(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2016年3月期第1四半期業績レポート

2015/09/02

enjapan

今回のポイント
・16/3期第1四半期は売上高が前年同期比26.1%の増収、営業利益が同25.5%の増益。売上面は、エン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、前年同期比の掲載件数が大幅に増加した。また、エン エージェントの4月の入社人数が大幅に増加した他、海外子会社もインドの子会社の業績が期初から加わったこと、景況感の改善等でベトナムやタイの子会社が好調に推移したことにより前年同期比の売上が大幅に増加した。利益面では、人件費等の費用が増加したものの、広告宣伝費予算の一部を次四半期以降の使用に繰り越したことも影響した。同社は、好調な売上進捗と費用の効率的使用等を反映し、7月27日に上期の業績予想を上方修正した

・16/3期の会社計画は、前期比24.9%の増収、同1.4%の営業増益の予想から変更なし。売上面は、引き続き求人広告(エン転職)、人材紹介(エン エージェント及びエンワールド・ジャパン)を中心に拡大を目指す。利益面は、人件費、広告宣伝費、システム関連等の先行投資を積極的に行うことが影響する。16/3期の1株当たりの配当も、前期末から1円増配の33円の予定を据え置き。

・良好な業界環境下、CMプロモーションを営業面でのバックアップやサイト価値の更なる向上に活用し、業績拡大を加速することができるのか、その先行指標となるであろう今第2四半期のエン転職掲載件数の動向が注目される。更に、同社は広告宣伝費予算の一部を次四半期以降の使用に繰り越すことにした。効果的なプロモーション活動を実施することが狙いと推測される。同社の今後の追加的なプロモーション戦略からも目が離せない

会社概要

「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。

Navigos Groupについては、14/3期第3四半期より、P/Lを連結範囲に含める。
タイは2014年7月にCapstone Groupから社名変更、P/Lは15/3期より連結開始。
オーストラリアは2014年10月にCalibrate Recruitmentから社名変更。
インドは15/3期第3四半期より、P/Lを連結範囲に含める。

※15年3月期より事業セグメントを「採用事業」及び「教育・評価事業」に変更。

ビジネスモデル

<求人情報サイト>
企業に対して求人広告を企画・提案。同社の正社員が求人企業を取材し、その情報をもとに同社のコピーライターが求人原稿を制作した後、求人サイトに求人原稿を掲載。
掲載課金型求人広告:求人広告を掲載した際に「広告掲載料」が発生。
成功報酬型求人広告:求人広告を掲載し、同社求人サイトを通じて人材採用できた際に「成功報酬料」が発生。
(同社HPより)

<人材紹介>
求職者のこれまでのキャリアや転職意向を確認し、今後のキャリアプランに沿った求人を紹介。企業に対しては採用ニーズにマッチしていると思われる人材を紹介。紹介した人材が入社した際に「成功報酬料」が発生。報酬料は概ね年収の30%。
(同社HPより)

中期経営計画(16/3期~18/3期)

同社は、今後3ヵ年の中期経営計画を策定した。中期経営計画においては、①求人サイト、②人材紹介、③海外、④新規事業の4分野を注力領域と掲げ、事業の拡大を目指す。最終年度である18/3期の数値目標は、売上高360億円(15/3期比84%増)、営業利益76億円(15/3期比93%増)。3ヵ年中計の最終年度で、過去最高の営業利益(2007/12期:75.6億円)の更新を目指している。

今後の注力領域
(1)求人サイト(18/3期業績計画:売上高180億円、営業利益42億円)

主力サイトである「エン転職」が最大の成長ドライバーであるが、その他サイトも安定成長を目指す。「エン転職」はサイトのリニューアルと営業体制の強化が奏功し足元の業績は好調に推移している。中でも、サイトのリニューアルは、掲載課金型求人広告件数の増加、顧客企業向けのサイト効果の向上(広告1掲載あたり応募数の増加)、ユーザー会員数の増加などに結びついている。エン転職が好調な今こそ投資を行い、今後の大きな飛躍につなげる。

(エン転職の今後の成長戦略)
① 営業体制の整備
・新卒社員を中心に営業人員数の拡大を図る。
・取材に基づいた詳細原稿は変えず、高いクオリティを維持した形で、代理店制を導入。
② 生産性の向上
・1営業人員あたりの業務工程を分業化し、営業に特化することで生産性を向上。
③ プロモーションの強化
・TVCM等オフラインプロモーションを強化し、更なるサイト価値向上を図る。
・16/3期は、全社ベースで前期比約1.6倍の広告宣伝を実施。営業面のバックアップを図り、エン転職の優位性を確立。
(2)人材紹介 (18/3期業績計画:売上高100億円、営業利益20億円)

エンワールド・ジャパン(EWJ)とエンエージェント等で売上高100億円を目指す。EWJは、外資系企業・グローバル人材領域でトップクラスの規模。採用・転職をする際に第一想起されるブランド力を有するものの、更なる成長には人員・システムの強化が課題。エンエージェントは、エン転職の求職者データベースを活かし、一定規模へ成長したものの、先行投資期間のため、収益面への貢献はこれから。

