(6065:東証1部) サクセスホールディングス 2015年12月期上期業績レポート

2015/09/16

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今回のポイント
・その他の関係会社だったジェイコムホールディングス(株)が、2015年6月1日~29日にかけてサクセスホールディングス(株)株式の公開買い付けを行い、議決権の50%超を所有するに至った(親会社及び筆頭株主となった)。連結子会社として、ジェイコムホールディングス(株)と一段の連携強化を図る事で優秀な人材の確保と事業の効率化につなげていく考え。

・15/12期上期は前年同期比17.1%の増収、同54.9%の経常増益。先行投資負担が大きい認可保育施設の新設の増加で売上総利益率が低下する中、販管費も増加したが、運営施設数の増加による売上増で吸収。営業外収益に計上する設備補助金収入も同62.5%増加した。上期末の施設数は276施設(受託保育173、公的保育103)。

・通期業績予想に変更はなかった。下期は前年同期比8.2%の増収ながら、営業利益が同66.1%減と大きく落ち込む。公的保育施設2施設の開設を予定しているが、期中の開設のため低稼働が予想され全体の足を引っ張るとみているようだ。この結果、通期業績は前期比12.5%の増収ながら、営業利益が同36.8%減少する。ただ、設備補助金収入の計上で経常利益は同3.5%の減少にとどまる見込み。配当は1株当たり15円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年30円)。

会社概要

持株会社である同社と事業会社の(株)サクセスアカデミー(100%子会社)の2社でグループを構成。「人から”ありがとう”といわれるサービスを提供する」をグループ理念に掲げ、「子育て支援」を根幹とする総合的ライフスタイルサポート事業の展開を目指している。

【事業内容】

病院・大学・企業等の事業所内保育施設を受託運営する受託保育事業と、「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園等(この他、学童クラブ、児童館、全児童対象施設)を運営する公的保育事業を2本柱とし、14/12期の売上構成比は、受託保育36.6%、公的保育63.4%となっている。

受託保育事業

病院や大学、老人介護施設、企業などが設置主体となる保育施設の運営受託事業。委託先の要望に応え、様々な規模や利用時間、保育内容を実現する。委託先の予算や要望に合わせた保育設計を特徴としており、利用定員数や施設場所、利用時間帯、保育の内容など、様々な要望に応えている(10名未満の小規模施設、既存社宅・寮を改装した保育所、外国語対応の保育士の配置等)。また、利用者の勤務に合わせた柔軟な開園時間も特徴で、「保育所」が利用者の勤務時間に与える制約を解消する(例:土日祝日、深夜早朝の利用)。初めて事業所内保育を始める事業者だけではなく、既に自営している事業者からも、きめ細かな保育施設の運営が評価されている。尚、受託する保育施設は、主に病院などの委託者の従業員向け“福利厚生施設”として設置され、同社は委託者より運営料の支払いを受ける。施設が一定の条件を満たしていれば、委託者には助成金が支給される。

公的保育事業

「にじいろ保育園」ブランドで展開する「認可保育所」や「認証保育所」に加え、「小規模保育施設」、「学童保育」、「児童館」等の保育施設運営を行っている。「認可保育所」は、運営する同社、利用者共に自治体との契約となる。利用者は自治体(市区町村)に申し込み、保育料を市区町村に支払う。一方、同社は自らの負担で施設を整備し、自治体から施設運営補助金の支払いを受ける。自治体によっては設備補助金制度があり、また、自治体によって施設運営補助金は異なるが、基本的に回収リスクはない。
「認証保育所」はスペースの制約から「認可保育所」の設置が難しい東京都の制度で、横浜や川崎(共に神奈川県)等にも類似した保育所制度がある。利用者は個別に施設運営者と契約し、同社は利用者から徴収する利用料と自治体からの補助金が収益となる。

【サクセスホールディングスの6つの強み】
利用分だけの請求

勤務時間が不規則な病院等で事業所内保育を自営すると、利用者の不規則な勤務時間に合わせた保育施設の運用が負担になるため、保育施設の利用者数、利用時間を制約する事になってしまう(利用者の少ない土日は閉園、夜19時以降は利用不可等)。一方、同社の保育施設は利用分だけの請求のため、「少人数だが、日曜も利用したい」、「毎日ではないが、夜勤時間も使いたい」、「幼稚園利用時間の前後で使いたい」といった多様なニーズに応える事ができる。

24時間365日の運営対応

同社は病院内保育施設運営での豊富な経験を活かし、「24時間365日の運営」、「月曜、木曜だけの夜勤運営」等、様々な要望に合わせた保育サービスを提供している。

自然共育(しぜんともいく)を軸とした保育

子どもたちの成長に欠かせない自然体験を通じた「自然共育」(商標登録)を軸とした保育に取り組む事で、子どもたちの感性、優しさ、考える力等、人としての基盤を育んでいる。

