(6065:東証1部) サクセスホールディングス 2015年12月期第3四半期業績レポート

2015/12/09

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今回のポイント
・15/12期3Q(累計)は前年同期比17.2%の増収、同31.3%の経常増益。先行投資負担が大きい認可保育施設の新設の増加で売上総利益率が低下する中、販管費も増加したが、運営施設数の増加による売上増で吸収して営業利益が同2.9%増加。営業外収益に計上する設備補助金収入が同62.5%増加した。第3四半期末の施設数は278施設(受託保育施設174施設、公的保育施設104施設)。

・3Q(累計)の営業利益(2億70百万円)が通期の予想営業利益(2億33百万円)を上回っているものの、4Q(10-12月)は新たに認可保育園2施設の開設、保育士の確保・育成の体制強化に伴う初期費用の影響を考慮し、予想値を据え置く。前期比12.5%の増収、営業利益が同36.8%減と大幅に減少するものの、その大半を設備補助金収入で吸収して経常利益は同3.5%と小幅な減少にとどまる見込み。期末配当は、1株当たり15円を予定(上期末配当と合わせて年30円)。

・親会社であるジェイコムホールディングス(株)を第三者割当先として約10億円の資金調達を実施した(11月2日払い込み完了)。また、現在、傘下の事業会社(株)サクセスアカデミーで代表取締役を務める佐々木雄一氏が12月1日付けで同社の代表取締役社長に就任する事も決まった(11月19日発表)。同社は保育施設の新規開設による保育サービスの拡大で、一人でも多くの保護者に保育サービスを提供し、待機児童の解消に寄与していきたいと考えている。このため、親会社であるジェイコムホールディングス(株)の資金力、ジェイコムホールディングス(株)が擁する総合人材サービスのジェイコム(株)の採用・育成力を活かして施設の開設を加速させていく考えだ。

会社概要

持株会社である同社と事業会社の(株)サクセスアカデミー(100%子会社)の2社でグループを構成。「人から”ありがとう”といわれるサービスを提供する」をグループ理念に掲げ、「子育て支援」を根幹とする総合的ライフスタイルサポート事業の展開を目指している。

【事業内容】

病院・大学・企業等の事業所内保育施設を受託運営する受託保育事業と、「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園等(この他、学童クラブ、児童館、全児童対象施設)を運営する公的保育事業を2本柱とし、14/12期の売上構成比は、受託保育36.6%、公的保育63.4%となっている。

受託保育事業

病院や大学、老人介護施設、企業などが設置主体となる保育施設の運営受託事業。委託先の要望に応え、様々な規模や利用時間、保育内容を実現する。委託先の予算や要望に合わせた保育設計を特徴としており、利用定員数や施設場所、利用時間帯、保育の内容など、様々な要望に応えている(10名未満の小規模施設、既存社宅・寮を改装した保育所、外国語対応の保育士の配置等)。

また、利用者の勤務に合わせた柔軟な開園時間も特徴で、「保育所」が利用者の勤務時間に与える制約を解消する(例:土日祝日、深夜早朝の利用)。初めて事業所内保育を始める事業者だけではなく、既に自営している事業者からも、きめ細かな保育施設の運営が評価されている。尚、受託する保育施設は、主に病院などの委託者の“福利厚生施設”として設置され、同社は委託者より運営料の支払いを受ける。施設が一定の条件を満たしていれば、委託者には助成金が支給される。

公的保育事業

「にじいろ保育園」ブランドで展開する「認可保育所」や「認証保育所」に加え、「小規模保育施設」、「学童保育」、「児童館」等の保育施設運営を行っている。「認可保育所」は、運営する同社、利用者共に自治体との契約となる。利用者は自治体(市区町村)に申し込み、保育料を市区町村に支払う。一方、同社は自らの負担で施設を整備し、自治体から施設運営補助金の支払いを受ける。自治体によっては設備補助金制度があり、また、自治体によって施設運営補助金は異なるが、基本的に回収リスクはない。

「認証保育所」はスペースの制約から「認可保育所」の設置が難しい東京都の制度で、横浜や川崎(共に神奈川県)等にも類似した保育所制度がある。利用者は個別に施設運営者と契約し、同社は利用者から徴収する利用料と自治体からの補助金が収益となる。

【サクセスホールディングスの6つの強み】
利用分だけの請求

勤務時間が不規則な病院等で事業所内保育を自営すると、利用者の不規則な勤務時間に合わせた保育施設の運用が負担になるため、保育施設の利用者数、利用時間を制約する事になってしまう(利用者の少ない土日は閉園、夜19時以降は利用不可等)。一方、同社の保育施設は利用分だけの請求のため、「少人数だが、日曜も利用したい」、「毎日ではないが、夜勤時間も使いたい」、「幼稚園利用時間の前後で使いたい」といった多様なニーズに応える事ができる。

24時間365日の運営対応

同社は病院内保育施設運営での豊富な経験を活かし、「24時間365日の運営」、「月曜、木曜だけの夜勤運営」等、様々な要望に合わせた保育サービスを提供している。

自然共育(しぜんともいく)を軸とした保育

子どもたちの成長に欠かせない自然体験を通じた「自然共育」(商標登録)を軸とした保育に取り組む事で、子どもたちの感性、優しさ、考える力等、人としての基盤を育んでいる。

