(6745:東証1部) ホーチキ 2016年3月期第2四半期業績レポート

2016/03/09

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今回のポイント
・16/3期第2四半期の売上高は前年同期比3.9%増収の308億35百万円。国内売上高は横這い。火災報知設備、保守等が増収、消火、トンネル、放送は減収。海外売上は2ケタ増収となった。採算の良いリニューアル部門売上高が好調だったこと、海外売上の伸びで原価率が大幅に改善。販管費も増加したが粗利益で吸収し、営業利益は同455.6%増の13億88百万円と大幅に増加。ただ、無線式火災報知設備機器の不具合が見つかり、点検・交換を行う事となったため引当金18億50百万円を特別損失として計上する事となったため四半期純利益は2億4百万円の損失となった。期初計画に対しては利益率の改善で営業利益、経常利益は大きく上回った。

・営業利益、経常利益の通期見通しを上方修正した。売上高は据え置きで、前期比4.0%増の730億円の予想。国内は火災報知機(新築)が好調な他、前期減収だった火報リニューアル、メンテナンスとも増収の見込み。海外も、欧州/中東/アフリカを中心に2ケタ増収を見込む。火災報知機新築が増加し、リニューアルの構成比も上昇し利益率が改善。開発投資が増加するがコストコントロールを進め、営業利益は同40.0%増の44億円を見込む。配当は前期と同じく15.00円/株を計画。予想配当性向は21.8%。

・リコール問題はあったものの、リニューアルおよび海外売上の伸長で、大幅な増益となった。
特に海外売上は全ての地域が2ケタ増収で海外売上比率は18.0%と、中期経営計画で掲げている2018年3月期 19.0%に迫る勢いであり、下期及び来期の趨勢が注目される。また、同社では「メーカー」として競争力のある製品をどれだけ数多く開発できるかが今後の成長に不可欠と考え、要素技術の取り込みを中心とした研究開発体制強化にも取組んでいるという。その詳細についても次回以降のレポートで取材したい。

会社概要

火災報知システムを中心に、消火設備、セキュリティシステムなども手掛ける総合防災企業。1920年、日本で初めて火災報知機を設置するなど、日本の防災業界を常にリードしてきた。安定したキャッシュを創出するビジネスモデル「お客様循環サイクル」が強み。海外市場開拓に注力中。ALSOK、BOSCH、三和シヤツター工業などとのアライアンスにも積極的。

【沿革】

大正時代に入り日本の近代化が急速に進行する中、首都・東京における適切な防災システムが必要となった。当時欧米には既に火災報知システムがあったが高価で十分な数を輸入する事は難しかったため、国産化することとなり、東京市が主導し、損害保険会社13社が出資して1918年(大正7年)に設立されたのが同社である。1920年(大正9年)には日本で初めての公衆用火災報知機を日本橋に設置した日本の防災業界の草分け的存在である。その後、関東大震災や第2次世界大戦時に設置されていた公衆用火災報知機が殆ど焼失するなど大きな被害を受けるなど多難の時代もあったが、人命と財産を守ることをミッションとして、その時々の防災需要に対応した製品を開発してきた。2018年4月に設立100周年を迎える。

こうした、防災・安心・安全に対する意識は社員一人一人にDNAとして浸透しているという。

【市場環境】

同社の主力製品である火災報知システムは、主としてオフィスビル、倉庫、工場などに導入される。
建設経済研究所の調査によれば、民間非住宅分野の建築着工床面積はリーマンショックによって大きく落ち込んだものの、その後緩やかながらも回復傾向にある。特に直近では倉庫や工場への投資が活発化しているという。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け首都圏を中心とした建設ブームも予想される。

ただもう少し長いスパンでは、建設市場は縮小傾向にあると言われているが、一方で、「リニューアル需要」も同社にとって重要なターゲットとなる。
国土交通省の調べによると、2013年度の非住宅を対象としたリニューアル市場の市場規模は約6.2兆円でここ数年増加傾向にある。建設バブル期に同社が納入した機器のリニューアル需要が継続しており、事業環境は比較的良好と見られる。

