(7839:東証1部) SHOEI 東京モーターサイクルショー見学レポート

2016/04/13

SHOEI

3月25日(金)から3月27日(日)にかけて、江東区有明の東京ビッグサイトにおいて「第43回東京モーターサイクルショー2016」が開催されました。東京モーターサイクルショーは、春のバイクシーズンに先がけて毎年3月下旬に開催されるオートバイと関連アクセサリーの見本市であり、例年、国内外の車両メーカー、販売代理店、パーツ・アクセサリー関連企業等、100社以上が出展し、10万人以上の来場者を集めています(モーターサイクル関連の展示会では国内最大の規模を誇る)。
高品質・高付加価値の「プレミアヘルメット」が世界の有力ライダーから高い評価を受けているヘルメット・メーカー SHOEI のブースを訪ねてみました。2016年9月期第1四半期決算の概要と共にご報告致します。

「東京モーターサイクルショー」は、オートバイ産業の振興と文化の育成・普及を目的に1971年(昭和46年)に第1回が開催された。「第32回大阪モーターサイクルショー2016」と連動している(3月19~21日)。

第43回東京モーターサイクルショー2016 -3日間で13万人が来場-

2016年のモーターサイクルショーには、ホンダ、カワサキ、ヤマハ、スズキといった国内の車両メーカー、ドゥカティ(伊)やハーレーダビッドソン(米)等の海外車両メーカー、パーツ・アクセサリーメーカー、関連団体、更には出版社など121社が出展し、132,575人(前年比0.2%増)の来場者を集めた。初日の特別公開の時間に取材を決行したが、写真を撮るにも、周囲に気を使わなければならないほどの盛況だった。

「プレミアヘルメット」のSHOEIブース

同社のブースはヘルメット・メーカーのブースとしては大きく、また、白を基調とし、隅々まで十分な照度が確保されているため展示品が見やすく、シンプルではあるが、しっかりと自己主張がなされていた。製品の展示は、今春発売の新製品の一つである「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」を前面に出し、「Z-7」、「GT-Air」、「J-Cruise」、「J-FROCE IV」といった売れ筋商品が脇を固めるといった構成。また、レトロ調のバイク人気をとらえて開発したもう一つの新製品「J・O」も異彩を放っていた。山田会長と平野取締役経営管理部長、更にはスタッフの皆さんにお話を伺った。

主役は2016年のバイクシーズンに向けた新製品「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」と「J・O」

今年の主役は、同社のフラッグシップレーシングモデルとして日本、欧州、及び北米の世界3極で販売する「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」と同社にとって新しいカテゴリーのモデルとして日欧で投入する「J・O」。

X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)

レーシング性能を極限まで追求した「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」は、オンロードフルフェイスタイプで、同社のフラッグシップレーシングモデルとの位置付け。MOTO GPチャンピオンのマルケスをはじめ、国内主力契約ライダー数名がテスト走行に参加し、一様に出来栄えを称賛。特にマルケスは空力性能を高く評価したと言う。また、昨年10月に米国フロリダで開催されたAmerican International Motorcycle Expo(AIM Expo)でも大きな反響を呼んだ。

日本では、4月以降、販売を開始し、メーカー希望小売価は60,000円。北米も「X-14」として販売され、メーカー希望小売価格は681.99~839.99USドル(税抜き)。一方、欧州では、「X-Spirit III」として販売され、メーカー希望小売価格(ドイツ・フランス)は699.00~869.00ユーロ(税込み)。尚、日米と欧州でモデル名が異なるのは、従来から販売しているシリーズ名に準ずるものによる。

X-14 の安全基準について
日本向けはレースモデルであることから、JIS規格と共に米国向けと同様にスネル規格を取得しているが、米国向けはDOT規格とスネル規格、欧州はECE規格となる。

レーシングポジションを科学し、高速走行時の空力性能に磨きをかけたエアロフォルム

サーキットユースに重点を置き開発した「X-14」は、ライダーが強く前傾したライディングポジションをベースポジションに設定し、そのポジションでヘルメット前頭部から後頭部、そしてレーシングスーツ背面へと流れる走行風を風洞実験で科学的に解析し、シェルのデザインを完成させた。風洞実験による比較では従来比で(X-Twelveとの比較)、上方に浮き上がろうとするリフト:-3%、前方から押し付けられるドラッグ:-10%、高速走行時にヘルメットが振られる原因となる回転方向のヨーイング:-50%という数値を達成しており、首にかかる負担を大きく軽減。シェルの表面に施されたエッジ&シェイプ、コンディションに応じて交換可能なリアフラップを装備したリアスタビライザー、ロアエアスポイラーといった、空力特性を高めるための細かい工夫がなされている。

