(8860:東証1部) フジ住宅 2016年3月期業績レポート

2016/06/01

FujiJutaku

今回のポイント
・16/3期は前期比14.0%の増収、同22.6%の経常増益。売上面では、中古住宅の引渡戸数が増加した住宅流通セグメントや個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが増加した土地有効活用セグメントなどで増加した。利益面は、売上が増加した分譲住宅セグメントや住宅流通セグメントなどで増加した他、賃貸住宅等建築請負の引渡しの減少を個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡し増加でカバーした土地有効活用セグメントでも増加した。販売状況を示す受注契約高は自由設計住宅や中古住宅などの受注増加が寄与し同9.8%増加。売上高の先行指標となる16年3月末の受注契約残高も前年同月末比7.7%増加した。・17/3期の会社予想は、前期比6.1%の増収、同1.9%の経常増益。自由設計住宅の販売増加や賃貸収益の継続的な増加などにより売上・利益とも増加する計画。利益の伸びが売上の伸びを下回るのは分譲マンションの販売強化に伴い広告宣伝費の増加などを見込んでいる影響。また、消費税増税にともなう駆け込み需要の影響は考慮していない計画。配当は前期と同じ1株当たり年26円の予想(上期末13円、期末13円)。

・JR和歌山駅前の一等地における大型マンションプロジェクト(分譲マンション256戸)が始動し16年7月から販売が開始となる予定である。同社は、本居地大阪ではない和歌山での大型のプロジェクトであるため、17/3期に積極的な広告宣伝費の投入を計画している。このプロジェクトの成功は引渡しとなる18/3期以降の業績に大きなインパクトを与えることが予想される。 18/3期の成長を加速することができるのか、大型マンションプロジェクトの今後の販売動向が注目される

会社概要

地盤である大阪府下全域の他、兵庫県一部(阪神間)・和歌山県北部地域で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。

(1)事業内容
分譲住宅事業(16/3期売上構成比34.1%)

戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。

住宅流通事業(同 32.6%)

中古住宅再生事業『快造くん』と新築戸建住宅(建売住宅)の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。また、小規模の新築戸建住宅(建売住宅)の販売により、自由設計住宅や大規模プロジェクトではカバーできない顧客ニーズにも対応。泉州地区(泉佐野、熊取、貝塚、岸和田中心)で小規模分譲地を開発し手頃な価格の建売住宅を販売。当事業は分譲住宅事業でカバーできない低価格ゾーンをカバーしている。

土地有効活用事業(同 19.6%)

賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、 賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。

賃貸及び管理事業(同 13.2%)

100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。

注文住宅事業(同 0.5%)

戸建住宅の実績で培ったノウハウを生かし、土地を保有する顧客に対して戸建住宅の新築や、建替えを請負うといった事業を展開。会社の第5の柱として展開中。

(2)同社の強み
住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること

土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。

ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること

創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。

収益力を高める土地活用の提案力を有すること

同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。

ポートフォリオ効果

不動産業界は景気や金利の変動といった外部要因に大きな影響を受ける。そこで、フジ住宅では多様な商品・サービスを提供することにより、収益の安定化を図れる事業ポートフォリオを目指してきた。
過去5年の売上構成比を比較してみると、以前は分譲住宅が4割超を占めていたが、現在では分譲住宅、住宅流通、土地有効活用及び賃貸管理と3つの事業がほぼ3割超となり、バランスのとれた事業ポートフォリオを実現している。

中期利益計画(16/3期~19/3期)

同社は、現在進行中の中期利益計画において、最終年度である19/3期に売上高1,020億円、経常利益60億円の業績目標を掲げている。分譲住宅セグメントでは、戸建住宅の大型プロジェクトの収益化に加え、現在供給を抑制している分譲マンションの販売再開を予定している。また、住宅流通セグメントでは、販売エリアの拡大による中古住宅販売の拡大を、土地有効活用事業セグメントでは、仕入強化による安定的な利益の確保を計画。その他、賃貸及び管理事業セグメントでは、管理物件の継続的な増加による確実な業績の拡大を見込んでいる。

中期利益計画の前提
16/3期の進捗

16/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回る好調なスタートを切った。当初、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの好調な受注により土地有効活用事業の売上高が大幅に増加することに加え、自由設計住宅や賃貸及び管理事業の売上が拡大することを計画していた。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができたことに加え、中古住宅の販売も会社計画を大幅に上回った。

17/3期 計画

分譲住宅は、16/3期に販売及び引渡しが本格化した良質でかつ大型の分譲住宅用地が消費税再増税による駆け込み需要で後押しされる。中古住宅は、エリア拡大を図り、販売戸数の増加を目指す。また、賃貸及び管理事業も、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによるサブリースの戸数が引き続き増加。なお、17/3期の会社計画は、売上高96,300百万円、経常利益5,400百万円、当期純利益、3,600百万円といずれも中計利益計画を上回る前提。