また、消防法の改正も市場に与える影響が極めて大きい。
直近では2006年6月の改正により住宅用火災警報器設置が義務化された。新築住宅のみでなく既存住宅でも、戸建住宅や、自動火災報知設備が付いていない共同住宅は最短で2008年5月中まで、遅くても2011年5月中までに設置する事が義務付けられ、この結果設置率は約75%まで高まっている。
こうした機器のリニューアルも有望市場である。

◎シェアおよび同業他社比較
火災報知システムに関するシェアを見ると、同社はトップの能美防災株式会社(6744、東証1部)に次ぐ第2位となっており、その後にニッタン株式会社(非上場)、パナソニック(6752、東証1部)が続く。
2014年における火災報知システムの受信機市場を見ると、大規模ビル市場においては、同社は40%のトップシェアを有し、小・中規模ビル市場においては14%で第2位となっている。(いずれも同社推定。数量シェア)

火災報知機市場における参入障壁は高い。理由の一つは日本の消防法。日本独自の規格や仕様が求められており、海外からの新規参入は難しい。また新規参入企業が市場シェアを奪うには、製品の販売のみにとどまらず、実際の設置・施工、その後の点検までを全国レベルで行うことのできる体制が必要であり、投資対効果という観点からは極めて難しいと考えられる。

下記は防災関連の上場企業である。今期営業利益はホーチキが唯一2桁増益であるが、売上高営業利益率、ROEは低水準にとどまっている。収益性の向上が同社の課題といえよう。

【事業内容】

火災報知システムを中心に、消火システム、情報通信システム、セキュリティシステム、など、人命と財産を守るための各種製品やシステムを開発・製造・販売している。
また、コンサルティング、エンジニアリング、設計・施工、メンテナンスも手掛けている。
事業セグメントとしては「防災事業」と「情報通信事業等」の2つ。防災事業には「火災報知設備」、「消火設備」、情報通信事業等には「情報通信設備」、「防犯設備等」のサブセグメントがある。2015年3月期の売上高、セグメント利益は以下の通りである。

『防災事業』
<火災報知設備>

火災報知設備における主要な製品やシステムには以下のようなものがある。

◎火災報知システム

同社の主力分野。火災やガス漏れの発生を確実に発見し、ビルの管理センター、消防署、住民、施設の利用者等に迅速に報知する。
下記のような各種機器設備を開発・製造・販売している。

◎火災感知器

火災の発生をいち早く感知するセンサーが、火災感知器。代表的な自動火災感知器は、温度の上昇により火災の発生を感知する「熱感知器」と煙の粒子に光を反射させて煙の発生を感知する「煙感知器」。その他、火災を発見した人が発生を知らせるための発信機もある。また、同社は業界に先駆けて、無線式自動火災報知設備を商品化している。

◎受信機

建物の火災において、感知器や発信器から火災が発生したという火災信号を受け、管理センターの担当者に火災の場所を示し、警報ベルを鳴らすのが受信機。火災報知システムの心臓部と言われている。
建物の構造や大きさによって、設置された感知器など構成機器の接続数が異なるため、「P型」と「R型」の2種類がある。

*P型受信機(Proprietary Type)
P型受信機のPは「Proprietary」の略である。
P型受信機は、火災信号もしくは、火災表示信号を共通の信号として、または設備作動信号を共通もしくは固有の信号として受信し、火災の発生を防火対象物の関係者に報知するものと定義されているとともに、それぞれの回線に対して表示灯が設けられている。

火災発生の感知をある一定区域(警戒区域)ごとに1回線で区別している。このため、火災発生の信号を受ける受信機は発生区域が分かるように全回線分の表示窓を設けている。回線が増えると配線本数・表示窓スペースも増えるなるため、小規模な建物に適している。

