(8275:東証1部) フォーバル 2016年3月期第1四半期業績レポート

2015/09/16

forval

今回のポイント
・16/3期第1四半期は、前年同期比17.1%の増収、同28.0%の経常増益。売上面はアイコンサービスが拡大したフォーバルビジネスグループや光回線サービスなどが拡大したフォーバルテレコムビジネスグループや携帯電話販売が拡大したモバイルショップビジネスグループなどすべてのセグメントで増加した。利益面は、人員増による人件費の増加など販管費の増加を、アイコンサービスなど高収益事業の拡大による売上総利益の増加が上回った。

・16/3期の会社計画は、前期比4.3%の増収、同15.5%の経常増益の期初予想から変更なし。売上面は、アイコンサービスなどの経営コンサルティング分野の増加によるフォーバルビジネスグループの増加に加え、フォーバルテレコムビジネスグループや総合環境コンサルティングビジネスグループの増加を見込んでいる。利益面は、主としてフォーバルビジネスグループ、フォーバルテレコムビジネスグループの増収効果と収益性の改善を見込んでいる。配当も前期と同額の1株当たり年間13.75円の計画を据え置き(15年9月1日を効力発生日とする普通株式1株を2株の株式分割後)。

・16/3期第1四半期決算は、全セグメントで売上が増加する好決算となった一方で、モバイルショップビジネスグループは前年同期比減益となり、総合環境コンサルティングビジネスグループはセグメント損失となった。好調な売上が続く環境下、今後の動向が注目される。

会社概要

中小・中堅企業を対象に「情報通信分野」・「海外分野」・「環境分野」・「人材・教育分野」の4分野に特化した次世代経営コンサルティングカンパニーを目指している。また、ITを活用し経営を高度化・効率化する手段として、オフィス向けの光ファイバー対応IP電話サービスやFMCサービス(固定通信と移動体通信を融合したサービス)、ならびにそれらとネットワークセキュリティを融合したIP統合ソリューションなどの通信・インターネット関連サービスを提供するほか、OA・ネットワーク機器の販売・工事、携帯端末の取次ぎ、Web構築、太陽光システムやオール電化製品の販売・工事などのサービスを提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業を目指す」という経営理念が込められている。

事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップを中心にモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、14/3期に新たに子会社化した(株)アップルツリーがオール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む総合環境コンサルティングビジネスグループの4セグメントに分かれる。 加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメントとして人材・教育コンサルティングがある。

近年のハード販売における付加価値の低下を踏まえ、現在、差別化が可能で付加価値も高いコンサルティングサービスへのシフトを進めており、08年4月にサービスを開始したITコンサルティングサービス「アイコン」がその中核となっている。また、コンサルティングサービスの一環として、中小企業の情報化の支援やASEAN展開の支援にも取り組んでおり、前者ではIP統合ソリューションを展開。後者では、10年5月にFORVAL(CAMBODIA)CO.,LTD.(カンボジア・プノンペン)を設立し、以後、11年7月のPT FORVAL INDONESIA(インドネシア・ジャカルタ)及び同年8月のFORVAL VIETNAM CO., LTD.(ベトナム・ホーチミン)の設立、更には12年3月のミャンマー駐在員事務所(ミャンマー・ヤンゴン)を開設後、翌13年2月に現地法人化(FORVAL MYANMAR CO., LTD.を設立)するなど、ASEANにおいてネットワークの拡充を進めている。
また、平成26年1月24日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から市場第二部へ市場変更となった後、平成26年10月2日に市場第一部に上場した。

