2016年1月、人気レスラーが多数所属するアジアにおけるナンバーワンプロレスカンパニー、新日本プロレス株式会社と所属レスラーの芸能活動におけるマネージメントを行う業務提携契約を締結した。
今後はプロレス以外のスポーツにも対象を拡大し、事業強化を図る。

②プロダクツの拡充

他社とのコラボレーションによる新商品の開発を引き続き進めている。

ポルノグラフィティとチョコレート専門店「テオブロマ」のコラボレーションによる『ロマンチスト・エゴイスト』チョコレート。ポルノグラフィティによるオリジナルデザイン。
ポルノグラフィティとギターメーカーFenderのコラボレーションによる「Fender Telecaster HARUICHI MODEL」
③バリューチェーンの内製化

国内外におけるライブ・イベントの企画・制作やツアー・アテンド業務等を行う「株式会社インターグルーヴプロダクションズ」、楽曲配信およびレコード制作、楽曲管理「株式会社A-Sketch」、アーティストグッズの企画制作やアパレルブランドを展開する「株式会社希船工房」といった子会社を設立し、通販サイト「アスマート」を通じて販売するというように、バリューチェーンの一部を内製化するとともに、自社だけでなく他社アーティストのコンテンツも扱い、事業の幅を拡大させていく。

④新規市場の開拓
<海外展開>

引き続き積極的にアーティストの海外公演を実施するほか、現地でのビジネス展開にも注力し海外新規市場の開拓を進めている。

BABYMETALは2016年4月、イギリス・ロンドンの有名アリーナ「Wembley Arena」での公演を行った。英米のヒットチャートでも上位に入り、存在感が一段と増している。

また、2016年4月、株式会社バンダイナムコホールディングスのグループ会社である株式会社ランティスと合弁でフランスに「AmuseLantis Europe S.A.S.」を設立した。
日本のアニメコンテンツへの注目度が非常に高い欧州市場に向けアニメ・アニソン関連を中心とした日本のコンテンツを発信する。
アミューズの連結子会社「AMUSE FRANCE S.A.S.」とも連携し、積極的な事業展開を行い日本のアニメ・アニソンファンの拡大や欧州における事業拡大を目指す。

またアジアにおいては、2016年2月、シンガポールにライブハウス兼クラブ「MILLIAN」をオープンさせた。
運営主体は、同社の海外連結子会社であるAMUSE ENTERTAINMENT SINGAPORE Pte Ltdが設立した、ライブハウス運営会社A-Live Entertainment Pte., Ltd.。興行の企画・制作で高い実績のある株式会社Zeppライブ、飲食店経営おいて世界各地で実績のある株式会社KIDS HOLDINGSの出資を受けて、共同運営する。

現在、シンガポールには機材の揃った1,000人規模のライブ会場がなく、国外のアーティストにとっては制作コストが非常に高額となっている。
そうした中、「MILLIAN」には、同サイズの会場ではシンガポール国内最大規模の照明機材、音響機材、映像機材が常設されており、国内外のアーティストのライブ、DJイベントを受け入れが可能となる。常設機材があることで、ライブ開催コストを大幅に削減することができ、シンガポールにおけるライブシーンが更に活発になると同時に、日本のアーティストのアジア進出の足がかりになることが期待される。
同社にとっては、前期よりの新セグメント「プレイスマネージメント事業」における初の海外事業だが、パートナーの上記2社とともに各社の強みを活かし、シンガポールにおいて新しいエンターテインメントのハブを造り、アジアのエンターテインメント業界の発展を目指す。

<国内新規市場の開拓>

アーティストに依存しない事業を開発・強化する。
東京ワンピースタワーについては、厳しい成績となっているが、館内のリニューアルを行うなど、梃入れを進める。
一方、アパレル事業を強化する。株式会社希船工房が、アパレルブランドを持つ会社3社を子会社化し、それぞれ独自性のある製品供給を行う。

今後の注目点
前期の過去最高業績を受けた今期は、大型イベントが前期と比べて少なくなるため減収減益の見込みだが、トップラインは、それまでの過去最高である2期前(2014年3月期)を上回り、営業利益もほぼ同水準という事で、会社側としては前期が出来過ぎで、ベースとなる売上高及び利益水準は堅調であると考えている。40周年となる2019年3月期に向け、既存事業の一段の強化とともに、新規事業拡大の進捗を注目したい。
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