(4641:東証1部) アルプス技研 2015年12月期業績レポート

2016/03/02

altech

今回のポイント
・15/12期は前期比12.7%の増収、同37.5%の経常増益となり、売上高・利益共に過去最高を更新。自動車関連分野を中心に技術者派遣の売上が収益性の改善を伴って増加。環境エネルギー分野やメンテナンス事業への展開が成果を上げたグローバル事業の売上も伸びた。配当は1株当たり昨年より11円増配の年71円を予定。

・16/12期は前期比9.6%の増収、同8.0%の経常増益予想。自動車分野が引き続き堅調に推移しており、電機や半導体も回復傾向にある。契約単価も強含みの推移が見込まれ、連結業績の大半を占める個別業績が前期比8.3%の増収、同5.4%の経常増益と伸びる見込み。子会社も、海外子会社の事業拡大等で連結業績に寄与。配当は1株当たり5円増配の76円を予定(上期末38円、期末38円)。

・チーム化の成果もあり、ここ数年は退職者の減少が顕著で、数年前に比べて半減していると言う。同社の生命線である人材は、順調な新卒採用・キャリア採用による量的拡大に加え、質的な充実も図られているようだ。16/12期のアルプス技研(個別)の取り組みは、「採用、教育、営業における攻めの施策の推進」だが、その下地はできている。業績の上振れと共に、取り組みの成果に期待したい。

会社概要

自動車・自動車部品、電機、半導体など大手製造業を中心とした約400社の顧客企業に対し、正社員として雇用した技術者「アルプスエンジニア」を派遣する技術者派遣事業大手の一角。高い技術力により、「研究・企画・設計」といった付加価値の高いものづくりの上流工程を中心にサービスを提供。技術者としてのみならず社会人としても一流であるべしとの想いから、創業以来一貫して技術力のみならず、ヒューマン教育にも注力。

【企業理念】
「Heart to Heart」
人と人との心のつながりを大切に「『社会や企業の発展も個人の成長も全て人間関係が基本である』ことを認識し、本当の親切とは、真の友情とは、真実とは何かを考えよう。自己を厳しく律し人間研究をしよう。企業人として、自社の技術や製品に心をこめて社会へ送り出そう。」という意味を込めている。

創業当時、「企業が発展と成長を遂げていくためには、まずなによりも『優れた正しい経営理念の確立』が必要である。」との思いから、経営理念「Heart to Heart」を定めた。「相手への真の思いやりの心をもって、本人の将来のために、厳しく躾けることで、真の人間関係を築くことができる。」とする経営理念をもとに、技術者は自身の研鑽に努めている。また、「企業は人なり」という言葉を重視し、人と人とのつながりが企業を成長、発展させるとして人材育成に力を入れている。「人材育成は企業にとって経営の要」、「会社は自己実現のための人生道場」であるとの考えから、アルプス技研の歴史は社員教育の歴史でもある。

【事業内容】

約400社の顧客企業(大手製造業)に対し技術者「アルプスエンジニア」を派遣する「アウトソーシングサービス事業」が全売上高の95%(15/12期実績。以下同じ)を占める。派遣する技術者は同社が無期雇用契約を締結した正社員。技術者数は2015年12月末現在で2,596名。全国に20の営業所の他、2か所のものづくりセンターを有している。また、「アウトソーシングサービス事業」には、製造業への人材派遣と請負事業による設計事業から実験・評価・生産管理に至るまでの技術系の収益に加え、事務系の人材サービス等を手掛ける(株)アルプスビジネスサービスの収益も含まれている。
この他、(株)アルプスキャリアデザイニングによる技術者の職業紹介や転職支援の「職業紹介事業」の売上構成比が0.2%、台湾及び上海の子会社による海外の日系企業に対する機械据え付けや人材サービス等の「グローバル事業」が5.2%。この他、ミャンマーに支店を開設している。

