(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2016年3月期第3四半期業績レポート

2016/03/09

enjapan

今回のポイント

・16/3期第3四半期は売上高が前年同期比33.7%の増収、営業利益が同59.8%の増益。売上面は、エン転職において応募効果が引き続き好調に推移し、既存の顧客企業及び新規の顧客企業からの案件獲得が順調に進んだ結果、四半期あたりの掲載件数が過去最高を更新し、売上高も前年同期比大幅に増加した。また、エン エージェントも各月の入社人数が前年同期を大幅に上回った他、海外子会社もベトナム及びインドの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したことに加え、前年度に比べて国内の政治・経済環境が改善したタイの子会社が好調に推移したことから売上が前年同期比で大幅に増加した。利益面では、人件費等の費用が増加したものの、プロモーションの実施を一部第4四半期に移行したこともプラスに寄与した。

・16/3期の会社計画は、10月28日に修正した前期比32.0%の増収、同21.7%の営業増益から変更なし。売上面は、引き続き求人広告(エン転職)、人材紹介(エン エージェント及びエンワールド・ジャパン)、海外子会社を中心に拡大を目指す。一方、利益面は、積極的に先行投資を行うことから人件費や広告宣伝費等が増加する計画。また、16/3期の1株当たりの配当も、前期末から1円増配の33円の予定を据え置き。

・同社は2月からエン転職の新テレビCMを全国主要エリアで放送開始している。加えて、過去最大級の交通広告等のプロモーションを実施。今回の積極的なプロモーションの効果が、来期の業績動向に大きく影響を与えるものと思われる。今後の積極的なプロモーションが、どれ位のインパクトでエン転職の会員数の増加と掲載件数の拡大に結びつくのか注目される。

会社概要

「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。

※15年3月期より事業セグメントを「採用事業」及び「教育・評価事業」に変更。

ビジネスモデル

<求人情報サイト>
企業に対して求人広告を企画・提案。同社の正社員が求人企業を取材し、その情報をもとに同社のコピーライターが求人原稿を制作した後、求人サイトに求人原稿を掲載。
掲載課金型求人広告:求人広告を掲載した際に「広告掲載料」が発生。
成功報酬型求人広告:求人広告を掲載し、同社求人サイトを通じて人材採用できた際に「成功報酬料」が発生。
(同社HPより)

<人材紹介>
求職者のこれまでのキャリアや転職意向を確認し、今後のキャリアプランに沿った求人を紹介。企業に対しては採用ニーズにマッチしていると思われる人材を紹介。紹介した人材が入社した際に「成功報酬料」が発生。報酬料は概ね年収の30%。
(同社HPより)

中期経営計画(16/3期~18/3期)

同社は、2015年5月に今後3ヵ年の中期経営計画を策定している。中期経営計画においては、①求人サイト、②人材紹介、③海外、④その他(新規事業を含む)の4分野を注力領域と掲げ、事業の拡大を目指す。最終年度である18/3期の数値目標は、売上高360億円(15/3期比84%増)、営業利益76億円(15/3期比93%増)。3ヵ年中計の最終年度で、過去最高の営業利益(2007/12期:75.6億円)の更新を目指している。

今後の注力領域
(1)求人サイト (18/3期業績計画:売上高180億円、営業利益42億円)

主力サイトである「エン転職」が最大の成長ドライバーであるが、その他サイトも安定成長を目指す。「エン転職」はサイトのリニューアルと営業体制の強化が奏功し足元の業績は好調に推移している。中でも、サイトのリニューアルは、掲載課金型求人広告件数の増加、顧客企業向けのサイト効果の向上(広告1掲載あたり応募数の増加)、ユーザー会員数の増加などに結びついている。エン転職が好調な今こそ投資を行い、今後の大きな飛躍につなげる。

(エン転職の今後の成長戦略)
① 営業体制の整備
・新卒社員を中心に営業人員数の拡大を図る。
・取材に基づいた詳細原稿は変えず、高いクオリティを維持した形で、代理店制を導入。
② 生産性の向上
・1営業人員あたりの業務工程を分業化し、営業に特化することで生産性を向上。
③ プロモーションの強化
・TVCM等オフラインプロモーションを強化し、更なるサイト価値向上を図る。
・16/3期は、全社ベースで前期比約1.6倍の広告宣伝を実施(2015年5月中期経営計画公表時)。営業面のバックアップを図り、エン転職の優位性を確立。
(2)人材紹介 (18/3期業績計画:売上高100億円、営業利益20億円)