IT領域における教育と資格の奨励を通じて従業員のスキルを高め、ハードの卸売りからアイコンサービスによるコンサル業態へ事業転換させた効果が確認できる。

成長戦略

同社は、グループの新しい中期ビジョンとして『次世代経営コンサルティング』の確立を掲げた。既存の事業領域である情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルと強みである独自の海外進出ノウハウを活用した経営コンサルに加え、昨年M&Aを行った株式会社アップルツリーの活用により、重要度が高まっている環境問題にいかに配慮し、事業を展開、環境に貢献していくかの経営コンサルが可能となる。加えて、情報通信分野、海外分野、環境分野において顧客企業の社員教育がワンストップで実施できる体制が整備された。また、同様に昨年M&Aを行った株式会社アイテックがグループに加わったことで、顧客企業の人材・教育分野でのサービスのラインナップも強化された。これら4分野において、同社に相談すれば問題を全てワンストップで解決してもらえると顧客企業に実感してもらえることが『次世代経営コンサルティング』の目的と同社では考えている。

(1)アイコンサービスの拡大
よろず経営相談件数の推移

15/3期のよろず経営相談件数は7,070件(前期は2,070件)と増加が加速している。アイコンサービスの増加は、よろず経営相談の増加につながり、更には、本格的な経営コンサルの増加へつながり、差別化、顧客囲い込み、高付加価値化などにつながる可能性が高い。よろず経営相談件数の増加は、経営コンサルタントとしての同社の評価が確立されてきた証と言えよう。

BRMC経由のアイコンサービス導入件数の推移

また、同社では、アイコン事業の更なる拡大・強化のためBRMC(Business Restructuring&Management Consulting)というアイコンのOEMによるネットワーク作りに注力している。同社の差別化された新しいビジネスモデルのノウハウの提供を通じて、パートナー数とアイコンユーザー数の拡大を目指す。15/3期末時点のBRMC経由のアイコン導入件数は、前期比88.0%の大幅な増加とアイコンサービス導入件数全体の伸びの原動力となっている。また、同社では、17/3期のBRMC経由のアイコン導入件数は6,400件(15/3期実績は3,102件)まで拡大すると予想している。

アイコンサービスの売上高推移

「アイコンサービス」開始以降、利用する顧客数やアイコン関連の売上高は順調に拡大しているものの、今後もよろず経営相談やBRMCの積極的な展開などにより高収益事業であるアイコンサービスの売上拡大を目指す方針。同社では、17/3期のアイコンサービスの売上高が33億円(15/3期実績は30億66百万円)まで拡大すると予想している。

(2)海外進出支援事業の拡大

同社の大久保会長は、十分な教育の機会が無いカンボジアにおいて、自らが設立し理事長を務める公益財団法人CIESF(シーセフ)を通して、教育インフラの構築から人材教育に至る広範な支援活動に取り組んできた。
ASEAN進出支援事業は、このCIESFの活動を通じて培った経験や人脈が活きている。「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」と言う考えの下、既に、カンボジア(10年5月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月)に現地法人を設立しており、12年3月にはミャンマーに駐在員事務所を開設した。
更に、現地での支援体制の更なる充実・強化を図るために13年2月に現地法人の認可を取得し準備を進めてきたミャンマーでは、14年4月より事業活動が本格化した。15年4月1日現在で、海外8拠点(現地法人及び海外関連会社)の現地従業員数は363名まで拡大した(1年で約100名の増加)。

同社のASEAN進出支援事業である「グローバルアイコンサービス」は、海外進出前と進出後の様々な問題や障害を、ワンストップでサポートするビジネスモデルである。現在はカンボジアとベトナム、インドネシア、ミャンマーの4ヶ国で展開。情報提供から始まり、FS支援、現地法人の設立代行、人材採用・人材教育支援、バックオフィス整備支援、ネットワーク環境支援、現地パートナー開拓支援等をトータルサポートすることで、同社が最も得意とする情報通信技術を活用した日本と変わらない快適なオフィス空間を提供するビジネスヘつなげていく。日本と現地の両国で、トータルサポートを実施。
また、同社は、国内の行政機関、地域金融機関や海外の中央政府・行政機関、各国工業団地などとのアライアンスを積極的に拡大することで、「グローバルアイコンサービス」の潜在顧客を発掘・育成している。

