(9616:東証1部) 共立メンテナンス 2015年3月期業績レポート

2015/07/01

Kyoritsu

今回のポイント
・15/3期は前期比4.7%増収、12.7%経常増益。主力事業である寮事業における期初稼働率は、前年比0.2ポイント増の97.2%と好調なスタートとなった。成長著しいホテル事業についても、ドーミーイン事業、リゾート事業共に好調に推移した。利益率の改善が進むホテル事業が牽引役となり、経常利益は3期連続で過去最高を更新、且つ5期連続の増益となった。・16/3期は10.4%増収、2.4%経常増益を計画する。寮事業の期初稼働率は、前年比0.1ポイント増の97.3%と好調なスタート。ホテル事業も先行投資負担を吸収し、いずれも増収増益を見込む。また、新たな中期計画「共立フルアクセル・プラン」を策定した。18/3期に売上高1,500億円、経常利益100億円を目指す。基本方針として開発投資を集中的かつ積極的に加速し、価値と価格のバランス適正化による収益力の強化を図る。

・寮事業、ホテル事業とも好調に推移しているが、特にホテル事業において相次ぐ新規開業で売上を伸ばしつつ、その負担をこなしながら利益率が上昇していることは特筆すべきだろう。また、待望の中期計画が発表となったが、想定客室単価は16/3期予想や中期計画において保守的。いずれも利益の上乗せ余地があり、今後の中期計画達成への進捗に注目したい。

会社概要

“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(15/3期)は次の通りである。

【沿革】

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部上場となった。

2015年3月期決算
前期比4.7%の増収、同12.7%の経常増益

売上高は前期比4.7%増の1,102億12百万円。寮事業における期初稼働率は、前年比0.2ポイント増の97.2%と好調なスタートとなった。成長著しいホテル事業についても、ドーミーイン事業、リゾート事業共にインバウンドの増加に加え前期を上回る稼働率と客室単価にて力強く推移し、引き続き大きな牽引力となった。販管費率が0.4ポイント上昇したが、売上総利益率は0.7ポイント上昇し営業利益率は7.5%と前期比0.4ポイント上昇、営業利益は前期比9.7%増の82億17百万円。支払利息の減少、為替差益の拡大により、経常利益は前期比12.7%増の76億63百万円、純利益は同14.6%増の43億87百万円となった。経常利益は3期連続で過去最高を更新、且つ5期連続の増益となった。

営業利益率は前期比0.4ポイント上昇の7.5%。創業以来、寮事業を主力とし安定成長。寮事業で培ったノウハウを活かしホテル事業を展開してきたが、成長著しいホテル事業が売上高では寮事業を上回り、利益率の改善も顕著である。

寮事業

売上高は前期比2.9%増の426億65百万円、営業利益は同4.1%増の63億71百万円。期初稼働率は97.2%と前年を0.2ポイント上回る水準でのスタート、期初契約数は33,480室で前期比858室の増加となった。
学生寮では跡見学園女子大学、東北工業大学、神戸女子大学等と新たに提携した。また、留学生の利用も増加、10.0%を留学生が占めている。学生寮の契約者数は19,741名(前期比1.1%増)となり売上高は249億66百万円(同0.9%増)となった。
社員寮においては、金融機関等で採用人数の増加や、新たに寮制度を導入する企業が増加したこともあり、契約数の増加を牽引した。社員寮の契約数は9,113名(前期比4.9%増)となり、売上高は104億64百万円(同8.2%増)となった。
ドミール事業はワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業からの入居斡旋紹介はもちろん、食事付き寮からの住み替え需要等にも対応し、入居者数4,635名(前期比6.2%増)、売上高38億90百万円(同4.6%増)となった。「日本一の下宿屋」により差別化を図る受託寮事業は売上高33億44百万円(同0.9%増)。

