(4709:東証1部) インフォメーション・ディベロプメント 2016年3月期第2四半期業績レポート

2015/12/02

ID

今回のポイント
・16/3期第2四半期の売上高は前年期比6.9%増の97億29百万円。既存顧客へのグループ横断的な営業展開を積極的に行ったことなどから、システム運営管理、ソフトウェア開発共に増加。ただ、本店移転に伴う費用や減価償却費により販管費が増加したことに加え、ソフトウェア開発事業において不採算案件が発生したため、営業利益は同51.3%減の2億円。計画に対しては、売上高は超過したものの、営業利益は未達だった。ただこれは、本社移転に伴う費用が約45百万円計画よりも多額になったためであり、当四半期のみの影響のため全体的には問題ないと会社側は認識している。・通期業績予想に変更は無い。会社計画の売上高は前期比6.0%増の200億円。引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。会社計画の営業利益は同7.6%増の10億40百万円。不採算案件の発生によりやや厳しい面もあるが、収益性向上策に一層注力して達成を目指す。配当は普通配当のみで30円/株(前期は記念配当2円を含めて30円/株)の計画。予想配当性向は37.2%。

・移転経費と不採算案件の発生により大幅な減益となったが、それを除けば従業員一人当たり売上総利益は増加しており、グループ経営の効率化と業務プロセスの改善は着実に進んでいるようだ。また、同社の主力顧客である金融系案件においては新規顧客の開拓も見られ、営業力も強化されている。一方で「特定サービス産業動態統計調査」に見られるような業界動向の変化や、システム運用管理の受注残高がマイナスとなっている点はやや気になるが、通期目標達成に向けた下期の頑張りに注目したい。

会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウェア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。

システム運営管理  (15/3期売上構成比59.7%)

1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。

ソフトウエア開発・保守 (15/3期売上構成比37.0%)

500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。

その他 (15/3期売上構成比3.3%)

BPO、セキュリティ、コンサルティングなどを展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が53.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが29.3%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.5%。

【IDグループ】

IDは、2015年7月1日付で、国内子会社であった(株)日本カルチャソフトサービスと(株)ソフトウエア・ディベロプメントを吸収合併した。現在の国内外の連結子会社は6社。このうち国内(2社)は、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(出資比率85.9%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(4社)は、中国でソフトウェア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでシステム運用コンサルティングやセキュリティサービス等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。また、2015年8月にシステム運営管理の企画ならびに運用を手掛けるPT. INFORMATION DEVELOPMENT INDONESIA(IDシンガポール51%、ID49%、IDインドネシア)を設立した。
このほか、ミャンマーにITトレーニングアカデミーの運営等を行う、現地企業との合弁会社、Infinity Information Development Co., Ltd. (IDシンガポール出資比率49%)を有している。

【IDグループのサービスの特徴 -i-Bos24®(ID’s Business
Operations-Outsourcing Service 24)-】

同社グループはコンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウェア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行することで顧客の業務効率化に貢献している。

【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向

内閣府が11月16日に発表した15年7-9月の国内総生産(GDP)第1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減と2四半期連続のマイナスとなった。情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)の前期比も1.3%減と1.2%減だった4-6月期に続き同じく2四半期連続のマイナスとなった。
また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(15年11月17日発表。9月分確報値)を見ると、システム等管理運営受託は前年同月比プラスだったものの、情報サービス全体、受注ソフトウェアはマイナスに転じており、事業環境にはやや変化が生じている。

(2)同社の取り組み

キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル推進」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した13企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本水準で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携に加え、2015年2月にミャンマーに合弁会社を設立。また、同年8月にはインドネシアに子会社を設立し、グローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセス改善を掲げる。18/3期に売上高235億円、営業利益率8.0%を目指す。

これまでの業績推移と今後のイメージ
2016年3月期第2四半期決算概要
前年同期比6.9%の増収、同50.8%の経常減益

売上高は前年期比6.9%増の97億29百万円。既存顧客へのグループ横断的な営業展開を積極的に行ったことなどから、システム運営管理、ソフトウェア開発共に増加した。
ただ、ソフトウェア開発において不採算案件が発生したため、損失金の引当発生並びに外注費が425百万円増加し、粗利率が0.1%低下したほか、本店移転に伴う費用と減価償却費により販管費が増加したため、営業利益は同51.3%減の2億円。経常利益は同50.8%減の2億8百万円となった。
計画に対しては、売上高は超過したものの、営業利益は50百万円の未達だった。ただこれは、本社移転に伴う費用が約45百万円計画よりも多額になった分であり、当四半期のみの影響のため全体的には問題ないと会社側は認識している。

システム運営管理事業の売上高は前年同期比4.1%増の57億61百万円。企業のIT投資回復を背景に、金融系や運輸系のプラットフォーム系開発業務が堅調に推移した。

ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比7.2%増の35億55百万円。公共系の案件が制度改正、法改正対応等によって好調に推移した他、システム統合や更改対応により、金融系の案件が堅調に推移した。

その他事業の売上高は前年同期比65.0%増の4億20百万円。セキュリティ販売やコンサルティングの売上が増加した。

16年第2四半期(7-9月)は、不採算案件の発生等により売上総利益率は17.8%にとどまった。

15/9月末の総資産は前期末比36百万円増の103億39百万円。資産面では現預金及び売上債権が減少した一方で有形固定資産が増加した。負債・純資産面では有利子負債が増加した一方、利益剰余金が減少した。自己資本比率は63.9%と前期末比1.4ポイント低下した。

営業CFは利益の減少、未払消費税等の減少等によりマイナスに転じた。投資有価証券の売却等により投資CFのマイナス幅は縮小。短期借入金の増加などで財務CFのマイナス幅は縮小した。
キャッシュポジションは低下した。

2016年3月期業績予想
業績予想に変更無し。前期比6.0%の増収、同4.1%の経常増益を見込む

業績予想に変更は無い。
会社計画の売上高は前期比6.0%増の200億円。引き続き金融機関の統合案件等、顧客のIT投資は拡大することが期待される。
会社計画の営業利益は同7.6%増の10億40百万円。不採算案件の発生によりやや厳しい面もあるが、収益性向上策により一層注力して達成を目指す。
配当も普通配当のみで30円/株(前期は記念配当2円を含めて30円/株)の期初予想を据え置き。予想配当性向は37.2%。

今後の注目点
移転経費と不採算案件の発生により大幅な減益となったが、それを除けば従業員一人当たり売上総利益は増加しているという事であり、グループ経営の効率化と業務プロセスの改善は着実に進んでいるようだ。
また、同社の主力顧客である金融系案件においては新規顧客の開拓も見られ、営業力も強化されている。
一方で「特定サービス産業動態統計調査」に見られるような業界動向の変化や、システム運用管理の受注残高がマイナスとなっている点はやや気になるが、通期目標達成に向けた下期の頑張りに注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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