(2317:東証1部) システナ 2016年3月期第2四半期業績レポート

2015/12/02

systena

今回のポイント
・16/3期上期は前年同期比16.6%の増収、同14.8%の経常増益。モバイル機器を使ったネットビジネス分野、車載機の開発分野、電力自由化に伴う運用システム、東京オリンピックに向けてのインフラ整備関連システム、マイナンバー制導入による公共・金融・業務システム改編等、成長分野へ人的リソースをシフトさせる施策が奏功。ソリューションデザイン事業やフレームワークデザイン事業の売上が収益性の改善を伴って増加した。・通期業績予想に変更はなく、前期比8.3%の増収、同14.1%の経常増益。全てのセグメントで売上の増加を見込んでおり、特にソリューションデザイン事業や事業部間連携の成果が表れるフレームワークデザイン事業及びITサービス事業で高い売上の伸びが見込まれる。クラウド事業、コンシューマー事業及び海外事業での先行投資負担を吸収して営業利益が同19.0%増加する見込み。配当は2円増配の年32円を予定(上期末16円、期末16円)。

・上期は3億48百万円のTVCM費用を吸収して、営業利益が前年同期比12.2%増加した。同社は上期の予想を開示していなかったが、期初予想を上回ったようだ。通期業績予想が修正される事はなかったが、その理由は下期にどれだけ上乗せできるか不透明なため。TVCMは認知度の向上が目的だが、採用面での効果はてきめんで、昨今の採用難にもかかわらず、新卒採用では既に170名が内定している。現在、進行中の中期4ヵ年計画(~19/3期)を達成するためには質を伴った人材の拡充が不可欠である。

会社概要

2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末の設計・開発・検証に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識及び基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社7社及び持分法適用会社2社と共にグループを形成している。

【会社の経営の基本方針 -安定と成長のバランスを重視した経営-】

経営目標は、「日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える」。その実現のために、「破壊と創造」、「安定と成長」、「保守と革新」と言う相反する課題をバランス良くコントロールし、常に振り子の中心点に経営の軸足を置いた、バランス経営を基本方針としている。

【目標とする経営指標】

・安定した高配当
・高い株主資本利益率
・高い売上高営業利益率

目標とする経営指標として、安定した高配当、高い株主資本利益率、高い売上高営業利益率を掲げており、その実現に向け、安定と成長のバランスを重視した経営の基本方針に則り、高収益体質を目指して行く考え。当面の目標(中期経営目標)は、19/3期に連結売上高560億円、営業利益55億円、ROE20%の達成と年間配当1株当たり52円の実施(配当性向40%以上)。

【事業内容】

事業は、ソリューションデザイン事業、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業、ソリューション営業、クラウド事業、コンシューマサービス事業、及び海外事業に分かれる。15/3期の売上構成比(外部売上ベース)は、ソリューションデザイン事業31.8%、フレームワークデザイン事業11.5%、ITサービス事業13.9%、ソリューション営業41.1%、クラウド事業1.3%、コンシューマサービス事業0.7%、及び海外事業0.3%。

ソリューションデザイン事業   (株)システナ、(株)ProVision、(株)IDY、HISホールディングス(株)

車載関連やスマートデバイス等の組み込みソフトの開発、アスマホアプリやWebアプリの開発等を行うサービスソリューション事業と、スマホアプリやWebアプリの性能・評価・品質検証、サービスプロバイダー向けのサーバ監視・運用サービス等を行うクオリティデザイン事業に分かれる。スマートデバイスの開発企業やネットビジネス関連企業に加え、情報家電、社会インフラ、ホームセキュリティ、自動車業界等の非携帯端末分野、更には、エンドユーザーの業務システム開発等、幅広くユーザーニーズを取り込んでいく考え。

