(2462:東証1部) ジェイコムホールディングス 2016年5月期第3四半期業績レポート

2016/04/27

JCOM

今回のポイント
・16/5期3Q(累計)は前年同期比67.1%の増収、同199.8%の経常増益。持分法適用関連会社だったサクセスホールディングス(株)を2015年7月に連結子会社化した効果に加え(保育関連サービス事業)、モバイルと光回線等とのセット販売の業務受託で総合人材サービス事業の売上が同25.8%増と伸長。利益面では、上記高収益案件の受託で総合人材サービス事業の利益が同50.6%増加した他、介護関連サービス事業の損失が前年同期の2億41百万円から58百万円に縮小した。・通期予想に変更はなく、前期比74.3%の増収、同214.3%の経常増益。販売業務案件をけん引役に総合人材サービス事業が売上・利益の両面で大きく貢献する他、介護関連サービス事業も入居率の向上と介護士の充足で黒字転換。営業利益が同141.4%増加する事に加え、保育関連サービス事業における設備補助金収入の計上で営業外収益も大幅に増加する。

・期末配当は1株当たり25円を予定しており、上場10周年の記念配5円を含めた10円の増配。上期末配当と合わせて年40円となる見込み(通期でも10円の増配)。また、今期より株主優待も実施する。期末の権利確定日に100株以上 500株未満保有の株主に、クオカード1,000円分を、500株以上保有の株主にクオカード2,000円分を、それぞれ進呈する他、100株以上保有の株主に、連結子会社(株)サンライズ・ヴィラが運営する介護施設の入居金割引券を進呈する(1枚につき1室分の30万円)。

会社概要

「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をグループの経営理念として掲げ、人生のどの段階においても必要とされる企業グループを目指して、保育・人材・介護サービスを営んでいる。

【事業セグメントとジェイコムグループ  -人に係る領域でこれから社会に必要とされる部分を追及-】

事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定・職業紹介等の総合人材サービス事業、介護施設運営の介護関連サービス事業、携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業、及び16/5期より新たにセグメントされた公的保育施設運営と受託保育の保育関連サービス事業に分かれる(2015年7月に保育事業を手掛けるサクセスホールディングス(株)等を連結子会社化)。

グループは、純粋持株会社である同社の他、連結子会社6社及び持分法非適用関連会社2社。連結子会社は、派遣や業務請負等の総合人材サービスと携帯電話キャリアショップの運営を手掛けるジェイコム(株)、事務職を中心とした人材派遣・人材紹介やビジネススクール事業を手掛ける(株)エースタッフ、介護施設運営の(株)サンライズ・ヴィラ、介護関連投資のACAヘルスケア・再編1号投資事業有限責任組合、及び2015年7月から連結したサクセスホールディングス(株)とその傘下で認可保育園等の運営を手掛ける(株)サクセスアカデミー。この他、ジェイコム(株)と携帯電話販売代理店最大手の(株)ティーガイア(東証1部:3738)の合弁会社(株)キャリアデザイン・アカデミーが、法人顧客向け研修サービスを提供している。

サクセスホールディングス(株)を2015年7月に連結子会社化し、16/5期第2四半期から損益を連結した。サクセスホールディングス(株)は15年度までは12月決算だったが、グループ入りに伴い、16年度から4月決算に変更する。このため、16/4期は4カ月決算となり、17/4期以降、本来の12ヶ月決算となる。ジェイコムホールディングス(株)の16/5期決算については、サクセスホールディングス(株)の15/12期第3四半期(7-9月)、同第4四半期(10-12月)、及び16/4期(1-4月)の10カ月間の決算が取り込まれる。

中期経営計画(15/5期~17/5期)と進捗状況

上記売上・利益計画の達成に向け、中期経営計画において、ジェイコムホールディングス(株)は、企業価値を早期に向上できる体制の構築を重点施策とし、グループ内での知識・ノウハウの共有と意思決定スピードの最大化に取り組んでいく。この一環として、ジェイコムホールディングス(株)の代表取締役社長である岡本泰彦氏が子会社各社の代表取締役を兼任する他、グループをあげてグループ内での活発な人事交流による知識・ノウハウの均一化に取り組んでいく。