ティアオフフィルム(使い捨てシールド)の装着に対応する2次曲面のCWR-Fシールドを採用

新開発の2次曲面シールド「CWR-F」は、部位に応じて微妙な曲率や厚みを最適化する事で徹底的に光学特性を高めたポリカーボネイト製。自然でクリアな視界の確保はもちろん、シールド剛性を高める事で高速走行時のシールドのたわみやよじれも解消した。QR-Eシールドベースとのコンビネーションによる簡単確実な着脱や可変軸ダブルアクション機構による高い気密性も特徴である。

ライディングポジションにあわせて2段階に内装の被り角度を調整可能

サーキットユース(レーシングマシン)だけでなく、アップライトな乗車姿勢のネイキッド(汎用の公道用オートバイ)での使用も配慮されている。上半身が前傾するレーシングマシンと前傾姿勢をとらないネイキッドでは、おのずとヘルメットの位置する角度が異なる(前傾姿勢の強いスーパースポーツは、ネイキッドに比べて、上方視界が狭くなる)。この点に着目し、「X-14」はライディングポジションにあわせて2段階に内装の被り角度を調整する事が可能。チークパッドとセンターパッドの装着位置を変更する事で、被り角度が標準ポジションに対して前方に約4度回転させる事ができる。

J・O(日本、欧州)

ENJ・OY THE RIDE! ファッショナブルでありながら機能性と安全性が両立した新たなスモールジェット。「J・O」はインナー収納シールド付きオープンフェイスタイプのヘルメットで、ターゲットはカスタムバイクやクラシックバイクのユーザー。バイクメーカーがレトロ調の新モデルを相次いで発表している潮流をとらえて開発したモデルであり、コンセプトは従来のSHOEIにない“軽量、コンパクト、ファッションオリエンティッド”。同社にとって新しいカテゴリーのモデルであり、11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMAショー(ミラノショー)」では、驚きと好感を持って迎えられたと言う。

欧州では、2016年3月以降、順次発売され、メーカー希望小売価格(ドイツ・フランス)は329.00~379.00ユーロ(税込み)。日本では、2016年春の販売開始を予定している(メーカー希望小売価格:32,000円)。安全基準の関係から軽量化・コンパクト化が難しいため、米国では販売しない。

フォルム  コンパクトさを重視したシェルデザイン

フォルムは装着時のスマートさを際立たせるための工夫がなされており、オープンフェイスのオーソドックスなスタイルを採用しながらも後頭部のダックテールシェイプは、クラシカルな中にも個性を求める「J・O」ならではのデザインを取り入れた。

シールド  J・O専用設計のCJ-3シールド

J・O専用設計のCJ-3シールドは、ファッションの一部として溶け込む事を重視しつつも、安全性と快適性を追求した。具体的には、クラシックなスタイルをイメージしながらバブルシールドを思わせる雰囲気を取り入れる一方、大きく湾曲した形状でありながらも、シールド各部位の厚さや微妙な曲率を追及する事で自然でクリアな視界を作り出している。加えて、形状や開閉角度は、ライダーの顔に加えてメガネやサングラス着用時の干渉を避けながらも、巻き込み風を最小限に抑える事を重視してデザインされている。

また、人によっては、シールドが顔や鼻に当たってしまうため、顔や鼻の形に合わせて両サイドのプリセットレバーを操作してシールド下端のポジションを3段階(点線の位置)に調整する事ができる。また、シールドの開閉は左右のノブで直接操作可能である。下手にシールドをつけると、シールド内部に走行風を巻き込んでしまい、目に風が当たってしまうため、このタイプのヘルメットの場合、シールドの無いタイプが多い。「J・O」はシールドの形状を工夫する事で、走行風が両サイドに流れるように設計されている。

根強い人気の既存製品

「J-FROCE IV」や「HORNET ADV(ホーネット エーディーブイ)」(2015年発売)、「Z-7」(2014年発売)、「GT-Air」(2013年発売)、「J-Cruise」(2012年発売)等の既存製品もシーズン毎にデザインが変わる事もあり、根強い人気がある。同社は上期の業績予想を上方修正したが、そのけん引役はこうした既存製品群である。

他社のラインナップ
ARAI(希望小売価格50,000円)   KAKUTA(希望小売価格36,000円)
2016年9月期第1四半期決算及び業績予想
16/9期第1四半期は前年同期比1.1%の減収ながら、同18.9%の経常増益

