(2428:東証1部) ウェルネット 2015年6月期業績レポート

2015/09/16

wellnet

今回のポイント
・15年6月期の売上高は前期比16.9%増収の88億円。引き続きマルチペイメントサービスが牽引した。従来は原価と販管費に分けていたデータセンターに関するコストを、今期より全額原価に計上することとしたのに加え、利益率の高いPINの売上が低下したため、粗利率は3.1ポイント低下したが、販管費が同0.7%減少したため、営業利益は同11.1%増加の16億円となった。期初計画に対しては、経常利益を除き上回った。・中期経営3か年計画の最終年に当たる16年6月期の売上は、前期比8.0%増の96億円の予想。主力サービスであるマルチペイメントサービスは、主力顧客を中心に引き続き堅調な成長を見込む。営業利益は同22.1%増の20億円を計画。やや高めの数値ではあるが、瞬発力を試し、チャレンジする。配当方針に従い、純利益12億60百万円全額を株主に還元する予定。配当性向を50%とし、1株当たり配当は前期比16円増配の66円へ。残額全てを自己株式の取得および消却に充当する。

・今期、20億円という営業利益の達成はややハードルが高いようだが、宮澤社長は現在の自社の実力を見極めるためにも少々背伸びをした目標でもチャレンジすると説明していた。「バスもり!」が収益に貢献するのはもう少し先となるだろうから、既存事業での売上増と収益性の向上が目標達成のための主要施策となる。EC化の進展で今期も好調な推移が予想されるマルチペイメントサービスでどれだけ上積みが行えるのか?を注目したい。中期的には、決済、認証それぞれに豊富な実績とノウハウを蓄積している同社として、「電子決済をビジネスの中心に据え、認証など周辺分野をサービスとして提供する事で他社との差別化を図る」という戦略がどう具体化していくのかを注目したい。

会社概要

消費者が商品やサービスを購入した際の電子決済スキームを販売事業者に提供。
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、商品やサービスを購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」を提供することを基本コンセプトに事業を展開。
主力サービスであるマルチペイメントサービスは、国内大手航空会社、大手高速バス会社、大手通販会社等豊富な導入実績を誇る。創業以来、常にチャレンジを続ける企業DNAも大きな特徴。

【沿革】

北海道のガス、燃料販売会社の(株)一高たかはしの、新規事業開発をミッションとした子会社として誕生。
当時すでにコンビニエンスストアの店頭での公共料金の支払い取り扱いは始まっていたが、これが通信販売に拡大するとの動きを捉えて事業化に着手した。
請求書の印刷・発送から収納情報の処理まで一貫運用する「請求書発行代行サービス」、コンビニエンスストアの店頭で24時間365日支払が可能な「コンビニ収納代行サービス」を開発。販売事業者にとって多額の開発コスト不要なパッケージソフトを無償で配布したことにより、同社システムは急速に普及した。
続いて、紙の請求書を使用せずリアルタイムで電子請求・電子決済を同社1社との接続で実現できる、現在の中心システムを開発。利便性及び様々な収納機関と接続するための開発や契約が不要な点が評価され、航空会社、バス会社等による導入が進み、業績は順調に拡大。2004年JASDAQに上場した。
その後も、Amazon、ヤフーショッピング、楽天オークション、LCC(格安航空会社)といった大手企業への「マルチペイメントサービス」提供が進んでいる他、数多くの実績を誇るケータイチケットサービスの提供等、近年急速に進んでいる電子チケットサービスにも注力している。

【市場環境】

経済産業省の「平成26年度我が国情報経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2015年5月29日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(B to C)の市場規模は2014年で12.8兆円と前年に比べ14.6%の増加となった。2010年から2014年までのCAGR(年平均成長率)は13.2%となっている。

また、EC化率(商取引のうちどの程度がインターネットを通じて行われているか)は物販系分野4.37%とまだまだ小さいものの、2013年の上のグラフの様に着実に上昇している。

【事業内容】

「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、サービスや商品を購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、同社の直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする快適な「直売プラットフォーム」を提供している。

