(6669:JASDAQ) シーシーエス 2015年7月期業績レポート

2015/10/07

CCS

今回のポイント
・15年7月期の売上高は前期比26.2%増収の69億51百万円。過去最高を記録。主力のMV事業が国内外共に、また新規事業もデバイス事業が好調だった。粗利率は2.1%低下し、販管費も同2ケタ増加したが増収効果により、営業利益は同37.8%増の7億73百万円。繰延税金資産の積み増しにより当期純利益は同93.7%増の7億72百万円となった。

・16年7月期の売上高は前期比12.2%増収の78億円の予想。MV事業、新規事業の両事業とも堅調に推移。販管費も増加するが粗利増で吸収し、営業利益は同19.0%増の9億2千万円を見込む。これまでの継続・安定配当から業績連動の配当実施に方針を変更した。目標配当性向は20~30%。今期は前期と同じく20.00円/株を予定。予想配当性向は15.3%。(但し、A種優先株式も含めた予想配当性向は20%。)今後は、さらに配当性向の目標を高めるべく、業績向上に全社を挙げて取り組む考えだ。

・MV事業が国内外ともに好調だ。良好な事業環境に加え、同社の製品開発力、競争力が一段と向上していると見られる。ただ、今期も2桁の増収増益が見込まれているが、株価は冴えない。中国経済の動向を懸念した動きと思われるが、同社としては中国の工業化進展の中でMVに対するニーズは確実に増大するため、大きな影響はないのではないかと見ている。足元の中国における数字も決して悪くないという。10倍を割り込んだ予想PERをどう判断するべきか?2018年7月期の売上高105億円への道筋と共に、今期の各四半期の業績数字にも注目したい。

会社概要

画像処理用LED照明のリーディングカンパニー。いち早くLED(発光ダイオード)に着目し、自動検査の際の光源として使われる画像処理用LED照明を様々な業界の生産現場に提供してきた。目視検査に代わる画像処理による自動検査技術は、現在、電子・半導体業界、三品(食品・医薬品・化粧品)業界、自動車業界など幅広く浸透しており、国内外で高いシェアを有する。連結子会社は、CCS America Inc.(米国)、CCS Asia PTE.LTD.(シンガポール)、CCS Europe N.V.(ベルギー)、及びCCS-ELUX LIGHTING ENGINEERING PVT.LTD.(インド)、東莞鋭視光電科技有限公司(Rsee)の5社。(2015年7月末現在)
社名の「シーシーエス(CCS)」は「Creating Customer Satisfaction」の頭文字をとったもので、「“顧客満足の創造”を企業活動の原動力としたい」と言う思いが込められている。

【事業概要】

事業はLED照明事業の単一セグメント。同事業はMV(マシンビジョン)(画像処理用LED照明)事業と同分野で培った技術・ノウハウを活かした新規事業に分かれ、MV事業では電子半導体、太陽電池、二次電池、自動車、三品(食品、医薬品、化粧品)業界等を顧客としている。また、新規事業では、UV(紫外)硬化等に使われるUV照射器向け製品等も手掛けるほか、LEDデバイス、美術館・博物館用照明、メディカル、アグリバイオ照明等の開拓に取り組んでいる。地域別売上高は、日本58.1%、北米12.4%、欧州13.7%、アジア15.7%。(2015年7月期)

【沿革】

1992年5月、FA(ファクトリー・オートメーション)機器の設計・開発を目的に創業。翌93年にシーシーエス(株)として法人組織に改組した。その後、検査用画像処理装置の光源としてのLEDの優位性に注目し、画像処理用LED照明の開発に特化。94年1月に同社第1号製品「超高輝度LEDフラット照明機器(LFLシリーズ)の開発に成功し、販売を開始した。以後、目視検査から画像処理による自動検査へシフトする顧客ニーズを捉え、電子半導体、自動車、三品業界等を中心に事業が拡大。海外へも積極的に展開し、99年の米国子会社設立を皮切りに、04年11月にかけて、中国(駐在員事務所)、シンガポール、欧州に子会社を設立。この間の04年6月にJASDAQ上場を果たした。

