(4323:東証2部) 日本システム技術 2015年3月期業績レポート

2015/07/08

JAST

今回のポイント
・15/3期の売上高は前期比6.2%増の115億5百万円。ソフトウェア事業、パッケージ事業、医療ビッグデータ事業が好調だった。パッケージ事業における次世代製品の設計など研究開発費が前期に比べ7割増加し販管費が2ケタ増加したため営業利益は同15.0%減少の3億63百万円。計画に対しては売上、利益共に未達だった。

・16/3期の売上高は前期比6.0%増の122億円の予想。SIにおいて受注環境の好転を捉えプライム化の推進、提案力を強化しての最上流案件の獲得を進めるほか、GAKUENの中国輸出、JMICSの収益化を進める。営業利益は同54.0%増を見込む。引き続き研究開発投資を積極化させるが、主力のソフトウェア事業、パッケージ事業の増収効果と収益性向上、システム販売事業の回復、JMICSの成長などが牽引し大幅増益を計画。配当は前期と同じ25.00円/株の予定。予想配当性向は44.9%。

・中長期計画において2020年までの経常利益の年平均成長率が22.8%と非常に意欲的な目標を掲げている同社だが、GAKUEN、JMICS、BankNeoなど、これまでも2年に1本のペースで自社ブランド商品をリリースし、多くが着実に成長し収益に貢献していることから、今後も意欲的に新製品を発表して売上拡大、収益性向上を図るという事だ。新製品EduTrackを含めた各パッケージの進捗を注目したい。

会社概要

幅広い顧客を対象に、ソフトウェアの受託開発を行うソフトウェア事業、教育機関向け業務パッケージ等の開発・販売を行うパッケージ事業、情報システム関連機器等の販売を行うシステム販売事業、レセプト自動点検サービスを提供する医療ビッグデータ事業などのサービスを提供する完全独立系のシステム開発企業。経営理念を重視。

<沿革>

設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場した。

<特徴>
1.理念重視の経営

「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。
この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。
また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービスであり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。

(経営理念の基本的考え方)

「天爵を修めて人爵これに従う」=「天爵」とは、人格・品性・徳を高めていくことで、尊敬され信頼される品格を備えた人に自然的に与えられる位を意味し、「人爵」とは、人為的・便宜的に与えられた外見上の位階を指す。
天爵を修めることに努め、結果として自ずと人爵を与えられるのが理に適う順序立てであるのに、人は先に人爵を与えられるとあたかも自分は天爵も得たものと錯覚してしまい、それが態度や行動に出てしまうことが多い。天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられるが、人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。

2.広範な情報サービスの提供と自社ブランド確立

メーカーや系列等一切の制約を受けず、自由な立場で広範な分野のサービスを提供することが出来る。
以下の既存4事業をメインとしているが、近年の変化として、自社ブランドサービスの拡大に注力し、構成比引上げを目指している。
具体的には、医療情報(レセプト自動点検等)サービス「JMICS(JAST Medical Insurance Checking System)」、銀行向けCRMソリューション「BankNeo」、各種スマートフォンアプリ群などが挙げられる。

(事業セグメント)

1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの個別受託開発) ⇒ SIerの側面

①ビジネスアプリケーション分野(事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野(スポーツ・文化イベント関連システム)
売上構成比68%

2.パッケージ事業(ソフトウェアパッケージの開発、販売)

⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システム「GAKUEN」の開発・販売、導入支援、保守等。売上構成比は19%。

3.システム販売事業(ハード、ソフトの販売、ITインフラの構築)

⇒ 販社(BtoB)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等。売上構成比は10%。

4.医療ビッグデータ事業(医療情報データの点検、分析及び関連サービス)