エンワールド・ジャパン(EWJ)とエンエージェント等で売上高100億円を目指す。EWJは、外資系企業・グローバル人材領域でトップクラスの規模。採用・転職をする際に第一想起されるブランド力を有するものの、更なる成長には人員・システムの強化が課題。エンエージェントは、エン転職の求職者データベースを活かし、一定規模へ成長したものの、先行投資期間のため、収益面への貢献はこれから。

(EWJの今後の成長戦略)

① 独自の教育システムにより、競合他社と比べ人員増を優位に進める。
② 新たな成長領域である日系グローバル企業へ拡販。
③ システム関連への投資により更に高いフィッティングを実現。

(エンエージェントの今後の成長戦略)

① 16/3期に黒字化を実現。生産性を向上し、18/3期に営業利益率20%を目指す。
② エン転職とのシナジーを拡大。

(3)海外 (18/3期業績計画:売上高33億円、営業利益6億円)

18/3期は、15/3期比で売上高倍増、のれん控除後での利益貢献を目指す。海外子会社全体では、15/3期に黒字化を実現。現地企業や外資系企業の現地人材の転職支援において成果を上げている。

(海外の今後の成長戦略)
① 日系企業のアジア進出活発化に伴い、日系企業向けサービスを新たな成長機会にする。
② 進出国だけではなく、アジア全体での成長を目指すためグループ各国の連携を強化。共通のシステム導入などインフラ面を整備。
(4)新規事業

主力事業は景気変動の影響が大きい。市場環境の見通しが良好である今後数年の内に、新規事業のラインナップ拡充と採用以外の新規事業の創出を行い、事業ポートフォリオの安定化を目指す。

2016年3月期第3四半期決算
売上高は33.7%増収、営業利益は59.8%増益

売上高は前年同期比33.7%増の186億93百万円(約47.1億円増)。売上面は、エン転職において大幅に増加した。上期に続き、11月~12月にテレビCMを実施。オンライン広告による会員獲得も順調に進み、エン転職の会員数は450万人を突破(2015年12月時点)した。好調な応募効果の継続により顧客への拡販が順調に推移し、11月単月及び四半期の掲載件数は過去最高を更新した。また、第2四半期と第3四半期にリニューアルを実施した人材紹介会社向け・人材派遣会社向け求人サイトの応募数も過去最高水準で推移した。更に、エン エージェントも各月の入社人数が前年同期を大幅に上回った他、海外子会社もベトナム及びインドの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したことに加え、前年度に比べて国内の政治・経済環境が改善したタイの子会社が好調に推移したことなどにより売上が前年同期比で大幅に増加した。
利益面では、人員の増加や広告・宣伝費などを中心に費用(売上原価+販管費)が同27.9%増加したものの、プロモーションの実施を一部第4四半期に移行したことも寄与し、営業利益が同59.8%の大幅増加となった。売上総利益率が同1.2ポイント上昇したことに加え、売上高対販管比率も2.4ポイント低下した。

採用事業

当事業には、求人サイト、人材紹介、海外子会社等が属している。求人サイトは、主力のエン転職においてサイトの応募効果が引き続き好調に推移し、既存の顧客企業及び新規の顧客企業からの案件獲得が順調に進んだ結果、四半期あたりの掲載件数が過去最高を更新するなど、売上高も前年同期比大幅に増加した。その他の求人サイトも、前四半期にサイトリニューアルを実施した「エンミドルの転職」、「エン派遣」及び昨年11月にリニューアルを実施した「エンバイト(旧チャレンジ!はた☆らく)」の応募数が増加するなど順調な結果となった。また、人材紹介は、エンジャパンの人材紹介であるエン エージェントにおいて、各月の入社人数が前年同期を大幅に上回った他、子会社のエンワールド・ジャパンにおいても、国内外資系企業及び日系グローバル企業の採用ニーズが高水準で推移したことから売上高が前年同期を上回った。更に、海外子会社においても、ベトナム及びインドの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したことや前年度に比べて国内の政治・経済環境が改善したタイの子会社が好調であったことなどから、前年同期を大幅に上回る売上高となった
以上の結果から、採用事業セグメントの売上高は、180億65百万円と前年同期比33.9%増加した。また、人件費、プロモーション費用などを中心とした販管費が増加したものの、広告宣伝費の使用を一部第4四半期に移行したこともあり、営業利益は41億67百万円と同62.5%の大幅増益となった。