提供するサービスは①マルチペイメントサービス、②オンラインビジネスサービス、③電子認証サービスの3サービスから成る。

(1)マルチペイメントサービス
「売上高8,442百万円、売上構成比95.0%(2015年6月期実績)」

必要なソフトウェアは同社が無償で提供するため、顧客である販売事業者はシステム開発に係る経費と時間を大幅に軽減できる。
同社の受取手数料(売上高)は、初期設定料、月額基本料金、1決済毎の手数料などで構成されている。また手数料は固定制と従量制で構成されているため、事業者の初期投資を低減させている。

①E-Billing(電子決済)サービス

Billingサービスとは異なり、決済に必要な請求書の作成及び郵送を行うことなく、ウェルネットサーバとコンビニエンスストアに設置されているKIOSK端末、POSレジ、ATMでの現金決済や、ネットバンキング、クレジットカード、電子マネー等を利用して決済を行うサービス。

<各利用方法>

◎KIOSK端末の場合
消費者がインターネット等で注文や予約をし、その際に示された決済番号を端末に入力すると、注文内容が画面表示される。その内容が正しければ「確認」ボタンを押すと、バーコード付受付票が出力されるので、その後その受付票を持ってレジで代金を支払う。
◎POSレジ&ATMの場合
レジで店員に「オンライン決済」と告げるとPOSレジのタッチパネルにテンキーが表示される。そこに消費者が決済番号を入力すると、画面に注文内容が表示される。内容が正しければ「確認」ボタンを押して代金を支払う。ATMの場合もほぼ同様の画面操作を行い、現金またはキャッシュカードで代金を支払う。

<メリット&特徴>
請求書や払込票を作成、送付する手間とコストを掛けること無く、リアルタイムの電子請求・電子決済を同社1社との接続によりワンストップで実現できる。
販売事業者は様々な収納機関(コンビニ、銀行、郵便局等)と接続するための開発や契約を個別に行う必要がなく、同社との契約のみでさまざまな決済手段を消費者に提供できる。
情報授受用モジュールは同社が無償提供。
最新の決済システムの開発や対応は同社が行うので、都度のシステム開発が不要。
延滞金や追加購入した場合等、収納内容(金額)に変更があった場合でも、同社の特徴である「リアルタイム」での対応により最新の金額による決済が可能。
2000年5月にサービス提供が開始されたこのサービスは、後述のように国内主要航空会社、主要高速バス会社、電力会社、大手通信販売会社等で利用され豊富な実績を誇っている。
②Billing(コンビニ収納代行・請求書発行代行)サービス

A:コンビニ収納代行サービス
同社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと同社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービス。
コンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票付請求書は、同社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」を使用することで、販売事業者自身が自ら簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込も「コンペイ君」で行うことができる。
収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化される。
現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用されている。

<メリット&特徴>
全国のコンビニエンスストア(16チェーン。2014年12月時点)で24時間365日支払可能なので、郵便局・銀行の営業時間を気にする必要が無い。
パッケージソフトウェア「コンペイ君」を無償で提供するため、販売事業者はわずかな期間で運用開始可能。
自社で払込取扱票を印字でき、収納データもバーコードの数字だけなので顧客情報漏洩の心配が無い。

B:請求書発行代行サービス
同社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書)の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込まで、トータルに請求書発行・収納業務をサポートする。
特に物流を伴わないサービス等(ガス料金、各種会費)の代金収納に利用されている。
また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」)も提供している。

③ネットDE受取(送金)サービス

キャンセルに伴う返金など、販売事業者から消費者への振込を、インターネットを利用して、より効率的に行うサービス。
消費者は販売事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力する。

<メリット&特徴>
消費者が入力した情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われるため、販売事業者自らが口座確認を行う必要が無く、事務負担が軽減される。
返金処理の当日対応が可能なため、販売事業者にとっては顧客満足度向上につながる。
販売事業者は返金システムの開発が不要。
口座情報を保持する必要もないため、個人情報保護に関するリスクを低減できる。
④コンビニ現金受取(送金)サービス

