(4793:JASDAQ) 富士通ビー・エス・シー 2015年3月期業績レポート

2015/07/15

FujitsuBSC

今回のポイント
・15/3期は前期比0.8%の増収、同8.5%の経常減益。システムインテグレーション分野では、堅調に推移したものの、エンベデッドシステム分野では、開発計画の見直し・延伸等が重なり微増収にとどまった。全社でプロジェクト進捗管理を徹底し原価の抑制に努めたが、棚卸資産の評価減、事業拡大に向けた先行投資、及び社内体制・戦略調整機能強化に伴う営業費用の増加により営業利益、経常利益とも減益となった。

・16/3期予想は前期比1.6%の増収、同21.6%の経常増益。大手金融機関、公的金融機関向けシステム開発や業務ソリューションビジネスを強化していく。また、プロジェクトアシュアランス徹底による利益体質強化を進め収益確保を目指し、営業利益は同23.9%増加する見込み。配当は1株当たり年27円を予定(上期末13.5円、期末13.5円)。

・15/3期は不採算プロジェクトの見直し等や先行投資など営業費用が増加したものの、今後は将来に向けた戦略投資、内部統制充実に向けた体制強化により、よりいっそう利益を生み出す体質へ転換することが期待できよう。

会社概要

通信キャリア向けの顧客管理システムや基幹システム、民間事業者向け等の業務システム、中央官庁向け各種システム、携帯端末や自動車エンジン制御分野等でのエンベデッドシステム(組込みシステム)、更には、データセンター運営やモバイルを中心にしたセキュリティシステム等、多面的に事業を展開。ソフトウエア開発の外注先でもある連結子会社 北京思元軟件有限公司(以下、BCL)、とグループを形成。親会社である富士通(6702)の持株比率は15年3月末で56.4%。富士通にソフトウエア製品や開発等のサービスを提供する一方、富士通(株)からシステム機器等を仕入れており、15/3期通期の富士通グループ向けの売上高は全体の69.9%を占めた。

【事業内容】

15/3期通期の売上高構成比は社会基盤システム 33.9%、産業・流通・ヘルスケアシステム 20.6%、金融・官公庁・行政システム 15.5%、エンベデッドシステム 15.1%、 サービス他 15.0%。また、スマートデバイス関連の売上が13.8%を占めた(全事業区分に含まれるスマートデバイス関連売上高の総計)。 なお、2014年7月より、事業区分の見直しを行い、名称も変更している。(通信キャリアシステム → 社会基盤システム、民需システム → 産業・流通・ヘルスケアシステム、公共・金融システム → 金融・官公庁・行政システム)

社会基盤システム

大手通信キャリアや情報メディア、エネルギー事業者向けに、企業情報システムや顧客管理システム、ビリング(課金)システムといった各種システムを提供。

産業・流通・ヘルスケアシステム

製造業(電機、組立、精密、自動車、化学等)、建設、流通、運輸などの民間事業会社や医療機関向けに、生産管理システム、販売管理システム、勘定系システム、基盤構築等、さまざまな分野のソフトウェアを提供。PLMソリューションや医療・製薬ソリューション、ERPソリューション(クラウド環境でのサービスも提供)等も手掛け、近年ではスマートフォンを活用したソリューションにも力を入れている。

金融・官公庁・行政システム

中央官庁や自治体等の公的機関向けに、人事・給与システムの構築や運用支援等、銀行や証券会社等の金融機関向けに営業支援システム、インフラ構築、運用支援等のシステムやサービスを提供している。

エンベデッドシステム

カメラ、カーエレクトロニクス、携帯電話といった各種システム機器に組込まれた機能をコントロールするエンベデッド(組込み)システムについて、企画支援から設計・開発、評価・検証に至るまで、一貫したサービスを各種機器メーカーへ提供している。デジタルカメラ向けでは、09年7月に設立したニコングループとの合弁会社が寄与している。