*R型受信機(Record Type)
R型受信機のRは「Record」の略である。
R型受信機は、火災信号、火災表示信号もしくは、火災情報信号を固有の信号として、または設備作動信号を共通もしくは固有の信号として受信し、火災の発生を防火対象物の関係者に知らせるものと定義されているとともに、液晶表示画面が設けられている。

感知器などからの火災信号を個別に配線した伝送路で一度中継器に送り込む。中継器と受信機に間は共通の伝送路を使用して信号を送り、受信器に入ってきた信号の記録符号を見ればどこからの火災信号であるかがわかる。
受信機からは「呼び出しパルス」という信号が短時間内に繰り返し発信されており、中継器の番号と一致したときに必要な情報を短い時間で受信機に送り返す。
このため、少ない配線数で多くの情報を通信できるとともに、将来増改築が予想される場合でも変更が必要な箇所のみの配線改修工事をすれば済むといったメリットがある。全回線分の表示窓を設置する必要が無いため、大規模な建物に適している。前述のように、R型が使用される大規模市場では同社がトップシェアを有している。

<消火設備>

主な製品、システムは以下の通り。

◎消火システム

各種スプリンクラー、屋内・屋外消火栓設備、泡消火設備、ガス系消火設備、その他大規模空間向け放水銃などがある。

放水銃は主としてドーム施設、大規模展示場、空港などで採用・設置されている消火設備で、100メートル程度水を飛ばして消火を行う。採用第1号案件である1988年竣工の東京ドーム以降、2014年までに301台の納入実績がある。

「情報通信事業等」
<情報通信設備>

災害時の緊急情報を各世帯に一斉放送する音声告知放送システムは、既設の共同受信設備を利用するため工事は簡単でローコストでの設置が可能。
安全・快適な生活環境を提供する屋内弱電システムには、共同住宅、テナントビル、病院、デパート、ホテル等を対象としたインターホン設備や非常用放送設備などがある。
また、防災・防犯分野で培ったノウハウと最新技術の融合によるネットワークカメラシステムは様々な状況に合わせて適切な監視を行うことができる。

<防犯設備等>

サーバールーム、倉庫、テナントビル、オフィスビルにおける出入管理システムは、1扉のみの管理から一括管理まで顧客のニーズに合わせて簡単に導入・運用が可能。

【国内ネットワークおよび営業体制】

2015年3月末現在、グループ会社4社および36の営業拠点を有して全国をカバーしている。
ビル建築にあたっては、通常、発注者である施主、ゼネコン、サブコン、建築設計事務所、各種代理店など様々なプレーヤーが関与する。最終的な発注は、サブコンからなされることが多いが、確実に受注を獲得するには各階層全般に営業を行う必要があり、各階層毎に担当営業が情報収集や提案を行っている。

【アライアンス】

顧客ニーズへの対応、収益機会拡大のために、各企業とのアライアンスを積極的に展開している。

*綜合警備保障株式会社(ALSOK、2331、東証1部)
2003年、資本業務提携契約を締結。ALSOKが手掛けるビル総合管理案件における防災部門をホーチキが請負ったり、ホーチキがメンテナンス契約を締結しているビルにALSOKのセキュリティシステム導入を提案する。2015年3月末現在、ホーチキ株式4,380株を保有。保有比率15.01%。

*Robert Bosch(ドイツ)
2006年、資本業務提携を締結。ドイツを本拠とする自動車部品と電動工具のメーカーであるRobert Boschの中国工場にホーチキの火災感知器の生産委託を行っている。またホーチキ製品を米国市場でOEM供給しているほか、世界シェア第3位であるRobert Bosch製ネットワークカメラの日本における販売代理店の1社ともなっている。
2015年3月末現在、ホーチキ株式3,963株を保有。保有比率13.58%。株主名は、ロバートボッシュインベストメントネーデルランドビーブイ。