(1)アウトソーシングサービス事業のビジネスモデル

グローバルな企業間競争がますます激しくなる中、企業は様々な分野で効率化を図ることに積極的に取組んでいる。製造業の製品開発プロセスにおいては、「開発サイクルの短縮」、「専門分野の強化」、「先端技術の導入」といった点での更なる改善や強化が大きなニーズとして存在するが、全てを自社の従業員で賄うことは社員教育の時間、コストといった問題から現実的ではない。そこで、同社は高度な技術力を持った「アルプスエンジニア」の派遣やプロジェクトの受託といった顧客企業のニーズに応じたスタイルにより技術力を提供、顧客企業の研究開発、製品開発を支援している。

派遣

アルプスエンジニアは、同社が無期雇用した正社員の技術者であるため常時安定した技術提供が可能。アルプスエンジニアの活用により、顧客企業は自社で技術者を育成する費用や、研修期間を削減することができる。加えて、技術者の経験年数、スキル、対応可能分野などを網羅したデータベースを用い、顧客ニーズに最適なアルプスエンジニアを派遣している。また、派遣スタイルとしては技術者を単独で派遣するほか、チームとしてエンジニアを派遣するケースが増加している。
チーム派遣による顧客企業のメリットとしては、通常の派遣技術者活用メリットに加え、チームリーダーがメンバーの業務管理や、顧客の要望を適切にメンバーへ指示・フォローするため、顧客の指揮命令者の負担を軽減することができる点があげられる。同社としても、まだ経験の少ない新卒技術者をメンバーに加えれば、先輩社員による指導によりスキルが向上すると共に、稼働率向上にも繋がるというメリットがある。

請負・受託開発

同社は「宇都宮テクノパーク」、「蓼科テクノパーク」の2工場を有している。自社工場を有するという特長を活かし、開発→設計→製作というプロセスを一括で受託する体制を構築している。

※無期雇用型派遣と有期雇用(登録型)派遣
「派遣」は、正社員を派遣する無期雇用型派遣と有期雇用(登録型)派遣の2種類に分かれる。無期雇用型派遣では派遣元企業と無期雇用契約を交わした社員が派遣され、有期雇用(登録型)派遣では派遣元企業と派遣期間のみの雇用契約を交わした社員が派遣される。専門性が高く、高い技術が求められる技術者派遣は、社員教育やキャリアパスを重視するため無期雇用が大半であり、一般事務派遣や製造派遣は有期雇用(登録型)派遣が一般的である。
【沿革】

取締役会長の松井 利夫氏が1968年に開業した松井設計事務所がその前身。自ら事業を立上げることを志し、同事務所を開業した。当時は、電気設計と機械設計が別々に行われており、そこから発生する様々な不具合を解決するために「機電一体設計」という独自で斬新な手法を顧客企業に提案していった。オイルショックを始め様々な困難に遭遇したが、不断の努力により「顧客の要請に応じて技術提供する」ベンチャー企業として顧客の評価を着実に高めていく。

1986年7月に労働者派遣事業法が施行。企業による労働者の募集・紹介、供給は職業安定法により禁止されていたが、働き方の多様性、社会需要の変化などから「派遣労働」が国によって公認された。これを機に、労働者派遣業界の認知度を更に高め社会に理解を促進することを目指し、1996年6月に株式を店頭登録。2000年9月に東証2部、2004年12月に東証1部へとステップアップした。リーマン・ショック時の2009年第3四半期に稼働率は約60%まで低下したが、人を大切にする企業として解雇、リストラなどを一切行うことはなかった(15/12期の新卒を除く稼働率:通期平均97.6%)。

社名の「アルプス技研」には、山をこよなく愛する事に加え、アルプス山脈のような雄大な企業を目指そうという創業時の松井氏の思いが込められている。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

収益性の改善を伴った売上の増加で、15/12期のROEは15.5%と前期に比べて1.1ポイント向上した。技術者派遣における稼働人数の増加と契約単価の上昇に加え、全社的なコスト削減が進んだ事で、売上高当期純利益が改善すると共に、総資産回転率が高まった。
その一方で、レバレッジはわずかな上昇にとどまった。過去数年間の傾向として言える事だが、同社はレバレッジに依存する事なく、ROEを向上させている。

労働者派遣市場の動向とアルプス技研の強み
【労働者派遣市場の動向】

厚生労働省発表の「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」によると、2012年度の労働者派遣(人材派遣)市場の規模は約5.2兆円。リーマン・ショックの影響で2008年度をピークに市場が縮小したが、市場規模が大きく縮小したのは一般労働者派遣市場(有期雇用派遣市場と読み替える事ができる)である。