⇒ 医療BIベンダの側面
レセプトの自動点検・分析・医療費通知のトータルサービスを展開。売上構成比は4%。
3.大手優良企業群との長期取引と新規顧客

富士通(直接取引年数38年)、パナソニック(同33年)、IHI(同33年)など、日本を代表する大手企業群と長期取引が多いのも同社の特色。しかもすべてが直接取引である。
長期取引であるため、先方顧客からは同社が「コア・パートナー」となっている場合が多く、そのため不況期でも受注が大きく落ち込むことが少ない、と会社側は述べている。
一方、一時期8割程度はあった主要長期大手顧客8社の売上高構成比は現在4割程度まで低下しており、その分、地銀など金融機関、道路関連企業、健保など医療関連機関、外資系との協業など新規分野の拡大が著しい。

4.グループ拠点展開

大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、2013年6月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。

5.国内トップシェアの大学業務パッケージ及びその進化

大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、349校(15年5月31日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。

加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援、e-learningなど、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。

6.国内唯一の統合医療データ分析サービス

JMICS(JAST Medical Insurance Checking System)は、レセプトの全件高速点検により不適切な請求項目の請求額削減などを行う「医療費請求内容審査サービス」、医療データの各種現状把握や経年変化、他保険者との比較分析を行う「基礎分析サービス」のほか、適正な受診を通じて冗長な医療費支出の節約と薬害による健康被害の防止を促進する「適正受診指導サービス」、地域・薬局・薬効別の分析や紙・WEB媒体による個別通知を行い、後発医薬品への切り替えを促進する「後発(ジェネリック)医薬品使用促進サービス」などから構成されている。
医療ビッグデータの活用とICTの融合による保険事業改革を提供する同サービスに対する保険者の評価は着実に上昇しており、現在73の保険者(健保組合等)が契約している。

7.その他の特長

長期安定成長実現のため、以下の4点に力を入れている。

(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質

新卒中心の採用と長期的な人材育成
人材流動の激しい業界内で高い社員定着率を維持

(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 継続顧客が多い

「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
請け負ったら顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない

(特徴的な営業戦術) ⇒ 異なる4事業の共存共栄に成功

ソフトウェア事業(受託開発):SE自らリピート案件発掘(営業なき営業)
新規顧客は専門営業がソリューション提案
その他事業:代理店、教育機関、官公庁、健保組合等異種カスタマ層へのマーケティング展開

(徹底したコスト管理) ⇒ 不採算案件が極めて少ない低コスト体質

個人別30分毎の売上・原価管理
非常にコンパクトな本社間接部門
2015年3月期決算概要

売上高は前期比6.2%増の115億5百万円。ソフトウェア事業、パッケージ事業、医療ビッグデータ事業が好調だった。BankNeoの相続機能開発、マルチデバイス対応、パッケージ事業における次世代製品の設計、GAKUEN中国版の開発など、研究開発費が前期に比べ7割増加するなどで販管費が2ケタ増加したため営業利益は同15.0%減少の3億63百万円となった。計画に対しては売上、利益共に未達であった。

ソフトウェア事業

官公庁及び医療機関向け案件が前年を下回って推移したもののサービス・流通業、金融・保険・証券業、通信業及び製造業向け案件がそれぞれ増収となった。東京本社の拡張並びに社内システムの再構築等に伴うコスト増により一般管理費が増加した結果増収減益となった。

パッケージ事業

EUC(関連システムの個別受託開発)では「GAKUEN」史上最大のプロジェクトを受注した。仕入販売及び大学向けPP(プログラム・プロダクト)販売も前年を上回った一方で、運用サービス及び導入支援が前年を下回った。また、これに加え製品開発の研究開発費が増加し増収減益となった。

システム販売事業

公共系SI(システム・インテグレーション)案件及び大学向け機器販売が前年を下回り減収減益。

医療ビッグデータ事業

レセプト自動点検サービスに加え、通知サービス、データ分析サービス及び点検業者向けクラウドサービス等のサービス拡充により、増収で営業損失幅は縮小した。売上総利益ベースでは初の黒字となった。