売上高は前年同期比1.1%減の25億60百万円。代理店(Distributor)の在庫調整で北米向けが同51.0%減と大きく落ち込んだものの、国内が同49.2%増と伸びた他、中国を含むアジアや南米等のその他地域の売上も同27.0%増加。欧州は、ドイツの大規模ディーラーの調整の影響を大きく受け同4.5%の減収となったが、全般に回復基調にある。
利益面では、売上の減少と対ユーロでの円高の進行で原価率が57.1%と1.7ポイント低下し売上総利益が同5.0%減少(前年同期の売上総利益率が特に高かった反動もある)。変動費を中心に販管費が減少したものの、営業利益は4億51百万円と同5.8%減少した。ただ、為替差損益の改善(△62百万円→37百万円)で経常利益は4億95百万円と同18.9%増加した。

期中の平均為替レートは、1USドル=121.92円(前年同期117.48円)、1ユーロ=132.41円(同144.32円)。海外子会社換算レートは(2015年9月30日現在)、1USドル=119.96円(同109.45円)、1ユーロ=134.97円(同138.87円)。

上方修正された上期予想は、前年同期比1.6%の増収、同1.1%の経常減益

第1四半期決算発表と共に上期の業績予想を上方修正した。北米を除く各地域で堅調な販売が続いており、売上高が期初予想を上回る見込み。利益面では、販売数量の増加に伴う生産数量増で原価率が期初の想定を下回る事、及び販管費の一部が先送りさる事が上振れ要因。

上期予想の前提為替レートは(期中平均)、1USドル=117.00円(前年同期118.80円)、1ユーロ=127.00円(同139.24円)。海外子会社換算レートが、1USドル=120.61円(同120.55円)、1ユーロ=131.77円(同146.54円)。もっとも、ユーロについては、当期所要額の大半を1ユーロ=135.62円で為替予約済みである。

通期予想に変更はなく、前期比1.2%の増収、同17.5%の経常減益

通期予想については、「為替相場及び下期の販売動向等で先行き不透明な部分がある」、として期初予想を据え置いた。想定為替レート(期中平均)は、1USドル=120.00円(前期120.04円)、1ユーロ=132.00円(同137.48円)。ただ、既に説明した通り、ユーロについては当期所要額の大半を1ユーロ=135.62 円で為替予約済みである。設備投資11億13百万円、減価償却費6億30百万円。

配当は1株当たり期末62円を予定している。

今後の注目点
サーキットユースに重点を置いて開発された「X-14」と“ENJ・OY THE RIDE !”をコンセプトに開発された「J・O」と言う対照的な2つのモデルが今シーズンの新製品である。発売を直前に控えて共に前評判は上々で、ネットでも注目されているようだ。女性の多さが目に付いた今回のモーターサイクルショーだが、同社のブースでも上記の新製品については、手に取り、試着する女性の姿が多くみられた。今後の業績への寄与が期待される。尚、3月で16/9期第2四半期が終了するが、足元、国内が極めて好調だ。インバウンド需要も好調だが(全体の3~4%程度)、けん引役は純粋な国内需要。シニアのバイク愛好家の需要が回復しているという見方があり(暫くバイクから離れていた愛好家の復帰)、また、一部の販売店で実施しているフィッティングサービスも好評なようだ(店頭で採寸して、頭にフィットするようにインナーをセッティングしてくれる)。欧州は、第1四半期苦戦の原因となったドイツの大規模ディーラーの調整が12月でほぼ終わり、1月以降、回復基調にあるようだ(ドイツは子会社経由でディーラーに販売しており、子会社は6月決算)。中国は販売チャネルを強化した効果が現れており、未だ水準は低いものの、前年同期比3倍増と想定を上回って推移している模様。富裕層にプレミアムヘルメットが人気のようだ(つまり、単価の低い製品が売れている訳ではない)。一方、北米は今しばらく調整が続く見込み。北米経由で南米に出荷されていたものもあり、南米経済の不調の影響も少なからず受けているようだ。ただ、北米の苦戦は業績予想に織り込み済みである。
生産面では、国内、欧州、その他地域の好調を受けて工場はフル稼働の状態。本来は休日である土曜日も月の過半は稼働しており、6月頃まで受注残の消化に追われそうだ。7月以降はグラフィックを一新した旧モデルの新製品の生産が始まるため、期を通して高水準な生産が続く。
通期業績を考える上で対ドルでの想定を上回る円高の影響が懸念されるが(ユーロについては当期所要額の大半を1ユーロ=135.62 円で為替予約済み)、想定を上回る高水準の生産効果で吸収できそうだ。
株式会社インベストメントブリッジ
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