労働者派遣法の改正

労働者派遣法改正法が成立し、2015年9月30日に施行された。改正のポイントは、①労働者派遣事業の許可制への一本化と資産基準等の設定、②労働者派遣の期間制限の見直し、及び③雇用安定措置の3点。アルプス技研は、無期雇用型派遣(正社員の派遣)のため、技術者の立場が安定しており、法改正によるマイナス影響はない。

改正のポイント
①労働者派遣事業の許可制への一本化と資産基準等の設定

一般労働者派遣事業(許可制)、特定労働者派遣事業(届出制)の区別が廃止され、全ての労働者派遣事業が許可制となった。これに伴い、基準資産額(資産マイナス負債)2,000万円以上、現預金額1,500万円以上、及び派遣労働者のキャリア支援制度を有する等の基準が設けられ、事業者に規模と質が求められるようになった。

②労働者派遣の期間制限の見直し

26業務への派遣での期間無期限が撤廃されると共に、期間制限が業務単位から人単位へ変更された。

③雇用安定措置

派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元事業主による無期雇用等、雇用安定措置が強化された。有期雇用の派遣労働者が無期雇用に転換すると、派遣会社の負担が増加するため、登録型の派遣会社には影響が大きい(同社は無期雇用契約のため影響なし)。

M&A等、大手事業者のビジネスチャンスが拡大

今回の法改正では、基準資産額等が設定され、事業者に規模と質が求められるようになったため、中小事業者にとっては厳しい基準である。今後、同社のような優れた財務体質を持った企業によるM&A等、業界再編の動きが予想される。NEOA加盟企業等、同社を含めた大手事業者にとって、M&A等で企業規模を拡大するチャンスであるとみられている。

■業界団体「日本エンジニアリングアウトソーシング協会」(NEOA:ネオ)
技術系アウトソーシング業界の業界団体であるNEOAは、製造業や情報産業といった取引企業とそこで働くエンジニアが、安心して信頼できるアウトソーサーを選別できる一つの基準として設立された。NEOAは、アウトソーサーとして社会的責任を果たすための基準を設け、その基準を充たしたアウトソーサー企業が参集し、業界の健全化を図ると共に、日本の製造業のパートナーとしての責任を果たし、日本のものづくりを支えている。同協会の代表理事はアルプス技研の前社長牛嶋 素一氏が務めており、業界全体の信頼向上を目指す活動を継続している。

強みと特徴

同社の強みと特徴は、正社員(無期雇用)の技術者派遣、創業47年目の「人」を大切にする会社、設計・開発を中心とした上流工程に特化している事、の3点。

正社員(無期雇用)の技術者派遣  ⇒  技術者の雇用が安定。長いキャリア形成が可能

既に説明した通り、派遣には無期雇用型派遣と有期雇用(登録型)派遣があるが、一時期、一部のメディアで報道されていた「派遣切り」は後者で見られた現象であり、無期雇用の正社員派遣を行う同社は一切関係ない。

創業47年目の「人」を大切にする会社  ⇒  技術+熱心なヒューマン教育が特徴

「Heart to Heart」と言う経営理念の下、「社会や企業の発展も個人の成長も全て人間関係が基本である」事を認識して、人との心のつながりを大切にしている。また、「企業は人なり」という言葉を重視し、「人と人とのつながりが企業を成長、発展させる」として、技術教育だけでなく、人材育成にも力を入れており、勉強会等、自己研さんの文化が定着している。

上流工程(設計・開発)に特化。機械、電気、ソフト、化学分野に幅広く対応  ⇒  チーム派遣の推進で高単価の実現

同社は付加価値の高い上流工程に特化しており、業務フェーズ別の売上構成比は、企画・研究開発・開発設開発設計が約70%、評価・解析・生産技術が30%。展開する技術分野は、機械系、電気系、ソフト系、化学系と幅広い。また、顧客側の指揮命令者の負担を軽減する事ができる「チーム派遣」を推進する事で差別化を図り、高単価を実現している。

