(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2016年3月期第2四半期業績レポート

2015/12/16

enjapan

今回のポイント
・16/3期第2四半期は売上高が前年同期比32.4%の増収、営業利益が同65.4%の増益。売上面は、エン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、前年同期比の掲載件数が大幅に増加した。また、エン エージェントも各月の入社人数が前年同期を大幅に上回った他、海外子会社もインドの子会社の業績が期初から加わったこと、インドやベトナムの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したことなどにより前年同期比の売上が大幅に増加した。利益面では、人件費等の費用が増加したものの、会員獲得に係る広告宣伝費の効率化が進んだ。同社は、好調な売上進捗と費用の効率的使用等を反映し、10月28日に上期と通期の業績予想を上方修正した。

・16/3期の会社計画は、10月28日に前期比32.0%の増収、同21.7%の営業増益へ上方修正された。売上面は、引き続き求人広告(エン転職)、人材紹介(エン エージェント及びエンワールド・ジャパン)、海外子会社を中心に拡大を目指す。一方、利益面は、積極的に先行投資を行うことから人件費や広告宣伝費等が増加する計画。一方、16/3期の1株当たりの配当は、前期末から1円増配の33円の予定を据え置き。

・今期から始まった新中期経営計画であるが、当初の計画段階よりも市場環境は良くなり、1案件あたりの応募効果や求人サイトの掲載件数も大幅に向上している。下期の業績動向をみながら、17/3期と18/3期の数値目標を再度精査するとのスタンスであろう。今後の中期経営計画の見直しの動きが注目される

会社概要

「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。

Navigos Groupについては、14/3期第3四半期より、P/Lを連結範囲に含める。
タイは2014年7月にCapstone Groupから社名変更、P/Lは15/3期より連結開始。
オーストラリアは2014年10月にCalibrate Recruitmentから社名変更。
インドは15/3期第3四半期より、P/Lを連結範囲に含める。

※15年3月期より事業セグメントを「採用事業」及び「教育・評価事業」に変更。

*(注1)2014年8月にリニューアルし、[en]社会人の転職情報から名称変更
*(注2)2015年8月にリニューアルし、エン転職コンサルタントから名称変更
*(注3)2015年9月にリニューアルし、[en]派遣のお仕事情報から名称変更
*(注4)2015年11月にリニューアルし、[en]チャレンジ!はた☆らくから名称変更

*(注1)2014年7月に[en]PARTNERから名称変更

*(注1)タイは2014年7月に社名変更及びブランド名を変更(旧社名:Capstone Group、ブランド名:Top Talent Asia)
*(注2)オーストラリアは2014年10月に社名変更(旧社名:Calibrate Recruitment)
*(注3)インドは2014年6月にグループ化

ビジネスモデル

<求人情報サイト>
企業に対して求人広告を企画・提案。同社の正社員が求人企業を取材し、その情報をもとに同社のコピーライターが求人原稿を制作した後、求人サイトに求人原稿を掲載。
掲載課金型求人広告:求人広告を掲載した際に「広告掲載料」が発生。
成功報酬型求人広告:求人広告を掲載し、同社求人サイトを通じて人材採用できた際に「成功報酬料」が発生。
(同社HPより)

<人材紹介>
求職者のこれまでのキャリアや転職意向を確認し、今後のキャリアプランに沿った求人を紹介。企業に対しては採用ニーズにマッチしていると思われる人材を紹介。紹介した人材が入社した際に「成功報酬料」が発生。報酬料は概ね年収の30%。
(同社HPより)

中期経営計画(16/3期~18/3期)

同社は、今後3ヵ年の中期経営計画を策定した。中期経営計画においては、①求人サイト、②人材紹介、③海外、④その他(新規事業を含む)の4分野を注力領域と掲げ、事業の拡大を目指す。最終年度である18/3期の数値目標は、売上高360億円(15/3期比84%増)、営業利益76億円(15/3期比93%増)。3ヵ年中計の最終年度で、過去最高の営業利益(2007/12期:75.6億円)の更新を目指している。

今後の注力領域
(1)求人サイト (18/3期業績計画:売上高180億円、営業利益42億円)

主力サイトである「エン転職」が最大の成長ドライバーであるが、その他サイトも安定成長を目指す。「エン転職」はサイトのリニューアルと営業体制の強化が奏功し足元の業績は好調に推移している。中でも、サイトのリニューアルは、掲載課金型求人広告件数の増加、顧客企業向けのサイト効果の向上(広告1掲載あたり応募数の増加)、ユーザー会員数の増加などに結びついている。エン転職が好調な今こそ投資を行い、今後の大きな飛躍につなげる。

