(7839:東証1部) SHOEI 2016年9月期第1四半期業績レポート

2016/03/02

shoei

今回のポイント
・16/9期1Q(10-12月)は前年同期比1.1%の減収ながら、同18.9%の経常増益。代理店の在庫調整で北米が51.0%減と落ち込んだものの、国内が同49.2%増と伸びた他、中国を含むアジアや南米その他地域の売上も増加。欧州は、子会社の販売エリアであるドイツで苦戦を強いられたが、代理店販売(子会社エリア以外)の好調で同4.5%の減収にとどまった。売上の減少に加え、対ユーロでの円高の進行もあり営業利益が同5.8%減少したものの、円高進行を為替予約でカバーして経常利益が増加した。

・上期予想は前年同期比1.6%の減収、同1.1%の経常減益。1Qの受注・生産動向等を踏まえて上期予想を上方修正した。北米を除く各地域で堅調な販売が続いており、売上高が期初予想を上回る見込み。利益面では、販売数量の増加に伴う生産数量増で売上原価の低減が見込まれる事に加え、販管費の消費が一部先送りされる事が上振れ要因。一方、「為替相場及び下期の販売動向等で先行き不透明な部分がある」として、前期比1.2%の増収、同17.5%の経常減益を見込む通期予想は据え置いた。

・16/9期予想は、円安の一服や北米での在庫調整による売上の伸び悩みに加え、長期にわたる安定経営の実現に向けた大型設備投資第2弾に伴う減価償却費の増加や社員の処遇向上等が織り込まれた保守的なもの。しかし、実際には、国内販売が想定以上に好調な上、欧州も代理店販売エリアを中心に堅調。販路を強化した中国の立ち上がりも順調なようだ。為替の不透明感は残るだろうが、1-3月も受注が好調に推移すれば、通期業績予想の上方修正が現実味を増してくるものと思われる。

会社概要

世界ナンバーワンのヘルメット・メーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界約72ヵ国を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。グループは、同社の他、米国、独(2社)、仏、伊の連結子会社5社。

経営方針  3つの世界一を実現

「世界一の品質」     … Made In Japanのグローバルブランド
「世界一のコスト競争力」 … ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
「世界一の楽しい会社」  … お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及

【事業内容】

売上高の約90%を占める二輪乗車用ヘルメットでは、高品質・高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、高い品質の維持と技術の流出防止を実現している。

【欧州を中心に海外売上が75%】
世界72カ国に展開しており(前年に比べてキプロス、レバノン、アフリカ9カ国の11カ国増)、15/9期の地域別売上高は、日本25%、欧州46%、北米23%、その他地域6%。最も売上構成比の大きい欧州は、ドイツ、フランス、イタリアの子会社3社と現地代理店によるネットワークでカバー。北米やその他地域は代理店経由で販売している。
決済通貨は、北米は米ドル建、その他地域は円建。

【トップシェアを支えるモノづくりへのこだわり  茨城及び岩手の国内2工場で全量を生産】

世界各国のライダーに称賛され、グローバルなブランドとして認知されているプレミアムヘルメット。優れた空力特性等、ヘルメットとしての高い機能性とファッション性に富んだ製作難度の高い形状。それでいて安全性が高く長時間走行でも疲れ難い。「使った人がいかに心地よいか」を追求する同社の“こだわり” が、トップシェアの原動力となっている。

人の命を守るヘルメットは、日本、欧州、北米と言った市場毎にそれぞれの安全規格がある。このため、同社では、茨城工場が主に国内製品、岩手工場が主に海外製品と、原則工場毎に仕向け先を一本化して生産性を上げている。

【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】

(1)自分の会社は自分で守る
(2)Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
(3)健全な財務内容の堅持
(4)投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
(5)世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
(6)新市場開拓と既存市場の深堀り
(7)利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配
(内部留保))

短期的な支払い能力を示す流動比率が533.5%(15/9期末。以下同じ)、長期的な財務の安全性を示す固定比率が21.3%、無借金経営で自己資本比率78.5%。(1)自分の会社は自分で守る、(3)健全な財務内容の堅持、が着実に実行されている事が貸借対照表からみてとれる。

また、茨城及び岩手の国内2工場で全量を生産する事で(2)Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)を実現し、(4)投資の継続(新製品開発、コストダウン、品質向上、より確かな安全)及び海外子会社と一体になって進める(6)新市場開拓と既存市場の深掘りにより、(5)世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指している。

尚、(4)投資の継続(新製品開発、コストダウン、品質向上、より確かな安全)については、長期にわたり安定した経営とその成果を実現する事を目的とした大型投資第2弾が15/9期にスタートした。06/9期から09/9期にかけて成長のための大型投資第1弾(大型風洞実験施設への投資が中心)に次ぐもので、5年間で総額40億円の投資を予定。16/9期の設備投資は11億13百万円を予定しているが、24億56百万円の営業キャッシュ・フローが見込まれており、大型の設備投資を吸収して13億6百万円のフリー・キャッシュ・フローを確保できる見込み。

2016年9月期第1四半期決算
前年同期比1.1%の減収ながら、同18.9%の経常増益

売上高は前年同期比1.1%減の25億60百万円。代理店(Distributor)の在庫調整で北米向けが同51.0%減と大きく落ち込んだものの、訪日客需要も取り込んだ国内が同49.2%増と伸びた他、中国を含むアジアや南米等のその他地域の売上も同27.0%増加。欧州は、子会社の販売エリアであるドイツでの大規模ディーラーの在庫調整の影響を大きく受けたが、代理店販売(子会社エリア以外)の好調で同4.5%の減少にとどまった。

