(4282:東証1部) EPSホールディングス 2015年9月期第3四半期業績レポート

2015/09/16

epshd

今回のポイント
・15/9期3Q(累計)は前年同期比8.2%の増収、同24.5%の経常増益。国内CRO事業と国内CSO事業の売上が期初計画を上回る等、国内SMO事業を除く全てのセグメントで売上が増加。利益面では、国内CRO事業におけるデータマネジメント業務の収益性改善が想定以上に進む中、体制整備が進みつつある国内CSO事業の利益が同74.3%増と伸長。海外事業の損失も減少した。

・通期業績予想に変更はなく、前期比5.6%の増収、同2.0%の経常増益。国内3事業で増収・増益が見込まれ、海外事業も売上高が増え、損失が減少する見込み。ただ、持株会社体制への移行費用や事業再編費用(貸倒引当金6億円)等で例年に比べて営業費用が7~10億円増加するため営業利益は同3.0%の増加にとどまる。配当は1株当たり10円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年18円。14年4月の1:100の株式分割を考慮すると前期と同額)。

・主力の国内CRO事業は、人材リソースの確保と言う課題はあるものの、赤字案件の整理が進んだデータマネジメント業務の収益性及び受注の回復が顕著であり、13年10月に子会社2社が合併して再スタートを切った国内CSO事業は合併後のマネジメントが軌道に乗ってきた。また、国内SMO事業も、高難易度案件への対応が進んでいる。会社設立25周年を迎える16/9期は売上高475億円(今期予想比7.7%の増収)、営業利益55億円(同18.9%の増益)を計画しており、計画達成に向け足元順調と考える。

会社概要

「価値あるソリューションの創出を通じて、健康産業の発展に貢献します」を企業理念に掲げ、医薬品や医療機器等の開発に関わる業務を様々な角度からサポートしている。国内で展開する、CRO(Contract Research Organization:臨床試験に関連して製薬会社を支援)、SMO(Site Management Organization:臨床試験に関連して医療機関を支援)、及びCSO(MR派遣)の3事業を収益基盤に、医薬品メーカーのグローバル治験(治験:新薬開発のための臨床試験)に対応するべくGlobal Research(グローバル・リサーチ)事業を育成中。また、日中のヘルスケア産業の懸け橋としての機能を担う益新事業の育成にも取り組んでいる。

【持株会社体制への移行と中期目標】

「各事業セグメントの自立・自律経営体制の確立」、「管理事務機能の効率化・見える化(EPBizのシェアードサービスの推進)」、「新たな成長機会の追求」、及び「次世代経営人材の育成」の4点を目的に2015年1月1日付けで持株会社体制へ移行した。社名の由来でもある「日々新たに、また日に新たなり(Ever Progressing System)」を組織理念として事業運営に取り組んでいる。

事業セグメントは、CRO(医薬品開発業務受託機関)事業、SMO(治療施設支援機関)事業、CSO(医薬品販売業務受託機関)事業の国内3事業と、海外の臨床試験に関わるGlobal Research事業及び「日中のヘルスケア産業の懸け橋」と位置付ける益新事業の海外2事業に分かれ、この他、(株)イーピービズがグループ企業に対してシェアードサービスを提供する事で、グループ全体の管理事機能の効率化・見える化も進めていく(事業セグメントと主要グループ会社については次項参照)。

(1)中期経営戦略

3年後に目指す姿として、“日本国内における持続的成長可能な事業基盤の確立”、“日本発のアジア・グローバルCROへ”、“日本と中国、東南アジアを繋ぐヘルスケア専門商社へ” の3項目を挙げており、経費削減による収益力の強化を含めてビジネスモデルを再構築してく考え。この方針の下、事業セグメント別の経営戦略テーマを次のように定めている。

事業セグメント別中期経営戦略のテーマ

国内CRO事業     :確固たる業界 “No.1”へ
国内SMO事業     :確固たる業界 “No.1”へ
国内CSO事業     :独自性を持ったリーディングカンパニーへ
Global Research事業 :日本発のアジア・グローバルCROへ
益新事業      :日本と中国、東南アジアを繋ぐヘルスケア専門商社へ
グループ全体    :グループ経営の確立、管理部門の効率化

15/9期は売上高441億20百万円(前期比5.6%増)、営業利益46億25百万円(同3.0%増)。パススルー案件(外注活用案件。14/9期は売上ベースで10億円程度あった)の減少を見込む国内CRO事業の売上が前期比2.7%の増加にとどまる事に加え、受注を抑制して利益重視の姿勢で臨むGlobal Research事業の売上も同1.6%にとどまる見込み。一方、国内SMO事業及び国内CSO事業は潜在成長力に見合った売上の伸びを予想しており、益新事業も、益新(中国)有限公司が子会社を通して展開する画像処理関連の医療機器販売が増加する他、EPS益新(株)が手掛ける非臨床基礎研究用資材の商社事業も寄与してくる。
利益面では、持株会社体制への移行費用や事業再編コスト等が負担となり営業利益の伸びが同3.0%にとどまる。

16/9期以降は、市場の成長を取り込み、国内3事業の売上が順調に拡大。また、海外事業も、Global Research事業が売上拡大に向けて攻めの経営に転じる他、益新事業においては、医療機器販売や非臨床基礎研究用資材の拡大に加え、現在、立ち上げ中の医療機器製造の軌道化で、製造と販売の一体化効果も顕在化してくる見込み。
利益面では、再編の一巡とグループシナジーの発揮により収益性の改善が進む。

