(9445:東証2部) フォーバルテレコム 2016年3月期第3四半期業績レポート

2016/03/16

ForvalTelecom

今回のポイント
・16/3期第3四半期は前年同期比12.7%の増収、同12.1%の経常増益。売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、大口案件の受注が増加したドキュメント・ソリューション事業と一人当たりの営業効率が拡大したコンサルティング事業においても増加した。利益面では、先行投資により人件費や契約獲得に伴う先行コストが増加したもののドキュメント・ソリューション事業の利益率改善が大きく寄与した。・16/3期の会社計画は、前期比9.8%の増収、同14.5%の経常増益の期初予想から変更なし。ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット関連やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、新サービスiSmartひかり(光コラボレーションモデル)・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の底上げを図る。また、配当も15/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円の期初予想を据え置き。

・近年通話系ストック収益の減少をネット系のストック収益の増加でカバーする傾向であったが、通話系ストック収益の増収増益基調が鮮明となってきたことで、今後IP&Mobileソリューション事業の成長性が高まるものと期待される。また、保険業法改正に伴う組織体制の変更により収益性が悪化したコンサルティング事業においても、概ね体制整備も完了したことから、今後再び売上拡大と生産性の向上により収益性が高まってくるものと思われる。今後のIP&Mobileソリューション事業とコンサルティング事業のセグメント利益の改善状況が注目される。

会社概要

中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(15/3期はフォーバルの連結売上高の25.8%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社。

【事業内容と企業グループ】

同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率25%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。

主要なサービスの概要
(1)IP&Mobileソリューション
AmaVo

新たに提供を開始したサービスであり、iSmartひかり(同社NTT光コラボ回線)専用の法人向け電話サービス。同社が新たに開始したIP電話の「新しいあたりまえ」。AmazingVoIP(驚くべきVoIPサービス)の頭文字をとってネーミングされた。

i-Smartひかり

NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。

iSmart接続-Fひかり

iSmart接続-Fひかりは、法人向けに提供している高品質なインターネット接続サービスを、個人でも利用しやすいように、サービス価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
(サービスプラン)

メールアドレス10個、1GBのホームページ、スパムフィルタ、メール転送などがずっと無料なのが特徴。

(2)セキュリティコンサルティング
プライバシーマーク(Pマーク)や各種ISOのコンサルティング

認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを実施。

(3)ペーパレスソリューション
おまか請求

請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。

ワンビリングサービス

複数サービスの請求書をひとつにまとめて請求するサービス。請求書が何通も届くことなく、1請求書にまとめて請求される。請求書を一本化することで、各社からの請求書の煩雑さの解消や事務処理の簡素化が図られるなど、業務効率が向上する。

2016年3月期第3四半期決算
前年同期比12.7%の増収、同12.1%の経常増益

売上高は前年同期比12.7%増の101億15百万円。売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、大型案件の受注が増加したドキュメント・ソリューション事業と一人当たりの営業効率が拡大したコンサルティング事業においても増加した。
営業利益は同1.4%増の4億54百万円。先行投資により人件費や契約獲得に伴う先行コストが増加したIP&Mobileソリューション事業や保険業法改正に対応するコストが増加したコンサルティング事業において減少したものの、大型契約の計上によりドキュメント・ソリューション事業の利益率が大幅に向上した。IP&Mobileソリューション事業においても収益性の高いネット系のストック収益(「iSmart接続」)の売上が増加したことにより売上総利益率は、30.7%と前年同期比5.4ポイント高まった。一方、先行投資による人件費の増加やISPサービスの獲得に伴う営業費用(前払販売奨励金の償却費)の増加などにより、売上高対販管費比率は、26.2%と同5.9ポイント上昇した。また、営業外収益で違約金収入51百万円(前年同期は17百万円)が発生したことや、営業外費用で前年同期に発生した持分法による投資損失29百万円が今四半期に減少したことなどにより経常利益は同12.1%増の4億83百万円となった。その他、特別損益の大きな計上はなかった。

連結の売上総利益は8億35百万円増加し、売上総利益率も5.4ポイント上昇。個別ベースの売上総利益は、通話系サービスにかかる課金収入の底打ちに加え、ネット系他のストック収益が増加したことから、全体として3億73百万円増加した。また、子会社の売上総利益は、4億61百万円の大幅な増加。

販管費は、人件費やIP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(「iSmart接続」)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費の増加などにより8億29百万円増加した。

IP&Mobileソリューション事業 売上高69億2百万円(前年同期比11.1%増)、セグメント利益1億5百万円(同29.7%減)