*三和ホールディングス株式会社(旧 三和シヤツター工業株式会社、5929、東証1部)
2005年、資本業務提携を締結。営業面で双方の営業情報を活かした協働営業を行っている他、開発面でも商品の協働開発を行っている。2015年3月末現在、ホーチキ株式2,274株を保有。保有比率7.80%。

【海外展開】

2015年3月末現在、海外グループ会社8社(北中米2社、アジア・パシフィック3社、欧州2社、中東1社)、営業所・駐在員事務所5拠点(アジア・パシフィック4)を有している。
全売上高に占める海外比率はまだ低いが、2017年度には19%まで引き上げる計画だ。

海外の防災マーケットでは、センサーメーカーと受信機メーカーが棲み分けされており、同社はセンサーメーカーとして認知され、その品質の高さを評価されている。
海外各市場におけるセンサー販売のシェアは、英国2位(20%)、東南アジア3位(10%)、オーストラリア4位(10%)など一定のシェアを有しているが、北米7位(1%)、メキシコ5位(5%)など、全般的にはまだ大きいとは言えず、今後は販売を加速させる考えだ。

同社のROEは2015年3月期に8%台に乗せた。前述の通り、今後は収益性の一段の向上が望まれる。

【特徴と強み】
◎安定した収益を獲得するビジネスモデル

2020年の東京オリンピックというイベントはあるものの、中長期的に日本の建設市場は縮小傾向にあり、同社ビジネスにとっては決して追い風ではないものの、同社は、長年に亘って蓄積してきた「顧客資産」、「ブランド力」、「製品開発力」を活かして安定した収益を確保することができる独自のビジネスモデルを有している。
同社はこれを「お客様循環サイクル」と呼んでいる。

<お客様循環サイクルの流れ>

①「新築ビルにおいて火災報知システムを受注・施工」

②「メンテナンス契約を締結」

*同社がトップシェアを有し、得意とする「R型受信機」は、その機能の高さのためメーカーによるメンテナンスが必要で、納入先のメンテナンス契約成約率は6~7割と高い。
*消防法の規定により、年間2回の法定点検が義務付けられており、自然と顧客との接点が出来上がり、密着度も高まる。
*またメンテナンス契約は収益性の高さも大きな特徴となっている。


「営業」

*ALSOKとの防災・防犯複合システム、BOSCHのネットワークカメラ、三和シヤツター工業の防火シャッターを始めとして、顧客ニーズに合わせた様々な提案を行う。


「リニューアル工事の受注・施工」
*建物のライフサイクルに合わせて、その時々でリニューアル工事を受注する。

このように、建設市場が縮小傾向にある中でも蓄積されたストックを活かしてアライアンスを活用した同社ならではの提案を行い、付加価値および収益力を高めることができるのが同社のビジネスモデルの大きな特徴である。
この安定した収益構造から獲得したキャッシュを、今後の注力分野の海外市場開拓に投入していく。

◎業界をリードする研究開発体制

1920年に日本で初めての公衆火災報知機を自社開発して設置したことから始まり、受信器、無線式自動火災報知機、放水銃など、日本の防災システム業界をリードする新製品を常に開発してきた。
火災の発生をいち早く確実に感知する「センシング技術」、火災信号を的確に伝える「伝送・表示技術」、確実に消火を行うための「放水技術」を基盤の技術とし、総合防災実験場(宮城県)、開発研究所(東京都)、グローバルR&Dセンター(英国)で、既存製品の改良や、海外市場開拓のための新製品の開発などを積極的に進めている。
研究開発スタッフは、国内約100名、海外約20名。

