(9423:JASDAQ) フォーバル・リアルストレート 2016年3月期業績レポート

2016/06/01

FRS

今回のポイント
・「オフィスが変わると環境が変わる。環境が変わると社員が変わる」という企業理念の下、オフィス移転をトータルにサポート。
物件探し(不動産物件の仲介)から内装工事、各種インフラやオフィス機器・什器の手配までをワンストップでカバーするオフィスソリューションを手掛けている。・吉田社長が就任して約1年半が経過し、不動産仲介を起点とするオフィスソリューションが軌道に乗りつつある。これまでソリューションを担うITコンサルタントの不足がボトルネックになっていたが、フォーバルグループ各社からの出向社員の受け入れで体制の整備が進んだ。これを反映して、16/3期は前期比35.0%の増収、同53.3%の経常増益。不動産仲介(前期比4.9%の増収)を呼び水にオフィスソソリューションの売上が同41.1%増と大きく伸び、付加価値が高まった事で利益率も改善した。17/3期は保守的な予想ながら、経常利益が40百万円と前期比21.6%増加する見込み。

・ITコンサルタントの増員でオフィスソリューションが軌道に乗り、営業損益と営業キャッシュ・フローの黒字が定着してきた。また、資産の効率化が進んだ事と第三者割当増資で、財務体質もスリムで筋肉質なものになっている。ただ、「当面は、社員の処遇を改善しつつ利益水準を引き上げ、内部留保を積み上げていく事が成長戦略」と言うのが吉田社長の考え。出向社員の受け入れで、量的な充足が進んだ。処遇改善で士気を高め、質的な向上も図ろうという考えだ。

会社概要

「オフィスが変わると環境が変わる。環境が変わると社員が変わる。」という企業理念の下、企業のオフィス移転をトータルにサポート。不動産仲介(物件探し)から、内装・レイアウト設計、ネットワーク環境やOA環境構築、引越手配、更には旧オフィスの退去計画までを一貫してサポートしている。

【沿革】

当社の前身の(株)フリードは、(株)フォーバルの営業部長経験者である稲垣靖彦氏が通信機器及び事務機器販売を目的に95年に設立した。マイライン、ADSL、光ファイバーの回線獲得で業容を拡大させ、2005年11月にジャスダック証券取引所(現JASDAQ)に株式を上場したが、その後、ブロードバンド回線の需要一巡と消費者のモバイルへのシフトで事業環境が急速に悪化。上場に前後して人員を増強した事もあり、07/3期以降、(株)フリードの業績も悪化した。

2007年3月に、支援の依頼を受けた(株)フォーバルが稲垣靖彦氏の保有株を引き取り、持分法適用会社化。当初は、通信・OA機器販売や(株)フォーバルテレコムのサービスであるビリング販売等を手掛けていたが、2009年2月の連結子会社化(デット・エクイティ・スワップにより(株)フォーバルが発行済株式数の57%弱を取得)を契機に、不動産仲介から、内装工事や引っ越し等への対応も含めた新オフィスの整備及び旧オフィスの退去に至る一貫サービスを開始。2009年7月に(株)フォーバル・リアルストレートに社名を変更した。
当初は苦戦を強いられ、11/3期から14/3期まで4期連続の営業・経常・最終赤字を計上したが、吉田社長が就任した14年8月以降、潮目が変わった。苦戦の原因は、物件情報を携えて客先を訪問する不動産営業の社員が十分にITコンサルに対応できていなかった事。このため、吉田社長が主導する形で、営業社員とITコンサルタントが一体となった営業(営業社員にITコンサルタントが同行)に切り替え、これが奏功した。フォーバルグループ各社からの支援でITコンサルタントの増員も進み、15/3期第2四半期以降、売上総利益が安定して増加するようになり、四半期ベースの営業損益の黒字化が定着した(15/3期第4四半期は、営業損失となったが、経常損益では利益を計上)。

吉田社長は(株)フォーバルの出身で、(株)フォーバルテレコムの取締役や同じく(株)ヴァンクールの代表取締役社長を歴任した。(株)フォーバルテレコムは、法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスの提供と関連機器の販売等を手掛けており、(株)ヴァンクールは、ビジネスフォン等の通信・通話サービスの提供からOA機器、ネットワークセキュリティー、ホームページ制作等のインターネット関連商品までをトータルプロデュースしている。このため、オフィス環境の整備や関連するソリューションの提供に精通している事が吉田社長の強みである。

【ビジネスモデルと強み】
・不動産情報をドアノックツールとしてオフィス移転需要を掘り起こし、その際に発生するコンサルティングを含めた、内装工事、OA・ネットワーク機器の更新、各種サービスの取次、更には旧オフィスの原状回復等の需要を取り込んでいく。
・需要の掘り起こしにはWebサイトを中心に、電話によるアウトバンドの営業も展開。引き合いがあれば、営業担当者にITコンサルタントが同行して、不動産仲介物件だけでなく、オフィス移転後のITコンサル、内装、各種サービスの取次、引っ越し、退去後の原状回復等の提案を行う。
・オフィスの移転には、通常、不動産会社、運送会社、内装工事会社、更には旧オフィスを管理する不動産会社(退去に伴う敷金の返金等で問題が生じる事が少なくない)等、多くの関係先と関わる必要があるが、同社と契約すれば、窓口を一本化でき、仮にトラブルが発生したとしても、同社が責任をもって対応する。
・不動産仲介の際に、引っ越し業者の紹介や取り次ぎをする不動産会社はあるが、内装工事やオフィス移転に際して更新する情報機器等に関するコンサルから手配・セッティングまで対応できる不動産会社はほとんどない。
【財政、損益、及びキャッシュ・フローの推移】