2015年12月期決算
前期比12.7%の増収、同37.5%の経常増益

売上高は前期比12.7%増の227億23百万円。稼働人数、契約単価共に上昇した技術者派遣をけん引役にアウトソーシングサービス事業の売上が215億05百万円と同14.9%増加した他、台湾・上海子会社による海外日系企業向け搬送装置据え付け等のグローバル事業も、環境エネルギー分野やメンテナンス事業の拡大で売上が11億78百万円と同49.7%増加した。一方、事業撤退により前期に6億06百万円を計上した介護事業の売上がなくなった他、(株)アルプスキャリアデザイニングが手掛ける職業紹介事業の売上が成約の伸び悩みで前期の55百万円から39百万円に減少した。
営業利益は同33.2%増の21億65百万円。高い営業利益の伸びをけん引したのは、売上同様にアウトソーシングサービス事業である。稼働人数、契約単価の上昇に加え、新卒を除く稼働率が通期平均で97.6%とほぼフル稼働に近い状態で推移した(新卒を含めても96.0%と高水準)。一方、最終利益が14億46百万円と同14.8%の増加にとどまったのは特別利益の減少等による(前期は関係会社株式売却益85百万円や投資有価証券売却益51百万円等を計上した)。

配当は1株当たり11円増配の年71円を予定。当初は65円を予定していたが、業績発表と共に配当予想を引き上げた。

高い流動性と長期的な安定性を有する優れた財務体質。フリー・キャッシュ・フローは21億21百万円を確保

業容拡大で期末総資産は145億57百万円と前期末に比べて12億07百万円増加した。高い流動性と長期的な安定性を有する優れた財務体質に変わりはなく、流動比率235.3%(前期末243.9%)、固定比率37.4%(同39.7%)、自己資本比率66.1%(同67.9%)。投下資本の効率性・収益性を示す投下資本利益率(ROIC)は前期の10.6%から14.1%に上昇した。

キャッシュ・フロー(CF)の面では、運転資金が増加したものの、税引き前利益を中心に12億07百万円の営業CFを確保した。貸付金の回収で投資CFの黒字幅が拡大したため、前期は20億52百万円だったフリーCFが21億21百万円に増加した。財務CFがマイナスになったのは主に配当の支払いによる。

自動車関連が引き続き好調。半導体が回復し、環境や医療機器関連で新規開拓も進む

足元も強い人材要請が続いている自動車関連の売上が前期比2割弱増加し、売上構成比が37.7%から39.2%に上昇した他、回復に転じた半導体関連も同6割弱増加して売上構成比が13.4%と3.4ポイント上昇。環境や医療機器関連の新規開拓が進み、その他(工作機械、ソフト開発、太陽光、医療系、航空宇宙等)も23.8%から25.9%に上昇した。一方、電機関連が8.4%から5.1%に、精密機器関連が20.1%から17.6%に低下した。低下の要因は、一部で選択と集中を進めた影響もあるが、例えば、電機メーカーにおいて自動車関連の人材需要が増えたケースや、医療機器も手掛ける精密機器メーカーにおいて医療機器での人材需要が増えたケース等もある。
売上高上位は、デンソーテクノ、東芝、キャノン、三菱電機、日産自動車等(3ページ参照)で、上位10社の売上高構成比23.4%(15/12期:25.0%)。時流に合わせた好調企業への営業強化が奏功し、少なくとも過去3年間、上位10社に入っていなかったソニーセミコンダクタやソニーLSIデザインが上位10社にランクされた。また、同社は特定顧客への依存を避け、取引先の分散を図っている事も同社の特長。このため、上位10社への依存度は、安定的に25%を下回っている。

主要指標は着実に向上

期末技術社員数は前期末の2,330名から2,596名へ266名増加した。新卒入社257名に加え、現場ニーズにマッチした人材の迅速な確保を目的に採用の権限を本社から現場(事業所)へ移管した効果でキャリア採用も順調に進んだ。期末稼働人数が前期末の2,251名から2,502名へ251名増加し、期末時点の契約単価も3,683円から3,804円へ121円上昇(時間外手当を含めると約3,900円)。2015年新卒社員の早期稼働で、新卒を含めた平均稼働率は95.5%から96.0%に上昇した(新卒を除く稼働率は97.4%から97.6%に上昇)。

