(6908:JASDAQ) イリソ電子工業 2016年3月期第2四半期業績レポート

2015/12/24

iriso

今回のポイント
・16/3期2Qの売上高は前年同期比7.4%増収の194億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。円安効果もあり増収で過去最高を更新。想定外の売価ダウンを売上数量増でカバーできず粗利の伸びが低く運搬費と海外における人件費を中心に2桁増加した販管費を吸収できなかったため営業利益は同7.6%減少の31億円。第2四半期業績見通しについては8月に円安の進行により売上を上方修正し、生産台数の変動、値下げ、経費増を要因に利益を下方修正したが、売上、利益とも修正値はクリアした。・16/3月期の売上高は前期比7.5%増加の400億円、営業利益は同4.8%増の72億円の予想。為替見通しを修正したため売上高については上方修正したが、利益については予想を据え置いた。原価低減の追加等により、目標達成は十分可能と考えている。リスクとしては為替動向と中国市場の動向を上げている。配当は前期と変わらず60.00円/株の予定。予想配当性向は13.2%

・AVNは一頃よりも伸び率はやや鈍化してきたようだが、引き続き車載分野は順調だ。特にカメラ、ミリ波レーダーなど安全系分野は今までの想定以上に大きな市場となる可能性があると会社側は見ている。また、同じ車載でも活躍の場を車室内のみから車室外へと広げる新製品のコネクタ「Z-Move」も大いに期待される。まずは今期及び来期の実績に注目したい。

会社概要

配線基板同士を接続するコネクタを開発、製造、販売。顧客の作業効率を格段に向上させる主力製品「可動 B to B®」コネクタを始め、高付加価値商品を有する。売上の約80%が車載向けで、国産自動車メーカー及び海外の主要メーカー全てに同社コネクタは搭載されている。電気自動車、ハイブリッド自動車の普及でビジネスチャンス拡大。早期から海外進出に積極的で、売上、生産共に海外が中心。

【沿革】

1966年に、佐藤 定雄 会長が創業。TVや音響製品などの普及に伴い、ハンダで接続するのではなく、着脱が自由なコネクタの需要が増大し、付加価値機能を備えたピン製品を開発し、コネクタ分野へ本格進出。1980年代には現在の主力事業である車載分野に参入し、高付加価値製品「B to B®」を投入。セット時の芯ズレを吸収するという独自の機構が評価され、高いシェアを獲得。
顧客ニーズに対応し、早期より海外進出を積極化。
社名の「イリソ」は『初めて受注をいただいたお客様が埼玉県入間郡「入曽村」(現在の埼玉県狭山市)にあったことから、そのご恩と感動を忘れないために入曽(イリソ)の地名を当社の社名と致しました。』(同社WEBサイトより)との由来による。

【経営理念】

-未来に続く架け橋として-
人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める。

【事業内容】
<コネクタとは?>

電子回路や光通信において配線基板同士を接続するために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。

同社は、用途に応じた様々なコネクタを製造しているが、その中でも代表的な製品が、同社が登録商標を持っている「B to B®コネクタ」(ボード・トゥ・ボード コネクタ)。

B to Bコネクタとは、基板と基板を直接接続することができるコネクタで、垂直接続、平行接続、水平接続などの組み合わせで、様々な接続が可能となる。
そのB to Bコネクタの中でも、接続部分が数ミリ可動する「遊び」が設定されている「可動 B to B®」コネクタは同社の独自性が発揮されている製品。

通常のコネクタは遊びが無いため、接続する際にソケット側とプラグ側にズレが無いよう作業しないと接続できないため、作業効率が悪くなる。
これに対して可動コネクタは、遊びがあるため、ある程度ずれた状態で接続作業を行っても問題なく接続できる。

また、可動コネクタは、通常片側のみが可動することが常識だったが、同社では顧客からの「両側が動けば、より作業効率が向上する」との声に基づき、ソケットとプラグの両方が可動する両側可動(ダブルフローティング)コネクタも開発した。衝撃に強く、顧客の組み立て作業の効率化が図れる製品として高い評価を受けている。
加えて、組み立て作業時のみでなく、可動部分が自動車走行中の振動、衝撃を吸収するため、自動車搭載時にもその性能が大いに発揮される製品だ。

この他にも、以下の様なコネクタをラインアップしている。

○FPC/FFCコネクタ

FPC基板やFFCケーブルの接続に開発されたコネクタの総称。コネクタの挿入時にほとんど力を加えずにFPC/FFCのロックが可能なタイプや、軽い力で挿入可能なタイプがある。

○I/Fコネクタ

I/Fとはインターフェースの略。機器間の信号の接続を行うコネクタの事で、I/O(インプット/アウトプット)コネクタとも呼ばれる。カーナビ、PCなど様々な機器の側面(裏・表面)に装着され、機器への電源供給、音声・映像信号データ等の入出力を行う。