現預金の減少により、流動資産は前期末に比べ3億62百万円減少の62億0百万円であった。固定資産は有形固定資産および投資その他の資産の増加により同2億62百万円増加し、25億16百万円となったことで、総資産は同99百万円減少し、87億17百万円となった。買入債務および未払法人税等の減少等で流動負債は同3億38百万円減少。退職関連引当金の減少により、固定負債は同1億28百万円減少した結果、負債合計は同4億66百万円減少し32億84百万円となった。純資産は利益剰余金の増加などで同3億66百万円増加し54億33百万円となった。この結果、自己資本比率は2014年3月末の56.6%から61.4%へ4.8ポイント上昇した。

売上債権にかかる収入が増加した一方で、たな卸資産にかかる支出が増加し、賞与引当金の減少及び仕入債務にかかる支出が増加したこと等により、営業CFはマイナスに転じた。有形固定資産取得額および投資有価証券取得額の増加により投資CFのマイナス幅は拡大した結果、フリーCFもマイナスに転じた。
株式の発行による収入の減少等で財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

2016年3月期通期業績予想

売上高は前期比6.0%増の122億円の予想。SIにおいて受注環境の好転を捉えプライム化の推進、提案力を強化しての最上流案件の獲得を進めるほか、金融分野のシステム投資需要を取り込む。また、GAKUENの中国輸出、JMICSの収益化を進める。営業利益は同54.0%増を見込む。引き続きBankNeo、GAKUEN、JMICS向け研究開発投資を積極化させるが、主力のソフト、パッケージの増収効果と収益性向上、システム販売事業の回復、JMICSの成長などが牽引し大幅増益を計画。
配当は前期と同じ25.00円/株の予定。予想配当性向は44.9%。

(2)主な取り組み

スローガンとして「Go Beyond the Border:かつてない領域へ踏み出そう」を掲げ、主として以下のような取り組みを進める。

中長期経営計画

事業基盤の構築が進む中、「超一流への挑戦」という長期スローガンを掲げ、顧客・技術・市場の変化に即応して長期的な成長の達成を目指している。具体的には「2020年度(2021年3月期) 売上高200億円、経常利益20億円(利益率10%)、従業員1,000名」を達成する。
売上高は年平均成長率9.2%、経常利益は22.8%となる。

◎事業ポートフォリオの変革

受託開発中心から、パッケージを中心としたブランド事業への転換を進めている同社だが、GAKUEN、JMICS、BankNeoなどのJASTブランド事業の構成比率を現在の30%から2020年までに50%まで引き上げる。
受託型事業に関しては今まで以上にプライム案件中心の構成とし、収益性の向上を図る。

また、現在のエリア構成は東京55%、大阪45%だが東京での案件増加が見込まれるため、東京エリア構成比を70%まで引き上げる事を目指し、人員配置など組織体制もそれに対応したものとする。

◎戦略課題

下記のような戦略的な課題を掲げ全社一丸となって取り組んでいく。

◎事業構成とアライアンス

国内外市場と各事業について下記のようなマトリックスを作成し、現在まだカバーできていない事業領域をアライアンスも進めながらカバーしていく。
GAKUEN、JMICS、BankNeoの展開に加え、GAKUENから生み出された次世代e-ラーニングシステム「EduTrack」の国内外での拡販や、企業など組織のデータを、収集・蓄積・分析・報告することで、経営・運営の意思決定に役立てる手法や技術であるBI(Business Intelligence) Analytics市場での事業拡大も視野に入れている。

今後の注目点
今期も積極的な研究開発投資を計画しているが、営業利益は5割増と大幅な増益を見込み、売上高営業利益率も1.4%向上する計画だ。主力事業の収益性向上に加え、JMICSの採算性向上も大きく寄与してくる。
2020年までの経常利益の年平均成長率が22.8%と非常に意欲的な目標を掲げている同社だが、GAKUEN、JMICS、BankNeoなど、これまでも2年に1本のペースで自社ブランド商品をリリースし、多くが着実に成長し収益に貢献していることから、今後も意欲的に新製品を発表して売上拡大、収益性向上を図るという事だ。
新製品EduTrackを含めた各パッケージの進捗を注目したい。
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