フレームワークデザイン事業   (株)システナ、(株)ProVision

国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発実績を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。現状では、業務の大半を金融系システムの開発・運用が占めているが、ITサービス事業やソリューション営業事業との連携による両事業が有する顧客へのクロスセル、或いはスマホアプリやWebアプリ等のソリューションでのソリューションデザイン事業との連携により、金融系の深耕と他業種への横展開を進めている。

ITサービス事業   (株)システナ、東京都ビジネスサービス(株)

システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等。

ソリューション営業事業   (株)システナ

ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウエア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売型のビジネスからサービス提供型のビジネスへシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へと変化するニーズを取り込む事で事業拡大、高付加価値化を図っている。顧客は電機メーカー、外資系企業等。

クラウド事業   (株)システナ

クラウド型サービスの導入支援からアプリケーションの提供までを手掛けており、「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」と同社開発の「Cloudstep」を組み合わせたシステナ版グループウエアのクラウドサービスを提供している。現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。尚、「Cloudstep」とは、「Google Apps」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上させるための業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。

コンシューマサービス事業   (株)GaYa

連結子会社(株)GaYaを中心とする事業である。自社タイトルやエンジンの複数プラットフォームへの展開、PC/スマホの垣根を越えたマルチ対応ゲーム制作等を手掛けている。

海外事業   Systena (THAILAND) Co.,Ltd.、Systena America Inc.、Systena Vietnam Co.,Ltd、iSYS Information Technology Co.,Ltd.

タイの現地法人Systena (THAILAND) Co.,Ltd.、米国の現地法人Systena America Inc.、ベトナムの現地法人Systena Vietnam Co.,Ltd.、及び中国の合弁会社iSYS Information Technology Co.,Ltd.(北京)の4社が事業を進めている。2013年4月設立のタイ現法(バンコク)は、14年6月にサービスを開始したバンコク版レストラン検索アプリ「バングル」の収益化に取り組んでおり、16/3期上期にサービス課金を開始した。一方、米国現法(カリフォルニア州)は、大手通信キャリアやスマホメーカーの北米製品のローカライズ開発・検証支援を目的に、2014年1月に営業を開始した。現在、カンザス州にも拠点を有し、日系・米系通信キャリアやメーカーからの受注が軌道化してきた。日本発祥のアニメ文化、SNSゲーム、コンテンツの米国展開や米国の最新技術・サービスの動向調査や事業化(インキュベーション事業)にも取り組んでいる。この他、2014年9月設立のベトナムの現地法人(ハノイ)は、ソフトウエア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点。「バングル」関連のアプリ開発受託で、タイの現地法人との連携を強化している。2011年7月に設立した持分法適用会社iSYS Information Technology Co.,Ltd.(北京)もオフショアとしての位置付けで、モバイル向け・金融機関向けシステムが中心である。

中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期)
【ストラテジー  -自動運転、スマートシティ、ロボット-】

今後10年間で最も伸びる分野に経営資源を集中させていく考えで、具体的なターゲットとして、自動運転、スマートシティ、ロボットの3分野を挙げている。自動車メーカー各社が開発に力を入れている自動運転技術は無線通信技術が不可欠な事から同社の強みを活かす事ができる。スマートシティもやはり、無線通信技術が不可欠であり、当面は電力自由化や消費エネルギー管理等、国内が中心だが、長期的には途上国へのインフラ輸出でグローバルマーケットが視野に入る。また、ロボットも、現在はソフトバンク向けだが、AIの分野は、今後、幅広い用途や需要が期待でき、この分野でいち早く技術とノウハウの蓄積を図る事の意義は大きい。

【中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期)  -成長工ンジンの再構築により、4年後の営業利益を2.5倍に-】
(1)重視する経営指標(KPI)と2019年3月期の目標
売上高 56,000百万円(15/3期 36,951百万円) 配当 52円(15/3期 30円)
営業利益 5,500百万円(同2,226百万円) 配当性向 40%以上(同81.0%)
EPS 130円(同37円) ROE 20%(同7.3%)
(2)主要セグメントの目標と取り組み
ソリューションデザイン事業  車載・ロボット、社会インフラ、ネットビジネスを中核事業化