ホテル事業

売上高は前期比7.9%増の469億29百万円、営業利益は同23.6%増の47億36百万円。ドーミーイン事業、リゾートホテル事業いずれも高い稼働率、客単価で推移した。ホテル事業全体としての事業所数は72ヶ所、客室数は前期比212室増の10,824室となった。

ドーミーイン(ビジネスホテル)事業
前期にオープンした「天然温泉 茶月の湯 ドーミーインEXPRESS掛川」、「天然温泉夕霧の湯 ドーミーインPREMIUMなんば」が好調に推移し、既存事業所においても多くの顧客を取り込み、高い稼働率にて推移した。既存事業所の稼働率は88.1%で前年同期比1.0p上昇。客室単価は8.7千円で同0.4千円増。「ドーミーインPREMIUM渋谷神宮前」、「ドーミーイン東京八丁堀」、「ドーミーインPREMIUM京都駅前」などの稼働率が非常に高く推移した。
また、昨今の円安動向や韓国・アジアからのインバウンド営業を強化したことにより、外国人顧客の利用も着実に伸びている。15/3期のインバウンド顧客の比率は前期比5.8p増の10.6%であったが、4Qは13.2%と期を追うごとにその比率は増している。「ドーミーインPREMIUMなんば」、「ドーミーイン心斎橋」、「ドーミーイン秋葉原」はインバウンド比率が50%を上回った。インバウンド顧客は客室単価も10.3千円でインバウンド以外の8.6千円と比較して高く、稼働率・客室単価双方の上昇に貢献する。
海外開業準備費用の負担はあったものの、好調な稼働率と客単価の上昇により増益となった。
リゾート事業
前期に、伊勢神宮における式年遷宮の年に合わせてオープンした「いにしえの宿 伊久」をはじめ、既存事業所においても国内旅行者の増加やリピーターの増加により稼働率は前期比3.3p上昇し83.6%となった。「LA VISTA函館ベイ」や京都のホテルが好調に推移した。大型台風の上陸や豪雨による影響はあったものの、それらをカバーした。客室単価は38.4千円で同0.4千円増。
その他の事業

売上高は前期比0.8%増の362億86百万円、営業損失95百万円(前年同期は34百万円の損失)。
総合ビルマネジメント事業は売上高126億26百万円(前期比3.1%減)、営業利益3億76百万円(同114.0%増)。前期における賃貸物件売却により減収となったが、建設施工工事部門の効率化の推進等に伴い増益となった。
フーズ事業は売上高53億30百万円(前期比2.9%増)、営業損失1百万円(前期は43百万円の損失)。消費税増税による個人消費回復の遅れや原材料価格の高騰など厳しい事業環境の中、徹底したコストコントロールを図った。
デベロップメント事業は売上高94億56百万円(前期比24.8%増)、営業利益2億77百万円(同9.2%減)。開発原価は依然として高止まりの状況が続いているが、ホテル開発の受注が増加した。
その他事業は売上高88億71百万円(前期比27.6%増)、営業損失7億48百万円(前期は4億72百万円の損失)。ウェルネスライフ事業において開業費用による損失が拡大した。

15/3期末総資産は前期末比77億55百万円増の1,397億50百万円となった。主な要因は有形固定資産が増加したことによるもの。負債は同45億69百万円減の928億36百万円となった。主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が減少したことなどによるもの。純資産は同123億23百万円増の469億13百万円となった。主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の株式への転換に伴う自己株式の処分及び資本剰余金の増加、また利益剰余金の増加などによるもの。当初150億円で発行したが15/3期末時点で77億円が転換済み。
自己資本比率は33.6%となり、前期末比7.4ポイント増加した。

15/3期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比79億91百万円減少し157億58百万円となった。
営業CFは売上債権の増加及びたな卸資産の増加の影響により前期比12百万円収入が減少し、76億79百万円の収入となった。
投資CFは有形固定資産の取得による支出の影響により前期比56億85百万円支出が増加し120億18百万円の支出となった。
財務CFは長期借入金の返済による支出及び社債の発行による収入の影響により前期比92億95百万円支出が増加し37億60百万円の支出となった。