「ネットDE受取サービス」同様、販売事業者から消費者へキャンセルに伴う返金などを行うサービスだが、「ネットDE受取サービス」と異なり、銀行口座が不要。
ローソンの店頭KIOSK端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とIDを入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。

<メリット&特徴>
販売事業者は消費者の口座情報を持つリスクを回避できる。
郵便振替や銀行振込の手数料が発生しないことから、コスト削減が可能。
口座情報の誤りによる差し戻しなども発生せず、スムーズに返金を受け取ることができる。
⑤その他サービス

マルチペイメントサービスを特定の販売事業者向けにカスタマイズし、運用まで含めたサービス提供を行っている。

(2)オンラインビジネスサービス
「売上高400百万円、売上構成比4.7%(2015年6月期実績)」
①PINオンライン販売サービス

コンビニの店舗に設置されているPOSレジ・KIOSK端末と同社サーバー間のネットワークを利用し、携帯電話・国際電話・電子マネーなどのプリペイドカードをオンラインで販売するサービス。

②プリペイド方式のギフトカード販売サービス

コンビニの店舗に設置されているギフトカードモールで取り扱う、POSレジでPINをアクティベートすることで使用可能になるゲームや音楽購入用のギフトカード販売サービス。

<メリット&特徴>
オンライン販売により、従来のようにあらかじめカード形式のプリペイドカードを仕入れる必要がない。
販売時点の仕入となるため、キャッシュ・フローを大きく改善させると同時に欠品がなくなる。
取り扱うカードの増加、変更などが容易となるなど、オンラインシステムならではのメリット多数。
③各種申込サービス

コンビニに設置されているKIOSK端末を利用し、漢字検定、英語検定といった検定試験や大学受験、模擬試験などの各種申込を行うことができ、決済までをあわせてワンストップで行うことができるサービス。

(3)電子認証サービス
「売上高45百万円、売上構成比0.5%(2015年6月期実績)」
①電子チケットサービス

スマートフォンや携帯電話の画面に表示される二次元コードをチケットなどに利用できるシステム。
マルチペイメントサービスと一緒に利用すると、申込~決済~チケット受取の全てをスマートフォンや携帯電話、PCで完結できる。
消費者がインターネットでチケット等を予約しマルチペイメントサービスで決済を済ませると携帯電話にメールが配信される。メールに記載されたURLにアクセスすると、二次元コードのチケット画面を取得でき、取得した二次元コードをコードリーダーにかざすことで入場認証を行う。

<メリット&特徴>
紙のチケット・クーポン・会員証の製作及び送付が不要。
受付からチケット発行までがオンラインで処理できるため開催まで間際まで販売できる。
ペーパーレスなので環境に優しい。
入場記録が残るのでマーケティングデータとしての利用が容易。

同社では、航空券用QRコードを日本で初めて実用化。以降、スポーツ観戦等の大規模入場認証システムに豊富な実績がある。

②「SUPER SUB」サービス

チケット発行・決済・認証をワンストップで提供するオンラインチケットソリューション。
個別開発やサーバーのつなぎ込といった複雑なステップが不要なため、企業のみならず一般個人も主催者登録が可能。
航空会社、バス会社といった既存の大口事業者に加え、低コストで効率的に利用事業者数を増大させることを狙い、2012年6月に提供を開始した。

<メリット&特徴>
イベント等の主催者は、開催期間、会場、チケット単価など基本的情報を同社が提供する登録画面に入力するだけで、簡単にイベント受付、チケット受付・販売ページを作成することができる。(現在はPCサイトのみ)
同画面のリンクを自分のイベントページに設置するだけでチケット販売を開始できる。
参加申込者はPC、スマートフォン、携帯電話からチケットを購入できる。
チケット種類は電子チケット、コンビニで発券する紙チケット双方が利用でき、発券されたチケットにはQRコードが付き、専用のアプリで入場認証を行う。確実に認証でき、スムーズなイベント運営をサポートする。紙チケットだけを利用することもでき、その場合認証アプリは不要。
マルチペイメントサービス同様、豊富な決済手段を提供している。
申込から導入、チケット発売までおおよそ3週間程度と短期間で稼動させることができる。
初期費用、月額基本料は無料。コストはチケット発行手数料の5%のみで、運用コストは格安。