19/3期の目標は売上高185億円、営業利益22億円(15/3期 売上高117億60百万円、営業利益10億34百万円)。セグメント全体で売上高を1.6倍、営業利益を2.1倍に拡大させる考えで、特に車載・ロボットと社会インフラについては、合計で売上高3.7倍、営業利益4.8倍を見込んでいる(売上高19億円、営業利益1.8億円 → 売上高71億円、営業利益8.7億円)。
具体的には、スマートフオンを中心とした製品開発・検証のノウ八ウを活かし、「車載」、「ロボット」、「Webシステム開発検証」で実績を積み上げ、その後、交通・電力といった社会インフラへのシフトを進めていく。また、リアルビジネスからネットビジネスへの展開を図る企業の支援事業にも力を入れていく(コンサルからシステム開発、運用までを一貫して支援)。

フレームワークデザイン事業

19/3期の目標は売上高65億円、営業利益8億円(15/3期 売上高42億43百万円、営業利益3億85百万円)。売上を1.5倍、営業利益を2.1倍に拡大させる考えで、特に本部間協業・新規サービスについては売上20倍、営業利益40倍を見込んでいる(売上高0.4億円、営業利益0.03億円 → 売上高8億円、営業利益1.2億円)。
具体的には、金融(保険・銀行)向けで培ってきたメインフレームの開発実績・ノウ八ウを生かして、現在でも他業種に残る基幹システムへ水平展開してメインフレームのクラウド化需要の取り込みを図る。また、その一方で、ソリューションデザイン本部、フレームワークデザイン本部、ITマネジメント事業本部、ソリューション営業本部及び新企隊本部との本部間協業を拡大し、ストック型ビジネスへの転換も進めていく。

ITサービス事業

19/3期の目標は売上高70億円、営業利益7億円(15/3期 売上高51億34百万円、営業利益3億3百万円)。ヘルブデスクやシステム運用保守で培ったノウ八ウの活用と本部間協業により、従来と異なる側面からのアプローチで、上流工程やサービス構築等のより付加価値の高いサービスへ転換するスキームを確立し、継続的な売上・利益の向上につなげていく。
ITサービス事業として提供している海外拠点進出サービス、ITサポート環境構築サービス、社内システム環境整備サービス、インフラ最適化サービス、プロジエクト推進サービス、スマートデバイス運用支援サービス及びITトレーニングサービスの売上総額は、現在、セグメント売上高の約30%を占め、売上総利益率も32%と高い(セグメント全体では23%)。19/3期には、上記サービスの売上総額を全体の70%以上に高め、セグメント全体の売上総利益率を23%から28%に引き上げる。この目標を達成するために、技術者数を、現在の870名を1,340名に増員すると共に、現在、3年を要しているリーダー育成期間を1年に短縮する。

ソリューション営業

19/3期の目標は売上高200億円、営業利益8億円(15/3期 売上高151億93百万円、営業利益4億79百万円)。サービス売上高を40億円に引き上げ、売上構成比を20%とする事で、15/3期に3.2%だった営業利益率を4.0%に高める。基本方針は、「総合営業としてSystenaをリード~真のビジネスパートナーへ変革~」。当事業が総合営業としてシステナの全ての商材・サービスを販売していく事を基本方針とし、事業戦略として、ハイブリッド環境への対応強化、ストックビジネスの拡大及び本部間連携によるシナジー拡大に取り組んでいく。セグメントを、既存ビジネス、クラウドを利用したインフラサービス(ハイブリッド、ストック)、クラウドを利用したSaaSビジネス(ハイブリッド、ストック)に分けて下記指標目標を掲げている。尚、クラウドサービスへの展開は、フレームデザイン本部との連携がキーとなる。

