(4709:東証1部) インフォメーション・ディベロプメント 2016年3月期業績レポート

2016/06/08

ID

今回のポイント
・16/3期の売上高は前期比6.4%増の200億82百万円。金融系既存業務が引き続き増加したことなどによりシステム運営管理が増加した他、制度改正、法改正対応等により公共系案件が大きく増加したことなどによりソフトウェア開発も増加した。
営業利益は同0.4%増の9億70百万円。不採算プロジェクトが第2四半期、第4四半期に発生し外注費が増加した他、本社移転費が計画を上回ったが、増収および生産性向上による労務費の削減など粗利率改善で吸収した。

・17/3期の売上高は前期比6.6%増の214億円の計画。引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。営業利益は同31.9%増の128億円を計画。前期にあった不採算案件が今期は発生しない見込みで大幅な増益を見込んでいる。配当は前期と同じく35円/株の予定。予想配当性向は30.5%。

・不採算案件が発生したものの、結果的には増収効果、労務費削減により前期比で増益を確保できたが、収益性に課題を残す決算となった。今後はチェック機能を更に強化するなど、発生を予防する考えだ。また主要顧客である金融機関を中心にトップラインは200億円超えを達成したが、システム運営管理、ソフトウェア開発ともに増収率は前期を下回っており、ここにも課題が残っていると会社側は考えている。19年3月の売上240億円達成はもとより、2007年3月期以来となる営業利益率7%実現のための取り組み、仕組みづくりをどう進めるかを注目したい。

会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウェア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウェア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。

システム運営管理  (16/3期売上構成比58.4%)

1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。

ソフトウエア開発・保守 (16/3期売上構成比37.4%)

500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。

その他 (16/3期売上構成比4.2%)

BPO、セキュリティ、コンサルティングなどを展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が54.7%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが26.1%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が19.1%。

【IDグループ】

IDは、2015年7月1日付で、国内子会社であった(株)日本カルチャソフトサービスと(株)ソフトウエア・ディベロプメントを吸収合併した。現在の国内外の連結子会社は6社。このうち国内(2社)は、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(出資比率85.9%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(4社)は、中国でソフトウェア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでシステム運用コンサルティングやセキュリティサービス等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。また、2015年8月にシステム運営管理の企画ならびに運用を手掛けるPT. INFORMATION DEVELOPMENT INDONESIA(IDシンガポール51%、ID49%、IDインドネシア)を設立した。
このほか、ミャンマーにITトレーニングアカデミーの運営等を行う、現地企業との合弁会社、Infinity Information Development Co., Ltd. (IDシンガポール出資比率49%)を有している。

【IDグループのサービスの特徴 -i-Bos24®(ID’s Business
Operations-Outsourcing Service 24)-】

同社グループはコンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウェア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行することで顧客の業務効率化に貢献している。

【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向

内閣府が5月18日に発表した16年1-3月の国内総生産(GDP、季節調整済み)1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.7%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。ただ、15年4-6月以降プラスとマイナスが交互していること、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)の前期比は1.4%減と2四半期ぶりにマイナスに転じたことから、足元は決して堅調とは言い難い状況となっている。
また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(16年5月20日発表。3月分確報値)によると、情報サービス産業の売上高は、受注ソフトウェア売上高とともに直近では前年同月を下回る一方、同社が強みを持つシステム等管理運営受託売上高は堅調な推移となっている。

(2)同社の取り組み

キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル推進」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで 展開し、既存顧客1,000社から抽出した13企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本水準で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウェア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携に加え、2015年5月にミャンマーに合弁会社を設立。また、同年8月にはインドネシアに子会社を設立し、グローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウェア、OS、ミドルウェアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

【新・中期経営計画「I-vision50」】

今回策定した新・中期経営計画「I-vision50」においては、徹底した構造改革、新たな成長分野の構築、連結経営の強化を3つの基本方針とし、目指す姿として「高品質のサービスをより早くお客様に」を掲げている。
重点戦略として、①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセス改善を推進し、19/3期に売上高240億円、営業利益16.8億円、営業利益率7.0%、ROE13.5%を目指している。また、第2次構造改革により営業利益率2%以上の改善を目指している。

2016年3月期決算概要
増収増益。4期連続増収で売上高200億円達成

売上高は前期比6.4%増の200億82百万円。金融系既存業務が引き続き増加したことなどによりシステム運営管理が増加した他、制度改正、法改正対応等により公共系案件が大きく増加したことなどによりソフトウェア開発も増加した。
営業利益は同0.4%増の9億70百万円。不採算プロジェクトが第2四半期、第4四半期に発生し外注費が増加した他、本社移転費が計画を上回ったが、増収および生産性向上による労務費の削減など粗利率改善で吸収した。経常利益は同3.4%減の9億64百万円。前期の為替差益が為替差損に転じた。投資有価証券売却益、補助金収入を計上したこともあり当期純利益は同7.9%増の5億48百万円となった。

