(8912:東証2部) エリアクエスト 2015年6月期業績レポート

2015/09/02

areaquest

今回のポイント
 
・15/6期は前期比30.5%の増収、同79.4%の経常増益。サブリースを中心にした契約の積み上げ効果でストック収入型ビジネスの売上が伸び売上が増加。リノベーションサブリース(後述)に伴う物件への先行投資に加え、人員増強やオフィスの拡張等で営業費用が増加したものの、売上の増加で吸収した。1株当たり1円の期末配当を予定しており、07/6期以来の復配となる。

・16/6期は前期比20.1%の増収、同36.5%の経常増益予想。契約の積み上げ効果とサブリース物件等の新規獲得で拡大基調が続くストック収入型ビジネスが増収をけん引。人員を増強して売上拡大に取り組む成功報酬型ビジネスで上積みを図る。人件費や広告宣伝費等を中心に販管費が増加するものの、増収効果で営業利益が同34.5%増と大きく伸びる。配当は1株当たり1円の期末配当を予定している。

・「パノラマクリーニング」による高品質な清掃業務やテナント誘致力が強く空室期間が短い事等がビルオーナー等から高く評価されており、また、テナント管理(賃料滞納解決率98.6%)、賃料査定、賃料減額交渉にも強みを有する事、更にはトラブルが発生すれば、電話1本で24時間以内に駆けつける事も評価されているようだ。この結果、売上が順調に伸び、先行投資負担を吸収して大幅な増益を達成している。現状では全てが順調と考える。

 
会社概要
 
東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前商業地において、サブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に売買仲介や契約更新・契約管理等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。
 
特徴1
ビル管理事業(サブリース事業含む)
 
特徴2
更新及び契約管理事業(売買仲介部門含む)
 
特徴3
テナント誘致事業

(同社資料を基に作成)
 
【沿革】
創業者である清原雅人氏(1991年4月、明治大学法学部卒業)が野村證券(株)を経て、1998年4月に友人と起業。2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立し、01年3月に社名を(株)エリアクエストに変更した。
 
2000年1月 会社設立テナント誘致事業開始
2003年2月 東京証券取引所マザーズ上場
2003年3月 ビル管理事業開始
2006年6月 赤字転落
2007年7月 更新及び契約管理事業開始
2011年5月 サブリース事業、パノラマクリーニング開始
2012年6月 黒字化
2014年11月 東京証券取引所2部上場
 
(1)会社設立からわずか3年で株式上場
データベースマーケティング重視の営業でテナント誘致事業を拡大させ、会社設立からわずか3年1か月で(03年2月)東証マザーズに株式を上場。不動産ファンドの資金流入で不動産業界が活況を呈する中、国道16号線内(東京、神奈川、千葉、埼玉)の商業施設にフォーカスした営業戦略が奏功し、上場後も順調に業績を拡大させ04/6期には経常利益が4億円を超えた。
 
(2)業績悪化を受けて収益構造改革を推進
しかし、その後は、欧米の不動産市況の減速、米国サブプライムローン問題の顕在化、そしてリーマン・ショックと続き、国内の景気や不動産市況が悪化し同社の業績を直撃。05/6期以降は業績が急速に悪化し、06/6期から4期連続の最終赤字を余儀なくされた。このため、コスト削減に取り組むと共に、不動産市況の影響を受けやすい成功報酬型ビジネスから、安定した収益が見込めるストック収入型ビジネスを中心とする売上構造改革に取り組み、安定成長が可能な収益構造への転換を図った。
 
(3)「パノラマクリーニング」の導入でストック収入型ビジネスが軌道化
当初はなかなか成果があがらなかった売上構造改革だが、持ち前の営業力に加え、11/6期下期に導入した「パノラマクリーニング」がビルオーナー等から高い評価を受け、ビル清掃を中心に契約が徐々に積み上がっていった。損益分岐点の引き下げ努力も実を結び、12/6期には通期の営業損益が黒字転換した。尚、「パノラマクリーニング」とは、清原社長が自ら作成したビル清掃業務の作業指示と結果報告システム。「パノラマスケッチ」に基づく丁寧な清掃作業と詳細な業務報告がビルオーナー等から高い評価を得ている。
 
パノラマスケッチ、項目指示書、抜き打ちチェック、月次報告書を特徴とする「パノラマクリーニング」
パノラマスケッチ
建物共用部全体のスケッチを作成し、清掃箇所を明記。これを利用する事により、オーナー、清掃員、同社が何処を清掃するかひと目で理解できる。
項目指示書
清掃箇所毎に作業項目(何処を、何曜日に作業するか)を設定し一覧化。
抜き打ちチェック
同社社員が不定期に清掃チェックを実施。チェック箇所を写真に撮り毎月提出。
月次報告書
パノラマスケッチ、項目指示書で明確にした清掃箇所について、抜き打ちチェック時に撮影した写真を添付して毎月、月次報告書を提出します。共用部の使用状況も報告。
 
