(4317:JASDAQ) レイ 2016年2月期業績レポート

2016/06/08

RAY

今回のポイント
・16/2期は前期比0.1%の減収、同3.3%の経常増益。秋のイベント・展示会シーズンに案件の取り込みが進んだ事等で3Qまでは順調に売上が増加したが、売上計上を見込んでいた案件の翌期以降へのずれ込みやイベント・展示会の開催が少ない冬季の苦戦で4Qの売上が落ち込んだ。利益面では、SP(セールスプロモーション)・イベント部門における制作経費の増加やTVCM(テレビコマーシャル)部門及びポストプロダクション部門での価格競争が響いた。配当は1株当たり1円増配の期末6円を予定。

・17/2期予想は前期比0.4%の増収、同13.8%の経常減益。東京五輪に向けて首都圏のコンサートホール等が改修工事等のため閉鎖し、コンサート用の施設が不足する2016年問題等を念頭に保守的な予想となった。2016年問題の影響等で売上が伸び悩む中、継続的に実施する人材及び機材への投資負担が利益を圧迫する。一方、受注面では、東京オリンピック関連のイベント案件等の受注を目指した活動を加速させる考え。配当は1株当たり6円を予定。

・同社は創業36年を迎える現在の立ち位置を、次の30年に向けた第二の創業と位置付けており、キーワードとして「100億をベースにさらなる躍進」を掲げている。現在、大手広告代理店からの直接・間接の受注が全体の50%を占め、残りの50%はエンターテイメントやMICE(※)関連だが、次の30年に向けた企業創造では、大手広告代理店向けの拡大を図りつつ、エンターテイメントやMICE関連の売上構成比を引き上げていく。また、業界再編を顧客フィールドの拡大につなげるべくM&Aの可能性も探っていく。

※MICE:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨(Incentive)、国際機関・団体、学会が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称
会社概要

セールスプロモーション(SP)やテレビコマーシャル(TVCM)等の、企画、制作、プロモーション、更にはイベントまでをカバー。ポストプロダクション(編集スタジオ)機能や映像機器を保有し、実制作部隊を備える事で、顧客ニーズに合った総合的な提案やサービスができる事が強み。グループは、同社と連結子会社(株)クレイの2社。

【経営理念】
・会社はステージ、社員をアクター、経営者を演出家、そしてお客様と株主の皆様を観客と、置き換えることができると考えております。
・最先端のステージ(会社)で、アクター(社員)、演出家(経営者)全員が、それぞれプロ意識に徹し、十分にその実力を発揮し、多くの観客(お客様と株主の皆様)から拍手をいただくことは大変素晴らしく、当社グループの理想とするところです。
・当社グループは、その理想の下、常に会社組織、投資機材の一層の拡充、最先端化と全社員の絶え間ない質的向上を経営の基本方針としております。

同社は、小さなベンチャー企業から発展し、広告、プロモーションや番組等の映像制作ビジネスを立ち上げてきた。その発展を支えてきたのは上記の経営理念である。この経営理念の下、強みであるデジタル映像制作加工技術及びデジタル映像演出技術を活かせる市場機会への俊敏な取り組み、そして市場より得られたリターンをデジタル技術に再投資する事で能力を高め、その高められた能力を基に新たな市場機会に挑戦する、と言う不断のイノベーションを経営戦略として推進している。

【事業セグメント】

事業は、SP(セールスプロモーション)やTVCM(テレビコマーシャル)等の企画制作を行う広告ソリューション事業と保有する各種映像インフラを活用した実制作やデジタル映像機材のレンタルを行うテクニカルソリューション事業に分かれる。同社グループは、企画制作領域と実制作領域をカバーする事で一貫したサービスを提供できる事が強みだ。テクニカルソリューション事業の全売上高の15%が広告ソリューション事業向けの内部売上であり、85%が顧客向けの売上である。
16/2期の売上構成比は、それぞれ51.5%、48.5%。連結調整前利益の構成比は、それぞれ26.0%、74.0%。