特徴的な海外進出支援事業の例 - ベトナムのレンタル工場

同社は現在、従来の海外進出支援コンサルから一歩踏み込んだ支援事業の一環としてベトナムのレンタル工場の運営に携わっている。これは、ベトナム南部のニョンチャックIII工業団地内に日系中小企業専用のレンタル工場を建設するものである。18haの敷地内に約100社弱が入居できるスペースが作られ、日系中小企業の一大集積地となることが期待されている。また、開発にあたっては多額の資金を必要とすることから独立行政法人国際協力機構(JICA)の海外投融資制度を活用し、今後日系進出企業にとっていかなる支援とサービスが必要であるかの継続的なモニタリング調査が実施されることとなる。将来的に他の国や地域に進出する際の強力なノウハウを手に入れることができると期待が膨らむ。
また、埼玉県では同社と現地国営企業が共同で設立した本運営会社へ出資する予定であり、今後埼玉県の中小企業の積極的なベトナムへの進出が見込まれる他、アライアンス先である国内30金融機関と4大手税理士法人等より紹介された顧客の進出も増加する予定。ベトナムレンタル工場への関心は高く、アライアンス先だけで既に99区画の予約枠が設けられている模様。

海外事業の売上高推移

積極的な海外拠点の拡充により、海外事業の売上高も順調に拡大している。同社では、17/3期の海外事業の売上高が10億50百万円(15/3期実績は4億35百万円)まで拡大すると予想している。一方、先行投資負担が重く、海外主要子会社4社の利益寄与は当面小さい模様。

2016年3月期第1四半期決算
前年同期比17.1%の増収、同28.0%の経常増益

売上高は前年同期比17.1%増の116億92百万円。アイコンサービスが順調に拡大した他、セキュリティ関連やビジネスフォンが好調に推移したフォーバルビジネスグループで同7.4%増加した。また、光回線サービスが順調に拡大したほか、印刷関連及び保険関連の子会社が好調に推移したフォーバルテレコムビジネスグループで同10.1%増加したほか、携帯販売台数が前年同期比21.4%増となったことでモバイルショップビジネスグループも同21.2%増加した。更に、人員増強による効果が表れた総合環境コンサルティングビジネスグループが54.7%増加したほか、IT教育サービス事業関連の子会社が好調に推移したその他事業グループでも同24.7%増加した。

利益面は、収益性の高いアイコンサービスの拡大などによりフォーバルビジネスグループで前年同期比125.6%の増益となった他、回線系からネット系への売上構成比の変化や印刷関連の子会社の拡大で利益率が高まったフォーバルテレコムビジネスグループも同13.3%増加した。一方、前年同期に比べ、リベート収入が減少したモバイルショップビジネスグループは同20.1%減少したほか、販売費や人件費が増加した総合環境コンサルティングビジネスグループは23百万円のセグメント損失(前年同期は10百万円の利益)となった。また、IT教育サービス事業関連の子会社の好調によりその他事業グループは同200.8%増加した。高収益事業であるアイコンサービスの拡大などにより売上総利益率は、前年同期比0.1ポイント上昇し28.9%となった。人員増による人件費の増加等があったものの、その他の経費の抑制に努めたことにより、販管費の伸び率が同16.1%増にとどまったことから、売上高対営業利益率は3.3%と同0.3ポイント改善した。その他、持分法による投資損失36百万円の計上などがあったものの経常利益は同28.0%の増益となった。一方、税金費用の増加などにより親会社株主に帰属する四半期純利益は同10.1%の減益となった。

15/6月の総資産は前期末比30億58百万円減の162億93百万円。資産は、現預金及び売上債権が主な減少要因。負債純資産は、仕入債務や未払金に加え、自己株式の取得や配当の支払いによる株主資本が主な減少要因。15/6月末の自己資本比率は37.0%と前期末から0.8ポイント上昇。また、15/6月末の有利子負債(リース債務含まず)は5億93百万円と前期末から3億34百万円増加した。