(4)共用部分の不正使用や設備面でのトラブルにも迅速に対応しサービス領域を拡大
また、清掃にとどまらず、消防法上問題となる共用部分の不正使用等、ビルオーナー等の貸主共通の悩み事の解決や対応した事に加え、漏水を含む水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面でのトラブル等に対しても、連絡を受ければ即時対応(問題が発生すれば、いち早く駆けつけ)で臨んだ事がビルオーナー等の更なる評価につながった。
 
仲介、アフターフォロー、掃除・メンテナンスをワンセットで提供
 
(5)サブリース(転貸)が徐々に収益の柱に
献身的なサービスを通してビルオーナー等との信頼関係が強固なものとなっていったため、12/6期からは更に一歩踏み込んでサブリース(転貸)の営業を強化した。サブリースにすると、ビルオーナー等の取り分は減るが、水回り、電気、空調、ガス、エレベーター等(躯体以外の設備)、設備の補修費用等は同社が負担するため、手間も費用もかからない。また、サブリースされない他のフロアのテナントも同社が面倒を見てくれる。

同社のサブリース事業の特徴は、ターゲットを1日の乗降客数が3万人以上の駅に絞り、その周辺の物件で1階部分に限定している事。サブリースは空室リスクを伴うが、人の流れが多い一等地(乗降客の多い駅周辺)に絞り込む事と、客付けで同社が強みを持つ小売業等に人気の1階部分に限定する事で空室リスクを極小化している。解約が発生しても、概ね1カ月程度で次のテナントが決まると言う(テナントが解約する場合は、6か月前までに同社に連絡する必要がある)。加えて、同社はテナント誘致力が強いため、優良なテナント(より高い賃料での入居が可能なテナント)付けが可能だ。15/6期末現在で約120件強のサブリース物件を有するが、空室・逆ザヤは1件もない。
 
リノベーションサブリースで物件の取り込みを加速
地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案を合わせ行っている事もサブリース物件の獲得につながっている。その際に必要となるリフォーム費用、或いは高熱水道関係の修繕や新たな敷設費用は同社が負担するため、オーナー等は初期投資をする事無く安定的に収益を上げる事ができる。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。
 
 
(6)2014年11月、東京証券取引所2部市場に上場
2部上場による信用力向上とアナウンスメント効果が営業面や採用面で顕著に現れており、同社は一段の営業強化と人員の増強でストック収入型ビジネスの拡大を加速させたい考えだ。
 
【エリアクエストの強み  -駅前店舗オーナーがエリアクエストを選ぶ16の理由-】
1.住んでいる人達に感謝される地域発展
2.テナント誘致力に強み
3.上層階の空き(不動産屋まわり、垂れ幕)
4.賃料査定に強み
5.賃料減額交渉に強い
6.売買の査定に強い(収益還元=豊富な仲介実績)
7.1人の所有者(1つのビル)に3事業部の担当が付く
8.更新に強み
 9.テナント管理に強み
10.テナント入退出時の工事監理、監修
11.電話1本でトラブルにつき24時間以内に駆けつける
12.掃除が得意である。
13.用途変更、法例提案力、対応力がある
14.「エリアクエストはうるさい、オーナーは良い人」
15.資料滞納解決率98.6%
16.新築に強い
 
「パノラマクリーニング」による高品質な清掃業務、テナント誘致力、テナント管理(賃料滞納解決率98.6%)、賃料査定、更には、電話1本で24時間以内に駆けつけるトラブル対応等が評価されている。また、用途変更、改正建築基準法等の法例対応や提案、テナント入退出時の工事監理・監修等、法令対応を含めた資産の有効活用や資産価値の向上に貢献できる事も強みだ。
様々な「困った」に「できません」と言わずに即時対応してくれる行動力が、国道16号線内のビルオーナー等に浸透してきた事が好業績の背景にあると考える。
 
 
2015年6月期決算
 
 
前期比30.5%の増収、同79.4%の経常増益
サブリースを中心にした契約の積み上げ効果でストック収入型ビジネスの売上が伸び、連結売上高が14億98百万円と前期比30.5%増加した。利益面では、リノベーションサブリースに伴うサブリース物件への先行投資の増加等で売上総利益率が0.5ポイント低下する一方、人員増強やオフィスの拡張等で販管費が増加したものの、売上の増加で吸収。営業利益が1億88百万円と同87.2%増加した。当期純利益の減少は投資有価証券売却益の減少(前期は84百万円を計上)が主な要因(支払利息、支払手数料、及び法人税等も増加した)。

1株当たり1円の期末配当を予定しており、07/6期以来の復配となる。
 
 
 
東証2部上場による知名度と信用力の向上を踏まえて、首都高速道路3号線(東名高速接続)及び5号池袋線沿いに広告を出した(画像左から、首都高速道路3号線上り、同下り、首都高速道路5号線上り、同下り)。
 
 
 
