(9441:JASDAQ) ベルパーク 2015年12月期業績レポート

2016/03/02

bellpark

今回のポイント
・15/12期は前期比1.5%の減収ながら、同35.5%の営業増益。ソフトバンクショップでの端末販売の減少が響き売上が減少したが、収益性の高い各種手数料収入の増加や過去出店店舗の黒字化に加え、ソフトバンクショップでの端末販売の減少がLaw ARUP端末中心だった事もあり、営業利益率が改善した。

・16/12期予想は前期比0.9%の増収、同12.8%の営業減益。通信キャリアの販売手法の?直しが新規販売の逆風になるが、移転・改装による既存店のテコ入れや新規出店でカバーする。ただ、移転・改装及び新規出店に伴うイニシャルコストが負担となる中、求人コストの増加やアップル製品専門店の管?体制強化に伴う人件費増が見込まれる。配当は、1株当たり上期末15円、期末15円の年30円を予定。

・スマートフォンの需要一巡で携帯電話販売市場は飽和状態に近づきつつある。このため、今後の携帯電話販売は量より質が問われる時代を迎え、携帯キャリアによる販売代理店の選別が進むとみられている。同社にとって、大きなビジネスチャンスである。なぜなら、販売代理店の優劣は販売員の質によって決まるところが大きいからだ。同社の強みは、ショップスタッフの採用力、人材育成力、きちんとした処遇で報い得る収益力であり、ショップスタッフの心のケアを行う事ができる企業文化も備えている。同社は、「人材投資」こそが差別化の原動力と考えており、引き続き優秀な人材の獲得と育成に注力していく考え。

会社概要

移動体通信事業者のキャリアショップ運営を主力事業とする独立系携帯電話販売代理店。連結子会社(株)ベルパークネクストとグループを形成し、東名阪を中心に281店舗の店舗網を有する(15年12月末現在)。店舗の内訳は、ソフトバンクショップ251店(直営191店・FC60店)、ドコモショップ8店(直営8店)、auショップ8店(直営6店・FC2店)、ワイモバイルショップ10店(直営7店・FC3店)、Apple関連3店舗、独自店1店舗。(株)ベルパークがソフトバンクショップを中心に、auショップ、ワイモバイルショップ、Apple関連店舗の運営を行い、(株)ベルパークネクストがドコモショップの運営を行っている(ドコモショップは、(株)富士通パーソナルズ及びMXモバイリング(株)傘下の二次代理店として展開)。

【企業理念 -私たちは、私たちの可能性を信じ、チャレンジし続けます-】

ベルパークがスタートして1年たった平成5年、設立時8750万円もあった資本金を使い果たし、最初の事務所があった渋谷の公園通りから半蔵門のオフィスビルの1階に間借りする形で、ボロボロの状態で引っ越した。今から思えば、典型的な敗残ベンチャー企業だった。たった15坪の店舗兼事務所に、残ったのは社員2人、バイト2人。少人数での厳しい再スタートだった。私は、副社長として、建て直しに入ったが、通帳に残高はもはや少なく、その次の月末の支払いなどを考慮すると実は債務超過だった。「副社長として」と言うとカッコよいが、当時は経営ノウハウもほとんどなく、中身はからっぽの副社長だった。この時、後に来る携帯電話のブームはまだ遠く、売って利益を上げられる商材はポケベルなどわずかで、ヒト、モノ、カネのうち、少なくともモノとカネは絶望的な状況だった。もし、現在のベルパークの状況をビデオに撮って、タイムマシンでこの当時に戻って、「君達のベルパークは、こうなっていますよ」と見せられても、「ウソだろう?かつぐなよ。俺達、今必死なんだから」というコメントしか出なかっただろう。