05年4月には植物研究用LED照明ユニット「ISシリーズ」を開発し、同年6月には植物育成実験プラント(千葉県)が本稼動。栽培した野菜の販売やレストラン・カフェの運営に進出した他、08年12月には植物育成プラント事業を手掛ける(株)フェアリーエンジェル(10年9月に(株)フェアリープラントテクノロジーに商号変更)を子会社化し同事業を本格化した。しかし、同事業は先行投資負担が重く、またリーマンショックによる画像処理用LED照明の売上の落ち込みが重なった事もあり、09/7期、10/7期と2期連続で営業損失を計上。10/7期には早期退職優遇制度の実施などリストラを余儀なくされた。

早期の経営建て直しを目指し、10年9月に野菜の販売やレストラン・カフェの運営から撤退。12年には、3月に新規事業の一環として取り組んでいたコンシューマー向け事業(100W電球やデスクスタンド等)から撤退した他、4月には植物育成プラント事業からも撤退し、7月に(株)フェアリープラントテクノロジーを解散。一連の構造改革とMV事業のシェア奪回策、自然光LEDを応用した新規事業の立ち上がりなどで2013年7月期は大きく業績を回復。2014年1月には中国に合弁会社を設立。今期以降もアライアンスの強化、国内外でのシェアアップ、新規事業の育成等による成長軌道への本格回復を目指している。

【同社の強み】
ハード、ソフト、及びパッケージング(デバイス開発)を組み合わせて最適なライティングを実現

同社の画像処理用LED照明は機構設計、放熱、実装等のコア技術(多くの特許を取得)をベースに開発・生産され、標準品の製品ラインアップは1400機種以上にのぼる。また、これまで蓄積してきた約50,000件の撮像実績を駆使して、見えないものを見えるようにする「ライティング技術」(光の当て方:ライティングソリューション)を提案できる点も同社の強み。ハード面でのコア技術とソフト面での「ライティング技術」、更にはLEDパッケージング(デバイス開発)における独自の技術とノウハウを組み合わせる事で比較優位を確立し、最適なライティングを実現している。
太陽光に限りなく近い波長を実現した自然光LED (後述)はこの強みを結集したもので、美術館・博物館用照明、メディカル、アグリバイオ、デバイス、UV照射器などへ事業領域の拡大を進めている。

1993年創業以来の画像処理用LED照明専門メーカーとしての実績

同社は、エリア実験室及びラインセンサ用実験室を完備し、数百種類・10,000台以上に及ぶ無料貸出機を準備する事で顧客の研究開発をサポートしている。ワーク撮像実績は約50,000件を数え、カスタム照明の設計・開発・製作の実績も約10,000種類に達する。

太陽光に限りなく近い波長を実現した自然光LED

07年11月、同社は山口大学との共同研究の下、「平均演色評価数(Ra)98」と言う業界最高レベルの演色性(太陽光のもとで見た時の色の見え方の差、Raの数値が高いほど太陽光に近い)を有する「自然光LED」の開発に成功した。これまでも、LED以外で自然光を謳った製品はあったが、長寿命・低消費電力のLEDを使った製品は同社が初めて。

太陽光に近い光を再現する「自然光LED」。
色の再現性を標準化・数値化した平均演色評価数において、「自然光LED」は業界最高クラスの“Ra98”(相関色温度:5000K)を達成。
「平均演色評価数 Ra 98」とは、JIS規格で定義された色を平均98まで再現できる光である。

自然光LEDの演色性の高さに対しては美術館・博物館から大きな関心が寄せられている。
絵画、仏像などの展示物が、電気による明かりが無かった時代に、朝昼夕の自然な光の中でどのように見えていたかを再現することができる。また、絵画、書といった保存に細心の注意が必要な展示物に優しい点も自然光LEDの大きな特徴である。
同社の自然光LEDは一般的な白色LEDと比べて突出したピーク成分を持たず、損傷性の高い紫外線や赤外線を含まないため、高演色性と低損傷性を兼ね備えている。また、パルス駆動(短い間隔で明滅させる。)させることにより肉眼での明るさは確保したまま、展示物への照射量を減らして損傷を低減させることもできる。同社は2013年7月「文化財保存修復学会 第35回大会」において、これらの検証、証明を発表し、文化財保存の領域での認知、信頼性を高めている。

他にも、顕微鏡用や目視検査用、或いは医療用(より正確な観察が可能)、ホテル、ホール、店舗用(太陽光の下での色味を確認できる)等、自然光LED搭載照明の商品化に注力している。