宮城県角田市の世界最大規模を誇る総合防災実験場では、様々な状況を想定して、火災感知、消火を始めとした防災に関する実験を行っている。

2016年3月期第2四半期決算概要
海外堅調で増収、営業利益は大幅増益も特損計上で四半期純利益はマイナス

売上高は前年同期比3.9%増収の308億35百万円。国内売上高は同0.7%と横這い。火災報知設備、保守等が増収、消火、トンネル、放送は減収だった。海外売上は同20.8%と2ケタ増収となった。
採算の良いリニューアル部門売上高が同18.1%の増収となったこと、海外売上の伸びで原価率が大幅に改善し。人件費、試験研究費の増加で販管費も増加したが粗利益で吸収し、営業利益は同455.6%増の13億88百万円と大幅に増加した。ただ、無線式火災報知設備機器の不具合が見つかり、点検・交換を行う事となったため引当金18億50百万円を特別損失として計上する事となったため四半期純利益は2億4百万円の損失となった。
期初計画に対しては利益率の改善で営業利益、経常利益は大きく上回った。

◎防災事業

増収増益。
火災報知設備は、増収収増益。引き続きメンテナンス物件を核にリニューアル物件の提案・進捗管理を徹底するとともに、関係会社等との連携を強化し、共同営業や機器開発を進めた。
消火設備は、減収増益。消火部門とトンネル部門の連携を強化し、リニューアルの提案営業を計画的に実施し受注の確保に努めた。また、販売体制を強化し機器売販路の拡大を図った。

◎情報通信事業等

減収赤字幅縮小
情報通信設備は、減収で赤字幅は縮小した。採算性を重視した事業体制を構築し、機器、システム等に関するリニューアル提案を中心に営業を展開し、インターホン、監視カメラ、告知放送システムなどの受注拡大を図った。
防犯設備等は、減収減益だった。関係会社との連携を密にし、中・小規模市場向け製品の拡販を中心に営業を強化するとともに、リニューアル・保守契約の更なる受注獲得を目指した。

(3)海外売上動向

全ての地域、区分で2桁の増収となった。ケンテックは中東向け大型案件を計上した。米国は単品販売からシステム販売に注力した。アジアでは市場シェア4割のベトナムにおいて代理店拡大策が奏功した。ヨーロッパではイギリスにおいて小規模ビルに特化した特化した販売戦略が奏功した。

売上債権の減少等で流動資産は前年度末に比べ30億85百万円減少し、348億40百万円。固定資産はほぼ同水準の150億34百万円で、資産合計は同30億60百万円減少の498億74百万円となった。
仕入債務の減少等で流動負債は同24億85百万円減少し、186億75百万円。固定負債は長期借入金、退職給付に係る負債の減少等で同83百万円減少し、63億88百万円。負債合計は同25億68百万円減少の250億64百万円となった。
純資産は利益剰余金の減少等で同4億91百万円減少の248億10百万円。
この結果自己資本比率は前期末より2.0%上昇し、49.6%となった。

税金等調整前四半期純利益が損失に転じたがリコール関連引当金の発生等で営業CFのプラス幅は拡大。投資CFはほぼ前年同期水準。
短期借入金の返済増加で財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。

(5)トピックス
◎無線式火災報知設備機器でリコール発生

同社が2010年から2015年に国内で製造販売した無線式火災報知設備機器8機種に関し、無線IC部品に不具合があり、火災を知らせる通信機能が十分に作動しない事が判明し、点検・交換作業を行う事となった。
外部の温度が一定以上上昇すると作動しないというもので、IC自体及び同社の設計にも不備があったという事だ。
同社では2015年春に「信頼性試験センター」という部署を設置するなど、更なる品質向上に取り組んでいるが、今回のリコールは設置以前に製造販売されたもの。このような事態は同社始まって以来のことで、事業の根幹となる部分でもあり、現在再発防止策について鋭意策定中だ。
当初想定しうる最大数量は15.5万個だったが、精査の結果14.5万個がリコールの対象となり、リコール関連引当金18.5億円を計上した。