指標目標
既存ビジネス :売上 133億円、営業利益 3.3億円 ⇒ 売上 160億円、営業利益 4.8億円(利益率3%)
クラウドを利用したインフラサービス :売上 17億円、営業利益 1.3億円 ⇒ 売上 28億円、営業利益 2.4億円(利益率9%)
クラウドを利用したSaasビジネス :売上 0.5億円、営業利益 0.0億円 ⇒ 売上 12億円、営業利益 0.8億円(利益率7%)
(3)新企隊本部の発足

自社商材、自社サービス、自社コンテンツ等の高付加価値な事業創造を通じて、ストックビジネスを拡大させる事を目的に、2015年5月に新企隊本部を発足させた。クラウドで提供する「Cloudstep」やスマートフォン向けセキュリティ対策「Web Shelter」等のプロダクト事業を新企隊本部に集約する事で投資効率の向上を図ると共に、営業連携を強化していく。また、早期軌道化を目的に海外事業も同本部の傘下に置いた。これまでは海外子会社が独自展開していたが、今後は、システナ本体との連携強化の下、ALLシステナの経営資源を有効活用して事業展開していく。

2016年3月期上期決算
前年同期比16.6%の増収、同14.8%の経常増益

モバイル機器を使ったネットビジネス分野、車載機の開発分野、電力自由化に伴う運用システム、東京オリンピックに向けてのインフラ整備関連システム、マイナンバー制導入による公共・金融・業務システム改編等、旺盛なIT投資需要が見込めるマーケットへ携帯電話開発で実績豊富な技術者をシフトさせる施策が奏功。ソリューションデザイン事業やフレームワークデザイン事業の売上が収益性の改善を伴って増加した。

売上高は前年同期比16.6%増の197億88百万円。ソリューションデザイン事業が同21.2%増、フレームワークデザイン事業が同39.4%増、ITサービス事業が同15.5%増と主要事業の売上が伸びた他、Windows XPのサポート終了に伴う駆け込み需要の反動が懸念されたソリューション営業事業も同6.6%の増収と堅調に推移した。

利益面では、認知度向上を目的にしたTVCM(広告宣伝費として3億48百万円を計上)等による販管費の増加を吸収して営業利益が11億68百万円と同12.2%増加。為替差損益が悪化(30百万円→△15百万円)したものの、有価証券売却益65百万円を計上した事等で営業外損益も改善。税効果会計の影響もあり四半期純利益は10億15百万円と同22.5%増加した。

ソリューションデザイン事業

売上高66億13百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益5億45百万円(同21.4%増)。インターネツトを使ったネットビジネス分野の好調に加え、車載関連(名古屋のニアショア拠点が寄与)、電力・航空といった社会インフラ及びロボット関連が牽引し、売上が増加した。尚、当セグメントで売上構成比が最も大きい車載システム分野は自動運転関連のシステムが寄与しており、ロボット関連ではソフトバンク(9984)のPepper(ペッパー)向けがけん引している。

フレームワークデザイン事業

売上高26億48百万円(前年同期比39.4%増)、営業利益2億83百万円(同59.4%増)。金融・保険分野でメインフレームを利用している企業のシステム再構築やマイナンバー対応への業務領域拡大が、ソリューション営業との連携強化の成果と相まって、受注・売上の拡大につながっている。

ITサービス事業

売上高27億87百万円(前年同期比15.5%増)、営業利益1億48百万円(同6.7%増)。従来のヘルプデスクやデータ入力等が堅調に推移する中、営業力と人的リソースの強化が成果をあげ、ヘルプデスクの再構築案件やITトレーニング・動画サービス(マニュアルや会社案内の動画化)等の付加価値の高いスポツト案件が売上増に寄与した。

ソリューション営業

売上高73億58百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益1億95百万円(同20.3%減)。Windows XP特需の反動を吸収して売上が増加したが、先行投資負担で利益は減少した。質的向上を伴った営業社員の増員と本部間連携が成果を上げ、機器販売からインフラ構築、システム開発、保守運用に至る高付加価値のワンストツプサービス案件が拡大。特にServer・Storageソリューションで案件獲得が進み、売上増に寄与した。