2015年7月期決算概要
MV事業が好調で2桁の増収・増益。過去7年で最高の売上高、営業利益を達成

売上高は前期比26.2%増収の69億51百万円。過去最高売上を記録した。主力のMV事業が国内外共に、また新規事業もデバイス事業が好調だった。プロダクトミックスの影響で粗利率は2.1%低下し、販管費も同2ケタ増加したが増収効果により、営業利益は同37.8%増の7億73百万円となった。前期にあった為替差損が無くなった一方、為替差益が発生し、経常利益は同54.5%増の7億60百万円となった。繰延税金資産の積み増しにより当期純利益は同93.7%増の7億72百万円となった。

(2)事業分野別状況
①事業推進の考え方

従来からの考え方に変更は無い。国内MV事業で獲得したLEDを活用したマシンビジョン用照明のノウハウ及び技術的蓄積を基礎として、以下の2方向へ領域を拡大させていく。
①地理的領域の拡大:アメリカ、アジア、ヨーロッパ、その他未開拓エリア等への海外展開
②事業領域の拡大:投資効率によるテーマの絞り込みを進めながら、自然光LED・UVLEDを用いたデバイス技術を軸に、美術館・博物館、商業用、メディカル、新規FA等に展開する。
加えて、カメラメーカー、レンズメーカー等との積極的な事業連携を進め、周辺商材を含むシステムソリューション提案を加速させる。

②MV事業
スマートフォンメーカー向けビジネスが活況だったほか、自動車部品業界、景気変動の波を受けにくい三品業界向けも堅調だった。
前期から取り組んでいる営業マンの意識改革を中心とした「営業現場改革の効果」が今期も現れている。案件管理・行動管理・訪問管理・予材管理を継続して強化。訪問件数は前々期比で倍増し、受注は高水準を維持している。
販売代理店に対し、製品販促を目的としたツールやセミナーを提供し、販売サポートを実施した。テスティングルームを強化・増設し地域密着型の顧客対応を推進した。テスティングルームは国内合計6拠点となった。また名古屋営業所にラインセンサ実験室を新設した。
照明・電源の単品販売のみでなく、他社との積極的なアライアンスにより、レンズ、カメラ等取扱い商材を拡充した。拡販に向け、営業マンのソリューション強化のための新商材・システムの教育も実施した。
◎欧州

引き続き販売代理店との密接な関係作りを進めた。大手検査装置メーカーの新規案件獲得に注力したが、顧客の事情により当期の納品とはならなかった。

◎北米

北米での内需拡大を背景に、売上は拡大。中南米など販売エリアを拡大し、新規販売代理店との協力体制を構築した。スマホ関連が好調。現地通貨ベースでも2桁の増収だった。

◎アジア

中国合弁会社Rsee稼働が本格化し、売上に貢献した。品質重視、人件費削減ニーズから急成長が見込まれる中国MV市場で、中品質、中機能、中価格のミドルエンド製品を中心に据え、圧倒的なシェア獲得を目指し、CCS製品とRsee製品の両ブランドを投入している。2015年7月末現在、240機種を上市している。シンガポール、マレーシアでは大手主要顧客へのフォローが奏功し、売上は好調に推移した。

③新規事業

デバイスビジネスは好調に推移したが、その他は前年並みにとどまった。

独自の自然光LED、UV-LEDデバイスを商材として、顧客の細かな要望・ニーズに応えることで、継続的に提供している顧客の後継機種への受注獲得と、他案件・他機種への横展開を進めている。
自然光LEDの特性を活かし、山田医療照明(株)の医療用診療灯の光源部を共同開発し、量産がスタートした。

山田医療照明は、医療用照明器メーカーとして、多数の製品を国内外で販売している。正確な色認識を可能とする光としてシーシーエスの「自然光LED」が、より質の高い光を医療現場に提供するという方針に沿ったものとして高く評価され、光源部を共同開発することとなった。
今回の共同開発では、医療用診療灯として演色性を追求する一方で、照明の照度は従来品とほぼ同等であること、また従来品の筐体や光学設計を踏襲し、光源部のみ置換えが可能なLEDであることなど、様々な課題を解決する必要があったが、シーシーエスは、蓄積してきた独自のチューニング技術を活かしてLEDの試作を繰り返し、高演色でありながら、これまでにない高照度の「自然光LED」の開発に成功した。「自然光LED」が医療分野に採用された初めての製品である。

また、UVビジネスを今期から新規事業に移管した。UV-LED市場の主要アプリケーションである「紫外線硬化分野」において、樹脂等の材料メーカーやUVランプメーカーとの連携を通じて、幅広くニーズに応える体制を構築。UV光によって樹脂を硬化・接着・封止するUV照射器の拡販を進めている。