施設毎の運営スタイル

急性期病院では夜勤や365日の要望があり、研究者や留学生の利用が多い大学では、英語対応や給食等の保育内容に対する要望がある等、委託者毎に事情が異なる。このため、同社は、利用者の要望に合わせ、施設毎の多様な運営スタイルを有する。

充実した採用・研修機能

スタートアップ研修、フォローアップ研修、レベルアップ研修、キャリアアップ研修、マネジメント研修、スペシャリスト研修、メンテナンス研修、外部研修といった充実した独自の研修・育成制度を有する。

運営システムのIT化

従量制の請求、委託先の要望に応じた運営、24時間365日の保育等を実現するにはITを活用した運営管理が必須。しかし、既存ソフトには同社のニーズを満たすものが見つからないため自社でシステムを開発した。独自のシステムは、児童の登降園情報、シフト作成管理、従業員勤怠管理、請求書作成、児童・従業員。契約先情報、グループウエア等の機能を搭載し、保育士の事務負担の軽減と園の運営管理機能強化に貢献している。

【事業環境】
(1)保育所整備の遅れで待機児童数が高水準

「男女共同参画白書 平成26年版」によると、平成に入り「共働き世帯数」が「男性雇用者と無業の妻からなる世帯数」を上回り、今も、その差は広がり続けている(平成26年は、共働き世帯数が1,077万世帯、男性雇用者と無業の妻からなる世帯数が同720万世帯)。また、「厚生労働省平成26年国民生活基礎調査の概況」によると、子供のいる世帯の年収は平成8年をピークに低下傾向にある。

この結果、保育所利用児童数も増加傾向にあるが、保育所の整備が追い付いておらず、保育所に入れない待機児童の増加が社会問題化している。待機児童数は、2010年の26,275人をピークに漸減傾向にはあるものの、14年末で21,371人と待機児童問題の解消には程遠い状態。地域別では、地方での待機児童菅が緩やかながら減少傾向にあるものの、東京都は増加傾向にある。ちなみに、首都圏の待機児童数11,907人で、内訳は、東京都8,672人、埼玉県905人、千葉県1,251人、神奈川県1,079人。(厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」:平成26年4月1日)。

(2)設置主体別保育所認可の状況

2000年に実施された規制緩和で株式会社による保育所の開設が認められた。待機児童の解消に向け、株式会社による保育所の開設に期待がかかるが、認可保育所全体に占める株式会社運営施設数の比率は2014年で2.69%程度に過ぎない(神奈川県横浜市のように30%を超えている自治体もあるが)。

2015年12月期上期決算
前年同期比17.1%の増収、同54.9%の経常増益

今期開設した受託保育施設9施設、公的保育施設15施設(認可保育施設8、学童クラブ等7)の計24施設と前期に開設した28施設(受託保育12、認可保育園8、学童クラブ等8)の寄与により売上高が56億71百万円と前年同期比17.1%増加した。
利益面では、先行投資負担が大きい認可保育施設の新設の増加(6→8)で売上総利益率が15.6%から14.9%に低下する中、販管費も増加したが、売上の増加で吸収して営業利益は1億41百万円と同42.6%増加。認可保育施設の増加に加え、補助率の見直しがあった自治体もあり、設備補助金収入が前年同期の2億41百万円から3億92百万円に増加したため、経常利益は5億24百万円と同54.9%増加した。
上期末の施設数は、受託保育施設173施設、公的保育施設103施設の計276施設(前年同期末252施設、前期末255施設)。

上期末の施設数は前年同期末(166)に比べて7施設増の173施設。運営施設数の増加で売上が増加したものの、保育士にかかる人件費の増加で売上総利益が減少する一方、募集採用費の増加で販管費が増加した。

上期末の施設数は前年同期末(86)に比べて17施設増の103施設。受託保育事業同様、保育士の人件費や募集採用費の増加で営業費用が34億57百万円と前年同期(28億02百万円)比23.3%増加したものの、運営施設数の増加による売上増で吸収した。

例年の事だが、第2四半期(4-6月)は設備補助金収入を計上するため経常利益率が高くなる(通期計上額の大半が第2四半期に計上される)。15/12期第2四半期は3億92百万円を計上した。補助率の見直しを行う自治体が増えており、当期は施設数の増加に加え、補助率の改定に伴う増収もあった。
尚、13/12期第2四半期の計上額は1億45百万円(通期1億82百万円)、14/12期第2四半期は2億41百万円(同3億27百万円)。

上期末の総資産は前期末に比べて1億63百万円増の78億06百万円。借方では、公的保育事業における施設の新設等で有形固定資産が増加する一方、現預金が減少。貸方では、有利子負債や純資産等が増加する一方、受託保育事業における新設の減少で前受金が減少した。流動比率123.7%(前期末134.0%)、固定長期適合率91.8%(同85.4%)、自己資本比率27.3%(同26.0%)。

前受金の減少等による運転資金の減少で営業CFが前年同期の2億85百万円から54百万円に減少した。公的保育事業における施設の新設等でフリーCFは8億22百万円のマイナス。財務CFは34百万円にとどまった。この結果、現金及び現金同等物の上期末残高は14億83百万円と前期末に比べて7億87百万円減少したが、前年同期末との比較では、ほぼ同水準を維持した。