主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。新サービスの提供(光コラボ・AmaVo)や収益性の高いISPを主体とするネット系ストック収益(iSmart接続)が増加したことから増収となったものの、契約獲得にともなう先行コストが先行したことなどにより減益となった。

ドキュメント・ソリューション事業 売上高13億96百万円(前年同期比18.3%増)、セグメント利益2億14百万円(同71.0%増)

主にオン・デマンド印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。受注単価は減少傾向である一方、大型案件の受注増加とコスト削減に努めたことにより収益性が高まった。

コンサルティング事業 売上高18億15百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益1億48百万円(同19.7%減)

主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。主に、㈱保険ステーションが一人当たりの営業効率が向上し売上が拡大したものの、保険業法改正に伴う体制整備による人件費の増加などにより減益となった

15/12月末の総資産は、15/3期末比10億47百円増の66億39百万円。資産サイドでは現預金、前払費用、未収入金、長期前払費用等が、負債・純資産サイドでは、短期借入金が主な増加要因。15/12月末の自己資本比率(自己資本=株主資本+評価・換算差額等)は28.6%と15/3期末の32.9%から低下した。

2016年3月期業績予想
前期比9.8%の増収、同14.5%の経常増益

売上高は前期比9.8%増の136億円の期初計画から変更なし。売上高は、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット系ストック収益やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、新サービスiSmartひかり・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の底上げを図る計画。
営業利益は、同8.3%増の6億30百万円の計画。利益面は、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業、ドキュメント・ソリューション事業、コンサルティング事業の全分野で増加する計画。販管費において人件費やISPコールセンター費用の増加が一服するものの、引き続き積極的な販売奨励金の増加が見込まれることから、売上高営業利益率は4.6%と前期比0.1ポイント低下する一方、前期計上した固定資産売却損が減少することから、売上高当期純利益率は高くなる計画となっている。
配当も15/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円(株式分割考慮後)の期初予想を据え置き。

売上高、利益ともに、例年第4四半期のウエイトが高い。概ね、会社計画並みに推移している模様。

(2)16/3期の戦略
①AmaVo&iSmartひかりの拡大を通じて通話系のストック収益の底上げを図る
NTT光コラボレーションモデルを活用した通信サービスにより料金のさらなる低額化・短納期を既存・新規の販売パートナー群と協業して実現する。
②iSmart接続-Fひかりの拡大
基幹商材として販売チャネルの更なる拡大を図るなどマス市場で攻勢をかける。
③おまか請求の拡大
顧客登録や受注登録から請求・回収・督促まで請求に係る周辺業務代行とWEB提供により、「選ばれるサービス」を作り続ける。
④コンサルティングの拡大
保険サービスの契約数の増加を図るとともに、マイナンバー制度導入・個人情報保護法改正に対応し認証維持・更新コンサルの拡大を図る。更に、対応ISO規格の拡充を図る。
今後の注目点
同社の16/3期連結累計期間の決算の評価ポイントとして、新サービスiSmartひかり・AmaVoの寄与などにより通話系ストック収益において増収増益基調が定着してきたことがあげられる。加えて、保険業法改正に伴うコストアップ要因があるものの、一人当たりの営業効率の向上でコンサルティング事業の売上が大きく伸びている点もあげられる。IP&Mobileソリューション事業は、近年通話系ストック収益の減少をネット系のストック収益の増加でカバーする傾向であったが、通話系ストック収益の増収増益基調が鮮明となってきたことで、今後IP&Mobileソリューション事業の成長性が高まるものと期待される。また、保険業法改正に伴う組織体制の変更により収益性が悪化したコンサルティング事業においても、概ね体制整備も完了したことから、今後再び売上拡大と生産性の向上により収益性が高まってくるものと思われる。今後のIP&Mobileソリューション事業とコンサルティング事業のセグメント利益の改善状況が注目される。
こうした一方で、今期の業績を牽引したドキュメント・ソリューション事業において受注単価が減少傾向にあることは気がかりである。中国景気の減速や円高の進行を受け国内製造業を中心に成長に陰りが見え始めてきた中、同事業にも悪影響を及ぼさないか注意が必要である。また、ネット系ストック収益の拡大のための積極的な販売奨励金の支払いにより引き続き有利子負債が増加している。売上総利益の増加が先行投資負担の増加を上回り始めると、キャッシュフローの改善をもたらすものと期待されるものの今しばらく時間がかかりそうである。今後のドキュメント・ソリューション事業の収益性やキャッシュフローの動向にも注目したい。
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