常設施設の入場券のみならず、期間限定イベント、ライブ、講演会・セミナー、地域イベント、有料パーティー、同窓会など、10~5,000人規模のイベントに適している。

同社のROEは市場平均を上回っている。レバレッジが2倍を上回っており(自己資本比率は前期38.2%)、これが要因と見られるかもしれないが、同社の場合、収納代行預り金が現預金と流動負債に両建で計上されているためであり、これを考慮すると財務は極めて安定しており、高ROEの主要因はその高い売上高純利益率である。

【特徴と強み】
①豊富な導入実績&強固な顧客基盤

同社のマルチペイメントサービスは、導入時の開発費および収納機関との個別契約が不要というハードルの低さが評価され、下記の様に業界を代表するリーディングカンパニーに導入されている。
特にリアルタイム性が求められる航空会社、バス会社からの評価の高さは同社にとって大きな財産となっている。
この強固な顧客基盤は同社を支える重要な「見えざる資産」と評価できるだろう。

②常にチャレンジを続ける企業DNA

E-Billingサービス、Billingサービス、各種送金サービス、ケータイチケットサービスなど、同社の開発した様々なシステムはほぼ全てが日本で初めて実用化されたものとなっており、加えて同システムの優秀さは、上記実績が証明している。
同社は大企業の系列であるわけではなく、ヒト・モノ・カネといった経営資源が決して豊富な状態でスタートした訳ではない。
にもかかわらず電子決済の分野で「デファクトスタンダード」とも言える地位を確立することができた大きな要因の一つには、同社が創業時から生まれ持つ、「常にチャレンジを続ける」という企業DNAがあるのだろう。
宮澤社長は、ビジネスの意味、醍醐味を「自分の可能性を信じ続け、自分があったら便利だなと思う仕組みを自らリスクをとって開発し、すぐに提供できる具体的な形として提供する事」と考えている。
また、インタビューの中でも、「自社でなければできないものを世の中に送り出す事こそが同社の存在意義であり、それが無ければ企業として存在する意味が無い」と述べていた。

社員数は80名弱と小さな所帯ではあるが、後述する「ウェルネットアレテー」に代表される理念、心得をしっかりと掲げていることも企業DNA継承のカギとなっていると思われる。

2015年6月期決算概要
マルチペイメントサービスが牽引し、増収・増益。計画も上回る。

売上高は前期比16.9%増収の88億円。EC市場の拡大に支えられ、引き続きマルチペイメントサービスが牽引した。
従来は原価と販管費に分けていたデータセンターに関するコストを、当期より全額原価に計上することとしたのに加え、オンラインビジネスサービスにおいて利益率の高いPINの売上が低下したため、粗利率は3.1ポイント低下したが、販管費が同0.7%減少したため、営業利益は同11.1%増加の16億円となった。期初計画に対しては、経常利益を除き、売上、利益ともに上回った。

<マルチペイメントサービス>

EC市場の拡大に支えられ、特に C to C市場の急激な伸びもあり堅調だった。
同社の主要顧客である路線バス会社、大手およびLCCの航空各社に加え、非対面決済の導入を進めているフェリー各社へのサービス提供も好調だった。
また、大学入試のWEB化による市場拡大も寄与した。WEB化を行っている大学の75%が同社システムを利用している。

<オンラインビジネスサービス>

プリペイド型のPINオンライン(SNSやオンラインゲーム用電子マネー)の販売は減少した。
一方POSでPINをアクティベートする(コンビニなどのレジで金額をチャージする)ギフトカードの新サービスは順調だった。