<美術館・博物館ビジネス>

今期新たに13館に導入され、導入館は75を超えた。学芸員向けの研修会等で光による演色性の違いや文化財保護の観点からの照明の選び方を解説し、認知度向上に努めている。

(3)主な新製品
<顧客ニーズに沿った製品の開発>
*バー照明 LDL2シリーズ(2015年6月発売)

2009年6月に発売した「LDL2シリーズ」は、汎用性の高さ、サイズや発光色のラインナップの豊富さ、取付や設置の自由度の高さなどから、自動車部品や薬品、食品の包装パッケージの検査向けに、国内外で多く利用されている。
今回のリニューアルでは、LEDの高出力化により、白色・赤色・青色、それぞれで従来品の2倍の明るさを実現した。また、オーバードライブモードでの使用で、明るさは最大6倍にもなる。超小型サイズもラインアップに追加し、「LDL2シリーズ」全体で210機種をリニューアル発売した。

*片側斜光照明 LNDGシリーズ(2015年3月発売)

これまで、ラインセンサでの画像処理検査において、搬送方向のスジやキズの検出は、極めて困難だったが、同社は2014年7月に、斜光照明「LNISシリーズ」を発売し、フィルムやガラスなど表面に光沢のある検査対象物における、搬送方向の欠陥検査を可能にした。今回発売する「LNDGシリーズ」では、斜光照明の第2弾として、紙や不織布などの、光を拡散する性質の検査対象物における搬送方向のシワや凹凸などの欠陥検査を可能にした。
LEDを用いた国内初の製品。

*ラインセンサ用LED照明 LNSDシリーズ(2014年10月発売開始)

検査スピードの高速化や、手軽にラインセンサでの検査を取り入れたいというニーズの拡大に対応し、さらに明るくコンパクトな設計の照明「LNSDシリーズ」を、2014年10月に発売開始した。
放熱設計や光学設計の工夫により、従来品同等の均一性を保ちながら明るさは約2倍。
大幅なコンパクト化を実現し、重量は約60%カットし、ラインセンサでの画像処理が手軽になった。
ラインセンサ用蛍光灯からの置き換えに最適な「高均一タイプ」も同時に発売した。

*画像処理検査用バー照明「LDLBシリーズ」(2014年11月に発売開始)

欧米の画像処理検査市場においては、自動車の組立検査や包装パッケージの印字検査等、大型アプリケーションへのニーズが高く、離れた場所から広範囲に全体を明るく照射できる照明が求められる。
こうした海外顧客のニーズに対応して「LDLBシリーズ」を2014年11月に発売開始した。
独自の集光技術により長距離から広範囲への照射を可能にしているのに加え、同社初のコントローラー本体内蔵型で、調光設定やモード切替をパネル操作で容易に設定することができる。
防水仕様もラインアップし、汎用性の高さと低価格を実現した。

<アライアンスの推進による取扱商材の拡充>

同社はアライアンスにより競争力の高い製品のラインアップに力を入れている。

*Trinitiユニット搭載の画像処理用LED照明(2015年6月発売)

画像処理検査においては、照明に加えて、カメラや画像処理装置などを、それぞれ個別に設定し、細やかなタイミングを合わせる作業が必要だが、欧米のユーザーは、大規模な生産現場で多数の製造ラインを所有しているケースが多く、検査工程での個別設定が面倒なことから、照明を含めた画像処理システム全体を一括でコントロールすることへのニーズが高まっていた。Gardasoft社が開発したTrinitiシステムは、複数の画像処理装置メーカーのプロトコルに対応しており、同システムを利用することで、画像処理システムやカメラとの連携が可能となる。
電源メーカーのGardasoft社(英国)は競合先でもあるが、顧客により優れたソリューションを提供するという目的のためアライアンスを実現させた。

*卓上型高速・高分解能カラー3Dスキャナー(2015年1月発売)

画像処理市場において、3次元測定(3D測定)による検査ニーズが急速拡大していることに対応して、工業用制御装置メーカーの株式会社アバールデータ(東京都)との協業により実現した3D画像処理装置。
製造ラインで使用可能な高速読み取りと精細なカラー立体画像の取得が可能。

*リングライトガイド一体型超小型USBカメラ(2014年12月発売)