○P/H

線材をカット加工したピン(電導体)をハウジング(樹脂材でできた絶縁体)で支えたプラグ(オス側)コネクタの基本形であり、様々な分野・機器の内部接続(基板間接続)に使用されている。横から見ると、生け花の花止め「けんざん」のように見えるのが特長。メス側はソケットと呼ばれる。

○コンプレッションコネクタ

コンタクトのスプリング圧を利用した脱着コンセプトを採用したコネクタ。省スペース化にも貢献。モバイル機器の内部接続、クレドール等に使用されている。

主力の車載分野における同社の主要な直接顧客は、Tier 1と呼ばれる自動車メーカーに部品を納入する大手自動車部品メーカー。顧客を通じ、全ての国産メーカー及び、主要な海外メーカーの殆どに同社の製品は搭載されている。
車載分野は、顧客の要望に基づいて製造するカスタム品が多く、高い付加価値を生んでいる。
また自動車メーカー各社は、品質や安全性に対し極めて高い基準を部品メーカーに要求している。同社では早い段階から車載分野に進出しており、永年に渡る納入実績は同社製品の優秀さを証明している。
今後、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)の普及に伴い、電気系統の重要性が増す。また安全性ニーズの高まりを受けて、車間距離を測るミリ波レーダーやカメラの搭載も進み、使用される電子部品数およびコネクタ数は今後も増加する見込み
加えて、これまではどちらかといえばカーAV、カーナビ等、車室周りの電子部品に使用されるコネクタが多数だったが、これからは、駆動部分(モーター等)に使われる高電圧、高出力に対応する電子部品への進出も期待でき、ビジネスチャンスが拡大すると、同社では考えている。
コンシューマー分野は汎用品が多く、構造もそう複雑ではないため価格競争になりやすい。
インダストリアル分野は、車載分野で培ってきた技術力、ノウハウを活かすことができるため、まだ規模は小さいが今後の成長が見込まれる。
【今後の販売及び生産戦略】

創業12年後の1978年にはシンガポールに子会社を設立し、海外での生産、販売をスタートさせている。
まだ実績もさほど大きくない段階ではあったが、顧客企業の海外展開に伴い進出することで顧客との関係を強化することを目的として投資を行った。その狙い通り順調に事業は拡大し、結果として、その後の国内における取引拡大にも結び付けることができた。長年に渡って蓄積したマネジメントノウハウ、実績をベースに、今後も業績拡大のためにはより一段の海外展開強化が必要と考えている。

現在、海外売上高比率、海外生産共に約80%となっている、今後の販売および生産に関し以下の様な戦略を進めていく。

◎販売戦略

日本、欧米、中華、ASEANの四極体制での販売を更に強化する。
現在、ドイツおよびアメリカに技術者が駐在しているが、新たに、韓国およびシンガポールにも技術者を駐在させるほか、今はアメリカ拠点がカバーしている南米地域には将来的に拠点設立を視野に、ASEAN、インドにも注力し、新興国需要の取り込みを図る。
技術と販売が一体となってのグローバル販売体制を構築する。

課題としては、海外現地企業との取引拡大。そのためには優秀なローカルスタッフの採用、育成が必要であり、Global規模での人事交流、研修にも着手している。

◎生産戦略

現在、以下4つのプロジェクトを進行させている。

①原価低減プロジェクト

コスト競争力を強化する。

②BCP構築プロジェクト

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、日本語では、事業継続計画。
災害や事故など不測の事態を想定して、事業継続の視点から対応策をまとめたもので、危機発生の際、重要業務への影響を最小限に抑え、仮に中断しても可及的速やかに復旧・再開できるようにあらかじめ策定しておく行動計画のことを言う。
茨城、上海、ベトナム、フィリピンの4工場での生産体制にBCPを組み込んでいく。

③ベトナム拡大プロジェクト

上記4工場の内、2017年をめどにベトナム工場の生産比率をアップさせる。
限界利益率の極大化を図る。

④生産合理化プロジェクト

材料費、固定費の内容を見直し、コスト構造の低減を図る。

これらのプロジェクトを通じて、
「原価低減の実現を通じたモノ作り競争力の確保」
「生産品質の同一化を通じたモノ作り量産体制の維持」
「顧客クレームの撲滅を通じたモノ作りの信頼性の向上」
を実現する。

15/3期のROEは前期より若干低下したが、高い利益率を背景に14.9%と引き続き高水準を維持している。
総資産回転率のもう一段の改善(1倍台)があればさらなるROEの上昇が期待できる。