事業別では、総合人材サービス事業において、教育・就業フォローを強化する事でサービス品質を向上し顧客・求職者双方の満足度を高め、就業者数の最大化を目指す。一方、保育関連サービス事業では、グループ内連携により保育士不足を解消し、24時間保育や英語教育等、利用者から選ばれる保育を目指す。介護関連サービス事業においても、グループ内連携により介護士不足の解消を図り、時間看護や看取り等利用者から選ばれる介護を目指していく。

【中期経営計画達成に向けた取り組み】
(1)グループ間連携

ジェイコムホールディングス(株)の代表取締役社長である岡本泰彦氏が会社各社の代表取締役を兼任すると共に、グループをあげてグループ内での活発な人事交流による知識・ノウハウの均一化にも取り組んでいる事は既に説明した通りだが、早くもその成果が現れている。具体的には、有資格、就業経験、週5日フルタイム勤務等、全ての条件を満たす人材の確保は難しいが、上記取り組みの一環として、グループ独自の研修体制を確立し、積極的にサポートする事で採用ターゲットを広げる(就業者数の最大化)事ができた。

(2)総合人材サービス事業

モバイル業界、アパレル業界、保育・介護業界、物流・コールセンター等、様々な業界が抱える課題である「人材確保」についてソリューションを提供していくと共に、教育研修により、未経験者の戦力化やキャリアアップを支援していく他、行政からの受託案件が多い(株)エースタッフや法人向けの(株)キャリアデザイン・アカデミーとのシナジーも追及していく。

また、改正労働者派遣法の施行も(2015年9月)、同社のビジネス展開に追い風となる。改正のポイントは、①労働者派遣事業の許可制への一本化(規模と質が求められる)、②労働者派遣の期間制限の見直し(業務単位⇒人単位)、及び③雇用安定措置の3点。総じて同社にポジティブな改正となった。

(3)保育関連サービス事業

質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指す。2015年7月に東証1部に株式を上場しているサクセスホールディングス(株)を公開買付により連結子会社化した。2015年12月現在、同社は、東京大学、大阪大学等の大学病院、企業、或いは学校内の保育施設176ヵ所を受託運営する受託保育事業と、認可・認証保育所、小規模保育施設、学童クラブ、児童館等の保育施設106ヵ所を運営する公的保育事業が2本柱。

受託保育事業においては、24時間365日の院内保育等多様な運営スタイルでの実績を活かし、適正価格での受託施設数の拡大に取り組んでいる。一方、公的保育事業では、サービス品質に加え、立地等のハード面でも利用者から長く選ばれ続ける保育施設の新規開設に注力している。

ジェイコム(株)との人事交流で、人材サービス企業の求人・採用・アフターフォロー等の知識・ノウハウを取り込み、保育士の確保につなげていく考え。一方、サクセスホールディングス(株)は、保育士試験講座の運営、潜在保育士・幼稚園教諭再就職促進事業等、行政からの受託により蓄積されたノウハウをグループに還元する。また、ジェイコム(株)は、サクセスホールディングス(株)が持つ保育事業者としての知識・ノウハウを活かしてマッチングやアフターフォロー等の機能を強化し、人材派遣・人材紹介の事業拡大につなげている。

(4)介護関連サービス事業

2013年10月に連結子会社化したサンライズ・ヴィラ(株)の収益力強化が着実に進んでいる。15/10期は、ジェイコム(株)からの出向者の採用責任者就任やジェイコム(株)での求人業務代行等が成果を上げ介護士が充足した事でサービス品質の向上に集中できた結果、入居率が大幅に改善し、期中に月次損益が黒字化した。16/10期は通期での黒字化が見込まれる。
尚、現在、21施設(デイサービス2施設含む)、1,123室を運営している。

2016年10月期以降、入居率は、ほぼ満室と言える97%を維持できる見込みで、ジェイコム(株)との連携による採用効率の向上で介護士も充足する(離職率や採用コストも減少傾向にある)。サービス品質の向上による一段の高収益体制の確立に取り組む他、その他経費の見直しによるコスト削減も進める。