産業用カメラメーカーの株式会社アイジュール(千葉県)、光ファイバーライトガイドメーカーの株式会社オプテル(東京都)との3社共同で開発した世界最小クラスの照明一体型画像処理検査用カメラ。
産業用検査装置以外にも、ロボットビジョンやメディカル機器市場にも拡販を計画している。

*クロスラインライトガイド(2014年10月発売)

光ファイバーライトガイドメーカーの株式会社オプテル(東京都)と共同開発したLED光源ユニットに接続して使用する光ファイバーライトガイド。画像処理検査で光源ユニットを使用する際には、光ファイバーと様々な形状のライトガイドを取りつけて検査対象まで光を導いており、光源と光の位置が離れているため、検査装置内の放熱空間を考慮する必要がないというメリットがある。
シーシーエスは、レボックス株式会社との共同開発製品「LED光源ユニット PFBR-150SW」の発売以降、オプテル社の光ファイバーライトガイドをセットで提供しているが、今回、より高度な顧客ニーズへの対応を目的とし、フィルム等のごく微細なキズの検出を可能とするクロスラインライトガイドを共同で開発した。

現預金、売上債権の増加などで流動資産は前期末比6億円増加。固定資産は、ほぼ変わらず、資産合計は同6億5百万円増加の66億64百万円となった。
有利子負債が4億98百万円減少し、負債合計も3億35百万円減少。
純資産は利益剰余金の増加、円安に伴う為替換算調整勘定の増加、Rsee出資完了に伴う少数株主持分の計上等で同9億41百万円増加し40億72百万円となった。この結果、自己資本比率は前期末の51.7%から7.1%上昇の58.8%となった。

営業CFは、利益増などでプラス幅が大きく拡大した。投資CFのマイナス幅は若干縮小したため、フリーCFのプラス幅も大きく拡大した。財務CFは、短期借入金の減少などでマイナス幅が若干拡大。キャッシュポジションは約4億円上昇した。

2016年7月期業績見通し
MV事業、新規事業共に堅調な伸びを見込み、2ケタの増収・増益予想。

売上高は前期比12.2%増収の78億円の予想。MV事業 同7.8%増、新規事業 同35.4%増と、引き続き両事業とも堅調に推移する。販管費も増加するが粗利増で吸収し、営業利益は同19.0%増の9億2千万円を見込む。前期は繰延税金資産の積み増し等で法人税等の負担率が低かったが、今期は通常の負担率を想定しているため、当期純利益は減益となる。

配当に関しては、これまで、2006年7月期以降業績に関わらず、同水準の配当を継続して実施してきたが、収益拡大に向けた事業基盤が固まりつつあるため、利益を従業員賞与、配当、内部留保に適正に配分し、業績に連動した配当を実施することとした。
連結の配当性向は20~30%を目標としている。今期は前期と同じく20.00円/株を予定。予想配当性向は15.3%(但し、A種優先株式を含めた予想配当性向は20%)
今後は、さらに連結配当性向の目標を高めるべく、業績向上に全社を挙げて取り組む考えだ。

◎国内MV事業

<施策>

ダントツトップシェアをめざした営業活動量の高水準維持と質の向上
受注成約率向上のためのマネジメントを実施
営業的空白区と混戦区の攻略
新規テスティングルームの開設および営業マンの増員
ソリューション領域の拡充による、画像検査、周辺機器までのワンストップソリューションの提供
競合の徹底分析による顧客ニーズに拘った新製品投入と、既存製品の性能向上による顧客囲い込み
◎海外MV事業

<施策>

テキサス(エルパソ)のテスティングルームを拠点に、メキシコおよびブラジル等の中南米での現地販売代理店の開拓
米国西部への新規テスティングルーム開設と人員強化による販売力強化
高い技術力を活かした、顧客からのハイスペックカスタム製品要求への対応による、大口顧客囲い込み
本社からエンジニアを派遣し、顧客要求に迅速に対応するための子会社技術力の強化
Rsee製品拡販による中国市場の本格攻略
◎新規事業
デバイスビジネスは、医療関連機器への展開を強化。アライアンスを活用した販路拡大。
医療分野や美術館博物館分野、UVビジネスでのデバイス展開に注力
アグリバイオビジネスは、国内の大型案件の獲得を目指す
UVビジネスは、印刷業界向けの新製品を投入、展示会出展等による展開を加速。
今後の取組み ~各務社長に聞く~