(3)株式分割の実施

同社は、15年6月30日開催の取締役会で株式分割を決議した。これは、一単元(100株)当たりの投資金額を引下げ、株式の流動性向上及び投資家層の拡大(株主数の増加)を図ることを目的としたものである。
基準日である15年8月31日(月曜日)の最終の株主名簿に記録された株主の所有する普通株式1株につき2株の割合をもって分割。効力発生日は15年9月1日(火曜日)。自己株式を含む発行済株式総数は、株式分割前の13,866,311株から株式分割後に27,732,622株となる。なお、今回の株式分割に際して、資本金の増加はない。

2016年3月期業績予想
前期比4.3%の増収、同15.5%の経常増益予想

16/3期の会社計画は、売上高が前期比4.3%増の470億円、経常利益が同15.5%増の21億円の期初予想から変更なし。売上高は6期連続の増収、経常利益と営業利益は8期連続の増益を目指す。同社では、国内景気の緩やかな回復が続く中、同社グループの事業領域である情報通信・総合環境・企業内教育などの分野においても積極的な投資活動が継続するものと想定している。こうした状況下、同社は企業経営を支援する次世代経営コンサルタント集団として、IP統合商品の更なる普及促進、ビッグデータ活用による新サービスの創出、スマートフォンに代表される情報通信の利活用促進、太陽光発電などの総合環境コンサルティング・IT技術者向けを中心とした教育サービスの提案、東南アジア諸国への進出支援などに積極的に取り組む方針。
売上面は、アイコンサービスなどの経営コンサルティング分野が拡大するフォーバルビジネスグループの増加に加え、保険関連の子会社やネット系サービスが拡大するフォーバルテレコムビジネスグループの増加に加え、(株)アップルツリーの事業強化による総合環境コンサルティングビジネスグループの増加を見込んでいる。
利益面は、主としてフォーバルビジネスグループ、フォーバルテレコムビジネスグループの増収効果と売上構成比の変化による収益性の改善を見込んでいる。営業利益は21億円と同9.3%の増益。売上高営業利益率は4.5%で、前期比0.2ポイント高まる計画。
また、経常利益は同15.5%増益と持分法による投資損失の減少により営業利益に比べ増益率が高まる一方、当期純利益は税金費用が増加するため同0.7%増益と各利益指標と比較し増益率が低下する計画。
配当も前期と同額の1株当たり年間13.75円の計画を据え置き(15年9月1日を効力発生日とする普通株式1株を2株の株式分割後)。

今後の注目点
同社の16/3期第1四半期決算を振り返ると、全セグメントの売上が増加する好決算となった。売上のみならず売上総利益率の向上と売上高対販管費率の低下を達成している点極めて評価できる。引き続き収益性の改善に取り組むマネジメントの強い意志が確認できる内容であったと言えよう。また、セグメント別の動向をみるとフォーバルビジネスグループのセグメント利益の増加が顕著となっている。これは、高収益事業であるアイコンサービスやよろず経営相談件数の増加から生まれる各種の経営コンサルの拡大が加速してきている表れと推測される。こうした中で不安材料を探すとすれば、リベート収入の減少によりモバイルショップビジネスグループが前年同期比で減益となったこと、販売費や人件費の増加により総合環境コンサルティングビジネスグループがセグメント損失になったことがあげられる。モバイルショップビジネスグループは一時的な要因であり、総合環境コンサルティングビジネスグループは先行投資による影響と判断されるものの、今後のチェックが必要である。好調な売上が続く環境下、今後の動向が注目される。
また、2016年1月のマイナンバー制度の導入が近付くに伴い、マイナンバー制度に関連する同社への相談がより一層増加してくることが予想される。マイナンバー制度に関連する相談件数の急増は、今後の既存顧客との取引深耕や新規顧客の獲得というビジネスチャンスを秘めている。中小企業のマイナンバー制度の導入が、いかに同社の業績拡大に結びついていくのかにも引き続き注目していきたい。
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