2016年12月期業績予想
前期比9.6%の増収、同8.0%の経常増益予想

自動車関連分野が引き続き堅調に推移しており、電機や半導体も回復傾向にある。旺盛な技術者需要を受けて、契約単価も強含みの推移が見込まれ、連結業績の大半を占める個別業績が売上高217億50百万円(前期比8.3%増)、経常利益22億円(同5.4%増)と伸びる。また、子会社も、海外子会社の事業拡大や(株)アルプスキャリアデザイニングの損益改善等で連結業績への寄与が見込まれる。

(2)16/12期の取り組み
ビジョン

「Heart to Heart」という経営理念の下、3,000名の技術社員、営業、教育、採用、グループ会社が一丸となった強固な収益基盤を構築して“アルプスブランド”を確立していく。

アルプス技研(個別)の取り組み  採用、教育、営業において、攻めの施策を推進

「攻めの採用」では、新卒250名採用(2017年入社目標)、及びキャリア120名採用(2016年入社目標)を達成目標とし、全社協力採用体制の定着に取り組むと共に、多様なチャネルのキャリア採用及びグローバルエンジニア積極採用を推進する。グローバルエンジニア採用では、中国・青島市(山東省)で提携会社が現地大学と提携し教育事業を行っている(アルプス学部が設置されている)他、ベトナムにも提携先を有し、それぞれから人材の供給を受けている。また、ミャンマーでは2015年に開設した同社の支店が日本語や日本文化の教育を行っている。現地で教育を受けた人材は、その後の日本での活躍や現地での技術者派遣等の事業拡大の原動力として期待されている。

「攻めの教育」では、技術トレンドに則したキャリア形成、資格取得・合格率アップ、及びチームリーダー育成を達成目標とし、段階的且つ体系的な研修を実施して、社員の資格取得やマネジメント系の能力開発を支援していく。また、教育に際しては、これまでに蓄積してきた人材育成データを分析し、これを活かしていく。

「攻めの営業」では、7月末全社員稼働決定、優良チームの増加、実単価4,000円を達成目標とし、さらなる新卒の早期稼働に取り組むと共に、キャリアターゲットローテーションやチーム化の推進による顧客の選択と集中を進める。チームはチームリーダーがマネジメントする現場内の組織であり、新卒社員をチームに加える事で、OJT(On the Job Training)による新卒社員の早期戦力化が可能であり、即戦力不足を補う事ができる。また、チーム化によって生まれる社員の一体感は派遣先で孤立しがちな派遣社員のメンタル面でのメリットがある他、新卒社員であっても、チームが教育するため、派遣先企業の負担になる事もない。
一方、キャリアターゲットローテーションとは、技術者のキャリアアップ支援を目的としたもの。同社には、「技術者育成支援システム(ESS)」と言う技術者の育成システムがある。このシステムの下、技術者は技術的なターゲットを定めてスキルアップに励み、営業担当者は、単に案件を獲得するのではなく、技術者のスキルや希望に応じた案件の獲得に取り組んでいる。
尚、実単価とは契約単価に時間外手当等を含めた実際の支払い(受け取り)ベースでの単価の事。

グループの取り組み

グループ企業が手掛ける国内事業は、(株)アルプスビジネスサービスが手掛ける事務系の人材サービス事業と、(株)アルプスキャリアデザイニングによる技術者の職業紹介・転職支援事業に分かれ、共にブランドを確立し企業規模を拡大させる必要がある。このため、(株)アルプスビジネスサービスでは企業体力の強化、(株)アルプスキャリアデザイニングは黒字定着に取り組んでいる。もっとも、(株)アルプスキャリアデザイニングは昨夏に実施した構造改革の成果で2015/12期第4四半期は黒字化した。
海外事業は、台湾・上海の子会社が海外の日系企業に対する半導体・液晶関連で搬送装置据え付けや人材サービス等を提供している他、(株)アルプス技研がミャンマーに支店を開設して現地人材を育成している。また、(株)アルプス技研が、海外で育成したグローバルエンジニアの国内での採用を拡大させている。グループ成長を加速し、グローバル企業グループへ向けた取り組みを進めていく考え。