同社は「2018年7月期売上高105億円、営業利益14.5億円」という目標を掲げている。そのための取組みや展望などを各務社長に伺った。

Q:「ダントツトップのシェア実現」を最重要課題の一つと掲げていますが、その進捗はいかがですか?
A:各種施策の結果、低下したシェアは底を打ち、回復に向かっている。
最悪期には、当社による定点観測で3割を切るところまで低下したシェアは、きめ細かい営業行動改革、ものづくり力の底上げ、調達力の向上などにより着実に回復している。
また製品企画において市場に密着した製品の開発に力を入れた点もシェアアップの大きな要因だ。
当初はトップダウンで進めた意識改革も、現在では現場にしっかりと浸透しており、社内の空気も活気にあふれたものに大きく変化している。
Q:各事業の取組みや見通しについてお教えください。
A:既存事業を軸足としつつも、新規事業の早期の立上げ・ボリュームアップに注力する。
◎国内MV
主力ユーザの囲い込みと競合他社攻略施策による売上アップを図る。
特に、テスティングルームの活用は重要なポイントだ。
顧客との密なコミュニケーションをとることが出来るテスティングルームは当社の大きな差別化要因である。主要な競合他社はその事業規模から、当社の様にテスティングルームを多数展開する事は難しい。また、当社ではここ数年のアライアンス戦略によりカメラを始めとした商材の拡充が進んだため、単品売りではなくMVにおける総合的なワンストップソリューションをテスティングルームで提供できるようになってきた。この点も他社に対する強力な差別化要因となっている。
現在6か所の同施設を今期中にあと2、3か所開設したい。特に、ライバルとの激戦区に開設し、こうした差別化要因を明確に打ち出して売上、シェアを拡大させる。
この他、代理店の新規開拓も進めて行く。
◎海外MV
代理店・装置メーカーとの連携を強化するほか、新規大型顧客、プロジェクトの獲得に力を入れる。
マーケットとしては、中南米、メキシコ、東南アジアなど新規市場の開拓に取り組む。
また中国市場においては当社とRsee社の2ブランド戦略により、中国市場制覇を目指す。
◎新規事業
現在展開している各種分野については、今後の成長性、市場性を見据えた調査やフィジビリティスタディを進めていく。
一方、今回の山田医療照明との共同開発に代表されるように、デバイスをコア商材としたビジネスに特化・集約を進める。
◎その他
この他、研究開発においては開発プロセスの変革とイノベーションの創出を常に意識し、顧客QCDSを継続的に向上させ、ヒット商品を切れ目なく市場投入する。
生産においては、業界トップのQCDを実現するものづくり力を磨き上げ、商品力強化につなげる。また、海外各地域の要求に即応するべく海外生産拠点のレベルアップも図る。
Q:最後に株主・投資家へのメッセージをお願いします。
A:MV事業におけるダントツトップシェアの実現と新規事業の育成による事業拡大に邁進する。
まず国内においては既存事業であるMV事業に軸足を置き、ダントツトップシェアを実現する。
一方海外においては、その市場規模の広がりから、MVだけで200から300億円の売上を上げる事は決して不可能ではない。
ただ、MV事業のみでは景気変動に左右されやすいので、リスクを低減させるためにも新規事業の早期のボリュームアップが欠かせない。より成長性が高く、大きな市場規模が見込まれるものを早く見つけて、シフトしていくことが重要だ。
新規事業においてそうした柱を2、3本たてることが出来れば、MV事業と合わせて売上500億円も見えてくる。
中期経営計画最終年度の2018年7月期の売上高105億円をしっかりと達成させ、やや時間はかかるかもしれないがこの500億円を長期的な目標として、アライアンスやM&Aも織り交ぜてスピード感を持って全社挙げて邁進していく。
株主・投資家の皆さんには是非当社のチャレンジを応援していただきたい。
今後の注目点
MV事業が国内外ともに好調だ。良好な事業環境に加え、同社の製品開発力、競争力が一段と向上していると見られる。
各務社長のインタビューにもあるように、今後もテスティングルームの新設などにより他社との差別化が一段と進むことが期待できる。
ただ、今期も2桁の増収増益が見込まれているが、下のチャートの様に株価は冴えない動きとなっている。中国経済の動向を懸念した動きと思われるが、同社としては中国の工業化進展の中でMVに対するニーズは確実に増大するため、大きな影響はないのではないかと見ている。足元の中国における数字も決して悪くないという。
10倍を割り込んだ予想PERをどう判断するべきか? 2018年7月期の売上高105億円への道筋と共に、今期の各四半期の業績数字にも注目したい。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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