14/3期決算において債務超過状態に陥ったが、2015年3月に(株)フォーバル及び(株)フォーバル・リアルストレートの代表取締役である吉田浩司氏を割当先とする第三者割当増資を実施して債務超過状態を解消した。16/3期末現在、未だ資本の厚みには欠けるものの、筋肉質でスリムな財務状態を実現しており、流動比率156.0%、固定比率8.2%、有利子負債のない無借金経営で自己資本比率36.3%。
また、損益及びキャッシュ・フローの面では、営業損益及び営業CFの黒字が定着してきた。

2016年3月期決算
出向社員の受け入れによるコンサル強化が奏功し、前期比35.0%の増収、同53.3%の経常増益

売上高は前期比35.0%増の9億25百万円。ITコンサルタントの増員で、内装工事や各種インフラの整備に加え、オフィス機器・什器の手配等もワンストップでサポートするソリューションの売上が804百万円と前期比41.1%増加した(不動産仲介等の売上は同4.9%増の1億21百万円)。

利益面では、ソリューションの付加価値が高まった事で売上総利益が4億92百万円と同59.5%増加。人件費や出向料を中心にした販管費の増加を吸収して前期は68千円にとどまった営業利益が32百万円に増加した。受託収入等がなくなった事で営業外収益が減少したものの、税金費用の減少で四半期純利益も32百万円と前期の16百万円を上回った。

2017年3月期業績予想

 

前期比21.6%増の経常増益を見込む

内装工事や各種インフラの整備に加え、オフィス機器・什器の手配等もワンストップでサポートするソリューションは、外注工事費や機器販売等の売上も含まれるため、必ずしも売上の増減と売上総利益の増減が一致しない。売上を意識し過ぎると、利益を伴わない売上が増加し、キャッシュ・フローの悪化や財務面での負担増につながりかねないため、同社は売上高の予想を開示せず、利益予想のみ開示している。

17/3期は、物件情報の充実やコンテンツの拡充等、集客サイトの強化を図る他、既存顧客からの紹介獲得やグループ会社顧客への働きかけ等にも引き続き取り組んでいく。また、相場情報の提供、ノベルティグッズの活用、障害対応等を通じて顧客との接点を増やし顧客の囲い込みも図っていく。顧客を囲い込む事で、将来的な移転ニーズを競合他社に先駆けて把握し収益の確保につなげていく考えだ。

投資家へのメッセージ

 

【トータルサポートでお客様のビジネス拡大に貢献】

オフィス環境に関して、企業毎に多様なニーズが生じています。このため、当社は、「見つかる、創る、活かす」をコーポレートスローガンとして掲げ、お客様にとって、最適なオフィスが見つかるまで探し、心地よく、利便性の高い空間を創り、オフィス空間を最大限に活かす提案をし続けたいと考えています。
当社の特徴であり、強みは、従来の不動産仲介業の枠にとどまらず、物件探し以外にも、内装・レイアウト設計、ネットワーク環境やOA環境構築、引越手配の他、旧オフィスに関する最適な退去計画まで、お客様の新たなステージへ向かうためのオフィス移転を、トータルでサポートできる事。この特徴であり、強みを活かして、お客様のビジネス拡大に貢献していきたいと考えています。

【株主還元と成長戦略】

株主還元についてですが、現在、当社は1株当たり1円の配当を実施するために23百万円強の資金が必要です。加えて、配当に伴い諸費用も発生するため、利益体質が定着してきたと言っても、現状の利益水準では負担は軽くありません。
当社が先ず取り組むべきは、これまで抑制していた社員の処遇改善であると考えています。また、事業拡大に向け、当社の強みを活かす事ができる、いくつかの新規事業も考えていますが、いずれも先行投資が発生するため内部留保も必要です。
このため、当面は、社員の処遇を改善しつつ利益水準を引き上げ、内部留保を積み上げていく事が成長戦略であると考えています。幸い、営業社員にITコンサルタントを同行させるソリューション営業が軌道に乗り、営業損益と営業キャッシュ・フローの黒字が定着してきました。また、資産の効率化を進めた事と増資の効果で、財務体質もスリムで筋肉質なものになっています。不足していたITコンサルタントについても、新年度から社員を増強できました。

現状は、スタートラインに立ったところであり、今しばらく基盤固めが必要です。投資家の期待に応えるのは、それからであると考えています。引き続きご理解とご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。

今後の注目点
オフィスビル需要と関連する企業の雇用は拡大基調にあり、新聞報道によると、3月末の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスの平均募集賃料は27カ月連続の上昇となった。新築ビルの需要に加え、割安な中小物件の入居も増えていると言う。引き続き良好な事業環境が続きそうだ。また、同社においても、営業社員にITコンサルタントを同行させるソリューション営業が軌道に乗り、業績モーメンタムは良好。慎重な予想にとどまった17/3期業績だが、どれだけ上積みできるか注目したい。
株主還元と成長戦略に対する吉田社長の考えには同感だ。ITコンサルタントの増強が進んだ事でボトルネックが解消された。本格的な事業拡大に向け、量的な充足に加え、処遇改善で士気を高め質的な向上も図ろうという考えだ。
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