利益が出ず、当時の株主から「もう会社は清算してくれ」と言われた。その時スタッフ1人1人に、次の一年の抱負と目標について、1枚の紙に書いてもらった。もういつつぶれてもおかしくない、ちっぽけなボロ会社だったけど、1枚の紙に書いてくれたみんなの思い、目標は素晴らしい内容だった。「これまで勤めたどの会社よりベルパークが好きです」、「毎日会社に来るのが楽しくて仕方ありません」、「私はまだ未熟でみんなにご迷惑をかけていますが、努力してみんなに貢献できるようになります」。私を含めてもたった5人しかいないボロ会社にこんな熱い思いを持ってくれている。そうだ、この会社にはたった一つ、残された貴重な資源がまだあった。それは、「人」と「やる気」だった。「このまま、沈んでたまるか。やれるぞ、俺たちは」。その時から、数少ないチャンスを全員でつかもうとしていた。何とかものにしようとしていた。そして、一人一人が、火事場のバカ力を発揮してくれた。それが出来たのは、お互いがみんなの潜在能力とやる気を信じていたから。今から思うと、ビックリするほど貧乏な会社だったけど、みんな明るかった。コツコツと小さな利益を積み重ね、スタッフも会社も自信を少しずつつけ始めた。1歩前に出られるたびに感謝し、また次の自分たちの可能性を信じ、また、1歩。

そして、今、我々はここにいる。

代表取締役社長 西川 猛
(同社Webサイトより)
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

14年3月以降、大手通信キャリア3社が過度なMNP獲得競争を自粛したため、14/12期は販売手数料収入が減少しROEが低下した。15/12期は端末販売の減少で売上が減少する中(総資産回転率が低下)、収益性が向上したため(売上高当期純利益が改善)したためROEが11.63%と2.24ポイント改善した。各種手数料収入の増加や過去出店店舗の黒字化に加え、売上構成の良化(Law ARUP端末の構成比の低下)による売上総利益率と、社内イベントの工夫、研修内製化、更には恒常的なコストの見直し等、全社的なコスト削減が売上高当期純利益の改善要因。
また、同業大手2社との比較においても、利益率や財務内容で存在感を示している。レバレッジを抑えた健全な財務体質が上位2社のROEを下回る要因になっているが、これは同社の潜在成長力と考える事ができる。同社は株主への利益還元を安定的に継続しつつ、内部留保を着実に積み上げる事で、大きな成長機会の到来に備えている。

2015年12月期決算
前期比1.5%の減収ながら、同35.5%の営業増益

売上高は前期比1.5%減の901億45百万円。ドコモショップ、auショップが通期で寄与した他(2014年2月に実施したM&Aで獲得)、光回線獲得手数料や下取り手数料等の手数料収入、更にはApple社の正規サービスとして手掛けるApple製品の修理サービス(ASP)も増加したが、ソフトバンクショップでの端末販売が729千台(前14/12期930千台)と新規販売を中心に同21.6%減少した事が響いた。
営業利益は同35.5%増の32億12百万円。各種手数料収入の増加や過去出店店舗の黒字化に加え、ソフトバンクショップでの端末販売減少分の約6割が新規Law ARUP端末だった事もあり、売上総利益率が20.6%と0.8ポイント改善。一方、販管費は、社内イベントの工夫、研修内製化、更には恒常的なコストの見直し等、全社的なコスト削減で153億52百万円と同2.2%減少した。
減損損失1億47百万円の計上等、特別損失1億61百万円を計上したものの、税効果会計の影響等で最終利益は17億98百万円と同34.9%増加した。尚、昨今、キャリアショップの運営難易度が上がり、減損が発生しやすい環境になっており、今期は過去最大の21店舗(うち19店舗がソフトバンクショップ)が減損損失の対象となった。

期末総資産は前期末に比べて36億04百万円増の302億04百万円。28億12百万円のフリーCFを確保した事で現預金が100億円近くに増加した他、業容拡大で売上債権・仕入債務が、好業績を反映して純資産が、それぞれ増加した。財務指標は良好で、流動比率203.3%(前期末203.4%)、固定比率21.5%(同25.4%)、自己資本比率53.8%(55.3%)、と流動性に富み、かつ、長期安定性にも優れる。投下資本(同社は無借金経営のため自己資本に等しい)が前期比9.0%増加する中、投資資本利益率(ROIC)が前期の9.2%から12.0%に2.8ポイント上昇した。