18/3期 計画

分譲住宅は、分譲戸建住宅において大阪府下、阪神間の大型プロジェクトが引渡し時期を迎えるほか、供給を抑制していた分譲マンションもJR和歌山駅前の一等地で再開となる見込み。また、賃貸及び管理事業は、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しを反映して、着実に売上・利益が増加する。一方、消費税再増税の影響により中古住宅販売は前期に比べ減少する計画。なお、JR和歌山駅前の分譲マンションは、1年前倒しで16年7月より販売開始の予定となった。

19/3期 計画

分譲住宅は、18/3期に再開した一等地の分譲マンションの引渡しが開始され、売上高に計上。中古住宅も兵庫県及び奈良県など営業エリアの広域化が定着し、売上高が増加する見込み。また、賃貸及び管理事業も、中古住宅アセット事業の収益物件の拡大や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによる管理物件・サブリース物件の取扱増加により売上が拡大。分譲マンションの引渡しが1年前倒しとなり計画が今後変更となる可能性もある。

2016年3月期決算
前期比14.0%の増収、同22.6%の経常増益

売上高は前期比14.0%増の907億26百万円。売上面では、自由設計住宅の引渡戸数や土地販売が増加した分譲住宅セグメントや中古住宅の引渡戸数が増加した住宅流通セグメントや個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが増加した土地有効活用セグメントなどで増加し、過去最高の売上高となった。また、販売状況を示す受注契約高は自由設計住宅や中古住宅などの受注増加が寄与し同9.8%増加。売上高の先行指標となる16年3月末の受注契約残高も前年同月末比7.7%増加した。
経常利益は前期比22.6%増の52億98百万円。セグメント利益は、売上が増加した分譲住宅セグメントや住宅流通セグメントなどで増加した他、賃貸住宅等建築請負の引渡しの減少を個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡し増加でカバーした土地有効活用セグメントでも増加した。一方、コンピューター投資費用やシニア事業に関連する人員増による投資的経費が増加した賃貸及び管理セグメントなどで減少した。収益性の高い賃貸住宅等建築請負などの売上減少が影響し、売上総利益率が同1ポイント低下したものの、販管費の抑制により、営業利益は同24.7%増の54億41百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高益となった。

分譲住宅セグメントの売上高は前期比2.9%増の308億99百万円、セグメント利益は同23.3%増の30億10百万円。売上及び利益の増加は、自由設計住宅や土地販売の増加が寄与した。また、受注契約高は、自由設計住宅が749戸(前期は620戸)、分譲マンションが118戸(前期は264戸)となり、323億28百万円と同5.6%増加。受注契約残高は自由設計住宅の増加が寄与し、219億89百万円と同7.0%増加した。

住宅流通セグメントの売上高は前期比16.3%増の295億67百万円、セグメント利益は同61.0%増の10億91百万円。売上及び利益の増加は、中古住宅と建売住宅の引渡戸数が増加したことが寄与。中古住宅の受注契約戸数が1,539戸(前期は1,391戸)と増加し、住宅流通セグメントの受注契約高は302億47百万円と同13.3%増加。受注契約残高は中古住宅の増加などが寄与し、43億95百万円と同18.3%増加した。

土地有効活用セグメントの売上高は前期比37.4%増の177億96百万円、セグメント利益は同17.3%増の15億1百万円。賃貸住宅等建築請負の引渡しが減少したものの、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが増加し売上及び利益が増加した。賃貸住宅等建築請負の受注は若干の増加にとどまったものの個人投資家向け一棟売賃貸アパート受注が好調に推移し、受注契約高は186億46百万円と同11.6%増加した。受注契約残高は賃貸住宅等建築請負に加え、個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加し156億6百万円と同5.8%増加した。

上記の他、賃貸及び管理事業セグメントは、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加により売上高が119億93百万円と前期比12.4%増加。一方、セグメント利益は、コンピューター投資費用やシニア事業に関連する人員増による投資的経費の増加により8億90百万円と同4.0%減少した。また、注文住宅事業の売上高は前期比9.8%減の4億69百万円、セグメント利益は注文住宅の引渡戸数が減少したことから同48.3%減の25百万円となった。

受注契約高と受注契約残高は拡大傾向。

2016年3月末の総資産は969億円と前期末29億41百万円増加した。資産サイドは、たな卸資産と有形固定資産の土地が、負債・純資産サイドは長期借入金と親会社株主に帰属する当期純利益の計上が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産218.9億円(前期末192.7億円)、仕掛販売用不動産148.6億円(同157.1億円)、開発用不動産362.2億円(同370.8億)。有利子負債は1億48百万の減少。自己資本比率は29.4%と前期末から若干の上昇。

CFの面では、たな卸資産の増加幅が縮小したことなどにより営業CFがプラスに転換。有形固定資産の取得などの増加で投資CFのマイナス幅が拡大したもののフリーCFもプラスへ転換した。一方、長期借入金の増加幅が縮小したことなどから財務CFはマイナスへ転じた。