(EWJの今後の成長戦略)

① 独自の教育システムにより、競合他社と比べ人員増を優位に進める。
② 新たな成長領域である日系グローバル企業へ拡販。
③ システム関連への投資により更に高いフィッティングを実現。

(エンエージェントの今後の成長戦略)

① 16/3期に黒字化を実現。生産性を向上し、18/3期に営業利益率20%を目指す。
② エン転職とのシナジーを拡大。

(3)海外 (18/3期業績計画:売上高33億円、営業利益6億円)

18/3期は、15/3期比で売上高倍増、のれん控除後での利益貢献を目指す。海外子会社全体では、15/3期に黒字化を実現。現地企業や外資系企業の現地人材の転職支援において成果を上げている。

(海外の今後の成長戦略)
① 日系企業のアジア進出活発化に伴い、日系企業向けサービスを新たな成長機会にする。
② 進出国だけではなく、アジア全体での成長を目指すためグループ各国の連携を強化。共通のシステム導入などインフラ面を整備。
(4)新規事業

主力事業は景気変動の影響が大きい。市場環境の見通しが良好である今後数年の内に、新規事業のラインナップ拡充と採用以外の新規事業の創出を行い、事業ポートフォリオの安定化を目指す。

(新規事業例)
2016年3月期第1四半期決算
売上高は26.1%増収、営業利益は25.5%増益

売上高は前年同期比26.1%増の57億89百万円(約12億円増)。売上面は、エン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、前年同期比の掲載件数が大幅に増加した。また、その他の求人サイト全般についても、堅調な採用需要を受けて取引社数や取扱高が増加した。更に、エンジャパンの人材紹介であるエン エージェントの4月の入社人数が大幅に増加した他、海外子会社もインドの子会社の業績が期初から加わったことや景況感の改善等でベトナムやタイの子会社が好調に推移したことになどにより前年同期比の売上が大幅に増加した。
利益面では、人員の増加や広告・宣伝費などを中心に費用(売上原価+販管費)が同26.3%増加したものの、営業利益が同25.5%増加した。広告宣伝費予算の一部を次四半期以降の使用に繰り越したことも影響した。売上総利益率は、同0.6ポイント上昇したものの、売上高対販管比率が0.8ポイント上昇した。また、前期に計上した固定資産除却損19百万がなくなったことから、親会社株主に帰属する四半期利益は同32.5%増と増益率が高まった。

採用事業

当事業には、求人サイト、人材紹介、海外子会社等が属している。求人サイトは、主力のエン転職において応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策が奏功し、エン転職掲載件数は過去最高水準まで回復するなど前年同期比で大幅に増加した。その他の求人サイト全般についても、堅調な採用需要を受けて取引社数や取扱高が増加した。また、人材紹介は、エンジャパンの人材紹介であるエン エージェントにおいて4月の入社人数が大幅に増加した。一方、子会社のエンワールド・ジャパンは、15/3期 第1四半期の売上が非常に好調であった反動で、16/3期第1四半期は若干の減収となった他、人員増、システムのリプレイス費用、オフィス拡張にともなう地代家賃の増加などにより前年同期比営業減益となった。更に、海外子会社は、インドの子会社の業績が期初から加わったことや景況感の改善等でベトナムやタイの子会社が好調に推移したことなどにより、売上と営業利益は順調に増加した。
以上の結果から、採用事業セグメントの売上高は、55億86百万円と前年同期比25.7%増加した。また、人件費、プロモーション費用、子会社のオフィス拡張による地代家賃、システムリプレイスによる業務委託費などを中心とした販管費が増加したものの、営業利益は12億62百万円と同29.3%増加した。

採用事業の四半期売上高は、エン転職(求人広告)、その他求人サイト、エンワールド・ジャパンなどの拡大に加え、海外子会社の連結開始により、順調に拡大している。

エンワールド・ジャパンの16/3期第1四半期の売上は、15/3期第1四半期に想定以上の4月入社が多かった影響により、前年同期比2.1%の減少となった。一方、成約基準(転職者の入社承諾をペースにした売上高、決定人数)による売上高は、四半期ベースで過去最高水準を記録した。

16/3期第1四半期の海外子会社は、売上高と営業利益が順調に推移。景況感の改善等により、特にベトナムとタイの子会社が好調に推移した。

教育・評価事業

当事業には、定額制研修サービスの実施、採用・人事関連システムの提供等が属している。定額制研修サービスでは、「エンカレッジ」においてリピート受注及び新規受注を強化した他、採用事業と連動した商品の開発や拡販を進めた。また、採用・人事関連システムでは、子会社のシーベースにおいてリピート受注及び新規受注が進んだこと等から、前年同期を上回る売上高となった。
以上の結果から、16/3期第1四半期の教育・評価事業の売上高は前年同期比37.5%増の2億18百万円となった。一方、営業利益は、新規事業開発等の先行コストが発生したことから31百万円の営業損失となった(前年同期は4百万円の営業利益)。