(エン転職の今後の成長戦略)
① 営業体制の整備
・新卒社員を中心に営業人員数の拡大を図る。
・取材に基づいた詳細原稿は変えず、高いクオリティを維持した形で、代理店制を導入。
② 生産性の向上
・1営業人員あたりの業務工程を分業化し、営業に特化することで生産性を向上。
③ プロモーションの強化
・TVCM等オフラインプロモーションを強化し、更なるサイト価値向上を図る。
・16/3期は、全社ベースで前期比約1.6倍の広告宣伝を実施(2015年5月中期経営計画公表時)。営業面のバックアップを図り、エン転職の優位性を確立。
(2)人材紹介 (18/3期業績計画:売上高100億円、営業利益20億円)

エンワールド・ジャパン(EWJ)とエンエージェント等で売上高100億円を目指す。EWJは、外資系企業・グローバル人材領域でトップクラスの規模。採用・転職をする際に第一想起されるブランド力を有するものの、更なる成長には人員・システムの強化が課題。エンエージェントは、エン転職の求職者データベースを活かし、一定規模へ成長したものの、先行投資期間のため、収益面への貢献はこれから。

(EWJの今後の成長戦略)

① 独自の教育システムにより、競合他社と比べ人員増を優位に進める。
② 新たな成長領域である日系グローバル企業へ拡販。
③ システム関連への投資により更に高いフィッティングを実現。

(エンエージェントの今後の成長戦略)

① 16/3期に黒字化を実現。生産性を向上し、18/3期に営業利益率20%を目指す。
② エン転職とのシナジーを拡大。

(3)海外 (18/3期業績計画:売上高33億円、営業利益6億円)

18/3期は、15/3期比で売上高倍増、のれん控除後での利益貢献を目指す。海外子会社全体では、15/3期に黒字化を実現。現地企業や外資系企業の現地人材の転職支援において成果を上げている。

(海外の今後の成長戦略)
① 日系企業のアジア進出活発化に伴い、日系企業向けサービスを新たな成長機会にする。
② 進出国だけではなく、アジア全体での成長を目指すためグループ各国の連携を強化。共通のシステム導入などインフラ面を整備。
(4)新規事業

主力事業は景気変動の影響が大きい。市場環境の見通しが良好である今後数年の内に、新規事業のラインナップ拡充と採用以外の新規事業の創出を行い、事業ポートフォリオの安定化を目指す。

2016年3月期第2四半期決算
売上高は32.4%増収、営業利益は65.4%増益

売上高は前年同期比32.4%増の121億84百万円(約29.8億円増)。売上面は、エン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、前年同期比の掲載件数が大幅に増加した。また、その他の求人サイト全般についても、堅調な採用需要を受けて取引社数や取扱高が増加した。更に、エンジャパンの人材紹介である、エン エージェントも各月の入社人数が前年同期を大幅に上回った他、海外子会社もインドの子会社の業績が期初から加わったこと、インドやベトナムの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したことなどにより前年同期比の売上が大幅に増加した。
利益面では、人員の増加や広告・宣伝費などを中心に費用(売上原価+販管費)が同24.6%増加したものの、会員獲得に係る広告宣伝費の効率化が進んだ結果、営業利益が同65.4%増加した。売上総利益率が同1.2ポイント上昇したことに加え、売上高対販管比率も3.6ポイント低下した。

採用事業

当事業には、求人サイト、人材紹介、海外子会社等が属している。求人サイトは、主力のエン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、エン転職掲載件数は過去最高水準まで回復するなど前年同期比で大幅に増加した。その他の求人サイト全般についても、8月末に「エン転職コンサルタント」からリニューアルをした「エンミドルの転職」、9月末に「[en]派遣のお仕事情報」からリニューアルをした「エン派遣」がそれぞれ好調な結果となり取引社数や取扱高が増加した。また、人材紹介は、エンジャパンの人材紹介であるエン エージェントにおいて各月の入社人数が前年同期を大幅に上回り売上高が増加した他、子会社のエンワールド・ジャパンでも、国内外資系企業及び日系グローバル企業の採用ニーズが高かったこと、コンサルタントの採用が進んだこと等により、売上高が前年同期を上回った。更に、海外子会社は、インドの子会社の業績が期初から加わったこと、ベトナムの子会社において人員の定着が進み生産性が向上したこと、タイの子会社において日系企業向けの開拓が進んだこと等から、売上高が前年同期比大幅に増加した。
以上の結果から、採用事業セグメントの売上高は、117億89百万円と前年同期比32.2%増加した。また、人件費、プロモーション費用などを中心とした販管費が増加したものの、会員獲得に係る広告宣伝費の効率化が利益を押し上げ、営業利益は29億51百万円と同67.7%増加した。

採用事業の四半期売上高は、エン転職(求人広告)、その他求人サイト、エンワールド・ジャパンなどの拡大に加え、海外子会社の連結開始により、順調に拡大している。

エンワールド・ジャパンの今第2四半期の売上は、今第1四半期に過去最高の成約売上であったことから、四半期ベースで過去最高となった。当期は、人員増、システムのリプレイス費用などのコスト増を予定。国内外資系企業に加え、日系グローバル企業への拡販が進んでいる。