2015年9月期第3四半期決算
前年同期比8.2%の増収、同24.5%の経常増益

売上高は前年同期比8.2%増の326億52百万円。国内CRO事業と国内CSO事業の売上が期初計画を上回る等、国内SMO事業を除く全てのセグメントで売上が増加。国内SMO事業も、下期に入っての回復で上期の落ち込みをほぼカバーした。
利益面では、国内CRO事業におけるデータマネジメント業務の収益性改善が想定以上に進む中、医薬向けコールセンター部門、PMS(市販後調査)部門の両部門で体制整備が進みつつある国内CSO事業の利益が同74.3%増と伸長。海外事業(Global Research事業及び益新事業)の損失も減少した。

国内CRO事業

売上高181億57百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益41億18百万円(今期の営業費用には持株会社にかかる費用が賦課されていないが、前年同期の営業利益には持株会社に相当する費用が含まれている)。売上面では、各案件が順調に進捗したデータマネジメント業務が伸びる中、派遣型CROの売上が増加した他、モニタリング業務も前年同期と同水準の売上を確保した。一方。利益面では、低採算プロジェクトの整理が進んだデータマネジメント業務の収益性が大きく改善。前期に株式を取得した(株)EPSアソシエイトは売上高、営業利益共に予定を超過して推移している。受注は、データマネジメント業務をけん引役に202億06百万円と同2.5%増加。第3四半期末の受注残は366億18百万円と前年同期末比4.6%増加した。

国内SMO事業

売上高47億86百万円(前年同期比0.4%減)、営業利益4億78百万円(同35.3%減)。売上高がわずかに前年同期を下回ったものの、四半期ベースでは改善基調にあり、第3四半期は前年同期比増収。利益面では、採用の強化、新規出店、更には本社移転等による先行投資的な人件費や経費の増加が負担になった。一方、受注は同23.6%増の54億77百万円と順調。第3四半期末の受注残は87億50百万円と前年同期末比17.9%増加した。

国内CSO事業

売上高50億65百万円(同16.4%増)、営業利益2億94百万円(同74.3%増)。医薬向けコールセンター部門において採用機能の強化や拠点整備等の成果が現れ売上が増加。PMS(市販後調査)部門も、人件費の変動費化や業務効率向上のための標準化等、事業再構築の成果で利益率が改善した。受注高59億59百万円(同32.5%増)、受注残高56億85百万円(前年同期末比31.8%増)。

Global Research 事業

売上高17億16百万円(同17.3%増)、営業損失2億01百万円(前年同期は損失2億91百万円)。前期までに受注した日本・アジアでの大型案件の売上計上に加え、従来から実施中のプロジェクトも順調に進捗した事で売上が増加。売上の増加と継続的なコスト削減の成果で営業損失が減少した。受注高32億76百万円(同157.9%増)、受注残高55億27百万円(前年同期末比84.9%増)。

益新事業

売上高29億44百万円(前年同期比19.3%増)、営業損失1億63百万円(前年同期は損失1億88百万円)。当事業は、医療機器事業、医薬品事業、周辺サポート事業の3つの事業で構成されており、この第3四半期累計期間は、医療機器事業において益通(蘇州)医療技術有限公司が扱うデジタルレントゲン検査機や画像フィルムなどの医療機器の販売をけん引役に売上が増加し、損失が減少した。当事業は納期が短いため、受注と売上がほぼ等しくなる。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて33億22百万円増の380億12百万円。受注・売上の増加に伴い有価証券の現金化や短期借入金の積み増しで資金需要に対応した。流動比率276.4%(前期末268.7%)、固定比率45.6%(同53.6%)、自己資本比率59.1%(同54.5%)。

CF面では、営業CFは四半期純利益の増加が398百万円あったものの賞与引当金の減少669百万円、棚卸資産の増加548百万円により3,051百万円から2,136百万円へと30%の減少、投資CFは事業拡大に向けた固定資産による取得や出資金により、1,095百万円の支出(前年同期は2,887百万円の支出)、財務CFは長短期借入金が増加する一方で配当金の支払い723百万円等により1,100百万円の支出となった。
なお、当第3四半期は利益の増加に伴い1,041百万円のFCFを確保した。

2015年9月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比5.6%の増収、同2.0%の経常増益

CRO事業、SMO事業、及びCSO事業の国内3事業で増収・増益が見込まれ、海外事業も、医療機器販売事業の拡大や前期に期ずれした開発権のライセンスアウトで益新事業の損益均衡が均衡する他、受注を抑制して利益重視(赤字削減)で臨むGlobal Research事業の損失も大幅に減少する見込み。ただ、持株会社体制への移行(2015年1月1日付け)に伴う費用や事業再編費用(貸倒引当金等で6億円程度見込む)等の一時的な費用が7~10億円が織り込まれているため、営業利益は46億25百万円と3.0%の増加にとどまる見込み。

配当は、1株当たり期末10円を予定しており、上期末配当と合わせて年18円となる(14年4月の1:100の株式分割を考慮すると前期と同額)。同社は安定的な配当性向の継続(配当性向30%以上)を利益還元の方針としている。

今後の注目点
主力の国内CRO事業は、人材リソースの確保と言う課題はあるものの、赤字案件の整理が進んだデータマネジメント業務の収益性が改善しており受注も回復傾向。13年10月に子会社2社が合併して再スタートを切った国内CSO事業は合併後のマネジメントが軌道に乗ってきた。また、今期は症例登録期間が2~3年に及ぶ高難易度案件の増加で第1四半期・第2四半期と苦戦した国内SMO事業も、足元では高難易度案件への対応が進んでいる。一方、海外事業は、Global Research事業が体制整備の途上にあるものの、益新事業は収益基盤の確立と事業ポートフォリオの整備が進んでいる。
会社設立25周年を迎える来16/9期の計画は売上高475億円(今期予想比7.7%の増収)、営業利益55億円(同18.9%の増益)。計画達成に向け、足元順調と考える。
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