新中期経営計画「共立フルアクセル・プラン」策定

これまでの中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan!」(12/3期~16/3期)では、常に計画を上回る利益推移となった。今般は以下の環境認識のもと、新たな中期計画として「共立フルアクセル・プラン」を策定した。

経営環境
・異次元緩和による低金利及び円安の継続
・建築費の高止まり
「日本再興戦略」改訂2014
・観光資源の活用/インバウンド促進
・大学改革/グローバル化
・法人税率の段階的な引き下げ
・コーポレートガバナンスコードの策定
将来のイベント
・2017年4月消費増税(8%→10%)
・2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催
その上で「共立フルアクセル・プラン」において2018年3月期に目指す目標は以下の通り

基本方針として
1. お客様のニーズに応えるべく、開発投資を集中的かつ積極的に加速
2. 価値と価格のバランス適正化による収益力の強化
を掲げている

開発室数は寮・ドミールで4,930室、ドーミーインが2,794室、リゾートホテルは641室。

寮事業の開発計画

ビジネスホテル・リゾートホテル事業の開発計画

ホテル事業の客室単価については、過去3年間の平均でドーミーインは5.3%の上昇、リゾートホテルでは6.1%の上昇率であったが計画上ではそれぞれ2.7%、2.3%の上昇を見込んでいる。尚、これまで通りの客単価上昇率が持続すれば、ドーミーインで24億円、リゾートホテルで27億円の営業利益上乗せ余地があるとしている。
中期計画期間中の設備投資は440億円を見込む。

2016年3月期業績予想
前期比10.4%の増収、同2.4%の経常増益予想

16/3期予想は売上高が前期比10.4%の増の1,217億円、経常利益は同2.4%増の78億50百万円。寮事業は売上高が前期比4.1%増の444億20百万円、営業利益は同3.4%増の65億90万円を予想する。期初稼働率は97.3%と前年を0.1ポイント上回る水準でのスタート。大口受託もあった。増収効果が賃借料・リース料、減価償却費の増加をカバーし増益となる見通し。ホテル事業は売上高が前期比11.2%増の521億85百万円、営業利益は同3.8%増の49億14百万円と、新規事業所(ドーミーイン4棟、リゾートホテル3棟)の開業初年度赤字827百万円を吸収し、増益を見込む。稼働率はビジネスホテル88.2%、リゾートホテル83.3%と前期比横ばい予想。客室単価はビジネスホテルは前期比+0.4千円の9.1千円、リゾートホテルは同+1.8千円の40.9千円を見込む。その他の事業は売上高が前期比25.9%増の456億84百万円、営業利益は前期95百万円の損失から4億95百万円の利益に浮上する見通し。ホテル開業ラッシュに伴いデベロップメント事業が増収となり、総合ビルマネジメント事業やPKP事業が利益貢献する見込み。
配当は年50円(うち上期25円)を予定している。尚、2015年3月31日を基準日として1:1.2の株式分割を行っており、実質10円の増配(実質20%増配)となる。

今後の注目点
寮事業、ホテル事業とも好調に推移しているが、特にホテル事業において相次ぐ新規開業で売上を伸ばしつつ、その負担をこなしながらも利益率が上昇していることは特筆すべきだろう。
待望の中期計画発表となったが、16/3期予想経常増益率は2.4%と利益面では物足りなさもある。先行投資負担が重いことが主因だが、15/3期に見られたようにそもそも保守的であると考えるのが妥当だろう。首都圏、関西圏ではホテル不足が顕著になっており、客室単価は16/3期予想や中期計画以上に上昇することが考えられる。いずれも予想、計画利益に対する上乗せ余地となりそうだ。
今後の中期計画達成への進捗に注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
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