(3)利益配分

同社は連結ベースの配当性向50%を基本としており、かつ、安定配当として、業績にかかわらず年間配当20円を維持する考え。また、上期末の配当を年間配当の50%を目処に実施していく考え。
16/12期は1株当たり5円増配の76円を予定している(上期末38円、期末38円)。

中期経営計画

同社グループは16/12期から18/12期にかけての3ヵ年を対象とする中期経営経計画(ローリング方)を下記のとおり策定した。
同社は、創業時より定性的なビジョン目標である5ヵ年計画を策定しており、3ヵ年の定量目標を成果と課題を踏まえ毎年ローリングする「ローリングプラン」と合わせ、中期経営計画として位置づけ、その達成に努めてきた。これまで、こうした定量目標は公表を控えていたが、投資家と積極的な対話を行うにあたり、中期的な目標開示が必要と考え、今回、これを公表する事とした。

中期経営計画の基本方針及び重点施策

同社は2018年7月に創業50周年を迎える。その2018年度(18/12期)を最終年度とし、2013年度(13/12期)より第10次5ヵ年計画「イノベーションによる企業規模の拡大~創業50周年に向けた成長の加速~」に取り組んでおり、「本業の強化」、「グループの拡大」、「グローバル展開」を推進している。

5ヵ年計画 「イノベーションによる企業規模の拡大~創業50周年に向けた成長の加速~」

(1)技術、産業の変化を先取りし、高度で多様な技術サービスを提供

①営業・採用・教育の仕組みの変革、②チーム化・請負化の推進、③顧客満足度の向上、④高度技術者集団としてのブランド確立

(2)関係会社の自立、成長により、当社グループの規模拡大を加速

①関係会社の独自性と収益性の発揮、②潮流を捉えた新規事業の創出、③グループ拡大による社会貢献への寄与

(3)アジアに展開するグローバル企業グループへの躍進

①事業基盤強化と事業分野の拡大、②東南アジアにおけるネットワーク活用、③グローバルなアウトソーシングサービスの提供
※(株)アルプス技研 個別目標(2017年)  営業利益率10%以上、平均実単価4,000円以上

個別目標として、「営業利益10%以上」と「平均実単価4,000円以上」の達成を目指している。14/12期の実績は、売上高原価率73.3%、売上高販管費率17.7%、売上高営業利益率9.0%だった。顧客との交渉による単価アップと報酬の増額による技術社員の処遇向上に継続的に取り組んでいく事で、売上高原価率の上昇を受け入れつつ(高稼働率を前提とした売上高原価率UP)、スケールメリットと間接分門の効率化で売上高販管費率を引き下げ、売上高営業利益率10.0%を実現する。
技術社員の処遇向上は、定着率の向上と採用力の向上、ひいては “アルプスブランド” ブランド力強化につながり、同社の収益拡大の原動力となる。

今後の注目点
「堅実さ」も同社の特長の一つであり、16/12期の業績予想にも反映されている。自動車関連を中心に技術者需要は旺盛で今期の受注に不安はないものの、人材が枯渇している中での無理な業績拡大は持続的な成長の阻害要因になりかねない、との考えが背景にある。また、「良好な事業環境を追い風に単に規模拡大を急ぐのではなく、良好な事業環境を活かしてチームアルプスの取り組みを進め “アルプスブランド” の確立を図る」という方針にも沿ったものだ。

一方、チーム化の成果もあり、ここ数年は退職者の減少が顕著で、数年前に比べて半減していると言う事から、同社の生命線である人材は、順調な新卒・キャリア採用による量的拡大に加え、質的な充実も図られているようだ。中国をはじめとする新興国経済の先行き不透明感や金融市場及び為替市場での混乱等、マクロ面での懸念材料はあるものの、しっかりとしたソリューションで技術者自身が派遣先企業との信頼関係を構築できるよう努めているため、仮に事業環境が変わっても、相対的に影響は少ないだろう。16/12期のアルプス技研(個別)の取り組みは、「採用、教育、営業における攻めの施策の推進」だが、その下地はできている。業績の上振れと共に、取り組みの成果に期待したい。

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