<電子認証サービス>

開発に注力してきたバスIT化プロジェクト「バスもり!®」の提供を開始した。

現預金、売上債権の減少により流動資産は前期末に比べ13億円の減少。現預金には流動負債に計上されている回収代行業務に係る収納代行預り金(翌月には事業者へ送金される。)87億円が含まれている。収納代行預り金は同17億円の減少。
固定資産は同3億円減少し、総資産は同16億円減少の196億円となった。
一方負債面では、収納代行預り金の減少などで流動負債が同17億円減少し、負債合計も同17億円減少した。
純資産は若干の増加。
この結果、自己資本比率は前期末の38.2%から3.4%上昇し41.6%となった。
(ただし、上記収納代行預り金を資産、負債から控除して計算すると、前期末74.7%、当期末74.8%となる。)

収納代行預り金の減少などで営業CFはマイナスに転じた。定期預金の払戻などで投資CFのマイナス幅は縮小したが、フリーCFはマイナスに転じた。配当金支払額の増加などで財務CFのマイナス幅化拡大した。
キャッシュポジションは低下した。

(4)トピックス
①京浜急行バスのチケット予約・支払・発券がコンビニエンスストアで可能に

2015年3月23日より、京浜急行バス株式会社と連携し、コンビニエンスストアにおける、京急リムジンバスおよび京急高速バスチケットの予約・支払・発券サービスを開始した。

【サービスの概要】
京急リムジンバス、および京急高速バスチケット購入に際し、従来は、京浜急行バスの予約サイト、または電話予約で申し込む必要があったが、今回のサービス導入に伴い、パソコンや電話がなくても、コンビニエンスストアのKIOSK端末において、予約から支払、チケットの発券までができるようになった。
現時点で利用可能なコンビニエンスストアはローソン、ミニストップ、サークルKサンクスの3つ。

②「ヤフオク!」での商品落札代金の支払にコンビニエンスストア支払が利用可能に

2015年6月3日より、ヤフー株式会社と連携し日本最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」での商品落札代金の支払に「マルチペイメントサービス」の、コンビニエンスストア支払サービスを開始した。

【サービスの概要】
「マルチペイメントサービス」は紙の請求書を使わず、また金融機関や代行業者との個別契約を必要としない電子請求・電子決済サービス。
今回の「マルチペイメントサービス」導入に伴い、 「ヤフオク!」 での決済手段として、インターネットバンキング口座やクレジットカードを利用して、24時間365日、簡単に落札代金を支払うことができる「Yahoo!かんたん決済」の決済方法の一つとして、全国のコンビニエンスストアでも支払ができるようになった。
決済機能にコンビニ決済が追加されたため、出品者と落札者双方の利便性が向上するものと思われる。

【支払の流れ】
落札者は「ヤフオク!」で、購入を希望する商品の選択、入札・落札したのち、支払手段として「Yahoo!かんたん決済」を利用することで、全国のコンビニエンスストアにおいて、落札代金の支払が可能となる。
現時点で利用可能なコンビニエンスストアは、ローソン、ファミリーマート、サークルK、サンクス、ミニストップ、デイリーヤマザキ、スリーエフ、セイコーマート。

③道内4高専を対象とした「1億円奨学金」をスタート

北海道内4校の国立高等専門学校、公益財団法人北海道新聞社会福祉振興基金とともに、同社が拠出する1億円を活用して道内高専生を対象とする新たな奨学金制度「道新みらい君・ウェルネット奨学金」を創設することで合意し、協定書を締結した。
高専生向けの奨学金としては過去最大級で、経済面で苦労する学生を長く支援することを目指す。

2014年12月に東証1部に上場した同社は、この機会に「企業市民」として、地元・北海道に恩返しをするため、北海道経済活性化に貢献できる方法を探ってきたが、高専生の採用を通じて、高専生の中には経済的な事情から、家計が苦しく学費を納められなくなったり、学費・生活費を稼ぐためアルバイトに明け暮れざるをえず、結果として学業がおろそかとなり留年さらには退学に追い込まれる学生が多くいることを知った。
そこで、「これらの学生を経済的に支援し、心置きなく勉学に励んでもらう環境づくりを支援する基金を設立したい」と考え、道内高専4校から賛同を得て、基金運用について長い実績とノウハウを持つ北海道新聞社会福祉振興基金に協力を仰ぎ、奨学金制度実現に至った。