広告ソリューション事業

企業のSP、キャンペーン、イベント、展示会、ショールーム等の企画制作・運営を手掛けるSP・イベント部門とTVCMの企画制作を行うTVCM部門に分かれ、(株)レイと(株)クレイが事業を手掛けている。
尚、広告の制作は、クライアント及び広告代理店が方向性や戦略を決定し、戦略に基づいて企画・制作会社が詳細な実施計画を立案し、実制作作業を各種業者に発注する。

テクニカルソリューション事業

(株)レイの事業領域である。広告ソリューション事業が提案する企画制作を実現する事業だが、現在、グループ外への売上が全体の85%を占め、広告ソリューション事業向けの社内売上は15%にとどまる。イベント、展示会、コンサート、学会、会議等で使われる映像システム、特殊演出システム、ビジネスプレゼンテーション機器等のレンタル・オペレーションサービスを行う映像機器レンタル部門と、デジタル映像を中心に各種映像(テレビコマーシャル・番組等)の編集及びDVD・ブルーレイディスク・CG制作等を行うポストプロダクション部門に分かれる。

広告ソリューション事業と同じく請負事業で、主に制作会社から受注しているが、設備の償却負担がコストに占める割合が大きく、各種機材の稼働率が利益面での課題となる。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
2016年2月期決算
【グループ再編】

組織の効率化を図るため、連結子会社(株)ニッポンムービー(東京都港区)を吸収合併存続会社、(株)ティーシー・マックス、(株)ニッポンムービー(東京都渋谷区)、(株)ニッポンムービー大阪、(株)ニビックを吸収合併消滅会社とする組織再編を実施すると共に、(株)ニッポンムービー(東京都港区)の商号を(株)クレイに変更した。

前期比0.1%の減収、同3.3%の経常増益

売上高は前期比0.1%減の114億56百万円。秋のイベント・展示会シーズンに案件の取り込みが進んだ事等で、第3四半期までは順調に売上が増加したが(第3四半期累計売上高は前年同期比6.5%増の88億47百万円)、売上計上を見込んでいた案件の翌期以降へのずれ込みやイベント・展示会の開催が少ない冬季の苦戦で第4四半期の売上が落ち込んだ。
営業利益は同6.7%減の4億68百万円。SP(セールスプロモーション)・イベント部門における案件が重なった際の外注費等のコストコントロールの失敗(制作経費の増加)やTVCM(テレビコマーシャル)部門及びポストプロダクション部門での価格競争の影響で売上総利益が同3.0%減少。経費節減で販管費が同2.3%減少したもののカバーできなかった。
一方、経常利益は、固定資産受贈益26百万円の計上や持分法投資損失の減少等で4億63百万円と同3.3%増加。連結子会社による繰延税金資産の計上もあり、最終利益は3億56百万円と同17.1%増加した。

配当は1株当たり1円増配の期末6円を予定している。

広告ソリューション事業

売上高59億01百万円(前期比0.5%増)、営業利益2億83百万円 (同19.2%減)。SP・イベント部門は、大型案件の受注や秋のイベント・展示会シーズンに受注が伸びた事等で売上が増加したものの、案件が重なった際の外注費等のコストコントロールの失敗で利益が減少。TVCM部門はレギュラー案件の失注や価格競争で売上・利益共に減少した。

テクニカルソリューション事業

売上高55億54百万円(同0.8%減)、営業利益8億06百万円(同 5.6%増)。映像機器レンタル部門は、積極的に進めてきた設備投資の効果もあり、コンサート案件やイベント案件の取り込みが進み、売上・利益共に増加した。一方、ポストプロダクション部門は、編集スタジオの稼働率が堅調に推移したものの、価格競争の激化や前期の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動で、売上・利益共に減少した。