利益の増加と税金費用の減少等で前年同期は20億73百万円だった営業CFが前期の20億73百万円から30億51百万円に増加。一方、M&A関連費用がなくなった事や子会社への貸付の減少で投資CFのマイナス幅が大幅に縮小した。配当の支払いで財務CFもマイナスになったが、自社株買いを実施した前期に比べてマイナス幅が縮小した。

2016年12月期業績予想
移転・改装店・新店のイニシャルコスト、管理体制強化に伴う人件費の増加、及び求人コストの増加等が利益を圧迫

携帯電話端末の販売は、通信キャリアの販売手法が見直された事に伴い、新規販売を中心に販売台数の減少が見込まれるものの、逆にその反動もあり、機種変更販売がわずかだが増加すると見ている。
主力の販売チャネルであるソフトバンクショップでの端末販売台数の計画は、ほぼ横ばいの730千台(15/12期729千台)。既存店は販売台数の減少が見込まれるものの、移転・改装店及び10店舗を計画している新規出店でカバーする。ただ、移転・改装及び新規出店に伴う先行投資(イニシャルコスト)が負担となる上、新規販売の減少に伴い、MNP手数料及び(キャリアから支払われる)販売促進費の減少が予想されるため利益が減少すると見ている。一方、NTTドコモ・auショップでは、売上は前期並みを見こむものの、au 2次店の直営化による利益率の向上が見込まれる。

この他、携帯電話周辺事業においてアップル公認のアップル製品専門店「Apple Premium Reseller」1店舗の新規出店による売上増が見込まれる一方、ASP(前出)として提供する修理サービスの利益率が前期の反動で低下する他、管理体制強化に伴い人件費も増加する見込み。また、採用市場の環境変化に伴う全社的な求人コストの増加も織り込んだ。

株主還元

配当は、1株当たり上期末15円、期末15円の年30円を予定している。同社は、株主への利益還元を安定的に維持継続していく事を配当の基本方針としている。大きな成長機会へのタイムリーな対応力を担保するための内部留保に配慮しつつ、利益還元を安定的に実施していく考えだ。
また、株主優待として、上期末、期末の年2回、1単元(100株)以上保有の株主にクオカード1,000円分を贈呈している。

(2)事業環境とベルパークグループの取り組み
事業環境

2年前の13/12期決算説明会において同社の西川社長は、「危険なMNPキャッシュバックの過熱」と題してキャッシュバック合戦の過熱について危惧し警告していた。

「キャリアショップ経営の立場から、昨今(2014年1-2月時点)のキャッシュバック合戦の過熱は顧客から見たブランド価値を毀損するリスクがあると感じる。のりかえ顧客優遇への偏重は、長期の優良ユーザーまで使っているブランドの価値に疑問を抱きかねない。販売店はこれまで地道な努力を積み重ねてユーザーを獲得してきているが本音はキャッシュバックの過熱に近い将来の危機を感じている。」(同社説明会資料より)

2014年以降の動き

2014年2月に、総務省による「ICTサービス安心・安全研究会」が開催され、消費者保護ルールの見直し・充実、通信サービスの料金その他の提供条件の在り方等への対応についての検討が始まった。2015年10月には、「ICTサービス安心・安全研究会」内で、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が結成され、消費者の利用実態に応じた料金体系の検討が始まり、2015年12月には総務省によって「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」が策定された。この取組方針に基づく総務省から通信キャリアへの要請を受けて、2016年2月に「端末0円+キャッシュバック」が店頭から消えた。

2016年1月には最終キャンペーンで販売が盛り上がったが、2016年2月に入り、販売の現場は様変わりし(初旬は1月の積み残しの消化があったが)、新規販売が大きく落ち込んだ(同社グループにおいては、キャンペーンに依存しない通常の機種変更は微増となった)。

ケータイ販売チャネルの生態系が変わりかねない状況へ

販売代理店の収入は、変動手数料と固定手数料に分かれ、この収入で、人件費、地代家賃、各種費用等の運営コストを賄っている。変動手数料の料率は、MNP、新規、機種変更で異なるが、いずれも収入は、“販売台数×1台当たりの手数料単価” で算出される。一方、固定手数料は、継続手数料とショップ支援等の各種手数料からなる。このため、販売台数減少は先ず変動手数料の減少に反映され、長期的には、固定手数料にも影響してくる。これに対して、人件費、地代家賃、各種費用等の運営コストの大半は固定費である。