クラウド事業

売上高2億75百万円(前年同期比22.0%増)、営業利益29百万円(前年同期比34.4%増)。「Google Apps」+「Cloudstep」(システナ版グループウエア)によるシンプルなクラウドサービスを提供している。この上期は、新規大型案件の獲得に加え、サービス強化による顧客単価の向上もあり、売上が増加。契約更新も順調だった。利益面では、自社製品の「Cloudstep」が寄与した事に加え、円安による仕入れコスト上昇分の価格転嫁も進んだ。

コンシューマサービス事業

売上高1億57百万円(前年同期比21.0%増)、営業損失3百万円(前年同期は営業利益27百万円)。携帯電話向けカード八トルゲームのエンジン展開として、DMM等、多数プラツトフォームヘライセンス提供しており、dゲーム向けでは、新たに加えた「喋る・動く機能」が好評だ。この上期は、こうした既存タイトルの運営に加え、パソコン用ブラウザゲーム市場にも展開。6月にYahoo!Mobageで育成ゲームをリリースした(ライセンス提供)他、他社からのライセンス取得によりコストを抑えたタイトルを7月と9月にリリースした(ライセンス提供)。この結果、売上が増加したが、下期以降の展開に向けた先行投資で営業損失となった。

海外事業

売上高1億18百万円(前年同期は売上高29百万円)、営業損失40百万円(前年同期は営業損失28百万円)。このうちタイ現法Systena (THAILAND) Co.,Ltd. は売上高3百万円(前年同期は0百万円)、営業損失23百万円(前年同期は営業損失19百万円)。バンコク版レストラン検索アプリ「バングル」のサービス機能拡大とWebサイト版のリリースで32,000超のダウンロードを獲得した。ダウンロードの実績が評価され、この上期に開始したサービス課金の顧客獲得も順調だ。一方、米国現法Systena America Inc.は売上高1億04百万円(前年同期は29百万円)、営業損失17百万円(前年同期は9百万円の損失)。日系・米系通信キャリアやメーカーからの受注が軌道化してきた。尚、子会社の売上・利益は内部取引を含んでいる。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

季節要因により、上期末の総資産は197億58百万円と前期末に比べて16億66百万円減少した。具体的には、売上債権の回収及び支払債務の決済が進んだ事と、配当金や法人税等の支配により現預金や未払法人税等が減少した。自己資本比率は63.9%。CFの面では、売上の増加や各事業での先行投資に加え、税金費用も増加したが、6億85百万円の営業CFを確保。有価証券の売却等で投資CFは前年同期を上回る黒字となった。

2016年3月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比8.3%の増収、同14.1%の経常増益を見込む

売上高は前期比8.3%増の400億円。全てのセグメントで売上の増加が見込まれ、特に車載関連やスマホ・タブレットを使ったサービス等のアプリ及びサーバサイドの開発・検証、電力自由化関連、マイナンバー関連等が伸びるソリューションデザイン事業、社内連携強化の成果が現れるフレームワークデザイン事業及びITサービス事業で高い売上の伸びを見込んでいる。

営業利益は同19.0%増の26億50百万円。下期は動画配信によるCM費用1億円を予定しており、上期のTVCM費用3億48百万円と合わせて、広告宣伝費だけで4億48百万円のコスト増要因が発生するものの、利益率の高いソリューションデザイン事業やフレームワークデザイン事業の売上構成比の上昇等で営業利益率が6.6%と0.6ポイント改善する見込み。経常利益が同14.1%の増加にとどまるのは、為替差益(15/3期は81百万円を計上)等を見込んでいないため。当期純利益(20億15百万円)は繰延税金資産の取り崩し等がない事を前提としている。