2017年3月期業績予想
前期比6.1%の増収、同1.9%の経常増益予想

17/3期の会社予想は、売上高が前期比6.1%増の963億円、経常利益が同1.9%増の54億円。
売上面では、自由設計住宅の供給戸数の拡大が牽引する他、分譲マンションと個人投資家向け一棟売賃貸アパートの減少を見込んでいるものの、全てのセグメントにおいて売上が増加する計画。また、中古住宅は、仕入価格の上昇により買取りが苦戦するとの判断のもと微増の保守的な計画となっている。
利益面では、増収効果があるものの収益性の高い分譲マンションの販売減少に伴うプロダクトミックスの悪化を想定している他、分譲マンションの販売強化に伴う広告宣伝費の増加や外形標準課税の負担の影響を考慮している。売上高営業利益率は、5.8%と前期比0.2%低下の前提。なお、消費税増税にともなう駆け込み需要の影響は考慮していない。
また、配当は前期と同じ1株当たり年26円の予想(上期末13円、期末13円)。

分譲住宅セグメントは、自由設計住宅777戸(前期は601戸)、分譲マンション99戸(前期は243戸)の販売を予定。
住宅流通セグメントは、中古住宅の販売戸数1,543戸(前期は1,518戸)を予定。
土地有効活用セグメントは、一棟売り104棟(前期は112棟)、建築請負51棟(前期は40棟)を予定。

(2)主なトピックス
大型分譲マンションの販売開始

建築コストの上昇などを受け一時的に新規の供給を抑制していた分譲マンションの販売を開始する。JR和歌山駅前の一等地における大型マンションプロジェクト(分譲マンション256戸)は、16年7月から販売開始の予定。引渡しは18/3期となるものの、17/3期に積極的な広告宣伝費の投入を予定している。

コーポレートガバナンス・コード対応業績連動型ストック・オプション制度の導入

同社は、コーポレートガバナンス・コードの適用を機に役員報酬制度の見直しを行い、取締役の業績達成に対する意欲をより高めるインセンティブ効果とその成果に報いることを目的として、コーポレートガバナンス・コード対応業績連動型ストック・オプション制度を導入する予定(株主総会での決議後)。中期利益計画の目標業績である「売上高」、「営業利益」、「経常利益」、「ROE10%以上」のすべての計画目標を達成した場合に限り新株予約権が割り当てられる。但し、計画目標を達成した場合においてもROEを除くすべての利益項目が前期より減少する場合においては、未達成として割り当てが行なれないという厳しい条件となっている。取締役の中期利益目標と毎年の増収増益達成に向けた士気の向上が期待される。

経済産業省・東京証券取引所による「健康経営銘柄2016」の認定

「健康経営銘柄」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる優れた企業を、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する制度。中長期的な視点から業績・企業価値の向上を実現し、株価の向上に繋がることが期待される企業として公表する取り組みである。
健康経営銘柄の選定は、「日本再興戦略」による取り組みの一環として、2015年より実施され、第2回目である今年は、上場企業約3,500社中25社、不動産業界では初めてフジ住宅が選定された。

今後の注目点
同社の16/3期は、前期比14.0%の増収、同22.6%の経常増益の好決算となった。また、受注契約高も同9.8%の増加と好調に推移。更に、16年3月末の受注契約残高も前年同月末比7.7%増加するなど、17/3期の業績拡大期待が高まる内容となった。自由設計住宅、中古住宅、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの受注の好調が継続した他、16/3期に売上が減少した賃貸住宅等建築請負においても17/3期は受注が増加に転じた。個人投資家向け一棟売賃貸アパートの旺盛な受注に対応しながら、賃貸住宅等建築請負の受注もしっかり獲得できた点極めて評価が高い。こうした中あえて課題点を探すとすれば、現在供給を抑制している分譲マンションにおいて売上の減少が継続していることと、コンピューター投資費用やシニア事業に関連する人員増による投資的経費の増加により賃貸及び管理のセグメント利益が減益となったことがあげられる。
分譲マンションについては、JR和歌山駅前の一等地における大型マンションプロジェクト(分譲マンション256戸)が始動し16年7月から販売が開始となる予定である。同社は、本居地大阪ではない和歌山での大型のプロジェクトであるため、17/3期に積極的な広告宣伝費の投入を計画している。このプロジェクトの成功は引渡しとなる18/3期以降の業績に大きなインパクトを与えることが予想される。18/3期の成長を加速することができるのか、大型マンションプロジェクトの今後の販売動向が注目される。
また、賃貸及び管理のセグメント利益の減益は先行投資負担の増加による一時的要因であり問題視する必要はなさそうである。賃貸及び管理事業セグメントは、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴う管理物件の取扱い件数の増加や中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加などから売上高が順調に拡大している。同社は、景気の好不況に影響を受けない安定的なストック収益の積み上げを目指しており、今後も中古住宅アセット事業や自社保有サービス付き高齢者向け住宅プロジェクトへ積極的な投資が予想される。積極的な先行投資負担を吸収して中期利益計画に沿った売上と利益が達成できるのか今後の賃貸及び管理事業セグメントの業績動向にも注目していきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書を2015年12月8日に提出している。

<その他>

コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方において、「株主の投資価値を高めるため、社長自らが、経営理念、事業目的、行動規範を明示し、「能力」と「熱意」と「考え方」の優れた企業貢献意欲の高い役職員が一致団結して同じ方向を向いて活動することが、業績向上のために必要不可欠な要素と考えております。」と述べている。

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