中期的な人材確保

厚生労働省の推計によると、高齢化率がピークを迎える2025年には介護職員が37.7万人不足する見通し(経済産業省の推計では2035年に68万人の不足)。同社グループは、就業経験のない人材を社会で活躍する人材へと育成する独自のノウハウを活かして人材を確保していく考え。この一環として、外国人人材の活用と資格取得支援・教育・研修による未経験者の即戦力化に取り組んでいく。外国人人材の活用については、海外での人材確保と就業サポートの体制整備を進めていく考えで、外国人技能実習制度の見直し(介護職が追加され、期間も最大5年に延長)や外国人労働者の受入れ規制緩和策(現在、検討中)等が追い風になる。また、資格取得支援・教育・研修では、介護職員初任者研修講座を開設し、「働きながらの資格取得」を可能にした。スキル・経験不足等の課題解決をサポートし、介護人材を創出していく。

2016年5月期第3四半期決算
前年同期比67.1%の増収、同199.8%の経常増益

売上高は前年同期比67.1%増の217億49百万円。持分法適用関連会社だったサクセスホールディングス(株)を2015年7月に連結子会社化した効果に加え(60億45百万円の増収効果)、モバイルと光回線やタブレット等の副商材のセット販売業務の受託で総合人材サービス事業の売上が同25.8%増と伸長。介護関連サービス事業も、入居率の向上で給食会社を売却した影響を吸収して売上が同9.7%増加した。

利益面では、事業特性から原価率の高いサクセスホールディングス(株)を連結子会社化した影響があったものの、総合人材サービスをけん引役とする売上の増加と(株)サンライズ・ヴィラの入居率が計画を上回るペースで改善した事による介護関連サービスの原価率改善により、全体で見た連結ベースの原価率は83.8%と0.5ポイントの低下となった。総合人材サービスを手掛けるジェイコム(株)が前期に実施した人員増強やサクセスホールディングス(株)の連結子会社化等による販管費の増加を吸収して営業利益が7億75百万円と同2.8倍強に増加した。
最終利益が15億90百万円と同7倍弱に拡大したのは特別利益の計上による。サクセスホールディングス(株)が計上した退任役員に対する役員退職慰労金2億09百万円を特別損失に反映させたものの、持分法適用関連会社だったサクセスホールディングス(株)の連結子会社化に伴い発生した株式の段階取得に係る差益12億30百万円等を特別利益に計上した。

総合人材サービス事業は、顧客ニーズを現場オペレーションに反映した付加価値の高いサービスモデルの構築により長期の高収益案件(モバイルと光回線やタブレット等の副商材のセット販売業務)の取り込みに成功しており、売上が大幅に増加し、営業利益率も1.7ポイント改善した(8.5%→10.2%)。
保育関連サービス事業は、連結子会社化に伴い実施した本部体制のスリム化で販管費率が改善傾向にある。ただ、直近の10-12月期は、保育士確保・定着を目的にした処遇改善策の実施で一時的に原価率が悪化する中、補助金の入金が翌月にずれ込んだため、損益が悪化した。保育士確保力は着実に向上しており、公的保育所の新規開設が順調である。
介護関連サービス事業は、介護士の充足でサービス品質が向上した結果、入居率90%台に上昇し月次損益が黒字化した。尚、前期の第1四半期に給食会社を売却した事から前年同期比9.7%の増収にとどまっているが、この影響を除いた実質ベースでは前年同期比22.9%の増収である。

総合人材サービスの売上高は前年同期比25.8%増の114億43百万円。契約形態別では、抵触日を迎えた派遣社員の直雇用化に伴う手数料収入の計上がなかったため紹介予定・職業紹介の売上が減少したが、全国規模の大型案件の寄与で業務委託契約の売上が同2.3倍に拡大した他、保育・介護・販売分野における人材不足の深刻化を背景に派遣契約も同4.1%増加した。