施設毎の運営スタイル

急性期病院では夜勤や365日の要望があり、研究者や留学生の利用が多い大学では、英語対応や給食等の保育内容に対する要望がある等、委託者毎に事情が異なる。このため、同社は、利用者の要望に合わせ、施設毎の多様な運営スタイルを有する。

充実した採用・研修機能

スタートアップ研修、フォローアップ研修、レベルアップ研修、キャリアアップ研修、マネジメント研修、スペシャリスト研修、メンテナンス研修、外部研修といった充実した独自の研修・育成制度を有する。

運営システムのIT化

従量制の請求、委託先の要望に応じた運営、24時間365日の保育等を実現するにはITを活用した運営管理が必須。しかし、既存ソフトには同社のニーズを満たすものが見つからないため自社でシステムを開発した。独自のシステムは、児童の登降園情報、シフト作成管理、従業員勤怠管理、請求書作成、児童・従業員。契約先情報、グループウエア等の機能を搭載し、保育士の事務負担の軽減と園の運営管理機能強化に貢献している。

2015年12月期第3四半期決算
前年同期比17.2%の増収、同31.3%の経常増益

今期開設した受託保育施設11施設、公的保育施設16施設(認可保育施設8、学童クラブ等8)の計27施設と前期に開設した28施設(受託保育12、認可保育園8、学童クラブ等8)の期初からの寄与により売上高が86億49百万円と前年同期比17.2%増加した。
利益面では、先行投資負担が大きい認可保育施設の新設の増加(6→8)で売上総利益率が16.2%から15.4%に低下する中、保育士の人件費や募集採用費等を中心に販管費が増加したが、売上の増加で吸収して営業利益は2億70百万円と同2.9%増加。認可保育施設の増加に加え、補助率の見直しがあった自治体もあり、設備補助金収入が前年同期の2億41百万円から3億92百万円に増加したため、経常利益は6億47百万円と同31.3%増加した。
第3四半期末の施設数は、受託保育施設174施設、公的保育施設104施設の計278施設。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて10億35百万円増の86億78百万円。施設の開設に伴う有形固定資産の増加と長期借入金の積み増しによる有利子負債の増加が主な要因。自己資本比率23.0%(前期末26.0%)。

2015年12月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比12.5%の増収、同3.5%の経常減益

第3四半期(累計)の営業利益(2億70百万円)が通期の予想営業利益を上回っているが、第4四半期(10-12月)は新たに認可保育園2施設(東京都杉並区及び新宿区)のを開設した、保育士の確保・育成の体制強化に伴う初期費用の影響を考慮し、予想値を据え置く。セグメント別の売上の見通しは、受託保育事業の売上が同11.2%増の41億15百万円、公的保育事業の売上が同13.2%増の72億60百万円。

期末配当は、1株当たり15円を予定しており、上期末配当と合わせて年30円となる見込み。

(2)代表取締役の異動

「環境の変化に迅速に対応するためには、持株会社であるサクセスホールディングス(株)と事業会社である(株)サクセスアカデミーの代表取締役社長を同一にし意思決定スピードの向上させる事が必要」との考えから、(株)サクセスアカデミー代表取締役の佐々木雄一氏が2015年12月1日付けでサクセスホールディングス(株)の代表取締役社長に就任する事となった。佐々木雄一氏は55歳(12月26日に56歳の誕生日を迎える)で、2005年1月 に(株)サクセスアカデミーに入社。2006年6月に取締役に就任し、システム部長、にじいろ事業部長を歴任。2015年1月に(株)サクセスアカデミー代表取締役社長に就任した。

(3)ジェイコムホールディングス(株)への第三者割当による転換社債型新株予約権付社債の発行

2015年11月2日の払い込みで、ジェイコムホールディングス(株)を第三者割当先とする転換社債型新株予約権付社債を発行した。発行額は10億円(差引手取概算額9億93百万円)で、潜在株式数は744,047株(自己株を含めた発行済み株式総数の14.2%)。今回の資金調達は、(株)サクセスアカデミーの保育施設の年間新規開設計画数の増加に対応するもので、保育施設の新規開設計画数を年間10施設から年間20施設へと引き上げる考え。支出時期は2016年2月から2018年2月を予定している。

尚、2015年6月1日~29日にかけて実施した株式公開買い付けにより、7月3日付けでジェイコムホールディングス(株)が、サクセスホールディングス(株)の議決権の50.10%を保有する筆頭株主となっている(公開買い付け前は持分法適用関連会社だった)。

今後の注目点
同社は保育施設の新規開設による保育サービスの拡大で、一人でも多くの保護者に保育サービスを提供し、待機児童の解消に寄与していきたいと考えている。このため、佐々木新社長の下、親会社であるジェイコムホールディングス(株)の資金力、ジェイコムホールディングス(株)が擁する総合人材サービスのジェイコム(株)の採用・育成力を活かして施設の開設を加速させていく考えだ。
15/12期が減益となるのは、受託保育事業において、保育士の人件費や募集採用費等のコスト増を受取運営料に転嫁しきれていないためで、現在、契約の見直しも含めた処遇改善交渉が進められている。ジェイコムホールディングス傘下での経営改革とグループシナジーとに期待したい。
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