サービス他

データセンターを活用したアウトソーシングサービスをはじめ、コンサルティング、ネットワーク構築、システムの運用支援・保守といった各種ソフトウェアサービスやIT分野を広くサポートする技術スタッフの人材派遣サービスを提供している。またスマートデバイスのMDM製品「FENCE-Mobile RemoteManager」、スマートフォン利用業務構築ツール「WebUnity-Plus」等のスマートデバイス向けソリューションも提供している。

2015年3月期通期決算概要
前期比3.5%の増収、同16.9%の経常増益

売上高は前期比0.8%増の314億98百万円。富士通及び同グループ会社向けの売上比率が69.9%と2.1ポイント減少した。また、スマートデバイス関連の売上(全事業区分を総計)はプロジェクト開発の延期等から43億41百万円と同22.5%減少した。
営業利益は同6.6%減の10億49百万円。原価率改善に努めたものの、棚卸資産の評価減、事業拡大に向けた先行投資、及び社内体制・戦略調整機能強化に伴う営業費用増により営業利益率が3.3%と同0.3ポイント悪化した。過年度決算訂正関連費用の発生と復興特別法人税の前倒し廃止に伴う繰延税金資産の取り崩し等により、当期純利益は2百万円の計上となった。

社会基盤・ネットワークシステム

情報メディア向け案件が減少したものの通信キャリア向け大型開発案件が堅調に推移、次世代郵政システムの増加により、売上高は前期比3.0%増の106億64百万円。営業利益率は同0.2%悪化し、9.5%となった。

産業・流通・ヘルスケアシステム

業務ソリューションは横ばいであったが、建設、製薬、医療などのSIビジネスが拡大し、売上高は前期比7.5%増の64億79百万円。大型不採算プロジェクトの終息により、前期の営業赤字から営業黒字となり、営業利益率は同7.0%改善の3.1%と大幅に上昇した。

金融・官公庁・行政システム

大手金融機関向けおよび公的金融機関システム開発およびスマートデバイスソリューションが増加したことで、売上高は前期比21.9%増の48 億90 百万円。増収により原価率改善、営業利益率は同2.2%改善の7.0%となった。

エンベデッドシステム

カーエレクトロニクス関連、フォトイメージングなどの製品開発計画の見直し・延伸、開発規模の縮小が重なり、売上高は前期比21.3%減の47億42百万円と厳しい状況だった。減収および棚卸資産の評価減により、営業損失に転じた。(営業利益率はマイナス2.5%。)

サービス他

クラウドサービス、人材サービスは堅調に推移したものの、マネージメントサービスは減少し、売上高は前期比4.6%減の44億88百万円。一方で、パッケージ販売が増加したことにより営業利益率は同0.1%増の8.2%となった。

期末の総資産は前期末比16億94百万円減の253億80百万円。自己資本比率は69.3%と同5.3ポイント改善した。

棚卸資産の減少、会計基準の変更に伴う退職金関連の処理額の減少により営業CFは大幅に改善した。

2016年3月期業績予想
前期比1.6%の増収、同21.6%の経常増益

各事業セグメントにおける新規顧客の開拓や既存顧客への深耕に加え、クラウド製品の拡大等により、売上高は前期比1.6%増の320億円と予想している。また、プロジェクトアシュアランス徹底による利益体質強化を進め収益確保を目指す。営業利益は同23.9%増の13億円、経常利益は同21.6%増の12億円を見込んでいる。配当は前期と変わらずの1株当たり年27円を予定している(通期末13.5円、期末13.5円)。予想配当性向は46.9%。