15/6月末の総資産は前期末比19億89百万円減の232億51百万円。資産サイドでは、未払法人税等の納付などによる現金及び預金と会計基準等の改正に伴う会計方針の変更によるのれんが主な減少要因。一方、負債・純資産サイドでは、未払法人税等と会計基準等の改正に伴う会計方針の変更による資本剰余金が主な減少要因。総資産の約60%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約80%と、高水準を維持している。

同社は、7月27日に16/3期第2四半期累計期間の連結会社計画の上方修正を行った。16/3期第1四半期の実績と足元の好調な状況を反映したもの。売上は、求人サイト特にエン転職の好調が牽引。利益は、第1四半期において効率的な費用の使用に加えて、一部未使用の費用が発生した。

2016年3月期業績予想
前期比24.9%の増収、同1.4%の増益予想

16/3期の会社計画は、売上高が前期比24.9%増の245億20百万円、営業利益が同1.4%増の40億円の期初予想から変更なし。好調な第1四半期を背景に中間期の業績予想を上方修正したものの、通期の業績予想につきましては、下期の業績計画が高く、現時点では不確定要素があることから修正を見送った。
同社グループが属する人材ビジネス市場の環境は、特に国内において人材が不足している業界も多く、企業の人材採用ニーズは引き続き堅調に推移すると同社では予想している。こうした中、売上面においては、求人サイト・人材紹介へ注力し、全社で高い売上成長を目指す。求人サイトにおいてはエン転職を中心にリニューアル等で改善した求人サイトの競争力を更に高めることで市場を上回る成長を目指す。また、人材紹介においてはEWJが人員増強と日系グローバル企業への拡販により、エンエージェントがエン転職とのシナジー効果の拡大などにより大幅に増加する計画。一方、利益面では、海外における既存子会社の収益性の向上を図るものの、事業の優位性を強固なものにすべく、人材の積極的な採用に加え、積極的な広告宣伝やシステム関連等の先行投資を実施する影響で、営業利益は前期比1.4%増の40億円となる計画。
また、16/3期の1株当たりの配当も、前期末から1円増配の33円の期初計画を据え置き。

※のれんの償却費
EWJ 135百万円、シーベース 16百万円、 en world Australia 9百万円、 Navigos Group 126百万円、en world Thailand 21百万円、 New Era 56百万円

プロモーションの強化

同社は、サイトの更なるサイト価値向上や営業面でのバックアップを図り、エン転職の優位性を確立するために、今期(16/3期)は前期比1.6倍(全社ベース)の広告宣伝を実施する。タレントを起用したテレビCMを行い、関東・関西・東海・福岡の各エリアにおいて6月以降順次放送した。
こうした先行投資の影響で、今期の売上高は前期比24.9%増加するものの営業利益は前期比1.4%の増加にとどまる会社計画となっている。

今後の注目点
厚生労働省発表の6月の国内有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同じ1.19倍だった。1992年3月以来、23年3カ月ぶりの高水準を維持している。一方、総務省発表の6月の完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の3.4%で、5カ月ぶりに悪化した。完全失業率が悪化したのは、景気拡大を背景に女性を中心に求職者が増え、働く意思があるのに就職できていない完全失業者数が増加したことが理由であり、総務省は、求職者の多くは就業できているとし「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移した」(労働力人口統計室)と分析している。引き続き企業の人材採用意欲は旺盛であることが明らかとなったことに加え、女性の求職者が増加していることも確認された。こうした好調な雇用環境の中、主に求人サイトと人材紹介の拡大により、同社の業績も拡大が継続するものと期待される。
同社の16/3期第1四半期決算を振り返ると、主力エン転職の売上高が前年同期比45%増加するなど好調が加速していることが明らかとなった。これは、応募効果が順調に推移したことに加え、6月から放映を開始したテレビCMに合わせた販売施策の実施が掲載件数の大幅な増加につながったものである。エン転職の掲載件数は過去最高水準付近まで回復している模様であり、サイトのリニューアルと積極的なプロモーションが極めて効果的であったと高く評価すべきであろう。同社の中期経営計画によると、こうした積極的な広告宣伝費の投入の影響で、今期の営業利益は売上の伸長に対し低成長となるものの、来期以降はサイト価値の向上により成長力が高まっていく内容となっている。今期の先行投資が来期以降に花開くと予想していた中期計画であるが、既に足元業績へも好影響を与えていることは非常に驚きである。良好な業界環境の中、CMプロモーションを営業面でのバックアップやサイト価値の更なる向上に活用し、業績拡大を加速することができるのか、その先行指標となるであろう今第2四半期のエン転職掲載件数の動向が注目される。更に、同社は広告宣伝費予算の一部を次四半期以降の使用に繰り越すこととした。効果的なプロモーション活動を実施することが狙いと推測される。今後の同社の追加的なプロモーション戦略からも目が離せない。
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