期末配当は1株当たり16円を予定しており、年間で2円増配の32円となる見込み。

(2)セグメント別の見通しと取り組み
ソリューションデザイン事業

売上高132億58百万円(前期比12.7%増)、営業利益13億21百万円(同27.7%増)。成長分野である、スマホやタブレツトを使ったサービス等のアプリケーションやサーバサイドの開発・検証、車載関連、ロボット関連のサービス企画・検証へのシフトを推進すると共に、電力自由化、航空、オリンピック関連等、Webシステム開発のノウ八ウを活かして、スマートシティの実現にもつながる社会インフラも強化する。
また、取引先の動向に左右されない自社サービスの充実と拡大にも取り組む。この一環として、スマートフォンセキュリティ対策として金融機関での採用が進む「Web Shelter」をベースにしたアプリ「スマートフォン支店開設サービス」の販売を開始した。同アプリは金融機関の「スマホ支店」を簡単に開設できるアプリ。同アプリをスマートフォンにダウンロードする事でインターネットバンキング等の利用者は「Web Shelter」をセキュリティプラットフォーム化した安心安全な環境で口座開設ができ(スマートフォンロ座開設機能)、口座開設後はスマートフォンを通帳として利用できる(スマートフォン通帳機能)。

フレームワークデザイン事業

売上高46億68百万円(前期比10.0%増)、営業利益5億23百万円(同35.7%増)。成長性と収益性のバランスを取りながらの営業で事業拡大を図る。ターゲットとして金融機関の情報系・店舗系や公共案件を想定しており、上流工程(コンサル)からの受注を狙う。また、本部間連携による新たなサービスの提供にも取り組む考えで、この一環として、従来の金融以外の新規顧客に対するアセスメントサービスやプロダクト(マイクロソフト製品、監視パツケージ)展開を開始した。尚、アセスメントサービスとは、IT運用の最適化に向けて現状の運用を評価し、改善に向けた診断・提案を行うサービス。

ITサービス事業

売上高56億81百万円(前期比10.7%増)、営業利益3億75百万円(同23.6%増)。「シエア拡大、パイの拡大、売上拡大」に取り組みつつ、「より高収益」なビジネスモデルへ展開していく。具体的には、本業の「ヘルプデスク」、「システムオペレーター」といった恒久業務の拡大と、「顧客のグローバル競争力の強化支援」、「ITアセスメント」、「ITプロジェクトマネジメント」等のハイレベルなサービスを展開し、売上の拡大と利益率の向上を図る。多様な顧客ニーズへの対応力を強化するべく、東京ラボを開設した。

ソリューション営業

売上高155億円(前期比2.0%増)、営業利益4億63百万円(同3.4%減)。アセスメントサービスから仮想化への提案営業によりIT基盤構築ビジネスを強化すると共に、オンプレミス(自社所有・運用)からハイブリッドクラウドへシフトする需要の取り込みやサービス売りによるストックビジネスの拡大で収益性の改善を図る。また、サービス案件の評価・検証等、新商材・新ソリューションを立ち上げてソリューション領域の拡大や新規クライアントの発掘にも取り組む。この一環として、大阪営業所と名古屋営業所を強化・拡大した。

クラウド事業

売上高5億円(前期比8.7%増)、営業利益20百万円(同47.5%減)。新規隊本部を中心にした本部間連携による営業強化で販売拡大を図ると共に、自社商材「Cloudstep」の拡充による付加価値向上や新規商材・新ソリューションの立ち上げにも取り組む。また、営業面では、クラウド化が遅れているグループウエア導入済み企業の取り込みや、使い勝手の良さをアピールし、グループウエアのクラウド化済み企業のニーズの掘り起こしに努める。

