(4709:東証1部) インフォメーション・ディベロプメント 2016年3月期第3四半期業績レポート

2016/02/24

ID

今回のポイント
・16/3期第3四半期の売上高は前年同期比6.9%増の147億68百万円、経常利益は同28.8%減の5億28百万円。売上面では、金融系既存業務が引き続き増加したことなどによりシステム運営管理が増加した他、制度改正、法改正対応等により公共系案件が大きく増加したことなどによりソフトウェア開発も増加した。一方、利益面では、本店移転に伴う費用や減価償却費により販管費が増加したことに加え、ソフトウェア開発事業において不採算案件が発生したことが影響した。

・通期業績予想に変更は無い。会社計画の売上高は前期比6.0%増の200億円、会社計画の経常利益は同4.1%増の10億40百万円。売上面では、引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。一方、利益面では、不採算案件の発生によりやや厳しい面もあるが、収益性向上策に一層注力して達成を目指す。配当も普通配当のみで30円/株(前期は記念配当2円を含めて30円/株)の計画から変更なし。予想配当性向は37.3%。

・中国発の景気スローダウンが全世界へ波及するリスクが高まってきたことに加えて、年初からの円高株安の動きが企業の設備投資マインドを悪化させるリスクが出てきたことには注意が必要である。しかし、同社の主要顧客である金融、情報通信、サービスなどの産業や公共団体は、外部環境悪化や円高の悪影響を受けにくいことから、同社業績への影響も限定的との見方もできる。世界景気のスローダウンが、今後国内情報サービス産業の売上高にどのような影響を及ぼすのか、また、こうした環境下で各種重点施策の実行とその加速を通じて同社は業績を拡大することができるのか注目される。

会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウェア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウェア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。

システム運営管理  (15/3期売上構成比59.7%)

1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。

ソフトウエア開発・保守 (15/3期売上構成比37.0%)

500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。

その他 (15/3期売上構成比3.3%)

BPO、セキュリティ、コンサルティングなどを展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が53.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが29.3%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.5%。

【IDグループ】

IDは、2015年7月1日付で、国内子会社であった(株)日本カルチャソフトサービスと(株)ソフトウエア・ディベロプメントを吸収合併した。現在の国内外の連結子会社は6社。このうち国内(2社)は、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(出資比率85.9%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(4社)は、中国でソフトウェア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでシステム運用コンサルティングやセキュリティサービス等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。また、2015年8月にシステム運営管理の企画ならびに運用を手掛けるPT. INFORMATION DEVELOPMENT INDONESIA(IDシンガポール51%、ID49%、IDインドネシア)を設立した。
このほか、ミャンマーにITトレーニングアカデミーの運営等を行う、現地企業との合弁会社、Infinity Information Development Co., Ltd. (IDシンガポール出資比率49%)を有している。

【IDグループのサービスの特徴 -i-Bos24®(ID’s Business
Operations-Outsourcing Service 24)-】

同社グループはコンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウェア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行することで顧客の業務効率化に貢献している。

内閣府が12月8日に発表した15年7-9月の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.0%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)の前期比も0.6%増と2四半期ぶりにプラスに転じた
また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(15年12月21日発表。11月分確報値)によると、情報サービス産業の売上高は、前年同月を上回る基調を維持していることが確認された。

(2)同社取り組み

キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル推進」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を”i-Bos24®” のブランドで 展開し、既存顧客1,000社から抽出した13企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本水準で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウェア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携に加え、2015年5月にミャンマーに合弁会社を設立。また、同年8月にはインドネシアに子会社を設立し、グローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウェア、OS、ミドルウェアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

【経営戦略における重点施策】

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセス改善を掲げる。18/3期に売上高235億円、営業利益率8.0%を目指す。

2016年3月期第3四半期決算概要
前年同期比6.9%の増収、同28.8%の経常減益

売上高は前年同期比6.9%増の147億68百万円。金融系既存業務が引き続き増加したことなどによりシステム運営管理が増加した他、制度改正、法改正対応等により公共系案件が大きく増加したことなどによりソフトウェア開発も増加した。
経常利益は前年同期比28.8%減の5億28百万円。本店移転に伴う費用や減価償却費により販管費が増加したことに加え、ソフトウェア開発事業において不採算案件が発生したことが影響した。売上高総利益率は粗利率が0.1ポイント低下したほか、売上高対販管費率が1.6ポイント増加した。営業利益は同26.6%減の5億円21百万円となった。

システム運営管理事業の売上高は前年同期比4.6%増の87億14百万円。既存の金融系運営管理業務は、一部規模縮小があったものの、引き続き売上が増加。また、企業のIT投資回復を背景に、金融系や運輸系のプラットフォーム系開発業務も大幅に売上が増加した。

ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比7.3%増の54億64百万円。公共系の案件が制度改正、法改正対応等によって売上が大きく増加。また、システム統合や更改対応により、金融系の売上も大幅に増加した。

その他事業の売上高は前年同期比51.2%増の5億89百万円。セキュリティ販売やコンサルティングの売上が大幅に増加した。

16年3月期第3四半期(10-12月)は、売上総利益率が20.4%と高水準となった。

15/12月末の総資産は前期末比1億7百万円減の101億95百万円。資産面では現預金、売上債権、繰延税金資産が減少した一方、有形固定資産が増加した。負債・純資産面では有利子負債が増加した一方、未払法人税等や賞与引当金などが減少した。自己資本比率は67.7%と前期末比2.1ポイント上昇した。

2016年3月期業績予想
業績予想に変更無し。前期比6.0%の増収、同4.1%の経常増益を見込む

会社計画の売上高は前期比6.0%増の200億円。引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。
会社計画の営業利益は同7.6%増の10億40百万円。不採算案件の発生によりやや厳しい面もあるが、収益性向上策をより一層強化し達成を目指す。
配当も普通配当のみで30円/株(前期は記念配当2円を含めて30円/株)の期初予想を据え置き。予想配当性向は37.3%。

(2)重点施策の取組状況
「ダイバーシティの推進」では、グローバル戦略を確実に推進していくための人材育成、および人材の多様化を通じて、組織の活性化を図っているが、女性管理職比率11.9%、従業員に占める外国籍社員の割合が8.2%まで高まった。
「BOO戦略の推進」では、ZeroTurnaround社の販売代理店として、各事業部横断的な取り組みのもと、革新的なJava開発ツールを提供。平成27年12月16日には従来より対応要望が多かった「JRebel for Android」の販売を開始。これにより、開発者はコードとリソースの変更時に、リアルタイムでアプリの見た目や雰囲気を正しく確認でき、変更したコードから瞬時にフィードバックを得られる。ビルド、インストール、起動の時間を減らすことにより、開発コストの削減が可能となった。
「グローバル推進」では、平成27年6月26日に当社の関連会社であるInfinity Information Development Co., Ltd.が、ミャンマー(ヤンゴン)において、ITインフラ構築のための実践技術の習得、およびビジネスマナー、コンプライアンス、リスクマネジメントの考え方を学習できるi-Technology Professional Camp を開校。また、平成27年8月に設立したPT. INFORMATION DEVELOPMENT INDONESIAは、インドネシア国内におけるシステム運営管理のコンサルティング、および現地リソースを使った運営管理サービスを提供。また、連結子会社である艾迪系統開発(武漢)有限公司は平成27年12月17日、ソフトウエア企業約800社が加盟する湖北省ソフトウエア産業協会の年次総会において、「2015-2016年度の優秀ソフトウエア企業(サービスアウトソーシング重点企業)」として表彰された。
「グループ経営の効率化と業務プロセスの改善」では、同社を存続会社として、連結子会社である株式会社日本カルチャソフトサービス、および株式会社ソフトウエア・ディベロプメントを平成27年7月1日に吸収合併。更に、本社および事業部門を一拠点に移転集約。グループ内の連携をより一層充実・強化し、グループ経営効率のさらなる向上を実現。さらに、事業部門所在地における地区再開発、および7月の完全子会社2社の吸収合併にともない、平成27年8月から9月にかけて、本社および事業部門を一拠点に移転集約した。移転を機にグループ内の連携をより一層充実・強化し、グループ経営効率のさらなる向上を目指す。
今後の注目点
16年第3四半期(10-12月)の決算は、四半期の売上高が50億円を超える中、売上総利益率が20.4%の高水準を達成するなど好決算となった。同社の主力顧客である金融系においては新規顧客の開拓も見られ、営業力も強化されていることに加え、グループ経営の効率化と業務プロセスの改善も着実に進んでいることが確認された。
こうした一方で、中国発の景気スローダウンが全世界へ波及するリスクが高まってきたことに加えて、年初からの円高株安の動きが企業の設備投資マインドを悪化させるリスクが出てきたことには注意が必要である。しかし、同社の主要顧客である金融、情報通信、サービスなどの産業や公共団体は、外部環境悪化や円高の悪影響を受けにくいことから、同社業績への影響も限定的との見方もできる。世界景気のスローダウンが、今後国内情報サービス産業の売上高にどのような影響を及ぼすのか、また、こうした環境下で各種重点施策の実行とその加速を通じて同社は業績を拡大することができるのか注目される。
株式会社インベストメントブリッジ
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