昨年と比べ、経済環境の改善により政治体制が安定化。ベトナム、インドにおいて人員の戦略化生産性向上が進んだ他、タイの子会社においても日系企業向けの開拓が進んだ。

教育・評価事業

当事業には、定額制研修サービスの実施、採用・人事関連システムの提供等が属している。定額制研修サービスでは、「エンカレッジ」においてリピート受注及び新規受注を強化した他、採用事業と連動した商品の開発や拡販を進めた。また、採用・人事関連システムでは、子会社のシーベースにおいてリピート受注及び新規受注が進んだこと等から、前年同期を上回る売上高となった。
以上の結果から、16/3期第2四半期の教育・評価事業の売上高は前年同期比34.8%増の4億27百万円となった。一方、営業利益は、新規事業開発等の先行コストが発生したことから76百万円の営業損失となった(前年同期は22百万円の営業赤字)。

15/9月末の総資産は前期末比8億80百万円増の261億22百万円。資産サイドでは、現預金が、負債・純資産サイドでは、未払法人税等や親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金が主な増加要因。総資産の60%超を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約77.2%と、高水準を維持している。

CFの面から見ると、税金等調整前四半期純利益の増加や法人税等の支払額の減少などにより営業CFがプラスへ転換。また、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出がなくなったことや投資有価証券の売却による収入が増加したことなどにより投資CFのマイナスが縮小し、フリーCFもプラスへ転じた。一方、配当金の支払額増加などにより財務CFのマイナス額は拡大した。

同社は、10月28日および7月27日に上方修正を行い、16/3期第2四半期累計期間の連結会社計画を再度上方修正した。売上は、求人サイト特にエン転職の好調による牽引。利益は、オンラインプロモーションにおいて、効率的な費用の使用ができたもの。

2016年3月期業績予想
前期比32.0%の増収、同21.7%の増益予想

好調な上期業績に加え、下期もエン転職を中心に順調な推移が見込まれることから、同社は2015年10月28日に16/3期通期の期初会社計画の上方修正を行った。新しい会社計画は、売上高が前期比32.0%増の259億円(修正前は245億20百万円)、営業利益が同21.7%増の48億円(修正前は40億円)。
同社グループが属する人材ビジネス市場の環境は、2015年9月の有効求人倍率が1.24倍となるなど、企業の人材採用ニーズは引き続き堅調に推移すると同社では予想している。こうした中、売上面では、主力のエン転職を中心に求人サイトの好調が継続する見込み。加えて、人材紹介においてもEWJが人員増強と日系グローバル企業への拡販により、エンエージェントがエン転職とのシナジー効果の拡大などにより大幅に増加する計画。一方、利益面では、海外における既存子会社の収益性の向上を図るものの、下期にプロモーションを中心とした戦略的投資を追加で実施することから営業利益の増益率は売上の伸び率を下回る計画としている。売上高総利益率は前期比0.6ポイント上昇の90.8%、売上高対販管費率は、2.2ポイント上昇の72.3%の計画。
一方、同社は通期の業績が固まった段階で配当を変更するスタンスであることから、16/3期の1株当たりの配当は、前期末から1円増配の33円の期初計画を据え置いた。

同社は、10月28日に、上期の実績と下期の見通しをふまえて、16/3期通期会社計画の上方修正を行った(修正前は5月12日に公表した期初予想)。

今後の注目点
総務省発表の10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%で、前月より0.3ポイント改善し、1995年7月以来20年3カ月ぶりの低水準となった。また、厚生労働省発表の10月の国内有効求人倍率(季節調整値)も前月と同じ1.24倍と高水準を維持している。更に、企業業績の回復により労働市場が引き締まる中、生産年齢の就業者数の減少に歯止めがかからないことも雇用不足を深刻化させている。加えて、産業構造の変化により労働集約的なサービス業の就業者が増加していることも、企業の採用ニーズを助長している。こうした人手不足が、採用企業側の新卒採用と非正規採用を困難にし、中途採用の拡大を不可避なものとし、同社の事業領域である求人サイトへの掲載件数の増加へ結びついているものと推測される。
こうした環境下、同社はTVCMによる積極的なプロモーションにより求職者と求人企業の認知度を高めるともに、転職サイトのリニューアルを通じて応募効果を高め、エン転職の掲載件数の拡大に成功している。更に、想定を上回る掲載件数の増加は同社の売上高を拡大させるだけではなく、広告宣伝費の効率的な使用を可能とし、同社のコスト削減にも貢献している。同社では下期以降もプロモーションを中心とした戦略的投資を追加で実施し、高い応募効果と認知度の向上を図ることで掲載件数を拡大する方針である。今後も効率的なプロモーションの実施が求人サイトの掲載件数の増加へ繋がっていくのか、その費用対効果が注目される。
また、今期から始まった新中期経営計画であるが、当初の計画段階よりも市場環境が良くなり、1案件あたりの応募効果や求人サイトの掲載件数が大幅に向上している。下期の業績動向をみながら、17/3期と18/3期の数値目標を再度精査するスタンスと思われるが、今後の中期経営計画の見直しの動きにも注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。