当面は方向転換に伴う辛抱の時期

「現時点では極めて視界不良であり、今後の販売動向を予想するのは難しいため、2-4月を見極めたい」と言うのが同社の考え。総務省や有識者グループの目指すところは、「長期ユーザーをより大切にする」(短期的にMNPを繰り返すユーザーへの過度な優遇からの脱皮)と「ユーザーの選択肢の拡大」(ライトユーザー向けに優しい料金プラン設定)であり、当面は方向転換に伴う辛抱の時期になるとみている。

ベルパークグループの取り組み -変わらないキャリアショップの重要性-

「キャリアショップは、キャリアのブランドの繁栄を願い、キャリアと苦楽を共にする多くのスタッフが働いており、販売チャネルの中でもキャリアの政策に最も忠実な販売拠点だが、来るべきIOT時代には、ユーザーの近未来の生活を提案する重要な基地として、より重要性を高めていく」と言うのが西川社長の考え。その上で、端末、サービス、料金が同質化していく中で、「MNPユーザーへのやや突出した優遇の時代」から「バランスの取れた施策の時代」、「お客様に優しく、幸せを引き寄せるショップサービスが求められる時代」に変わっていくのではないか、とみている。

中国経済の減速、原油・資源価格の急落、新興国経済の懸念、欧州金融機関の不振等から、リーマン・ショック級の金融危機の再来を予測する声も多くなってきているが、ベルパークグループは、店舗運営力と接客力に磨きをかけると共に、優れたキャッシュポジションを活かしてM&Aにも機動的に対応していく方針。「上記の経済情勢も踏まえて、健全な財務状況を維持しつつ、M&Aの機会があれば、“何よりも人を大切にする” の基本方針を堅持し、更なる成長を目指していく」としている。

店舗運営力と接客力向上に向けた取り組みの成果

2015年4-9月の「ソフトバンクショップ運営評価」(「30店舗以上運営代理店」の部)において、同社のソフトバンクショップが全国1位の評価を受けた他(店舗運営力)、「ソフトバンク接客No.1グランプリ2015」(参加エントリー数5,000名強)において、同社のスタッフが1位、2位に入賞した。
また、ドコモショップを運営する(株)ベルパークネクストが、「ドコモショップ店舗総合評価」(中国地方/代理店36社中)において、2015年4-6月、同7-9月、同10-12月と3四半期連続で1位を獲得した。2014年2月に子会社化した当時(旧社名:OCモバイル)は、36社中34位だったが、買収後、社内の処遇全般や評価制度を一つ一つ改善し、スタッフのやる気を引き出す事に成功した。

今後の注目点
スマートフォンの需要一巡で携帯電話販売市場は飽和状態に近づきつつある。このため、今後の携帯電話販売は量より質が問われる時代を迎え、携帯キャリアによる販売代理店の選別が進むとみられている。同社にとって、大きなビジネスチャンスである。なぜなら、販売代理店の優劣は販売員の質によって決まるところが大きいからだ。同社の強みは、ショップスタッフを採用する力、優秀な人材に育て上げる人材育成力、きちんとした処遇で報い得る収益力であり、ショップスタッフの心のケアを行う事ができる企業文化も備えている。同社は、「人材投資」こそが差別化の原動力と考えており、引き続き優秀な人材の獲得と育成に注力していく考え。

尚、15/12期は携帯端末の販売台数が減少したものの、解約率が高くなる乱売戦を避け通常の割賦販売を着実に積み上げると共に新規商材である光ブロードバンドサービス関連等の手数料を獲得した。通常の割賦販売に力を入れた事で販促費を抑える事ができ、手数料収入等の増加と相まって収益性も改善した。16/12期の業績については、環境の急変で今後の販売動向を予想する事が難しいため、例年以上に慎重を期した様だ。

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