学生への送金には、同社が三井住友銀行と共同開発した「ネットDE受取サービス」を使用する。

【名称】道新みらい君・ウェルネット奨学金
【対象】道内4高専(函館、苫小牧、釧路、旭川)在校生
【基金】1億円
【選考方法】学生からの申請に基づき高専教員らでつくる選考委員会が審査、学校長が道新社会福祉振興 基金に推薦、同基金評議員会が審査・決定する。
【支援内容】
①緊急支援:保護者の急逝などで学費が支払えなくなった場合、必要額を支援する
②通常支援:学生の経済状況に応じて年間授業料や生活補助金を適宜支給する

2016年6月期通期業績見通し
増収・増益を計画。今期も純利益12億円を100%株主に還元。

中期経営3か年計画の最終年に当たる今期の売上は、前期比8.0%増の96億円の予想。主力サービスであるマルチペイメントサービスは、航空会社、バス会社等主力顧客を中心に引き続き堅調な成長を見込んでいる。
営業利益は同22.2%増の20億円を計画。やや高めの数値ではあるが、瞬発力を試し、チャレンジする。
中期経営3か年計画の配当方針に従い、純利益12億60百万円全額を株主に還元する予定。
配当性向を50%とし、1株当たり配当は前期比16円増配の66円へ。残額全てを自己株式の取得および消却に充当する。

(3)中期経営3か年計画の中間報告
①バスIT化プロジェクト「バスもり!」

同計画の最大のポイントである「バスIT化プロジェクト」は、前回のレポートで紹介した通り、「バスもり!」としてリリースされ、第1弾として、京王電鉄バス株式会社、アルピコ交通株式会社が共同運行している、中央高速バス新宿-松本線に2014年12月19日より導入された。
現在は利用者拡大を目指し、長野県内でのCM放送(2015年7月13日~26日)、長野・奈良でのラッピングバス走行などエリアプロモーションを展開している。「バスもり!ナビ」のダウンロード数は2015年8月9日時点で6,431と5月15日時点の1,321から大きく増加している。

②データセンター移転

収益性の向上を目指す「カイゼン」における主要テーマの1つである、システム安定運用/コストパフォーマンスの向上のためのデータセンターの移転は2015年6月に完了した。

③成長シナリオ達成に向けた体制・ガバナンス構築

事業開発とカイゼンを社長直轄として強力かつスピーディーに推進しているほか、若手社員の積極登用と必要人材の社外からの調達、目標達成型ストックオプション導入などを実施した。