業界別では、光回線とのセット販売等の業務委託契約を中心に携帯電話業界向けが同27.3%増加した他、サクセスホールディングス(株)のノウハウを活かしたマッチング力の向上で保育業界向けも69.5%増と伸びた。売上が減少した介護業界向けも、連結相殺された(株)サンライズ・ヴィラ向け売上85百万円を考慮すると、前年同期に比べて実質7百万円の増収。コールセンターや物流向けの好調で、その他の売上も同12.5%増加した。
尚、これまで情報通信業界向けの売上を開示してきたが、光回線等とのセット販売が主流となったため、当四半期より携帯電話業界向けの売上に内包し、「モバイル業界」と改称している。

株式公開買付けにより2015年7月3日付けで、持分法適用関連会社だったサクセスホールディングス(株)を連結子会社化したため、第3四半期末の総資産は210億41百万円と前期末に比べて117億62百万円増加した。流動比率160.3%(前期末194.9%)、固定比率192.5%(同92.1%)、自己資本比率29.7%(同53.1%)。

2016年5月期業績予想
通期予想に変更はなく、前期比74.3%の増収、同214.3%の経常増益

売上高は前期比74.3%増の315億円。今期からセグメントされた保育関連サービス事業が100億円の増収要因となる中、下期もセット販売業務の受託案件がけん引する総合人材サービス事業の売上が158億円と同26.0%増加する他、入居率の向上で介護関連サービス事業の売上も50億円と同10.1%増加する見込み。

利益面では、高収益な上記受託案件の寄与で総合人材サービス事業の収益性が改善する他、介護関連サービス事業も営業損益が黒字転換。保育関連サービス事業の利益も上乗せされ、営業利益が同2.4倍の11億35百万円に拡大。保育関連サービス事業における設備補助金収入の計上で営業外収益が大幅に増加する他、サクセスホールディングス㈱の連結子会社化に伴う特別利益の計上で最終利益は19億80百万円と同6倍弱に拡大する見込み。

(2)株主還元
配当は10年増配の年40円

期末配当は1株当たり25円を予定しており、期初予想の15円から10円増額した(前期下期の実績は15円)。増配する10円のうち5円は好調な上期業績を踏まえたもので、残る5円は2015年12月8日に上場10周年を迎えた事に伴う記念配当である。上期末配当と合わせて年40円となる見込み(前期との比較で10円の増配)。
尚、同社は連結配当性向35%以上を目標とし、中間配当及び期末配当の年2回配当を実施している。

株主優待制度(16/5期より導入) クオカード及び介護施設の入居金割引券の進呈

2016年5月末日現在の株主名簿に記録された、同社株式100株(1単元)以上を保有している株主を対象に株主優待を開始する。
具体的には、100株以上 500株未満保有の株主に、クオカード1,000円分を、500株以上保有の株主にクオカード2,000円分を、それぞれ進呈する。
また、100株以上保有の株主に、連結子会社(株)サンライズ・ヴィラが運営する介護施設の入居金割引券を進呈する(1枚に付き1室分の利用で30万円割引。有効期限:2018年8月末日)。

今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高69.0%、営業利益68.3%、経常利益59.2%。総合人材サービス及び介護関連サービスは売上・利益共に計画通りの進捗だが、保育関連サービスは、売上が計画を上回るペースで進捗する一方、次期以降の先行投資として12月に保育士の臨時昇給等の処遇改善を実施した事や補助金の入金が次月にずれた事から9-12月の利益が計画を下回ったと言う。
もっとも、16/5期の着地に不安は少なく、来期の見通しも明るい。総合人材サービス事業は、ゼロ円端末廃止の影響を吸収するべく、携帯キャリア各社が各種キャンペーンを強化している事に加え、モバイルと光回線やタブレット等の副商材とのセット販売業務も続く。保育関連サービス事業では、国や地方自治体が保育士の処遇改善を念頭に、保育士の給料への上乗せや配置基準を上回る職員の雇用等を条件にした補助金を強化しており、同社にグループにとって追い風が吹いている。また、介護関連サービス事業は子会社が既に単月黒字に転換しておりモーメンタムは良好だ。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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