2015年12月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比12.5%の増収、同3.5%の経常減益

下期は前年同期比8.2%の増収ながら、営業利益が同66.1%減と大きく落ち込む見込み。下期に公的保育施設2施設の開設を予定しているが、期中の開設のため低稼働が予想されることと、来春に向けた採用・開園準備費用が全体の足を引っ張るとみているようだ。

この結果、通期業績は前期比12.5%の増収ながら、営業利益は2億33百万円と前期比36.8%減少する見込み。ただ、営業外収益に計上する設備補助金収入の寄与で経常利益は6億58百万円と同3.5%の減少にとどまる見込み。セグメント別の売上の見通しは、受託保育事業の売上が同11.2%増の41億15百万円、公的保育事業の売上が同13.2%増の72億60百万円。

配当は、1株当たり上期末15円、期末15円の年30円を予定している。同社は配当と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績や設備投資の進捗等を見ながら柔軟に対応していく考え。

今後の展開
(1)ジェイコムホールディングス(株)が親会社・筆頭株主に

その他の関係会社だったジェイコムホールディングス(株)が、2015年6月1日~29日にかけてサクセスホールディングス(株)株式の公開買い付けを行い、議決権の50%超を所有するに至った(親会社・筆頭株主)。サクセスホールディングス(株)及び(株)サクセスアカデミーは連結子会社としてジェイコムホールディングス(株)と一段の連携強化を図る事で、質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指す考え。

尚、ジェイコムホールディングス(株)は、保育サービス、人材サービス、介護サービスを手掛ける事業会社を持つ持株会社。人生のどの段階においても必要とされる企業グループを目指している。

サービス品質向上による施設数の増加
受託保育事業

・質の高い保育サービスを提供する事で、適正価格での病院・大学・企業等の事業所内保育の受託数増加につなげる。
・全国に拠点展開するジェイコムグループの豊富な取引先により営業機会が大幅に拡大するため、ニーズを把握し、満足度の高い保育内容の提案を推進していく。

公的保育事業

・将来においても、利用者から選ばれ続けるために、立地や設備等のハード面においても好条件の施設の開設に注力する。
・施設開設後のフォローを強化する事で運営上の課題を明確化し、自治体と協力して継続的にサービス品質を向上させていく。

サービス品質向上のための保育士の採用強化

多くの保育求人を擁するジェイコム(株)の採用ボリュームと求人ノウハウを活用して採用数の増加を図る。グループ内での人材交流として、新卒採用、中途採用、臨時雇用者採用を担当する人材開発部の責任者にジェイコム(株)からの出向者が就任した。これまでの保育施設運営の実績から得た業界人脈や施設運営・保育士育成ノウハウについて、ジェイコム(株)との共有を図る。

一方、ジェイコム(株)は、求職者を確保し(株)サクセスアカデミーに誘導する事でサクセスホールディングス(株)を支援する。人材交流では、保育・介護向けサービスの責任者にサクセスホールディングス(株)からの転籍者が就任した。また、(株)サクセスアカデミーの持つノウハウを共有し、マッチング、未経験者の人材活用、就業時のフォローに反映させると共に、離職率の低下にもつなげていく。

サービス品質向上のための保育士の育成強化

子育てがある程度進んだところでの職場復帰希望者や、資格を持ちながら他の職種に就職した潜在保育士の活用に取り組む。実際、「サクセス子ども子育て研究所」が潜在保育士・幼稚園教諭再就職促進事業を受託し、再就職支援セミナーや相談会に加え、現場復帰支援研修を実施しているため、今後のグループシナジーが期待できる。また、保育学生向け就職セミナーの開催や運営を受託している神奈川県保育士試験講座等の機会も活かして保育士の確保・育成に取り組んでいく。

今後の注目点
新聞報道によると、厚生労働省は自社の事業所内に保育所を設ける企業に対する財政支援を拡充する考えだ。具体的には、現在の助成対象は企業毎に1つの保育所だけだが、2つ以上の保育所を持つ場合も、それぞれの施設に助成できるようにすると言う。工場や支社など複数の拠点に保育所を設置したいという企業の声が多い事が背景にあり、来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。同社は、首都圏中心に関東で公的保育事業を展開し、東北や関西等で受託保育事業を伸ばしていく考えであり、大企業の製造拠点が多い東北等でビジネスチャンスが広がりそうだ。
また、年末に本社を神奈川県藤沢市から東京都品川区に移転し、今後の事業展開および採用活動のスピードアップを図る予定。
足元の受託保育事業を取り巻く環境は厳しく、上期は、保育士の人件費や募集採用費等のコスト増が先行し、営業利益が半減した。下期は契約改善に向けた交渉を進めていく考えだ。ジェイコムホールディングス傘下でのグループでのシナジーと共に、交渉の行方に注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
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