期末総資産は前期末に比べて9億28百万円増の21億89百万円。短期借入金の積み増しで現預金が増加した他、賃貸用不動産の取得、取得及び時価評価による投資有価証券の増加、更には事業拡大に伴う敷金及び保証金の増加で固定資産が増加した(子会社の売却で無形固定資産が減少)。自己株式の処分と当期純利益の計上で純資産も増加した。流動比率88.7%(前期末159.7%)、固定比率183.4%(同166.2%)、自己資本比率45.1%(同47.3%)。投下資本利益率は前期の12.9%から15.6%に向上した。
 
 
利益の増加と前受金の増加等による資金効率の改善で前期は81百万円にとどまった営業CFが1億76百万円に増加した。ただ、土地建物を取得する一方、投資有価証券の売却が減少した事で投資CFは5億29百万円のマイナス。短期借入金の積み増しで財務CFが黒字となり、現金及び現金同等物期末残高は1億52百万円と前期末に比べて51百万円増加した。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE =売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
一時的な要因(投資有価証券売却益の減少)による売上高当期純利益率の低下でROEも低下したが、ROEの水準自体は高く、営業利益率が8.8%から12.6%に向上しており、収益力は高まっている。土地建物の取得等や業容の拡大で総資産回転率も低下したものの、サブリースの拡大による長期預かり保証金や借入金の積み増しでレバレッジが拡大しROEの下支え要因となった。
尚、米系大手総合情報サービス会社によると、東証1部上場企業の14年度(15年3月末)のROEは8.15%と13年度の8.56%から低下した。
 
 
 
2016年6月期業績予想
 
 
前期比20.1%の増収、同36.5%の経常増益予想
売上高は前期比20.1%増の18億円。契約の積み上げ効果とサブリース物件等の新規獲得で拡大基調が続くストック収入型ビジネスが増収をけん引。人員を増強して売上拡大に取り組む成功報酬型ビジネスで上積みを図る。利益面では、人件費や広告宣伝費等を中心に販管費が増加するものの、増収効果で営業利益が同34.5%増の2億54百万円と大きく伸びる。
配当は1株当たり1円の期末配当を予定している。
 
(2)パノラマクリーニングの一段の認知度向上に向け、3か月無料の“お試しキャンペーン”を実施
 
パノラマクリーニングは、サブリース等、ストック収入型ビジネスのドアノックツールとなっており、同社の事業拡大戦略を陰で支えている。ただ、パノラマクリーニングに興味を示すビルオーナー等が多い反面、既存の取引先への配慮もあり、同社への切り替えに躊躇するケースも少なくなかった。また、無料体験の要望も多かったため、今回、期間限定のサービスとして初めて要望に応えた。実際にパノラマクリーニングを体験してもらう事で、パノラマクリーニングのファン、ひいてはエリアクエストのファンを増やそうと言う考え。
 
 
中期事業計画
 
 
サブリースをけん引役に業容を拡大させていく考えで、当面の目標として18/6期に売上高25億22百万円、経常利益4億49百万円を掲げている。具体的には、パノラマクリーニングとトラブルに対してリーズナブルな価格で迅速に対応できる強みを生かしてメンテナンス物件を獲得し、これをサブリースにつなげ、ストック収入型ビジネスを拡大させていく。一方、成功報酬型ビジネスについては立て直しに取り組むものの、数値計画は慎重なものにとどめている。

15/6期までの計画と実績の推移をみると、ストック収入型ビジネスの営業が軌道に乗り始めた13/6期以降、売上面では常に期初予想(各期初の予想売上高は従前の中期事業計画の計画値と同じか、計画値を上方修正)を上回る実績を残しており、利益面では、上振れ分を先行投資に充てる事で予想に沿った実績を残してきた。サブリースの契約が着実に積み上がっている事と有言実行となった過去3年間の実績を考えると、18/6期の計画を達成する確度は高そうだ。
 
 
今後の注目点
「パノラマクリーニング」による高品質な清掃業務やテナント誘致力が強く空室期間が短い事等がビルオーナー等から高く評価されており、また、テナント管理(賃料滞納解決率98.6%)、賃料査定、賃料減額交渉にも強みを有する事、更にはトラブルが発生すれば、電話1本で24時間以内に駆けつける事も評価されているようだ。この他、用途変更、改正建築基準法等の法例対応や提案、テナント入退出時の工事監理・監修等の多様な要望に応える事もできる。国道16号線内のエリアに絞って営業を行っているため、こうした評価が、このエリアのビルオーナー等の間で広がる速度も速く、東証2部上場の信用力向上と相まって、新規物件の開拓やサブリース物件の開拓が加速している。また、ストック収入型ビジネスの軌道化で営業キャッシュ・フローが安定している事も同社の強みだ。
成長のためには時として思い切った先行投資も必要であり、単年度での変動は問題ないのだが、中期的には安定した営業キャッシュ・フローの下でフリー・キャッシュ・フローに配慮しつつ事業拡大に取り組む事で投資家の期待に応えてもらいたい。

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