利益面では、売上の減少と対ユーロでの円高の進行で原価率が57.1%と1.7ポイント低下し売上総利益が同5.0%減少(前年同期の売上総利益率が特に低かった反動もある)。変動費を中心に販管費が減少したものの、営業利益が4億51百万円と同5.8%減少した。ただ、為替差損益の改善(△62百万円→37百万円)で経常利益は4億95百万円と同18.9%増加した。

期中の平均為替レートは、1USドル=121.92円(前年同期117.48円)、1ユーロ=132.41円 (同144.32円)。海外子会社換算レートは(2015年9月30日現在)、1USドル=119.96円(同109.45円)、1ユーロ=134.97円(同138.87円)。

(2)財政状態

第1四半期末の総資産は前期末に比べて15億円減の113億67百万円。期末を越えて売上債権・仕入債務が減少した他、配当や法人税等の支払いで、現預金、未払法人税等、及び純資産が減少した。自己資本比率は82.2%(前期末78.5%)。

2016年9月期業績予想
上方修正された上期予想は、前年同期比1.6%の増収、同1.1%の経常減益

第1四半期決算発表と共に上期の業績予想を上方修正した。北米を除く各地域で堅調な販売が続いており、売上高が期初予想を上回る見込み。利益面では、販売数量の増加に伴う生産数量増で売上原価の低減が見込まれる事に加え、販管費の費消が一部先送りさる事が上振れ要因。

上期予想の前提為替レートは(期中平均)、1USドル=117.00 円(前年同期118.80円)、1ユーロ=127.00円(同139.24円)。海外子会社換算レートが、1USドル=120.61円(同120.55円)、1ユーロ=131.77円(同146.54円)。もっとも、ユーロについては、当期所要額の大半を1ユーロ=135.62円で為替予約済みである。

通期予想に変更はなく、前期比1.2%の増収、同17.5%の経常減益

通期予想については、「為替相場及び下期の販売動向等で先行き不透明な部分がある」、として期初予想を据え置いた。売上面では、拠点を開設して販売を強化する中国の寄与でその他地域の売上が伸びる他、欧州の売上もわずかに増加する見込みだが(数量は横ばい)、前期の出荷が好調だった北米で在庫調整を見込んでおり、国内も微減を想定している。

利益面では、賃上げに伴う労務費・人件費の増加、北米市場の深掘りに伴う広告宣伝費の増加、対円でのユーロ安に伴う欧州子社の原価増、減価償却費の増加、及び未実現利益の減少等で営業利益が25億円と同22.1%減少する見込み。ただ、法人税率の引き下げ及び政策減税効果が見込める事等から最終利益は17億20百万円と同13.9%の減少にとどまる見込み。

想定為替レート(期中平均)は、1USドル=120.00円(前期120.04円)、1ユーロ=132.00円(同137.48円)。ただ、既に説明した通り、ユーロについては当期所要額の大半を1ユーロ=135.62 円で為替予約済みである。設備投資11億13百万円、減価償却費6億30百万円。

配当は1株当たり期末62円を予定している。

(3)2016年シーズンの勝負モデル

2016年のバイクシーズンに向けた勝負モデルは、同社のフラッグシップレーシングモデルとして日米欧の3極で投入する「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」と同社にとって新しいカテゴリーのモデルとして日欧で投入する「J・O」の2つ。

X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)

「X-14(北米、日本)/X-Spirit III(欧州)」は、あらゆる妥協を排除してレーシングに最適のモデルを追求。オンロードフルフェイスタイプで、同社のフラッグシップレーシングモデルとの位置付けである。MOTO GPチャンピオンのマルケスをはじめ、ほぼ全ての契約レーサーがテスト走行に参加したが、一様に出来栄えを称賛しており、特にマルケスは空力性能を高く評価したと言う。その他のレーサーからも、空力性能に対する評価はもちろん、ベンチュレーション、フィッティング、ノイズレス、広い視界等が評価されたようだ。10月に米国フロリダで開催されたAmerican International Motorcycle Expo(AIM Ezpo)でも大きな反響を呼んだと言う。

J・O

「J・O」はインナー収納シールド付きオープンフェイスタイプのヘルメットで、ターゲットはカスタムバイクやクラシックバイクのユーザー。バイクメーカーがレトロ調の新モデルを相次いで発表している潮流をとらえて開発したモデルであり、同社にとって新しいカテゴリーのモデルである。“軽量、コンパクト、ファッションオリエンティッド” と言う、従来のSHOEIにないコンセプトを掲げている。このため、11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMAショー(ミラノショー)」では、驚きと好感を持って迎えられたと言う。

今後の注目点
上期の決算を上方修正する等、16/9期の出足は順調だ。国内は、引き続き訪日客需要があったものと思われ、想定以上だったのではないだろうか。海外では、中国で販売強化の成果が出ているようだし、ドイツでの苦戦が響き微減収となった欧州も、全体で前年同期比4.5%の減収にとどまっており、為替レートを考えると健闘したと言えるのではないだろうか(もともと今期は数量ベースでの大きな増加を見込んでいない)。また、売上が落ち込んだ北米については当初からリスク要因として挙げており、今期は大規模な販促を予定している(業績予想に広告宣伝費の増加が織り込まれている)。
為替の不透明感は残るだろうが、1-3月も受注が好調に推移すれば(子会社は6月決算のため既に第3四半期に入っている)、通期業績予想の上方修正が現実味を増してくるものと思われる。
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