システム運営管理事業の売上高は前期比4.0%増の117億21百万円。既存の金融系運営管理業務は、引き続き売上が増加。また、企業のIT投資回復を背景に、金融系や運輸系のプラットフォーム系開発業務も売上が大幅に増加した。

ソフトウェア開発事業の売上高は前期比7.8%増の75億21百万円。公共系の案件が制度改正、法改正対応等によって売上が大きく増加。また、システム統合や更改対応により、金融系の売上も大幅に増加した。

その他事業の売上高は前期比35.3%増の8億39百万円。セキュリティ販売やコンサルティングの売上が好調だった。

16/3月末の総資産は前期末比16百万円増の103億19百万円。資産面では現預金が減少した一方、有形固定資産が増加した。負債・純資産面では有利子負債、退職給付に係る負債が増加した。自己資本比率は62.7%と前期末比2.6ポイント低下した。

未払消費税等の減少、賞与引当金の減少などで営業CFのプラス幅は縮小。投資有価証券の売却による収入などで投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのマイナス幅は拡大した。
財務CFはほぼ変わらず。キャッシュポジションは低下した。

(3)トピックス
◎株式会社リアルグローブとの業務・資本提携契約を締結

2016年3月、AI(人工知能)、IoT分野で事業を展開する株式会社リアルグローブと業務・資本提携で契約を締結することで合意した。

*株式会社リアルグローブとは?
同社は東京大学発のベンチャー企業で、IoTやAI、ロボットを活用したプラットフォーム、フレームワークを利用した事業の展開を目指している。
主な実績としては、総務省の先導的教育システム実証実験で学習・教育クラウド・プラットフォームの設計と構築を担当している。
また、ロボット(ドローン)を活用した救急救命・災害対応システムの開発を進めており、新世代型IoTソリューションとして東京オリンピックでの配備を目指している。

*IDグループとのシナジー
IoTのソリューションはソフトウェア、インフラ、運用全てを含んだ総合サービスであり、IDグループの強みであるワンストップサービスとの融合により幅広い顧客に安心・安全・安定したIoTソリューションのご提供が可能になる。
例えば、IDグループのスタッフによって、上記の救急医療・災害対応システムを顧客の状況にあわせてカスタマイズして実際に導入し、24時間365日体制で運用を実施することが可能となる。

*投資概要
IDは5,000万円を(株)リアルグローブに投資した。
今後、両社が連携を推進し、最新の技術と最適なソリューションを融合することで、新規および既存顧客に最先端IoTサービスを提供する。

◎株式会社テラコーポレーションを子会社化

2016年4月、製造業界向けに特化したシステム開発を行う株式会社テラコーポレーションの発行済株式100%を収得し子会社とした。
株式会社テラコーポレーションは強みとして、高度な専門性に裏打ちされた技術力を背景に、大手企業を中心に強固な顧客基盤を持っている。
今回の子会社化により、同社の車載機器関連の高い技術力、生産管理業務におけるノウハウをもとに、ターゲット顧客へのアプローチ、およびIoT分野での事業展開強化につながると判断し、同社株式を取得することとした。

◎「愛ファクトリー株式会社」が特例子会社認定を取得

子会社愛ファクトリー株式会社」が、2016年5月1日付で、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社(※)となった。
現在、同社では、鳥取県や鳥取市の支援、協力を受けながら廃校を利用した「植物工場」で葉物野菜の栽培から出荷までを行っている。
今回の認定を受け、今後、さらに障がい者が活躍できる環境を整備し、より多くの雇用機会を創出すべく、関連業務の拡大に取り組む考えだ。

(※)特例子会社
障がい者の雇用促進のために特別な配慮をし、一定の条件を満たした子会社を指す。国からの認定を受けることで、特例子会社で雇用する障がい者は、親会社が雇用しているものとみなされる。
2017年3月期業績予想
前期比6.6%の増収、同30.6%の経常増益を見込む

売上高は前期比6.6%増の214億円の計画。引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。
営業利益は同31.9%増の12億80百万円。前期にあった不採算案件が今期は発生しない見込みで大幅な増益を計画。
配当は前期と同じく35円/株の予定。予想配当性向は30.5%。

今後の注目点
不採算案件が発生したものの、結果的には増収効果、労務費削減により前期比で増益を確保できたが、収益性に課題を残す決算となった。今後はチェック機能を更に強化するなど、発生を予防する考えだ。また主要顧客である金融機関を中心にトップラインは200億円超えを達成したが、システム運営管理、ソフトウェア開発ともに増収率は前期を下回っており、ここにも課題が残っていると会社側は考えている。
19年3月の売上240億円達成はもとより、2007年3月期以来となる営業利益率7%実現のための取り組み、仕組みづくりをどう進めるかを注目したい。
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