2016年3月期業績見通し
営業利益、経常利益を上方修正。大幅な増益を見込む。

営業利益、経常利益を上方修正した。売上高は据え置きで、前期比4.0%増の730億円の予想。国内は火災報知機(新築)が好調な他、前期減収だった火報リニューアル、メンテナンスとも増収の見込み。海外も、欧州/中東/アフリカを中心に2ケタ増収を見込む。
火災報知機新築が増加し、リニューアルの構成比も上昇し利益率が改善。開発投資が増加するがコストコントロールを進め、営業利益は同40.0%増の44億円を見込む。
配当は前期と同じく15.00円/株を計画。予想配当性向は21.8%。

火災報知設備、情報通信設備がそれぞれ前期に比べ7億円、1億円利益が増加するのに対し、消火設備、防犯設備等はともに0.8億円の減益となる見込み。

今後の注目点
リコール問題はあったものの、リニューアルおよび海外売上の伸長で、大幅な増益となった。
特に海外売上は全ての地域が2ケタ増収で海外売上比率は18.0%と、中期経営計画で掲げている2018年3月期 19.0%に迫る勢いであり、下期及び来期の趨勢が注目される。
また、同社では「メーカー」として競争力のある製品をどれだけ数多く開発できるかが今後の成長に不可欠と考え、要素技術の取り込みを中心とした研究開発体制強化にも取組んでいるという。その詳細についても次回以降のレポートで取材したい。
<参考:中期経営計画 新VISION 2017 3rdステージ(2015~2017)>

2018年4月に創業100周年を迎える同社は、100年を超えてなお成長発展し続け、真に社会に価値を認められる企業を目指すために、成長戦略「VISION2017」を2010年3月期にスタートさせた。
その後市場環境の変化を踏まえ、2014年4月に「新VISION 2017」を策定。2015年4月に「新VISION 2017」に基づく3rdステージ3か年計画を策定した。
「2018年3月期連結売上高840億円以上、営業利益率6.0%以上、ROE10%以上」を数値目標としている。

◎骨子

防災メーカーとしての「営業力・施工力」、「メンテ・サービス力」といった強みをベースに、メーカー力の強化、海外事業の強化を通じたモノづくり力を強化し、今後予想される環境変化に対応できるバランスのとれた収益構造を構築する。
具体的には、「コア事業の基盤強化」、「海外売上高比率引上げ」、「機器販売やOEM比率アップ」などに取り組む。
労働集約型ビジネスには限界もあるため、売上規模と収益性の双方を拡大するべく各種取組を進める。

◎戦略

「グローバルなセンサーブランドメーカーとしての地位確立」というビジョンの下、「事業基盤戦略」と「成長戦略」の2つの戦略を推進する。

(1)事業基盤戦略
①開発・生産のモノづくり強化

顧客ニーズに対応して他社に先駆けて製品をリリースするには、将来に向けた基礎研究・要素技術開発力の向上が不可欠である。そのために、開発人員の大幅増員を実施するとともに、基礎研究・要素技術領域に20%の人員を投入する。また、開発投資額を前3か年に比べ大幅に拡大する。

また、他社に負けない付加価値のあるQCD生産体制を確立させる。
具体的には宮城工場をマザー工場とし生産能力を50%拡大する。そのため、生産体制の集約や技術力強化を進め、同工場の自動化、機械化ライン設置も推進する。
米国、英国の海外工場の機能強化も推進する。

②サプライチェーンの最適体制構築

海外事業の拡大に伴いグローバルで最適なサプライチェーン体制を構築する。
国内3、海外3の工場の役割をグループ内で最適化し、生産リードタイムの短縮や商流および物流ルートの効率化を図る。
また、多様な製品を供給できる自社の強みに磨きをかけ、タイムリーな商品供給を実現するサプライチェーン体制を構築し顧客ニーズに的確に対応。顧客満足度の向上を図る。