期末総資産は前期末に比べて3億48百万円減の84億40百万円。貸方では、下期の売上減少で売上債権が減少した他、投資有価証券の評価減で投資その他も減少。一方、案件の期ずれでたな卸資産が、映像機器レンタル部門の設備投資等によるリース資産の増加で有形固定資産が、それぞれ増加した。貸方では、下期の売上減少で売上債権や未払消費税等が減少した他、約定返済で有利子負債(長期借入金)が減少した。自己資本比率42.2%(前期末38.7%)。

下期の売上減少による期末にかけての資金効率の改善や税金費用の減少で(2億71百万円→1億95百万円)、営業CFが8億14百万円と前期比14.2%増加。投資CFはマイナス幅が拡大したものの、フリーCFは前期の6億18百万円を上回る6億60百万円を確保した。スタジオ機材、音響機材、LED等で6億87百万円の設備投資を実施し、6億59百万円の減価償却費を計上した。

2017年2月期業績予想
前期比0.4%の増収、同13.8%の経常減益

東京五輪に向けて首都圏のコンサートホール等が改修工事等のため閉鎖し、コンサート用の施設が不足する2016年問題の影響が懸念される事に加え、広告主各社の広告支出への慎重な姿勢や競争激化・価格値下げ圧力等の厳しい経営環境を念頭に保守的な予想となった。売上が伸び悩む中、継続的に実施する人材及び機材への投資負担が利益を圧迫し営業利益が4億50百万円と同3.9%減少。固定資産受贈益がなくなる事で営業外損益が悪化し、繰延税金資産の計上がなくなるため実効税率も本来の水準に上昇するため最終利益は2億80百万円と同21.4%の減少が見込まれる。
受注面では、東京オリンピック関連のイベント案件等の受注を目指した活動を加速させる考え。設備投資はスタジオ機材やLED等で6億30百万円を計画している。

配当は、前期と同額の1株当たり6円を維持する考え。

(2)今後の方針
【キーワード  100億をベースにさらなる躍進】

同社は創業36年を迎える現在の立ち位置を、次の30年に向けた第二の創業と位置付けており、キーワードとして「100億をベースにさらなる躍進」を掲げている。現在、大手広告代理店からの直接・間接(制作会社経由)の受注が全体の50%を占めており、残りの50%はエンターテイメントやMICE(※)関連だが、次の30年に向けた企業創造では、深耕と領域拡大で大手広告代理店向けビジネスの拡大を図りつつ、エンターテイメントやMICE関連の売上構成比を引き上げていく(広告主からの直接受注や学会関連のビジネスの拡大)。また、業界再編を顧客フィールドの拡大につなげるべくM&Aの可能性も探っていく。

※ MICE
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨(Incentive)、国際機関・団体、学会が行う国際会議(Convention)、及び展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったもの。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称。
同社の強み(ワンパッケージサービス)

同社の強みは、制作領域と技術領域を持つ事で、映像、イベント、クリエイティブ、そしてプロモーションという4つの異なる領域をカバーし、顧客ニーズに合った総合的な提案ができる事。広告ソリューションで培ってきた企画制作力と、 IT・デジタル・映像を強みとしたテクニカルソリューションを駆使して、顧客の様々なニーズに、どの立ち位置からでも、どの段階からでも柔軟にサポートしていく。

部門別方針
今後の注目点
同社の強みは、制作領域と技術領域を持ち、映像、イベント、クリエイティブ、そしてプロモーションという4つの異なる領域をカバーし、顧客ニーズに合った総合的な提案やワンパッケージのサービスができる事。売上全体の50%を占める広告代理店向けは制作業務が中心のため、この強みを十分に活かせないが、コンサートや映像コンテンツ等のエンターテイメント系やMICE関連の案件では総合的な提案やワンパッケージサービスが強みを発揮する。今後はコンサートやテーマパークへの営業を強化すると共に、DVDやブルーレイ等の制作で取引がある映像コンテンツ会社を深掘りしていく考え。また、MICE関連では、学会向けの事務局代行業務を中心に事業を拡大させ、映像機器レンタルとのシナジーを追求していく。
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