採用事業の四半期売上高は、エン転職(求人広告)、その他求人サイト、エンワールド・ジャパンなどの拡大に加え、海外子会社の連結開始により、順調に拡大している。

エンワールド・ジャパンの今第3四半期の売上は、1月以降に入社がずれる案件が想定以上に発生し会社計画を下回った模様。一方、12月単月の成約ベース売上高は過去最高を記録。自社の人材採用について成果が表れており、人員計画に対して順調に推移している模様。

前期は第3四半期からインド子会社のPLの連結を開始。今第3四半期より新規連結による前年同期比の増加要因が無くなったが順調な結果となった。ベトナム、インド、タイの子会社が業績を牽引した。

教育・評価事業

当事業には、定額制研修サービスの実施、採用・人事関連システムの提供等が属している。定額制研修サービスでは、「エンカレッジ」においてリピート受注及び新規受注を強化した他、新たに人材派遣会社向けオンライン講座をリリースするなど、サービ
スラインアップの拡充を図った。また、採用・人事関連システムでは、子会社のシーベースにおいて引き続きリピート受注及び新規受注が進んだこと等から、前年同期を上回る売上高となった。
以上の結果から、16/3期第3四半期の教育・評価事業の売上高は前年同期比28.7%増の6億82百万円となった。一方、営業利益は、新規事業開発等の先行コストが発生したことから91百万円の営業損失となった(前年同期は11百万円の営業赤字)。なお、新規事業を除く営業利益(参考値)は82百万円であった。

15/12月末の総資産は前期末比16億76百万円増の269億17百万円。資産サイドでは、現預金が、負債・純資産サイドでは、前受金や親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金が主な増加要因。総資産の60%超を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約77.3%と、高水準を維持している。

2016年3月期業績予想
前期比32.0%の増収、同21.7%の増益予想

16/3期通期の会社計画は、2015年10月28日に修正を行った売上高前期比32.0%増の259億円、営業利益同21.7%増の48億円から変更なし。
同社グループが属する人材ビジネス市場の環境は、2015年12月の有効求人倍率が1.27倍となるなど、企業の人材採用ニーズは引き続き堅調に推移すると同社では予想している。こうした中、売上面では、主力のエン転職を中心に求人サイトの好調が継続する見込み。加えて、人材紹介においてもEWJが人員増強と日系グローバル企業への拡販により、エンエージェントがエン転職とのシナジー効果の拡大などにより増加する計画。一方、利益面では、海外における既存子会社の収益性の向上を図るものの、下期にプロモーションを中心とした戦略的投資を追加で実施することから営業利益の増益率は売上の伸び率を下回る計画としている。売上高総利益率は前期比0.6ポイント上昇の90.8%、売上高対販管費率は、2.2ポイント上昇の72.3%の計画。
一方、同社は通期の業績が固まった段階で配当を変更するスタンスであることから、16/3期の1株当たりの配当は、前期末から1円増配の33円の期初計画を据え置いた。

16/3期第3四半期連結累計期間の営業利益は、通期会社計画に対して、約85%の進捗率と高水準となっているものの、同社では広告宣伝費の使用を一部第4四半期に移行する影響を考慮している。

今後の注目点
厚生労働省発表の2015年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.27倍と、1991年12月(1.31倍)以来24年ぶりの高い水準となった。また、社団法人全国求人情報協会が公表した12月の求人広告掲載件数(全体)は前年同月比10.1%増加、中でも求人サイトの広告掲載件数が同23.8%増加するなど、求人サイトを利用した人材採用が活発となっていることが確認された。こうした環境下、同社は求職者と求人企業の認知度を高めるために、上期に続き11月~12月にテレビCMを実施。オンライン広告の活用も相まって、エン転職の会員数は2015年12月時点で450万人を突破(2015年3月末は400万人超)する規模まで拡大している。更に、好調な応募効果を反映して顧客への拡販が順調に進み、11月単月及び四半期の掲載件数は過去最高を更新した。好調な業界環境の中、的確な戦略により、成長を加速させているマネジメント能力を高く評価すべきであろう。
こうした中、同社は2月からエン転職の新テレビCMを全国主要エリアにて放送開始の予定である。加えて、過去最大級の交通広告等のプロモーションも計画している。今回の積極的なプロモーションは、来期の業績拡大の礎になると期待されるが、来期の業績動向を大きく左右する要因にもなりそうである。今後のプロモーションが、どれ位のインパクトでエン転職の会員数の増加と掲載件数の拡大に結びつくのか注目される。また、積極的なプロモーションの効果を最大限に発揮するための、追加の施策についても注目していきたい。
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