(2)成長戦略
①国内事業の収益基盤強化

一つは以前から推進しているメンテナンス事業の強化。
前述の顧客循環サイクルに基づく豊富な顧客接点を強みとして、メンテナンスを要にトータルソリューションを提供し、ストックビジネスとして持続的な成長を図る。
今期より営業体制を強化しており、メンテナンス売上高の年平均成長率を、過去5年の実績4.4%から、これからの3か年は5.2%に引き上げる。

二つ目がリニューアル事業の拡大。
火災報知機の更新サイクルは20~25年。1980年代後半から1990年代前半の建設バブル期に建築された物件の火災報知機更新需要が数年間継続する。この需要を確実に取り込むと共に、火災報知機以外の消火、放送、アクセス、ビデオカメラを注力4分野としてリニューアル対象に加え、エンジニアリング全体のリニューアル比率を高める。
リニューアル全体の売上は2018年3月期180億円を計画している。(前期実績167億円)

また放水銃、住宅用警報器も今後数年で潜在リニューアル需要が顕在化してくる。

主としてドーム施設、大規模展示場、空港などで採用・設置されている消火設備である放水銃のリニューアルサイクルは15~20年。
放水銃の国内シェアは約8割と高いため競合登場の可能性もあるが、火災を感知するセンサー技術や、火元に的確水を飛ばすノズル技術を中心に研究開発を進めて更なる機能向上を図り、更新需要の取り込みを進める。

また、住宅用火災警報器のリニューアルも同社にとって大きな事業機会となる。
改正消防法により既存住宅でも2006年から2011年までに住宅用火災警報器の設置が義務づけられ、同期間に同社は累計で1,250万個を販売した。
リチウムイオン電池を使用する住宅用火災警報器の交換時期は約10年であるため、2016年から本格的な交換サイクルがスタートする。同社では、ガス漏れ警報器を含め、2018年3月期 200万個の供給を目標としている。

②海外事業の飛躍的拡大

センサーの販売台数を現在の約150万台から2018年3月には300万台まで2倍に引き上げる。
そのために、「戦略製品の投入」、「システム領域の拡大」、「新興国エリアの市場拡大」に取り組む。

*「戦略製品の投入」

2012年に子会社化した英国ケンテック社と共に開発した新型海外用受信パネル「Taktis」の販売を2015年度よりスタートさせる。当初の計画よりやや遅れたが、13拠点での販売体制整備が終了したため、まずヨーロッパ市場に投入し、以降、オーストラリア、北米それぞれの地域の規格品を販売する予定だ。
「Taktis」は、1台のパネルで多様性を実現、ユーザーフレンドリーな操作性、遠隔管理システムに対応可能などが特長で、顧客の関心は極めて高いという。
「Taktis」を戦略商品と位置付け、防災システムの中心となるパネル製品の投入によって、同社の主力製品であるセンサーやその他周辺機器の販売拡大を目指している。

*「システム領域の拡大」

非常放送設備や防排煙設備、さらには防犯システムといった火災報知設備以外の周辺システムに事業領域を拡大するためのアライアンス体制を構築する。
周辺領域進出に向けた商品ラインアップの拡充を図り、ワンストップで顧客ニーズに対応し満足度向上を図ると共に、新規顧客を開拓する。
現在、ALSOK、Robert Bosch、三和ホールディングスといった企業とアライアンスを組んでいるがこうした国内モデルを海外でも展開する。

*「新興国エリアの市場拡大」

欧米市場に加え、価格戦略、技術サポート、現地密着化等を進め、中東・インド・アフリカ、東南アジア、南米といった新興国市場開拓にも注力する。

海外事業拡大に向け、現地幹部候補生の教育・育成、海外人材の育成にも力を入れる。

◎計画概要

以下のような数値目標を掲げている。

売上高の年平均成長率は6.2%、海外売上の年平均成長率は16.2%。海外売上高比率は2014年度の14.6%から2017年度には19.0%に上昇。防災事業セグメントは同期間に79.6%から81.9%まで上昇する。

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