コンシューマサービス事業

売上高2億73百万円(前期比3.4%増)、営業利益35百万円(同0.3%減)。増収ながら、新規タイトルへの先行投資で利益は横ばいにとどまる見込み。携帯電話向けカード八トルゲームのエンジン展開、パソコン用ブラウザゲーム展開に続く、第3の柱を育成するべく、スマートフォンのゲーム市場に参入する(ネイティブアプリに挑戦)。現在制作中のネイティブアプリが第3四半期(12月)にリリースされる他、企画・販売で実績のあるパートナー企業との協業タイトルのリリースも予定されている(第4四半期にリリース予定)。

海外事業

売上高1億20百万円(前期比8.9%増)、営業損失87百万円(前期は営業損失64百万円)。タイ現法Systena (THAILAND) Co.,Ltd.は売上高40百万円(前期は4百万円)、営業損失40百万円(前期は39百万円の損失)。先行投資が上期に完了しており、1月からの月間黒字化を目指している。
下期以降は、「バングル」のブラッシュアツプとクラウド型業務アプリサービスの販売拡大に取り組んでいく。「バングル」のブラツシュアツプでは、「バングル」の位置付けを、日系レストランの「ロコミ」サイトからタイの地場レストラン中心の電子チラシ(電子版タウン誌)に変更し、既存登録店の有償化やWebサイトでの広告収入獲得に力を入れる。アプリ版については、デザインを変更してユーザービリティを向上させた新バージョンを11月中にリリースする予定である。一方、クラウド型業務アプリサービスの販売拡大では、日系・非日系Sierとの協業による「Google Apps」及び「Cloudstep」のライセンス販売を強化する。

米国現法Systena America Inc.は売上高2億5百万円(前期比142.7%増)、営業損失47百万円(前期は27百万円の損失)。モバイル検証が本格化するため売上が増加するものの、コンテンツビジネスやインキュベーション事業立ち上げに伴う先行投資で損失が増加する。
下期以降は、モバイルや通信関連の開発・検証支援事業の拡大に取り組むと共に、DMMのプラットフォームを利用した日本発祥のアニメ文化、SNSゲーム、コンテンツの米国展開を進める。また、複数のシーズ・ベンチヤー企業との連携による最新技術・サービスの動向調査や協業(インキュベーション事業)の検討も始まっている。モバイルや通信関連の開発・検証支援事業の拡大では、既存案件である日本企業のアプリ検証やフィールド検証の受注が継続しており、10月からはSprintとの直契約によるビジネスがスタートする。これらと並行して日系企業・現地企業への営業強化による新規案件の獲得にも取り組んでいく。
尚、子会社の売上・利益は内部取引を含んでいる。

今後の注目点
上期は3億48百万円のTVCM費用を吸収して、営業利益が前年同期比12.2%増加した。同社は上期の予想を開示していなかったが、期初予想を上回ったようだ。通期業績予想が修正される事はなかったが、その理由は下期にどれだけ上乗せできるか不透明なため(社内的には営業利益ベースで30億円までの上積みを目指している模様)。TVCMは認知度の向上が目的だが、採用面での効果はてきめんで、昨今の採用難にもかかわらず、新卒採用では既に170名に内定を出す事ができた。中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期)では、ITサービス事業において、技術者数を、現在の870名を1,340名に増員する計画が示されているが、同事業に限らず、同計画を達成するためには質を伴った人材の拡充が不可欠である。尚、同計画において、ストラテジーとして示された、自動運転、スマートシティ、ロボットの分野は、いずれも無線通信技術が不可欠であるため同社の強みを活かす事ができる。加えて、スマートシティやロボットは、その主体となるエレクトロニクスメーカーや通信キャリアとの間で、携帯電話関連のビジネスを通して既に信頼関係が構築されている。また、自動運転も、無線通信関連の技術だけでなく、TIZEN開発での取り組みも評価され、自動車メーカーや車載機器メーカーと太いパイプができている。同計画は「4年後の営業利益を2.5倍にする」という強気の計画ではあるが、その背景にある「成長工ンジンの再構築」は十分に根拠のあるものと考える。
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