2016年3月期第2四半期決算概要
車載市場中心に好調で円安効果もあり2桁の増収・増益。売上、利益共に過去最高を更新。

売上高は前年同期比7.4%増収の194億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。円安効果もあり増収で過去最高を更新した。
ただ、想定外の売価ダウンを売上数量増でカバーできず粗利の伸びが低く、運搬費と海外における人件費を中心に2桁増加した販管費を吸収できなかったため営業利益は同7.6%減少の31億円となった。
2015年8月、第2四半期業績見通しについて、想定以上の円安の進行により売上を上方修正、値下げ、経費増を要因に利益を下方修正したが、売上、利益とも修正値はクリアした。

車載市場は米国を中心に海外が引き続き好調で前年同期比10.9%の増収。海外比率は84.6%となった。製品別ではカメラやミリ波レーダーなど安全性を高める製品が同約70%の大きな伸びとなった。AVNはディスプレーオーディオの増加で使用コネクタの数が減少し、伸びが鈍化した。
コンシューマー市場は昨年伸びたゲーム機向けが減少したほか、デジカメ向け、携帯電話向けも減少した。
インダストリアルは、インバーターなどで堅調だった。

四半期の前年同期では増収だった車載(AVN)は、前期(4-6月)比では中国市場の低迷で4%程度の減収となった。

米国が好調。欧州は円高・ユーロ安のため伸びは低かったが、数量は順調に拡大している。

FPCはゲーム機向けが減少した。

現預金増等で流動資産は前期末比6億17百万円増加。固定資産も建物及び構築物、建設仮勘定の増加などで同10億52百万円増加し、資産合計は同16億69百万円増加の473億53百万円となった。未払法人税等などの増加などで流動負債は同3億91百万円増加。固定負債は長期借入金の減少などで98百万円減少し、負債合計は同2億92百万円増加の79億78百万円となった。
純資産は、利益準備金の増加などで同13億77百万円増加の393億74百万円。自己資本比率は前期末と変わらずの82.9%。

減価償却費増、法人税支払額の減少などで営業CFのプラス幅は前期に比べ9億39百万円拡大。有形固定資産の取得額拡大で投資CFのマイナス幅は同9億97百万円拡大した結果、フリーCFのプラス幅は同58百万円縮小した。
配当金の支払額が増加したため、財務CFのマイナス幅は同1億36百万円拡大した。キャッシュポジションは前期末に比べ27億53百万円の増加。

(4)為替変動リスクへの対応

同社は為替変動の影響を受ける資産をドル建てで11百万ドル、ユーロ建てで14百万ユーロ保有している。
下記のような為替変動により、16年3月期第2四半期は、ドルで2百万円の為替差損、ユーロで65百万円の為替差益、その他で81百万円の合計144百万円の為替差益が発生した。

2016年3月期通期業績見通し
引続き車載市場が堅調。4期連続の増収増益を見込む。

為替見通しを修正した(110円/USDから120円/USDへ、125円/ユーロから130円/ユーロへ)ため第2四半期と同じく売上高については上方修正したが、利益については据え置いた。原価低減の追加等により、目標達成は十分可能と考えている。
リスクとしては為替動向と中国市場の動向をあげている。
配当は前期と変わらず60.00円/株の予定。予想配当性向は13.2%

(2)新製品コネクタ「Z-Move」について

これまでは車載分野の中でもAVNやエレクトロニクス用コネクタを中心にとビジネスを展開してきた同社だが、カーメーカーがエコカーへのシフトを一層強める中、車載分野で更なる成長を目指すには重要保安部品分野への進出が不可欠であると考え、開発したコネクタが「Z-Move」である。

同社の独自性が発揮されている代表的製品「可動 B to B®コネクタ」は、自動車走行中のX軸とY軸2方向の振動、衝撃を吸収するもので、AVNやカーエレクトロニクスの分野では十分な性能を発揮しカーメーカーからの信頼も厚い。
ただ、エンジン周りなど車室外の重要保安部品分野においては、「振動共振(振動体に固有振動数と等しい振動が外部から加わると、振動の幅が大きくなる現象。)」が発生するとB to Bコネクタの性能が発揮されないケースも多くなり性能保証が難しい。
そこで、X軸、Y軸に加え、Z軸方向からの振動も吸収して接点が動かないのが同製品で特許出願済である。
2014年初頭に開発をスタートさせ、2015年8月から出荷を開始しており、12月には同製品を搭載した自動車が販売される。
今期はカーメーカー2社への納入が決まっており、会社側は、今後5年程度で大型製品に成長すると期待している。

今後の注目点

AVNは一頃よりも伸び率はやや低くなってきたようだが、引き続き車載分野は順調だ。
特にカメラ、ミリ波レーダーなど安全系分野は今までの想定以上に大きな市場となる可能性があると会社側は見ている。
また、同じ車載でも活躍の場を車室内のみから車室外へと広げる新製品「Z-Move」も大いに期待される。
まずは今期及び来期の実績に注目したい。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。