(2)16/3期の取り組み

社会基盤・ネットワークシステムでは、課金サービスをコアとしたMVNO(仮想移動体通信事業者)関連の新規商談獲得の推進や、エネルギー分野の電力自由化をふまえ、参入各社を開拓することで、売上高は108億円、プロジェクトアシュアランスの継続により営業利益率は同0.7%改善し、10.2%と予想。
産業・流通・ヘルスケアシステムでは、業務ソリューションビジネスを拡大するため、専門の営業部を新設し、自主ビジネスの強化に取り組む。また、既存顧客のIT運用管理を取り組むことで、ストックビジネスの強化を目指し、売上高66億円、営業利益率は前年比2.4%改善の5.5%を予想している。
金融・官公庁・行政システムでは、継続して大手金融機関と公的金融機関向けの大規模開発の遂行の他、金融系運用監視など、ストックビジネスの着実な取り組みにより、売上高52億円、営業利益率は0.3%減の6.7%を計画している。
エンベッドシステムはフォトイメージング等の回復時期が送れるリスクを含んでいるものの、自動車の制御系、医療などの新分野の開拓に取り組みにより、売上高56億円、営業黒字へ転換を計画し、営業利益率は4.5%改善の2.0%の予想。
サービス他では販売パートナーとの協力体制を強化し、クラウド製品を拡大していく、また、金融、証券に強いセキュリティパッケージの他業種への展開、顧客IT資産のクラウド環境移行をおこなう、クラウドインテグレーションサービスを提供することで、売上高50億円、営業利益率は3.4%増加の11.6%を計画している。

3つの変革

2015年度には、会社として3つの変革を考えている。1番目は、「会社の『体質』を変える」であり、会社の制度と社員の意識を変革していく。2番目は、「ビジネスの『起点』を変える」である。ここでは、マーケットインの発想の元で、顧客に提供できる価値を見直し、事業ドメインの再定義や新たな事業に取り組む。3番目は、「ビジネスの『やりかた』を変える」である。プロジェクトマネージメントの基本動作の徹底、ビジネスパートナーとの強力な連携、地域開発センターの活性化により、利益を生み出す体質をつくりあげていく。

不採算プロジェクト縮小による収益改善

同社は不採算プロジェクトの撲滅と組織品質の向上を目指し、プロジェクトアシュアランス室を新設し、その効果が表れている。不採算プロジェクト損失は2013年3月期では7億7百万円、翌年2014年3月期では8億33百万円と拡大したが、2015年3月期では4億2百万円まで減少し、着実に成果がでている。また、プロジェクト規模別では、大型プロジェクトでは、プロジェクトアシュアランス機能により、不採算プロジェクトの発生が大幅に減少している。今期には若干のリスクは織り込むものの、プロジェクトアシュアランス活動の徹底が営業利益の増益要因のひとつとなろう。

技術シーズ(富士通視線検出技術)の実用化への取組み

他社製品にない新技術のひとつして、視線検出技術がある。この技術は、人の視線の動きに着目し、「人の興味や行動を先読みし、さりげなくサポートしてくれるテクノロジー」である。期待できる応用分野としては、「不注意の察知」、「ヒューマンエラーの予防」、「機器やロボットへの展開」がある。「不注意の察知」では、工事現場において視線の動きから機械操作の単純ミスや作業中の見落としを防止する。
「ヒューマンエラーの予防」では、車両運転中に、明るい日中でも安定した視線を検出し、よそ見防止など、交通事故の過失を未然防止に役立つことが出来る。また、「機器やロボットへの展開」では、視線の先にあるモノをロボットがとってくる、視線の動きから興味や迷いなどを理解してサポートする、人の気持ちを先回りして円滑なコミュニケーションの支援などに使える。

今後の注目点
プロジェクトアシュアランス徹底等により、不採算プロジェクトの削減など収益改善による取り組みの成果が現れている。16/3期も不採算プロジェクトの影響が若干残るものの、確実に収益性は改善している。また、将来に向けた戦略投資が短期的な収益圧迫要因となるが、同時に顧客の提供できる価値を再度見直していくことで、さらなる利益を生み出す体質に変革が出来ることと考えられる。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up