宮澤社長に聞く

宮澤一洋社長に「バスもり!の今後の展開」、「次期中計の考え方」等について伺った。

<バスもり!について>
バスという交通手段は地域の重要な交通手段として決して無くなるものではなく、社会的な意義も大きい。息の長いビジネスになると考えている。
当社のアドバンテージは、100社以上のバス会社との関係の強固さ。紙による発券から電子チケットへのIT化を変動費化して進めることが出来るため、バス会社にとっての導入メリットは大きい。
特に、都市間高速バスは別にして、大都市部以外の路線バス会社には経営状況が厳しいところが多く、このIT化によるサポートは地方活性化にもつながる。まず都市間高速バスでの実績を積み上げ、路線バス市場での展開を目指す。
バスに限らず、様々なマーケットでITを活用して利便性の向上と企業収益拡大のサポートを通じ、より社会的存在意義の大きい企業となることをこれからも目指していく。
<次の中期経営計画>
現在議論を始めているところだが、ポイントは以下の2つとなるだろう。
1つは、「次世代収益源の育成」。常に新しいものを作り出す当社のDNAを植え付け続ける。そうした人材をどれだけ育てられるかが重要なポイントだ。
2つ目は「既存事業のシェイプアップ」。原価構成の可視化、数値化をスタートさせた。これにより、定期的なチェックが可能となるため、社員一人一人が認識して対応する事により収益性を維持・向上させることが出来る。
道内4高専への奨学金制度構築は優秀な人材確保のための大きな一歩となる。3~5年で戦力とすべく教育を行う。また、今後は道内に限らず全国の高専にもアプローチしていきたいと考えている。
同制度の反響は想定以上のものがあり、地域という重要なステークホルダーの1つとの信頼関係構築の点でも意味があった。
社長としての私の大きな仕事の一つが、会社を成長させるための環境作り。まだ詳細は明らかにできないが、様々な施策を進めている。
<その他>
株主の視線を常に意識した経営を今後も続けていく。取締役の報酬評価基準に資本コストを盛り込んだ。自社株買いは発行済株式数の関係もあり、柔軟に対応する必要があるが、配当については可能な限り株主の期待に応えるべく実施していく。
またマネジメント以上の社員評価も生産性向上や創造性などに力点を置いた新しい基準を構築し、来期から導入していく考えだ。
ペーパーレス、電子決済の流れは今後も様々な分野で確実に拡大していく。それに伴い我々の活躍する場面も益々広がっていく。これからも成長を追求する当社に是非注目していただきたい。
今後の注目点
中期経営3か年計画の最終年度となる今期、22%増益の20億円という営業利益の達成はややハードルが高いようだが、宮澤社長は現在の自社の実力を見極めるためにも少々背伸びをした目標にチャレンジすると説明していた。
「バスもり!」が収益に貢献するのはもう少し先となるだろうから、既存事業での売上増と収益性の向上が目標達成のための主要施策となる。EC化の進展で今期も好調な推移が予想されるマルチペイメントサービスでどれだけ上積みが図れるのか?を注目したい。
一方中期的には、決済、認証それぞれに豊富な実績とノウハウを蓄積している同社として、「電子決済をビジネスの中心に据え、認証など周辺分野をサービスとして提供する事で他社との差別化を図る」という戦略がどう具体化していくのかを注目したい。
<参考:中期経営3か年計画>
◎中期経営3か年計画の成長戦略

成長を支える両輪として、①次世代を担うビジネススキームの確立、②カイゼン(機能拡充・システムの安定運用・コストパフォーマンスの向上=筋肉質の企業体質作り)の2つを掲げている。

◎成長シナリオ達成に向けた体制・ガバナンス

成長戦略の両輪(「事業開発」と「カイゼン」)を強力かつスピーディーに推進するために、これら関連プロジェクトを社長直轄として推進することとしている。
また、若手社員の積極的な登用とともに、必要な人材は外部にも求め「想いを共有できる人」を採用し、目標を達成できる体制を整え、目的達成へのモチベーション高揚のためにストックオプションなど諸施策も有効に活用する考えだ。

社員教育にも力を入れており、会社としての存在意義と社員の行動指針を“ウェルネットアレテー”として定め実効性のあるガバナンスを実現しているが、これを改めて徹底させる。
(アレテーとはギリシャ語で、「徳」、「優れた者」、「卓越したもの」を意味する。)

◎数値目標

1年目、2年目に戦略的投資を実施し、最終年度2016年6月期営業利益20億円達成を目指している。
2014年6月期の期初目標は14.5億円だったが、実績は14.7億円と上回った。
達成に向け全社一丸で取り組んでいるということだ。

◎株主還元

○株主へ中期経営計画中の利益を100%還元
信用力維持、中核事業の拡充、新規事業開発の原資として今後も必要十分な手元資金は維持していくが、すでに財務面の健全性は十分に備わったと判断しており、今後は、株主への還元を今まで以上にダイナミックに行うこととし、中期経営計画中の利益は100%株主に還元する。

具体的には下記の2施策を実行する。
A) 中期経営計画中の配当性向を特殊要因は除いて、従来の33.3%から50%に引き上げ、株主への安定的で高い配当利回りを目指す。
B) 税引後利益のうち、配当後残額のすべてを自己株式の取得・消却に充当し、利益の100%を株主に還元する。
現状保有する自己株式は売渡請求用の自己株式、株式給付信託「J-ESOP」等を除き消却し、新たに取得した自己株式は、用途を目標達成のためのストックオプション等に限定し、その他は消却する。

○ROE目標15%(2016年6月期)
成長戦略の着実な推進、収益力の強化、配当額増加、自己株式の取得・消却を実施し、ROEの向上およびEPSの増加を目指す。

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